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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo

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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 107号 2008.8.1

発行日: 2008/8/1



∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 †01 ■ドキュメンタリー映画のかたち
       揺らぐ「私」を支える (2)  大澤 一生
 †02 ■ワールドワイドNOW ≪サンパウロ発≫
     大いなる奥地から  岡村 淳
 †03 ■列島通信 ≪埼玉発≫
        秘宝館を映像化!  村上 賢司
 †04 ■映画時評
      『いま ここにある風景』(2006年)
      『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』(2008年)
          萩野 亮
 †05 ■neoneo坐8前半の上映プログラム
 †06 ■広場
      ■新・クチコミ200字評!(78)
      『一幕一場・沖縄人類館』『ドキュメント沖縄 OKINAWA1948‐49:
       アメリカ人が写した人々の記録』『日本のアウトサイダーアート1
       「人のカタチ」』  (以上の評、清水 浩之)
      ■上映:『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』
       8/2 ユーロ・スペースから全国公開
      ■上映:『船、山にのぼる』 8/9〜29   UPLINK X
       8/16〜22  広島・横川シネマ
      ■上映:『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』
       8/12 大分・シネマ5
      ■「自作を語る」などの原稿募集!
      ■上映の告知の有料化とカンパのお願い
 †07 ■編集後記  伏屋 博雄

    ★バックナンバー閲覧はこちらまで
     まぐまぐ配信   http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/ 
     melma!配信   http://www.melma.com/backnumber_98339/ 



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┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■揺らぐ「私」を支える (2)
┃ ┃■大澤 一生
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●企画書「家族を壊す」

日本映画学校では卒業制作の企画をゼミ生それぞれが提出し、その中から内容と実
現性を講師、ゼミ生全員と討議しながら3〜4本の卒業制作の企画としてスタートす
る。私自身も卒制に向けて対象者に会ったりしながら企画を進めていたのだが、あ
と一歩のところで押し切ることができず自身の企画は頓挫してしまっていた。「内
的必然性」という言葉に捉われすぎたが故に、もっとシンプルに対象者に執着する
ことができなかったのだ。企画を成立できなかった後悔を抱えながら企画会議にの
ぞんでいたのだが、ある時配られてきた企画書は私に強烈な印象を与えた。

その企画書を提出してきたのは当時20歳の小野さやか。小野は映像ジャーナルゼミ
の中でも浮いた存在だった。日本映画学校では2年次からそれぞれの専門のゼミに進
むのだが、小野は映像ジャーナルゼミの中で仲のいい友人がいるわけでもなく、一
人で昼食をとっている姿をよく見かけた。講義や会議中でも、耐え切れなくなった
ようにゼミ室を飛び出していくことも度々あり、何かを抱えている、不安定な精神
状態にあることは誰の目にも明らかだった。

A4サイズ1枚のその企画書は、自分の内面の生きづらさと、「家族からの束縛」に対
する呪詛の言葉が未整理のまま並び、さらに根本の原因であるヤマギシ会幼年部で
の体験も絡んでいて、彼女の混乱そのままの内容だった。しかし「家族を壊した
い」と末尾に書かれたその企画書はその混乱を何とか突破しなければというのっぴ
きならない衝動に満ちていた。
既に自身の企画が頓挫していた私は、卒業制作では他の企画にスタッフとして編入
することになっていた。他のゼミ生より年長ということもあり、他の企画を提示し
た者からの誘いもあったが、未整理ながらも自分には持ち得ない衝動に満ちている
小野の企画に猛烈に惹かれていた。自らの衝動が強烈であるあまり既に自身でコン
トロールしきれないことを自覚していた小野も、その衝動を「作品」に転化できる
スタッフを求めていた。私にコントロールされすぎることを危惧しつつ、小野は私
をスタッフに編入させることを決め、私は編集担当兼プロデューサーとして参加す
ることになった。

●『アヒルの子』制作過程

『アヒルの子』についての詳細は本誌32号の阿部嘉昭氏の評論が詳しいが、いくつ
かの映画祭や上映会ではあったものの国内ではほとんど上映していない作品なので、
未見の方のために簡単な概要を紹介したい。
『アヒルの子』は「私」と「家族」の関係性を問うセルフドキュメンタリー。本作
の監督で主人公でもある小野さやかは、家族の中で「いい子」を演じてきた自分に
限界を感じ生き苦しさを感じていた。そのきっかけは、5歳の時にヤマギシ会の幼年
部というところに1年間親元を離れ預けられたことが発端で、そのとき「捨てられ
た」と感じた小野は、2度と捨てられないようにという思い家族の中で道化を演じる
ようになった。その生き苦しさから脱却するため、家族とそしてヤマギシ会に向き
合う旅に出る、というストーリー。

撮影が始まった当初、「この作品が成立しなかったらあんたら全員を殺す」とスタ
ッフに向って宣言するほど、小野は自らの衝動をコントロールするのに四苦八苦し
ていた。一歩間違えれば自らに矛先を向け、一線を越えかねない精神状態。その矛
先が自分に向わずに済んだとしても、今度は現場のスタッフに向うことになり、撮
影チーム内での不協和音が発生しかねない危険性を常に孕んでいた。卒業制作の実
習作品ということで、3年次の担任・原一男監督が監修という形で制作に関わってい
たこともあり、制作中はプロデューサーというよりむしろ編集という立場であまり
撮影現場にいることができなかった私は、小野だけではなくそれぞれのスタッフに
連絡を取りながらチーム内のバランスを取る役割を担っていた。撮影チーム内での
意思疎通の努力もあり、小野の家族、そしてヤマギシ会に向き合っていく撮影では
次々と訴求力の高い映像を撮ってくるようになる。3ヶ月の編集期間を経て、小野さ
やかの衝動を凝縮した『アヒルの子』が完成した。

●「家族」に向かう現代性

『アヒルの子』は、土地や家という概念を強く持つ「家族」という共同体に縛られ
てきた小野が、それぞれの家族との対話やさらにはヤマギシ会という別種の共同体
を巡る旅の中で、自分が家族の中の「個」である認識を獲得していく過程を描いた
作品。日本映画学校の卒業制作には同様に「家族」をテーマにした作品(『ファ
ザーレス』『home』等)がいくつかある。これらの作品群の特徴は、作家がのっぴ
きならない問題を「家族」に対して抱えていて、その衝動をそのまま映画という形
に転化したことにあるが、それだけではなく作品それぞれが現代日本の「家族像」
を抉り出す批評性も合わせ持っている。

日本の家族像は時代の変遷とともに形を変えてきた。戦前は土地に根ざした「家」
と「血」が重要視されてきたが、戦後は高度経済成長を経て「核家族」へ。そして
80年代以降、情報や消費により「個」に分断されていった日本社会は、拠り所を失
った「個」がその孤独感をさらなる情報や消費で満たそうとする悪循環を生み出す
ことになり、「家族」という最小の社会共同体すら揺るがすようになった。昨今頻
発している凶悪事件の背景には日本社会全体に蔓延する閉塞感から派生した「孤
独」が強調されているが、その背景には家族がその防波堤になるどころか、エロス
を失った家族がその孤独を助長させる温床になっていることを見逃してはならない。
ミクロの視点で「家族」を描くことは現代の日本のある側面をマクロな視点で捉え
ることになる。ドキュメンタリーは何らかの形で時代性を映し出す機能を持ちえる
以上、この時代を生きる若い作家が「家族」に向かう作品が数多く生み出されるの
は必然であるし、同時代を語る中でその作品群の存在が示す意義は大きい。
完成した『アヒルの子』は、技術的には未熟ながらも「私」と「家族」の関係性に
関する批評性を持ち、小野の鬼気迫る存在感も相まって訴求力を持つ作品になった。
手応えを感じた私は、卒業制作に留まらせず劇場公開させるべくさまざまな映画祭
に応募した。運も味方し海外も含めたいくつかの映画祭での上映がかなったのだが、
ここで思いもよらない落とし穴が待っていた。

●「セルフドキュメンタリー」の落とし穴

招待された映画祭や上映会で、小野が監督として作品について話す機会が度々あっ
たのだが、今思えば既にその兆候は表れていた。質疑応答では質問された内容につ
いて答えるのが精一杯で、インタビューでは自作について表層的な部分しか語れな
い。観客の反応に過剰なまでに神経過敏になり、そもそも作品の性質上生理的に好
き嫌いが別れる作品ではあるのだが、アンケート等で批判的な内容を見るとこの世
が終ったとばかりに引きずっていた。最初は場や作品を見せること自体に慣れてい
ないだけとたかを括っていた。私自身、作品が持つポテンシャルにばかり目が向い
ていたせいもあったかもしれない。しかしようやくその落とし穴に気がついたのは、
映画祭出品も一段落し劇場公開に向けて動き出そうとした矢先、公開に合わせて
『アヒルの子』の制作日誌を出版するという話を頂いてからだった。さっそく小野
は執筆に取り掛かったのだが執筆作業は全く進まず、3歩進んで2歩下がるどころか、
3歩進んでも3歩下がってしまう状況に陥っていく。
原因は2つあった。完成後、小野の家族には了承を取ってはいたものの、家族内のシ
リアスな側面を描いていたことから、自分の家族を晒すことに小野が躊躇していた
ことが1つ。ドキュメンタリーは映画が完成しても登場人物たちの人生は続いていく。
それが、自分の家族だからなおさらその責任は小野に重くのしかかる。

そしてもう1つの原因は、映画の中の「小野さやか」を自分の中で切り離せずにいた
ことだった。制作中は衝動で突き進んだ小野だったが、その衝動があまりにも強か
ったため、作品が完成しても映画の中の自分自身に他者性を見出せずにいた。作品
が持つ批評性を語る以前の段階で、映画の中の自分と現実の自分との境界を作れず
に同質化してしまい、作家として作品との距離を取りあぐねていたのだ。セルフド
キュメンタリーの最大の落とし穴だった。
このままの状態で公開すると、衝動に任せて「撮れてしまった」映像の強さに依拠
し、作家主体の形成をかまけた結果、作品そのものに作家が潰されるという状況に
陥る危険性を孕んでいた。そのことは小野自身が理解していたのだが、家族のこと
も相まって、できてしまった『アヒルの子』という作品とどう向き合えばいいのか、
執筆が遅々として進まずノートPCの画面と睨み合いながら苦悩する日々が続いた。

小野を焚きつけるべく、アメを与えムチを与え様々な試行錯誤をしたが状況は好転
せず、あれこれ考えて結局この状況を打破する道は一つしか残されていないことを
悟った。「待つ」しかない。小野が『アヒルの子』という作品と距離を取り、作家
主体を獲得するまで待つしかないと私は判断した。その待つ時間の間に制作時のテ
ンションが落ち、公開へのモチベーションが下がってお蔵入りになってしまう危険
性もあったが、小野が少なくとも作品との距離を取る事ができれば、映画を始動さ
せることができる。そして、上映していく中で作品中の自分の中に他者性を見出せ
る可能性を感じていた。
小野のように家族関係に悩み生きづらさを抱える人が、たくさんいることはこれま
での上映での反応でわかっていた。スクリーンの中で悩みもがく小野の姿に共感す
る人がこちらが思っていた以上に多かったのだ。上映し観客の反応を聞き、対話し
ていくことで作品中の自分の姿の中に他者を発見することができる。遠回りかもし
れないが、その過程は今後作家として他者の中に「自分」を見出していくための禊
ぎなのだ。
プロデューサーとしての作品の関わり方は有形無形さまざまあると思うが、『アヒ
ルの子』のプロデューサーとして私が重要な役割を担ったのは制作中よりもむしろ
完成後、作品を見捨てなかったこと、そして今後も含めた作家の可能性を信じるこ
と、この2点だと思う。

●進展

執筆に苦しんでいたこの2年間の間に、小野はある児童擁護施設に通い始めた。埼玉
北部ののどかな田園地帯にあるその施設では、虐待や育児放棄だけでなく、様々な
原因で家族と暮らせない3歳から高校生までの子達が親代わりの職員と生活している。
現代の「家族」の問題が凝縮されている場所だがネガティブな側面ばかりではない。
誰一人血の繋がっていない子達が職員も交えて和気藹々と食卓を囲む様子は、失わ
れつつある家族のエロスに溢れ新しい家族の在り方を想起させてくれる。
小野は「次回作を撮る」という名目で通っているのだが、今の状況でまともな撮影
ができるわけはなく、「小野ちゃん!」と慕ってくる子ども達と本気で遊び、共に
食卓を囲みながら団欒を楽しんでいるのが現状だ。だが、今はそれでいいのだと思
う。孤独に引きずられてきた小野が、表面的には明るくても同様の孤独を抱えてい
るであろう子ども達と接していくことは意味のある線だ。
時間が解決したのか、その施設に通ったことが効を奏したのか、最近になって小野
の中で『アヒルの子』を客観視する視点が生まれ始めてきた。久しぶりに自作を観
て「面白い」と思えるようになったと言うのだ。ようやく『アヒルの子』を始動さ
せる準備が整った。今後『アヒルの子』を上映していく中で、作品との距離に苦し
んだ過程を経た小野は今度こそ映画の中の自分に他者性を発見することができるだ
ろう。そして今後は他者の中にある自分を見出しながら、他者と向き合っていくの
ではないかと思う。それは、最初から向き合うべき「他者=社会」があった時代と
は異なる、孤立する「個」の在り方に苦悩した世代だからこその新しいアプローチ
になるのではと期待している。

そんな可能性を信じつつ小野の発芽を待っていた時、のほほんとした面をした映像
ジャーナルゼミの元同級生が家にやってきた。「このラッシュ見てよ〜」と1本の
テープを手渡してきた男こそ、後に『バックドロップ・クルディスタン』の制作を
共にすることになる野本大だった。
(続く)

■大澤 一生(おおさわ・かずお)
『バックドロップ・クルディスタン』のポレポレ東中野での公開が終わりました。
観に来て下さった方々ありがとうございました。8月16日(土)〜シネマ・ジャック&
ベティで公開されますので見逃した方は是非!その後、大阪、名古屋、広島で順次
公開です。
『アヒルの子』はシューレ大学国際映画祭 http://www.shureuniv.org/filmfes08/ 
で8月30日(土)
に上映されます。興味持って頂いた方いらっしゃいましたら是非ご来場下さい。



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┃02┃□ワールドワイドNOW ≪サンパウロ発≫
┃ ┃■大いなる奥地から
┃ ┃■岡村 淳
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六月。国土の大半が南半球に位置するブラジルは、冬を迎える。この時期、ブラジ
ルを訪れる外国人は、あちこちで継ぎはぎだらけの「晴れ着」をまとって顔に不可
解な化粧を施した子どもたちが闊歩しているのに目を見張ることだろう。フェス
タ・ジュニーナ、六月祭りと呼ばれる国民的行事のメインをなす田舎風踊りのいで
たちだ。キリスト教の聖人の祭りとヨーロッパの夏至の民俗等が習合して、さらに
ブラジルに持ち込まれて夏から冬へと意義が反転したものだ。

ブラジル文化を考えるには、この祭りはカーニバルよりはるかに面白い。地方生活
者はもちろん、都会でも参加者はより田舎臭いスタイルを競い合い、田舎風の料理
に舌鼓を打つのだ。
そんなブラジルの、本来の田舎が加速度的に消滅している。すでに人口の8割以上が
都市生活者となってしまった。世界の穀倉庫といわれていたブラジルは、国策とし
て世界のバイオ燃料供給国を目指し、穀物メジャーが広大な農地を次々に蚕食して
いく。
この国の心あるドキュメンタリストがこうした状況に危機感を持って、奥地に足を
運んで希望を模索しようとするのは、自然な成り行きだろう。
大土地所有制度と奴隷制の弊害が残るなかでの、解放の神学の芽生えと「土地なし
農民運動(MST)」の台頭。ブラジルの農村問題のキーワードはこんなところか
もしれないが、実情は極めて複雑でわかりにくい。筆者も90年代後半は、ブラジル
南部の土地なし農民運動の最前線に通って記録を続けていたが、自分の見聞した以
上、以外のことに言及する勇気はない。しかしこの体験が、自分のブラジル像の大
きな基盤を形成したという実感がある。
「O Tempo e o Lugar」(「時間と場所」 2008年、97分)はブラジル北東部のアラ
ゴアスという小さな州のひとりの農民が主人公だ。監督のエドゥアルド・エスコレ
ルは夭折したブラジルの鬼才、グラウベル・ローシャ監督の「狂乱の大地」
(1967)の編集を務めている。
 1996年、エドゥアルドは大手銀行のPR映像の主人公として、アラゴアスの農民、
ジェニバルドを取材した。求められたのは、ブラジルの諸問題に希望を持って明る
く対処するキャラクターだ。
旱魃の続く北東部で多くの農民が土地を離れて都市に流出していくなか、仲間と共
に井戸を掘り、地元を盛り上げていくジェニバルド。

エドゥアルドはジェニバルドのカリスマ性と雄弁さに惹かれるが、PR作品のなか
で見事に削ぎ落としてしまったジェニバルドの持つ陰影にこだわり続けた。2005年、
劇映画の素材にしようと再び現地を訪ねるが、フィクションを断念して新たにジェ
ニバルドのインタビューを収録した。2007年、ジェニバルドを主人公としたドキュ
メンタリーの制作を決意、スタッフと共に現地に3週間の滞在をして、主に彼と子ど
もたちのインタビューを撮影した。
ジェニバルドはMSTのリーダー格として大農場占拠などに活躍し、地元のカトリ
ック教会の活動にも積極的に参加していた歩みを語る。しかしいずれにも絶望、新
たに地元の小農たちとの連帯、自分なりの楽園の実現に努めている。語り中心の展
開なだけに、筆者の語学力では内容の細かいフォローが心もとないが、ブラジルの
農民運動を、簡単にMSTとカトリック左派の活動に収斂できないことがこの作品
からも十分に理解できた。
しかし祖国日本で、実際に農村に長期にわたって住み込んで農作業もしながら記録
に取り組んだ小川紳介らの仕事を観ている身には、まだまだ食い足りない、という
のが正直な感想だ。


■岡村 淳(おかむら・じゅん)
記録映像作家。在ブラジル。1958年、東京都出身。日本映像記録センターの番組デ
ィレクターを経てフリーとなり、1987年にブラジルに移住。小型ビデオカメラによ
る単独取材に開眼、ブラジルの日本人移民、社会・環境問題などをテーマとした自
主制作活動を続けている。8-9月に訪日、PARC自由学校での連続講座、首都圏のほか
東北や四国での上映会を実施予定。
「岡村淳のオフレコ日記」http://www.100nen.com.br/ja/okajun 



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┃03┃□列島通信 ≪埼玉発≫
┃ ┃■秘宝館を映像化!
┃ ┃■村上 賢司
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昨年の3月中頃に三重県伊勢にあった、世界最大級のセックスミュージアム・元祖国
際秘宝館(詳細は各自検索でよろしくです!)が閉鎖するという情報をインターネ
ットで知りました。以前、近くまでいったことはあったのですが、こんどまた行け
ばいいさと引き返したことがあり、しかも時間的にも、金銭的にもすぐに行ける余
裕もなく、悔しくて悔しくて川口市の自宅で地団駄を踏んでいました。しかし事態
は突然、 好転したのです!最近では一気に沸騰して左右上下(?)入り交じっての大
騒動となった『靖国』問題の渦中に図らずもいてしまったことで、一時期、ニュー
ス番組に頻繁に顔を出すことになってしまったことで知られるアルゴピクチャーズ
の細谷さんに紹介されたローランズ・フィルムという映像ソフトメーカー会社代表
の熊谷さんと飲んでいるとき、「なんか企画ない?」と突然聞かれので、国際秘宝
館のことをあれやこれやと話したら、「それ作品にすればいいじゃん。俺が交渉す
るよ」といきなり返され、数日後には撮影日が決定してしまっていたのです。とい
うわけで、殆んどロケハンのような準備がないまま、現地に行ったのが昨年4月初め、
閉館して数日後のことでした。

到着後、すぐにロケハンをしたのですが、まずはその巨大さに驚かされました。大
人の足で1時間以上の見学時間を必要とする広さです(ちなみに子供は入場不可で
す!)。しかも、その中にはギッシリと配置された展示物は大小合わせて…、う〜
ん、実はあまりにも膨大すぎて数えきれませんでした!(経営者さんにも把握でき
ない物量だそうです)。とにかく、これをどう記録するか途方にくれてしまったの
です。 
しかも、無理矢理に閉館していたものを開店営業中状態にして撮影する関係上、滞
在時間は僅か二日間なのです。入口にで〜んと置かれた鯨の女性器の前で熟考する
こと10分。結局なにも浮かばず、「とにかく、頑張って撮ろう!」と大阪から駆け
つけてくれたキャメラマンの高木風太くんと気合いを入れて、撮影開始となりまし
た。

二日間の撮影はまさに、性的妄想との戦いとなりました。だって、通常では少なか
らず他のお客さんの目がありますから、さほど注視することはない展示物を、何度
も何度もビデオカメラでグッと見続けるのですから、だんだんオカシナ気分になっ
てくるのです。ただし、誤解しないでください。それは決して、ワクワク、ドキド
キのような浮かれたものではありません。重くて苦しい、人間が一生背負い続ける
‘業’みたいなものを感じ続ける、幻魔大戦(?)みたいな感覚です。クランクア
ップした時は高木くんとヘトヘトになって倒れそうになり、後遺症がしばらく続き
ました(その症状の詳細は、自粛いたします…)。

編集は撮影以上に大変なことになりました。キャメラマンが気合いとド根性で撮影
した素材が10時間以上あり、編集を担当した加藤隼介くんとあれやこれやと試行錯
誤したのですが、どうもしっくりいきません。そして、熊谷さんともデッスカッシ
ョンしながら、やっとみつけた結論が「撮影したすべてのカットを出来るかぎり全
部、本編に納めてしまおう!」というものでした。なぜなら、私たちが撮影したす
べてのものは、一部保存されたものはあれ、秘宝館の展示物という状態ではこの世
に存在していないものであり、この作品を鑑賞するすべての人は元祖国際秘宝館に
あったすべてのモノが愛おしいはずだからです。結果、本編120分、特典映像22分と
いう、おそらくこの作品だけで未来の好事家がバーチャルリアリティーで秘宝館が
再現できるぐらいのボリュームのものが完成しました。

そして今年の4月に題名を『伊勢エロスの館 元祖国際秘宝館』として無事発売とな
りました。渾身の作品です。ぜひぜひ、よろしくお願いします!と、宣伝みたいに
終わるとなんなので、最後に「お願い」をひとつ。実は本作の撮影中に元祖国際秘
宝館オリジナルの「3Dポルノ映画」(制作はにっかつ)のフィルムを発見、保存し
ています。スタンダードサイズの35ミリフィルムを上下二分割して、それをプリズ
ムのような装置でかさね合わせ上映、観客は特殊なメガネをかけて鑑賞するタイプ
です。いろいろ試しているのですが、どうしても立体に見えません。どなたか、お
知恵をお貸しください。かなり珍しい作品ですよ!


☆『伊勢エロスの館 元祖国際秘宝館』:
  http://www.rolans-film.com/item-detail.php?item_id=164 


■村上 賢司(むらかみ・けんじ)
映画監督・テレビディレクター。すんません、またまた川口と関係ありません!近
況はこちら( http://d.hatena.ne.jp/MURAKEN/ )といきたいのですが、最近は更
新、不定期です。いろいろやってます。
これからもいろいろやりたいです。まだまだ若輩者です。応援よろしくです!



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┃04┃□映画時評
┃ ┃■『いま ここにある風景』(2006年)
┃ ┃ 『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』(2008年)
┃ ┃■萩野 亮
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

急速な経済成長を続ける中国は、先日未曾有の大地震を経験し、そして今月にはい
よいよ北京オリンピックの開催を間近に控えている。劇映画、ドキュメンタリー映
画を問わず、中国を題材とする映画が近年集中的に公開されていることは、現代中
国に対する世界中の関心を示して余りあるといえるだろう。
『いま ここにある風景』は、産業化された現代の風景を撮り続けるカナダの写真家、
エドワード・バーティンスキーの中国での活動を追いながら、その写真の解釈につ
とめたものである。

緑色の作業台に集まって作業する、黄色い作業着を着た作業員たち。莫大な敷地が
整然と区画された大工場の内部を、カメラは右から左へと、ゆっくりと滑ってゆく。
いくら進んでも、スクリーンが写すものは同じ風景の繰り返しである。緑の作業台
を囲んだ工場労働が、はてしなく続く。このフィルムに触れたおよそすべてのジ
ャーナリズムや批評が言及せずにはいられなかったように、このファースト・ショ
ットは、想像を絶した眼前の光景に言葉を失う作り手の存在をありありと感じさせ
る。カメラマンは、山形国際ドキュメンタリー映画祭への出品経験もあるカナダの
アーティスト、ピーター・メトラー。このフィルムでは、漠たる不安をいや増す印
象的な音響デザインも担当している。彼のカメラは、8分にわたる長い水平の移動撮
影を必死に耐えながら、その途中では移動速度を緩めたり、早めたり、撮影角度を
微妙に変えたり、といった操作を施している。カメラはつまり、単純労働の自動的
な反復に同調して向き合うわけではない。そのつど注意を観客に喚起しながら、そ
こに映る作業中の労働者の何人もが居心地悪くこちらに視線を返すのを見届ける。
その視線がなんとも生々しい。生産効率だけが課される「機械」化された風景のな
かに、「人間」が映りこむ瞬間をこのフィルムは見逃してはいない。この8分間の異
様な緊張は、「機械」と化した労働者をカメラといういまひとつの「機械」によっ
てとらえることで、両者の「人間」が垣間見えるという逆説によって支えられて
いる。

リュミエール兄弟以来、映画がひときわ関心を持って工場を写してきた事実を顧み
ると、そこには何らかのアナロジーが働いているように思える。たとえばベルトコ
ンベアの流れ作業によって、いくつものパーツがラインを通して最終的に製品にな
るという生産形式は、いくつものフィルム・パーツの切り張りによって一本のライ
ンが構成される「映画」を想起させるのかもしれない。リュミエール兄弟が撮影し
たのは工場の「出口」だったが、そののち、たとえばゴダールが、ワイズマンが、
近年であれば『鉄西区』(03)のワン・ビンが、『無用』(07)のジャ・ジャン
クーが、工場に並外れた関心を寄せてきた事実は無視できない。とりわけジガ・ヴ
ェルトフ時代のゴダール=ゴランは、『ブリティッシュ・サウンズ』(69)で工場
労働を移動撮影で切り取り、後の『万事快調』(72)においても驚異的な水平の移
動撮影によって、食肉工場のストライキをジャック・タチ的な複数の空間において
描いてみせた。『万事快調』における水平の移動撮影は、「68年」以降の閉塞状況
をあらゆる階級が「水平」に共有していることを喚起させ、「水平移動」という、
工場労働者の日常的な視線を批評的に再構成しているといえる。これに対し『いま 
ここにある風景』の移動撮影は、工場労働者がカメラを見返す視点の点在をとらえ
ることによって、むしろ生産ラインの水平的な視線をそのつど寸断している。ゴ
ダールは労働者の水平的視線をカメラに内面化させることで状況を内側から批評し
たが、『今 ここにある風景』は、カメラを労働者の水平的視線から徹底的に外在化
させ、彼らの視線を寸断させることで状況への批評を外部から試みている。労働者
の視線の応答は、機械化されない残余として画面に存在している。

映画が長いトラッキングをひととおり終えると、わたしたちはバーティンスキーの
一葉の写真があたえられる。それは同じ工場を写した俯瞰写真だ。そこであらため
てこの工場の莫大な規模が確認される。ジェニファー・バイチウォル監督がみずか
ら冒頭のショットを、「エドワードの作品の完璧な映画的解釈」と述べているよう
に(映画パンフレットより)、映画作家はあたえられた写真を咀嚼し、ピーター・
メトラーが構えたいまひとつのカメラによって再度展開してみせる。そのプロセス
がまぎれもない映画的な運動として定着されたのが冒頭の長い移動撮影であるだろ
う。
カメラを見返す被写体の視線を意識的にとらえた作品は、作中紹介されるバーティ
ンスキーの写真にも存在している。その写真では、教室のようにいくつも並んだ小
机に腰掛けた作業員たちの全員が、こちらを一斉に見つめ返している。映画はまず
ひとりの作業員の表情をクロース・アップで写し出し、何人かの顔をすばやくリ
レーした末にズームアウトして全体を明らかにする。そのすばやいカメラワークに
よって、彼らの視線が暴力的なまでの直接性で観客に届けられる。基本的にロン
グ・ショットで撮影されるバーティンスキーの写真に対し、映画のカメラはその分
析力を駆使して、写真に写されてある「視覚的無意識」(ベンヤミン)をあぶりだ
し、一葉の写真に異なる相を見つめる。細部のクロース・アップからロング・ショ
ットへというショットの運動は、一葉の光景からグローバルな思考を喚起させずに
はおかないバーティンスキーの写真理念にぴたりと重なるものだといえる。

『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』もまた、スイスのふたりの建築家が
中国の現在に向き合うさまを写している。「鳥の巣」とはいうまでもなく北京オリ
ンピックのメイン・スタジアムの愛称だ。「中国人はずるがしこい」、「家を建て
てやるから民主化しろ、とはいえないが」と建築家は大胆なことを漏らしつつ、い
っぽうで「スイスではこんな短期間にこれだけの規模の建物が建つことはない」と
述懐する。中国での経験を語る建築家の言葉はどれも驚きに満ちているが、その驚
異を可能にした中国国家の存在は、全編を通して不可視のままだ。これに対し、同
じ建築家が携った金華市の再開発のシーンが興味深い。「中国ではレンガ塀は古く
から使われているので好ましくない」、「緑色の家は不実さを象徴する」など、地
方都市に取材したこちらのエピソードでは、画面がより息づいているように感じら
れる。オリンピックのメイン・スタジアムの建設には、中国国家の政治が前景化せ
ざるを得ず、しかしその国家そのものはあたかも巨大なブラック・ボックスとして
映像化されない、という構造があったとすれば、地方都市に取材したいくつものシ
ョットは、ひとびとの生活とそれに向き合う建築家の姿が率直に映し出されている
のだろう。

開発に対する異常なほどのエネルギーに困惑し、驚嘆する建築家の姿は、巨大工場
や上海の都市計画に向き合うカナダの写真家の姿と重なるところが多い。写真や建
築を通して、外部の人間が中国の現在と向き合ったこのふたつのフィルムは、やは
りいまわたしたちが見るべきものとして提示されているといえるだろう。


☆『いま ここにある風景』Edward Burtynsky;Manufactured Landscapes
ジェニファー・バイチウォル監督/2006年/カナダ/87分/16ミリ、HD→35ミリ/カラー
現在、東京都写真美術館ホールなどで上映中!

☆『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』
BIRD'S NEST Herzoq & de Meuron in China
クリストフ・シャウプ&ミヒャエル・シントヘルム監督/2008年/スイス+フランス/
88分/デジタル作品/カラー
8/2より、ユーロスペースで上映!


■萩野 亮(はぎの・りょう)
和光大学表現学部卒。映画論。今回取り上げた『いま ここにある風景』はカナダの
映画ですが、カナダ映画といえば、先日の「Canadian Docu days−知られざるNFB/
ONFドキュメンタリズム」(於:アテネ・フランセ文化センター)はすばらしい上映
企画でした。これをきっかけに、カナダのドキュメンタリーが日本で本格的に紹介
されていくことを望んでいます。



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┃05┃□neoneo坐8月の上映プログラム
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会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩1
分JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。
  http://www.neoneoza.com/ 

■「知られざる短篇映画を見てみる」上映会
「短篇調査団」Shortfilm Researchers
毎月第2・第4水曜/20:00〜21:40 終映予定
16mm上映 会費500円(作品資料付き/映画は鑑賞無料)
追加情報はblog版短篇調査団へ

■平和がいちばん! 3本立(計90分)
(72)戦争の巻...2008年8月6日(水)20:00〜 
『メコンに銃声が消える日』 
1975年/27分/カラー、制作:エヴァプレスインターナショナル
監督・撮影:楠山忠之/音楽:浅田恒穂 
■1975年4月30日、サイゴンは解放された。ホー・チ・ミンがベトナム民主共和国
の独立を宣言してから30年、日本、フランス、アメリカとたてつづけに受けてきた
侵略と介入をはねのけたベトナムは、遂に南北統一への第一歩を踏み出した。

『せんすい艦に恋をしたクジラの話』 
1989年/15分/カラー/制作:にっかつ児童映画
原作:野坂昭如/監督:椛島義夫/脚本:杉原恵/作画監督:大武正枝 
■自分にぴったりの恋人を探していたイワシクジラのデカオは小型潜水艦に一目で
恋をしてしまう。ところが潜水艦の方は、敵の艦隊に体当り攻撃をかけようと待っ
ていたところだった。戦時中の太平洋でのお話。

『ある同姓同名者からの手紙』 
1992年/48分/カラー、制作:シネマボックス/プロデューサー:川嶋克己・
溝上潔監督:金高謙二/撮影:渡辺健治/ナレーション:井川比佐志
■1989年、東京に住む金高謙二は長崎に住む金高謙二から手紙を受け取る。長崎の
原爆の追想記だった。長崎を訪れた彼に、金高謙二は当時の事を淡々と語る。当時
の実写や資料館に保存されている妻の遺品などを紹介しながら、証言は続く…。

■ナウでヤングな3本立(計84分)
(73)若者の巻...2008年8月27日(水)20:00〜 
『五島列島の若者組』
1986年/33分/カラー、制作:記録映画社/企画:国立歴史民俗博物館/
プロデューサー:古川正思
脚本・監督:中村麟子/撮影:原田英昭・藤井敏貴・古川直木 
■長崎県福江市下崎町にある若者組は時代にあわせ変わりながらも、今なお地域社
会の中で活力をもっている。古老の話、歳時にあわせた行事と共同作業の中から、
変遷と民俗をさぐる。
 
『舞台裏の若者たち―文楽へどうぞ―』 
1985年/22分/カラー
制作:岩波映画製作所/企画:文楽協会
プロデューサー:藤瀬季彦・桜井朝子/監督:時枝俊江/撮影:八木義順 
■義太夫という浄瑠璃と三味線を演奏して人形を遣う日本固有の人形芝居の文楽。
その古典伝統芸能を伝承しようと舞台裏や楽屋で活躍する若者たちの姿を紹介。文
楽鑑賞の手引きともなる作品。

『左腕(さわん)の青春』 
1967年/29分/白黒、制作:北海道放送映画/企画:北海道教育委員会
プロデューサー:三橋孝司/脚本・監督:小林千種/撮影:佐藤一也 
■全日本学生卓球の選手権者になった専修大学卓球部の北村秀樹選手。生後数ヶ月、
空襲で右腕を失ったハンディをどう克服して生きてきたのか。現在の彼の生活と意
識の内部をさぐる。

【料金】
会費500円(作品資料付き/映画は鑑賞無料)
※7月より会費制(500円)として、ご来場の皆様に作品資料をお渡しする形に改め
させていただきます。


【お問合せ】
清水 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp



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┃06┃□広場
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■新・クチコミ200字評!(78)
■清水浩之(短篇調査団・8/6は戦争の巻! http://d.hatena.ne.jp/tancho/
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビなど
皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オススメ
しない映画とその理由!」もOKです。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアドレ
スor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィールや
近況も)を付記してお送りください。
清水浩之 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839

B-295『一幕一場・沖縄人類館』
1978年/制作:日本テレビ/ディレクター:森口豁
見た場所:neoneo坐「森口カフェ vol.3」
※『人類館』(津嘉山正種ひとり語り)8月3日まで青年座劇場で上演中
  http://www.seinenza.com/performance/studio/106.html 
17年間で4本作られた『沖縄の十八歳』シリーズ第3作。情熱的に祖国復帰を訴えて
いた高校生・内間安男さんが、12年後には風刺劇『人類館』で“琉球人を見世物に
する調教師”に化けている「笑撃性」を起爆剤として、沖縄の近現代は結局のとこ
ろ日本に都合の良い「調教」の繰り返しだったことを、物語と演者の人生が同時に
語り出す…25分があっという間の「怒りの喜劇」。怒りと笑いの科学反応が起こす
火花に見とれてしまいました。(清水浩之)

B-296『ドキュメント沖縄 OKINAWA1948‐49:アメリカ人が写した人々の記録』
2008年/制作:NHK沖縄放映:2008年4月13日・NHK総合「地域発!ぐるっと日本」
  http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090804140030103/ 
占領下の沖縄に、不発弾処理の任務で赴任したハート・フォード・チューン氏の
ホームムービーが「主役」。休日に浜辺で遊ぶ娘たちを撮っていた時、たまたま傍
にいた沖縄の子供たちが「撮れちゃった」ことから、隣人たちの普通の暮らしに注
目していく過程がそのままフィルムに焼き付けられる。
農作業、塩焚き、女学生、お祭り…サイレントのカラー映像が静かに物語る、撮影
者の心の動きが魅力的な実話版『八月十五夜の茶屋』でした。(清水浩之)

B-297『日本のアウトサイダーアート 1「人のカタチ」』
2008年/制作:スコブル工房/監督・撮影:代島治彦/編集:伊勢朋矢
DVD販売元:紀伊國屋書店
  http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/152924/hbA 
衝動から生み出される「天然芸術」をプロファイルしていく好企画。16人のアーテ
ィストはカメラなんか気にせずゴーイングマイウェイなので、取材も「遠心力」が
働きだすとどんどん面白くなります。アルミ箔を丸めて躍動感溢れる人形を作る玉
井ケントさんのパートでは、片腕のない人形たちの秘密を探り続けて、気が付けば
名護市在住の彼と「キャンプ・シュワブの見える浜辺」に辿り着く、ちょっと確信
犯的な展開にニヤリとしました。(清水浩之)


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■上映:『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン』
 BIRD’S NEST-Herzog&de Meuron in China

北京オリンピック メインスタジアム「鳥の巣」完成までを描くドキュメンタリー
映画が公開されます。
中国×オリンピック×建築。ひとつの建築から見えてくる、ひとつの国と大きな世
界世界中から注目を集める北京オリンピックを目前に、中国は今、大きな変化の中
にある。北京市内では国際的な建築家によって新しい建物が次々と建設され、ここ
数年間ヨーロッパ全体で作られた数を上回る勢いだ。そして、その中でも最も重要
かつ注目を集めるのが―北京オリンピックのメインスタジアム、通称“鳥の巣”だ。
プラダ・ブティック青山店やロンドンの美術館テート・モダンで知られる、スイス
の世界的建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンがその設計にあたった。

独特なフォルムで中国人たちから“鳥の巣”という愛称を与えられた建築物が、全
容を現すまでをつぶさにとらえたこのドキュメンタリーは、世界各国で独創的な建
築を成功させてきた2人の建築家の創造過程を明らかにしてゆく。

北京オリンピック開催にあわせて、8/2(土)ユーロ・スペース〜全国公開となりま
す。

☆公式ホームページ: http://www.torinosu-eiga.com/ 


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■上映:『船、山にのぼる』アンコール上映
(2007年/88分) 監督:本田孝義
公式サイト: http://www.fune-yama.com/ 

●8月9日(土)〜29日(金)連日11:00〜(1回上映)
場所:UPLINK X(03‐6825‐5503)
(渋谷東急本店右側200m先右手)  http://www.uplink.co.jp/x/ 
料金:一般1200円、学生・シニア1000円(当日のみ。毎週月曜日、水曜日は一般の
方も1000円)
○初日本田監督舞台挨拶、先着30名様にポストカードプレゼント!
○トークショーあり(両日とも上映後)
8月23日(土) 福住廉(美術評論家)×本田孝義(監督)
8月24日(日) 池田修(PHスタジオ代表/BankART1929代表)×本田孝義(監督)

●8月16日(土)〜22日(金)連日11:35〜(1回上映)
場所:横川シネマ(082-231-1001)
(広島市西区横川町) http://ww41.tiki.ne.jp/~cinema-st/top.html 
料金:一般1700円、大学生1500円


■大分・シネマ5
8月12日(火)『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』
朝10:30と夜9:10の2回上映
 http://www.cinema5.gr.jp/index.html 

日本が世界に誇るドキュメンタリー映画の巨匠、土本典昭監督の映画術と半生をか
けて取り組んできた水俣への視座を余すことなく検証する。本作が土本監督のラス
トメッセージとなった。
土本監督の世界に挑むのは、劇映画第1作『ぼくらはもう帰れない』がベルリン映画
祭フォーラム部門(2006年)で上映され、世界の注目を集めた俊英、藤原敏史。
土本監督へのインタビューに加えて、ライフワークとなった水俣でのロケも敢行。
『水俣 患者さんとその世界』、『不知火海』等の名作から30余年を経た水俣の現
代に、そして映画で記録することの意味に、土本監督と共に迫る。


    ◇────────────────────────◆◇◆    


■「自作を語る」などの投稿、歓迎!
「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。その他の投稿も歓迎します。「自作を語る」は1600字程度。監督のプロフィー
ル(150字)、作品のデータ、上映スケジュール、HP等をお知らせください。
原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp  伏屋まで


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)

neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力
ください。

(1)上映等の告知の有料化 40字×30行(行数の空きも計算)以内につき、2,000円
です。それ以上の行数の場合は加算します。

(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。
送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、
みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782 (有)ネットワークフィルムズ
(銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせく
ださい。)
以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。



┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃07┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●「土本典昭さん、お別れの会」(7月26日、如水会館)は土本さんの仕事と人柄を
慕って430名が集い、超満員の盛況だった。大学時代の友人の挨拶、娘、亜理子さん
のスライドを見せながらの病状報告、大津幸四郎キャメラマンの青春からの関わり
を話すトーク、基子夫人制作の映像と挨拶など、故人を偲ぶに相応しい話が続いた。
なかでも姉の小島満智子さんの優しかった弟を語るスピーチは圧巻で、涙と笑いに
つつまれた。ロビーでは遺著の「ドキュメンタリーの海へ 記録映画作家・土本
典昭との対話」が販売されたが(190冊完売!)、土本さん始め、共著者の石坂健治
さんやスタッフの力が凝縮されている。

●「ドキュメンタリー映画のかたち」に連載中の大澤一生さんは、『バックドロッ
プ・クルディスタン』のプロデューサーだが、今回は『アヒルの子』の制作過程、
さらにはセルフドキュメンタリーに内在しがちな問題点をえぐりだし、監督が作品
を対象化する地点を見出したかにみえるプロセスを描いて、示唆に富んでいる。本
文に詳述しているように『アヒルの子』は未公開だが、いつの日か見るのが待ち遠
しい。

●ところで8月15日は(恒例ですが)夏休みということで、neoneoを休刊します。
次回は9月1日号になります。ご了承のほど、よろしくお願いします。連日の猛暑、
くれぐれもご自愛ください。



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