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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 91号 2007.11.15

発行日: 2007/11/15

 
 
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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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  ┗━┛ ☆━┛ ┗━☆    91号  2007.11.15


∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 †01 ■ドキュメンタリー映画のかたち
     京橋三丁目、映写室からの眺め(3)  岡田 秀則
 †02 ■ワールドワイドNOW ≪北京発≫
    ■座談会:中国インディペンデント映画の方向(2―最終回)
      中国独立映画作家グループ『黄牛田電影』(徐辛、胡新宇、趙大勇、
      劉高明、黄文海、王我) 聞き手:前田 佳孝
 †03 ■映画時評
      『いのちの食べかた』      萩野 亮
 †04 ■neoneo坐11月後半の上映プログラム
 †05 ■広場
    ■新・クチコミ200字評!(64)
      『ベルダンの戦い〜地獄への降下』(脇阪亮)
      『田中徳三監督 少年河内音頭取り物語』
      『日立マクセル DVD ずっとずっと。新留小学校篇』
      『ウリハッキョ(私たちの学校)』(以上の評、清水浩之)
    ■投稿:「ヤマガタ」の今後をどうするのか? 浦辻 宏昌
    ■告知:EARTH VISIONをともに作るボランティア募集!
    ■上映:『教えられなかった戦争・中国編』(11月24日、京都)
    ■募集:「自作を語る」などの原稿募集!
    ■上映の告知の有料化とカンパのお願い  伏屋 博雄
 †06 ■編集後記  伏屋 博雄


    ★バックナンバー閲覧はこちらまで
   まぐまぐ配信   http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/
   melma!配信    http://www.melma.com/backnumber_98339/



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┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■京橋三丁目、映写室からの眺め(3)
┃ ┃■岡田 秀則
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●キューバをしのいだ話

筆者がフィルムセンターの上映を担当していた時期で、着想から開催までの期間が
もっとも短かったのは、2004年4月の「キューバ映画への旅」ではなかったか。確
か、最初に話題にのぼったのが前年の12月後半だったと記憶しているから、準備期
間はたった3か月半である。今回はひとつの上映企画のでき上がり方について思い
出してみたい。

そんな短期間で準備が可能だったのは、要するに、フィルムがすでにあったからで
ある。と簡単に言ってはみたが、その「すでにあった」が偉大なことなのだ。最初
にこの特集の開催を提案してくださったのは、配給会社国際シネマ・ライブラリー
を率い、これまで数々のキューバ映画の名作を日本に紹介されてきた映画評論家の
山田和夫さんであった。
実は、その数年前から国際シネマ・ライブラリーはフィルムセンターにキューバ映
画の35mmプリントを寄贈されており、ご寄贈後の有効利用を模索される中でこの話
が持ち上がった。もしフィルムをすべて本国から取り寄せるとなると、かりに本国
を説得して上映料を無料にしてもらえたにしても、輸送費・通関費・字幕経費とい
う巨費の支払いが待っている。映画祭の最大の経費はいつだって字幕なのだ。字幕
といっても、本国にプリントを無傷のまま返す必要があるからもちろん投射式字幕
でなければならない。最近は経費も下がってきたがそれなりに値は張る。作業のた
めに早めにフィルムを輸送しておく必要があり、それもなかなかの手間だ。つまり
「すでにあった」の偉大さは、字幕を新規で作る必要がないほど、過去に商業ベー
スでキューバ映画がしっかりと紹介され、字幕付きプリントも国内に残してきた、
という日本の外国映画配給史の豊かさを指すわけだ。

折しもキューバとの外交関係樹立から75年という節目。しかしこちらのキューバ映
画についての知識は、いつもの如く恐ろしく貧弱であった。実はフィルムセンター
は1970年の開館以来、それまで日本・アメリカ・ヨーロッパ以外の映画をまったく
上映していない(唯一の例外は中国と韓国)。つまり、ラテンアメリカ映画の特集
自体が初めてだったのだ。でも、決めたからには何とかしなければ、とまずは所蔵
のフィルムを観ることから始めた。スペインの植民地だった1895年、アメリカの支
配が強まる1932年、そして革命後の1960年代という3つの時代に生きるそれぞれの
ルシアという女性を描いたオムニバス『ルシア』(1968)は、その荒削りで「なんで
もあり」な演出に魅了された。監督のウンベルト・ソラスはこの時まだ26歳である。
そしてトマス・グティエレス・アレアの『レボルシオン 革命の物語』(1960)にも
圧倒された。アレアは、日本では『苺とチョコレート』(1993)で知名度を得た感が
あるが、実は革命期以来のキューバ映画の重鎮だ。『レボルシオン 革命の物語』
は、キューバ映画が一度だけ『戦火のかなた』のロッセリーニを超えた瞬間だと思
う。「映画の中で火炎瓶がこれほど美しく燃え上がるのを見たのは『パルチザン前
史』(土本典昭)以来」(葛生賢)。所蔵フィルムの他にも、『苺とチョコレー
ト』を含めいくつかの配給会社からプリントをお借りすることができたが、ミハイ
ル・カラトーゾフ監督の傑作『怒りのキューバ』(1964)が、ロシア語版かつ短縮版
とはいえ日本に存在することに気づかず、上映できなかったのが今でも心残りであ
る。

だが、それだけだと、日本で過去に輸入された作品を集めただけでいかにも芸がな
い。まず、前に記録映画の特集で面識のあった黒木和雄監督にお願いして、当時ほ
とんど上映されることのなかった日本・キューバ初の合作『キューバの恋人』
(1969)のニュープリントを作らせていただいた。そしてキューバ大使館の冨田君子
さんにお願いして、本国の映画芸術産業庁(ICAIC、読みは「イカイック」)から
サンチアゴ・アルバレスのドキュメンタリーを送っていただいた。「写真を2枚と
編集機(ムビオラ)、そしてちょっと音楽をくれ。君に映画を作ってやろう」と豪
語し、「緊急映画(シネ・ウルヘンテ)」の思想を掲げて生涯に数百本の短篇をま
とめた異色のドキュメンタリストだ。『加速する変動』という彼についてのドキュ
メンタリーが山形映画祭で紹介されているのに、当のアルバレス作品が日本でまと
めて上映されていないのだ。さてキューバに連絡を取ってみると、かなりの代表作
がいま提供できないという寂しい返事が来た。後で分かったのだが、ほとんどのプ
リントが、ほぼ同時期に行われた韓国の全州国際映画祭のキューバ映画特集に行っ
ていたのだ。やられた!と地団駄を踏んで悔しがったが、それでもホー・チ・ミン
追悼映画『79歳の春』(1969)は借りることができた。到着するや否や編集台(ステ
ーンベック)にかけると、ベトナムでの戦闘映像のフィルムそのものを解体して焼
き込み、そこに激しい銃声が重ねたラスト数分間に、脳髄が沸騰するような衝撃を
受けた。自分の追悼映画でこんなラディカルな表現をされるなんて、草葉の陰のホ
ー・チ・ミンにも想像できなかっただろう。ここですべては決まった。あとはその
沸騰に任せ、ノリで仕事を前進させるしかないと。

広報は手探りであった。その前年まで広報担当のスタッフさえ持たなかったフィル
ムセンターは、広報用の予算も郵便代以外は一円もない。そこで、キューバで思い
つくものを片っ端から考えた。ディスクユニオン新宿本店のラテン音楽フロアには、
お店の袋に上映カレンダーを折り込んでいただいた。『ブエナ・ビスタ・ソシアル
・クラブ』の記憶もまだ新しく、キューバ音楽専門レーベルのダイレクト・メール
にも入れていただいた。キューバを専門とする旅行作家樋口聡さんにも全面的に協
力をいただいた。サルサ・スタジオやサルサ雑誌の編集部にも電話入れをした(こ
の手の情報は毎日のように踊りまくっている友人からもらった)。ラテンアメリカ
諸国との連帯を謳うさまざまな政治組織に接触すると、早速口コミで情報を広げて
くれた。この国の好きな人はみな応援してくれたと言ってもいいだろう。キューバ
の素晴らしいところは、あまり細かいことは言わず、手を差し伸べてくる人には分
け隔てなく親しく付き合ってくれることだ。『キューバの恋人』でも分かる通り、
旧左翼も新左翼もない。それと同じものを感じていた。

大使館に提供していただいた秘蔵の映画ポスターを会場に飾って初日を待った。ふ
たを開けてみると予想以上の盛況で、ロビーでにやにやしていたのを今でも覚えて
いる。今でも、あの企画は良かったと言ってくれる人がいるのが、筆者の密かな心
の支えである。政治的な大変化が起きると映画の文体も一気に新しくなってしまう
のは、すでに草創期のソ連映画や戦後のイタリア映画が証明した通りだが、キュー
バもまたそうで、特に1960年代の作品には世界の他のどこにもない映画を観たとい
う印象が残った。その頃、外国から思わぬ来客があった。映画美学校で講義をする
ついでに近所のフィルムセンターに寄ってくれたペドロ・コスタ監督であった。恐
る恐る、今キューバ映画をやっていますと言うと、突然「サンチアゴ・アルバレス
は入っているか?」と訊いてきた。「あります」と答えた。テーブルの下で「よ
し」と拳を握った。


■岡田 秀則(おかだ・ひでのり)

フィルムセンターに入った11年前、世の中にいくつかの誤解があることを知った。
中の人間は毎日映画を観てばかりいると本気で信じている人さえいた。こりゃいけ
ない、気さくに自分らの言葉を発信する回路はないか、そう考えて開設したのが今
の個人サイトだ。ウェブ上で日記を書いてもう5年半以上経った。いつまで続けら
れるかは分かりませんが、今のところはやめる理由がありません…。

「アトリエ・マニューク」: http://users.ejnet.ne.jp/~manuke/ 



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┃02┃□ワールドワイドNOW ≪北京発≫
┃ ┃■座談会:中国インディペンデント映画の方向(2―最終回)
┃ ┃  中国独立映画作家グループ『黄牛田電影』(徐辛、胡新宇、趙大勇、
┃ ┃  劉高明、黄文海、王我) 聞き手:前田 佳孝
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前回に続いて、今年の8月20日に成立した中国独立映画作家のグループ『黄牛田電
影』のメンバーによる6名の座談会である。それぞれは国内外で活躍するインディ
ペンデント映画作家だ。中国では一般的には独立(インディペンデント)は、地下
(アンダーグランド)という見方が強い。インタビューを通して少しでも中国国内
での彼らの事情、インディペンデント映画が置かれている現状を知っていただきたい。
(北京にて 前田 佳孝)


■座談会:中国インディペンデント映画の方向(2―最終回)

前田:黄文海は以前テレビ局にいましたね。
黄文海:そうです。
前田:何年間いましたか?
黄文海:四年間です。
前田:辞めてから北京電影学院に入ったのですか?
黄文海:その前に電影学院にいました。
趙大勇:先に電影学院に入ってその後テレビ局に入ったんだよ。電影学院に感謝す
    るべきだな。だから経歴からも電影学院を外せない。
黄文海:あの頃の電影学院は今の電影学院よりもよかったと思います。私たちが招
    いた先生は一番良い先生でした。
前田:周伝基(注7)ですか?
黄文海:授業が一番良かった頃です。一年間に6000元の学費でした。
趙大勇:そうだ、言っておこう、俺たちは映画を愛しているこれが前提だ。
前田:映画狂ですね。
趙大勇:そうだよ、それが好きなんだ。はっきりいうと98年まで映画を撮るという
    欲望がなかった。CMを撮っていたし、ドキュメンタリー、シネマヴェリテ
    なんて事は考えてなかった。あの頃は一心に現代アートをやっていて映画
    を作るということは念頭に無かった。だからあなたたちは先輩だ。
黄文海:(笑)
趙大勇:アメリカから戻ってきた頃、手元に残っていたのは230ドルだけだった。
    帰ってきたはいいが何をしたらいいのやら分からずじまい。既にアメリカ
    の生活に慣れていて、国内に戻ってからは何をやっても馴染まない、そう
    いう心理状態だった。なぜなのかとおもったら、長い間離れていたので見
    知らぬ感じがしたんだ。何をしていいか分からなかったし、お金も無かっ
    た、何でもやったし最後にはまたCMを撮っていて結果、お金を稼いでいた。
    その頃ドキュメンタリーが面白いと思い始め、絵よりも自分に向いている
    と考え始めた。あの頃に撮った映画は失敗して、結局40万元の損失を出し
    た後また現代アートの仕事に戻ったというわけだ。
前田:あの頃は長髪でしたね。
趙大勇:あの頃は展覧会をやったり作品をつくったり…、でも映画をつくろうと
    いうことはいつも考えていてしばらくそんな時期が続いていた。『南京路
    (street life)』(注8)を完成させてからはやっぱり映像がいいと感慨
    に耽ったね。俺は誰か巨匠の作品をみてから映画を撮ろうと思ったわけで
    はない。俺の意識はお前たちとは違う、俺は映画を見てそれを完全に創作
    の材料として見ているんだ。
黄文海:芸術家として携わっているわけだね。
趙大勇:そうだよ!こういう切り口がお前たちと違うんだ。ちょうどAi Weiweiの
    『童話』で彼に会って発見したことは沢山あったよ。息が合ったしみんな
    の考えも同じところに向かった。俺が現代アートから入るかフィクション
    か、それともドラマを撮るかは関係なくて結果お互いが同じ考えで集まっ
    たということだ。実際創作とは何かというとそこには共通性があるんだよ。
    それは何かといったら「人」のことだと思う。俺たちは思想を持った動物
    でそこには共通性がある。
黄文海:なぜ黄牛田が同じ志の集まりなのか。出身や背景はお互いに違ってデザイ
    ンをやっていたり現代アートだったりCMを撮っていたり、自分に関してい
    うと最初はテレビ局で仕事をしていて記者もやった、あるいはドキュメン
    タリー番組だったり…。それぞれ別の分野で自分の仕事をしているだけだ
    ったが、ある日突然、朱日坤がインディペンデント映画祭(注9)をやっ
    てからは一緒に集まるようになった。その回数が頻繁になるほどみんなの
    討論も多くなり、今は共に同じのことを成し遂げるために一緒に集まって
    いる。私の経歴は大勇のそれとは違う。もともと映画が好きだったし家に
    はビデオテープ、VCD、DVDそれにリージョンコード9のやつも、たぶん同
    じ映画でも何個かあるとおもう。昔から好きだったし当時は資料を集める
    のが大変だった。アーカイブで働いている友達にご飯をおごってから大島
    渚の『愛のコリーダ』を録画させてもらったよ。あれは黒白だったからず
    っと『愛のコリーダ』が黒白だと思っていたんだ。その後に出てきたDVD
    がカラーだったからそこで初めて『愛のコリーダ』がカラーだって知った
    よ(笑)王我はデザイン出身で『outside』も『noise』もあれはもしかし
    たら他の背景の人も同じように私たちと違うかも知れないけどあの感覚と
    いうのは…彼はああいう風に世界を見ることが出来るんだよ。
趙大勇:彼の世界に対する見方はとても直接的で概念的であって、物語に頼って表
    現するということを必要としていない。この感覚は彼以外の私たちの誰も
    が持っていない。
前田:彼の映画は直接的で、僕らのように理論に拠らざるを得ないものとは違う。
   僕たちは先に結果を考慮してしまうけど王我のあの感じというのはとても新
   鮮だ。
黄文海:たぶん映画の既成概念とうものがあるからだろう。

前田:まとめに入りたいと思います。
黄文海:黄牛田は今行動の段階に入っています。今はDVDを作ろうと思っています
    (注10)。現在最も肝心なのは我々の作品が流通していかないことです。
前田:黄牛田にはスローガンがありますね。ひとつは電影局の審査を受け付けない
    こと。
黄文海:作者は完全な編集権を有する。
前田:編集権の他に何がありますか?
黄文海:それに道徳上の要求。
前田:黄牛田というのは映画グループだと理解できます。それと、あの日私たちが
    互いに確かめ合ったことで黄牛田は態度表明であるということです。
朱日坤:少なくとも同じ考え志を持っているということです。黄牛田はグループで
    はあるけれども、強い拘束性は持ちません。私たちが長い間一緒に居た結
    果お互いが似ていると発見したのです。二つの方面での活動があると思い
    ます。ひとつは創作、もうひとつは普及です。私は注意を集めるでもいい
    し、押し広げる活動というのはとても重要なことだと思います。これらの
    メンバーは専門出身ではないけれど、一種の伝えることの欲望があります。
    当然、自分を多くの人に理解されたいと願っていますし、私は普及活動を
    行いたい。

前田:私は黄牛田に中国ドキュメンタリーの変革を目撃したといえます。
趙大勇:映画、映画!
前田:ドキュメンタリー映画ですね。
黄文海:実際には黄牛田以前にも大分前になりますが、90年代には北京に実践社、
    広東には縁影会といった映画グループがありました。映画愛好家のグルー
    プです。私たちは作家のグループで同じ問題を抱えています。ですからお
    互いの力を集めたいと思うのです。
朱日坤:ある種の事柄についてははっきりというべきだからいいますが、彼らには
    中国社会に対する批判的な見解があります。それは知識人としてといった
    らいいでしょうか…、恐らくみんなは同意してくれないでしょうし、話が
    大きくなりますが、私はとても簡単な話だとおもう。中国社会は複雑で多
    くの問題を抱えているということです。
前田:それも一方にはあるでしょう。
朱日坤:これもみんながドキュメンタリー映画という方法を選択した事と関係があ
    ります。これは非常に重要な一点でこの社会から逃げられないということ
    です。
前田:なぜなら中国には映画において断絶がある。
朱日坤:映画に限りません。社会全体に大きな問題があります。言論についてもそ
    れが抑制されているし、政治体制についてもそれが集権的国家だというこ
    とです。

前田:黄牛田というグループを組織していく上でこれからはどのような活動を行っ
    ていくのですか?前にDVDのBOXことに触れましたが。
朱日坤:BOXとまではいえませんがいろいろと方法を試しています。
黄文海:必ずいわなければならないことがあります。一人では孤独であるけれども、
    このように集まったり活動をしたりすればそれはお互いの励ましになるし、
    助けにもなります。
趙大勇:一人の時は只の火の粉だけど、それが集まれば火になる。
黄文海:そう炎です!
趙大勇:そう、炎に変わる!散らばって火の粉になればその火が燃えるのも少しの
    間で、最後は消えてしまう。この炎がどこまで光るかはやってみなければ
    わからない。私たちはみんな30過ぎで、みんなが中国の一番複雑な段階を
    経験している。変化が一番大きい時期で感じたことや見たことを敏感に反
    応していった。この年齢で敏感な問題にも成熟した考えを持つことができ
    るようになった。だから自らの社会、自らの生活を分析していくべきだと
    思う。私たちが生活するこの時代、この生活状態にあってやらなきゃいけ
    ないことは自分を分析してこの社会を分析することだ。この体制化にあっ
    てそれを本当にやる人はいない。個人や集団という意識を捨てて、一種純
    粋な手段、映画の手段でこの社会を解剖分析する。これが社会的な責任感
    だとおもうが、どうだろう?
前田:そのように理解されているのですね。責任感ですね。
趙大勇:なぜなら目の前で起こるすべての出来事、それは自分の生活と離れて考え
    ることはできない。
黄文海:少し話しが大きくなってしまうけど、私たちの年齢は問題を引き受けてい
    くべきです。
趙大勇:そうだ。

黄文海:この社会に対して問題を引き受けていく、黄牛田は映画のグループで私た
    ちの年齢はこの時代にあって引き受けていくべきです。この時代にあって
    …。
趙大勇:何かをしなきゃいけない。
黄文海:そうです。それは回避できることではないし、やるべきことです。
趙大勇:戦争の時代にあって大衆が飢餓に苦しんでいればそれを引き受けていく、
    ただ時代が違うだけ。
前田:分かりました。
趙大勇:なぜならこの国をとても愛しているからです。自分の家を思うのと同じで、
    度が過ぎると批判しなきゃいけない。問題を分析して解決しなきゃいけな
    い。
前田:例えば映画審査制度(注11)?
趙大勇:そうじゃありません。もっと多くの問題です。
朱日坤:審査制度というのは中国問題の中で現れた一つの問題に過ぎません。マク
    ロの視点で見れば、それは映画製作、配給に対する障害で特に重要な問題
    だとはいえません。文化についても芸術についても多くの圧力と問題が存
    在します。社会については言うまでもありません。その複雑性を私たちが
    簡単に説明することは出来ません。みんな問題について考えるとともに責
    任感をもって臨んでいます。このようなことは一定期間中国で生活して経
    験を積めばわかるでしょう。

前田:最後に黄牛田の代表にまとめてもらいたいと思います。
朱日坤:私は代表じゃありません。それぞれが代表だと思います。ひとりひとり別
    の理解がある。
前田:それが黄牛田だとおもいます。
朱日坤:そうです。それが重要です。
趙大勇:志は同じだが、やり方はそれぞれ違う。
朱日坤:そうです。それに最も重要なのはそれぞれが独立した判断と思考で共に行
    動することです。
前田:それが黄牛田です。
趙大勇:共通性はあるが違いもある。
前田:違いこそが価値だとおもいます。
趙大勇:そうだ、それぞれが主観を持ってまた、同時に共に解決するべく問題に向
    き合う。
前田:それに映画に対する愛ですね。
趙大勇:正直言うと、本当は映画を愛していないよ。
前田:(笑)
趙大勇:お前たちは映画を愛しているんだろうけど!

前田:最後になりますがその言葉で終わってしまいますよ。
趙大勇:俺は…、俺の生活を愛している。
前田:何と言いました?もう一度お願いします。
趙大勇:私は私の生活を愛している。
前田:OK、OK。これで終わります。この言葉はとてもいい。
黄文海:南方都市報の記者みたいだな。見出し付けるつもりだろ。拍手なんかし
    ちゃって。

前田:これは自分の感想であって記者みたいに答えを導き出すためじゃありません。
    私はこの言葉が聞きたかったのです。「生活に対する愛」を締めの言葉に
    させていただきます。
趙大勇:終着点を見つけやがったな。(了)

  (聞き手:前田佳孝)


注7:以前の北京電影学院教授。当時、周伝基の授業を聞くために毎回教室の外の
廊下まで人で埋まったという。黄文海と王兵は撮影科の同級生で共に周伝基の影響
を多大に受けている。

注8:趙大勇の処女作『南京路』。上海の南京路でゴミ回収によって生計を立てる
中国各地より集まった労働者を記録した作品。第四回中国ドキュメンタリー映画交
流周では審査委員賞を受賞。

注9:朱日坤は年二回、北京の宋庄美術館にて中国独立映画祭を企画運営している。
中国では電影局の審査を通さなかった作品は国内での上映を許可されない。宋庄美
術館で行われる『中国独立電影論壇』と『中国ドキュメンタリー映画交流周』は国
内でのインディペンデント映画の普及に大きな影響を与え、作家同士に交流の場と
して必要不可欠な場となっている。が、しかし私が今年撮っていた『中国ドキュメ
ンタリー映画交流周』では当局の突然の介入によってその運営を一時中断せざるを
得なかった。一時的に内部研究会と名を変えて最後まで作品を上映できたものの、
常に「ある種の圧力」によってその開催すら危ぶまれる状態である。

注10:中国電影局の審査を通らない作品の販売が困難な状況にあって、黄牛田電影
は審査を通さず個人収集目的の美術作品としてそれぞれの作品を収めたDVDBOX販売
を計画中。

注11:中国電影局による映画審査制度。この審査を通さない作品は中国国内ではそ
の作品の存在は認められず、配給は不可能になる。作品の内容に及ぶ様々な複雑な
規定があり、それに反したものは厳罰を下される。例えば田荘荘の作品『青い凧』
は文革批判を盛り込んだ内容で、審査を通さずに東京国際映画祭に出品した。その
結果、国内での映画製作を10年間禁じられた。他にも最近ではロウ・イエの新作
『summer palace』は審査を通さずカンヌ国際映画祭に出品、5年間の映画製作を禁
止された。


■前田 佳孝(まえだ・よしたか)
1984年生まれ。高校卒業後映画美学校入学。王兵の『鉄西区』に影響されて中国へ
留学を決意。二年間の語学勉強の後、北京電影学院に入学、監督科に在学中。現在
中国のドキュメンタリー作家を追ったドキュメンタリーを制作中。



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┃03┃□映画時評
┃ ┃■『いのちの食べかた』(ニコラウス・ゲイハルター監督、2005年)
┃ ┃■萩野 亮
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●SF映画を見るような驚きとおかしみ

小雨の渋谷、イメージフォーラムに傘の列が咲いている。『いのちの食べかた』初
日の最終回はなんと「満席」。トークショーは来週だというのに、「ヤマガタ」効
果でドキュメンタリーへの関心が高まっているのか、マスメディアが「食への不
安」を過剰に煽っているためか。わたし自身はといえば、たとえば賞味期限は一種
の神話作用だと思っているので、その改竄は社会悪ではあっても「食への不安」と
直結しているとはどうも感じられない。むしろ「マスメディアへの不安」のほうが
大きいといえば、皮肉に過ぎるだろうか。

一昨年に制作された『いのちの食べかた』がこの時期に日本で公開されるのは、や
はり右のような文脈があるに違いないし、広告もそのように行なわれている。それ
はさておき、この映画はめっぽう面白い。「それはさてお」いていいのか、という
疑問が当然出てくるだろうが、しかしこの映画がそもそも「それはさておき」の視
線でつくられているのだから、わたしたちは画面の連なりを見つめるほかない。

ナレーションや説明字幕の一切を排除したダイレクト・シネマの手法からなる、こ
のような積極的な判断停止によって、見たことのない光景が、見たことのないイメ
ージとして表れてくる。人間と機械と自然が織り成す関係性の数々の断面が、倫理
的判断を要請する以前に、きわめて豊穣なイメージの数々として提示されている。
競泳用のようなプールにゆったり流れ着く無数のリンゴや、ひまわり畑に豪快に農
薬をまくプロペラ機、装置に固定され魔法の如き一撃で肉塊に変わり吊り下げられ
てゆく巨牛・・・・・・。強烈なヴィジュアル・イメージの連続は、かつての新即
物主義(ノイエ・ザッハリヒカイト)の写真さえ想起させる。事実、ほとんどがフ
ィックスでとらえられた『いのちの食べかた』のショットは、写真の一葉のように
自足しようとしているかのようだ。正面性と対称性の安定した画面構成は、機械に
よって正しくまっぷたつにされる牛や豚の肉塊や、規則正しく植えられたトマト畑
の対称性とそのまま対応している。自然を分節するという機械の役割が、キャメラ
といういまひとつの機械においても正確に再演されているのだ。

『いのちの食べかた』が放っているショットの強さは、それが映画のために演じら
れた一回性のフィクションではなく、完全な機械的反復によって何千回と繰り返し
為されている労働であることに拠っている。しかしスクリーン上に拓けるいくつも
の光景は、事実であることを痛烈に告知しながら、同時にSF映画を見るような驚き
とおかしみを与えずにおかない。無数のひよこが機械によって猛スピードでトレイ
に発射されてゆくショットに、わたしは劇場でひとり笑いをこぼしたのだが、わた
したちが構築してきた自然との関わりかたこそが、「生産効率」という神話のもと
に紡がれた、滑稽にして過大なフィクションであるとも思わせる。だからこそトレ
イからこぼれた一匹のひよこを拾い上げる女性のいかにもやさしい手つきが、その
フィクティブな現実のなかで、際立って美しい。

「それはさておき」の視線のなかで、ただひとつ明確な意図をもって挿入されてい
るのは労働者たちの食事のシークェンスだ。彼/彼女らの「日々の糧」を摂るつつ
ましい光景によって、生産と消費がゆるやかに円環し、それだけで人間の生があま
すことなく伝えられるかのようだ。ハムやレタスをはさんだサンドウィッチにコー
ヒー、うまそうに食べるでもなく、彼らはただ淡々といのちを食べている。


☆『いのちの食べかた』OUR DAILY BREAD
ニコラウス・ゲイハルター監督/2005年/オーストリア・ドイツ/92分/カラー
現在、渋谷イメージフォーラムにて上映中。


■萩野 亮(はぎの・りょう)

1982年生まれ。和光大学表現学部卒。映画論。東京フィルメックスの季節がやって
きましたね。中国ドキュメンタリーをもはや見逃すわけにはいかず、コンペ作品
『最後の木こりたち』にただならぬ予感。あと、はじめて見るハイチ映画にも期待





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┃04┃□neoneo坐11月後半の上映プログラム
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会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩
1分、JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。
詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。  http://www.neoneoza.com/

■岡本和樹 監督作品『世界の涯て』上映会
寺山修司が主宰した「演劇実験室・天井棧敷」の人々のいまを追った
ドキュメンタリー映画。元劇団員17人へのインタヴューから構成された作品。
11月18日(日)
●第1回上映
第一部 13:00 〜 14:20 第二部 14:30 〜 16:00
●第2回上映
第一部 17:00 〜 18:20 第二部 18:30 〜 20:00
『世界の涯て』岡本和樹/2007年/DV/170分(第一部 + 第二部)
■第一部『過去』(80分)
「天井棧敷」がそれぞれにとって何であったのかを、演劇の実験の中でも特に先鋭
とされる「市街劇」が何であったかを中心に展開する
■第二部『現在』(90分)
劇団に所属した人々が現在をどのように生きているのかを、舞台表現を辞めた人々
の姿から見つめていく。

【料金】当日券・・・・・1,000円
メール予約制
(ご来場回〈第1回上映 or 第2回上映)・氏名・連絡先電話番号をご記入ください)
予約先: o-kazuki@xj9.so-net.ne.jp 
電話:090-1420-4490(11:00〜15:00)、FAX:03-5281-7611
【お問合せ】岡本和樹 Email: o-kazuki@xj9.so-net.ne.jp 


■金井勝回顧展〜オーバーハウゼンからの凱旋〜
11月23日(金)
14:00〜 Aプログラム
『時が乱吹く』1991年/16mm/カラー/62分(英語字幕付きビデオ上映)
16:00〜 Bプログラム
『聖なる劇場』1989年版〜33分 2003年版〜29分/ビデオ/カラー(英語字幕付き)
『スーパードキュメンタリー 前衛仙術』2003年〜/ビデオ/カラー/33分(英語字
幕付き)
18:30〜20:30 金井Bar第1夜
お一人様・・・・2,000円(飲物+飲食付)
※夜の上映会『西湘の匠たち』を予定

11月24日(土)
14:00〜・Cプログラム
『無人列島』(「微笑(わら)う銀河系」三部作・人の巻)1969年/35mm&16mm/
モノクロ/55分(英語字幕付きビデオ上映)
 15:30〜・Dプログラム
『GOOD-BYE』(「微笑(わら)う銀河系」三部作・地の巻)1971年/16mm/モノク
ロ&カラー/52分(英語字幕付きビデオ上映)
 17:00〜・Eプログラム
『王国』(「微笑(わら)う銀河系」三部作・天の巻)1973年/16mm/カラー/
80分(英語字幕付きビデオ上映)
18:40〜20:40 金井Bar第2夜
お一人様・・・・2,000円(飲物+飲食付)
※夜の上映会『かながわの 冬の渡り鳥』を予定

【料金】1 プログラム・・・・・・1,000円
    一日券・・・・・・・・・2,000円
【お問い合せ】スペースneo:E-mail: spaceneo@tcn-catv.ne.jp 
       Tel:03-5281-7820(佐々木)


■neofest 2007 秋
東京神田neoneo坐で上映バトル! neofest 2007
秋応募作品上映と、neo賞ベスト作品を再上映!
11月25日(日)
11:00〜秋の新作上映
『Looking good!』(54分/2006年/ドラマ/遊佐蓉子)
『小説家になれたら』(60分/2007年6月/ドラマ/横山善太)
13:00〜 『シスターチャンドラとシャクティの踊り手』(73分/2007年/ドキュメ
ンタリー/松居 和)
『See you』(24分/2007年2月/実験的作品/横山善太)
『マシュー、質問に答える』(15分/2007年/実験的作品/佐藤譲二)
15:00〜neo賞ベスト作品プログラム
『すみれ人形』(63分/2006年/ドラマ/金子雅和)
『La Nuit D'Amour』(19分/2007年/ドキュメンタリー/石川正幸)
16:30〜
『現代の海賊と女』(6分/2007年/ドラマ/宮崎大祐)
『ネムの樹』(13分/2007年/ドラマ/稲井耕介)
『お城が見える』(11分/2006年/ドラマ/小出豊)
『写真をよろしく』(47分/2007年/ドキュメンタリー/遠藤協)
※上映後作家挨拶有
交流会:上映終了後には参加作家同士・観客との交流会を行ないます。
参加費 1,000円(1ドリンク・おつまみ付き)
→→→追加情報はneofest 2007 blogへ

【料金】 1日券・・・・・・1,000円
    交流会・・・・・・おひとり様 1,000円(1ドリンク+飲食付)
【お問合せ】スペースneo:E-mail: spaceneo@tcn-catv.ne.jp 
      Tel:03-5281-7820


■『月刊『もっちょむ』十一月集壕』〜あがた森魚月刊映画上映会〜
11月27日(火)
19:00〜『もっちょむうすけしぱあぷるへいず10月号』
上映後、トークあり 監督来場(予定)
(18時より開場・開場中に『もっちょむうすけしぱあぷるへいず9月号』を上映し
ます)
【料金】当日券・・・・・2,000円(『月刊映画10月号』DVD-R付)
【お問合せ】月刊ぱあぷる(倉科)Email: purple@agatamorio.com 


■短編調査団(57)性の巻
11月28日 (水)20:00〜
『人間の性』
1972年/20分/カラー/制作:東映教育映画部/
プロデューサー:山内敬二/監督:大西竹二郎/脚本:村山節子/撮影:大山年治
■人間にとって性とは何か、よりよく生きようとするためには、人間の性をどうと
らえ、考えたらよいか等の問題意識を投げかける。
『小学生と性―子と親の相談室―』
1977年/28分/カラー/制作:学研映画/
プロデューサー:原正次・石川茂樹/監督:堀川弘通/脚本:志賀登/撮影:金子
泰生
■ある小学校保健室における養護教諭の小学生と親への性教育相談の実話から、性
に対する子と親と先生の対話促進と理解を説く。小学生は性の悩みに小さな胸を痛
めている。小学校の養護教論に対する性教育相談の実話から取材し、性に対する子
と親と先生の対話促進と理解を深めたい。
『性のめざめ』
1972年頃/46分/カラー/制作:国映ビデオ
■人間回復が叫ばれ、価値観が大きく変化している今日、セックスを取巻く状況も
激動している。人間が人間らしく生きるエネルギーとして性を認識させようとして
いる。

【料金】鑑賞無料! カンパ歓迎!
【お問合せ】清水 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp


■NEO Gallege BAR 山崎幹夫
11月29日(木)20:00〜
「女子プロレス20年史/ベストマッチ20選を今夜決定」
■男子プロレスより先に誕生しながら、このまま消え去るのかのように低迷してい
る女子プロレス。涙と感度のベストマッチを回顧してみましょう。

【料金】1回参加・・・・・・ 2,000円(軽食付・アルコール類は別料金/1ドリン
    ク300円)
【申込・お問い合せ】スペースneo:E-mail:spaceneo@tcn-catv.ne.jp
          Fax:03-5281-5710



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┃05┃□広場
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■新・クチコミ200字評!(64)
■清水浩之(短篇調査団・11/28は性の巻! http://d.hatena.ne.jp/tancho/
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビな
ど皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オスス
メしない映画とその理由!」もOKです。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアド
レスor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィール
や近況も)を付記してお送りください。ちなみにここでは稿料は出ません。
清水浩之 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839

A-063『ベルダンの戦い〜地獄への降下』
“Verdun - Descent Into Hell” 2006年/制作:ZDF(第二ドイツ・テレビ協会)
第34回「日本賞」外務大臣賞<一般教養番組の部・最優秀番組>
放映:2007年11月3日・NHK教育テレビ  http://www.nhk.or.jp/jp-prize 
再現映像と記録映像で構成された映像と、当時の日記・手紙の引用と説明のナレー
ションで、第一次世界大戦の激戦、ベルダンの戦いを描いた歴史番組。特に戦争神
経症の患者たちの記録映像が衝撃的だ。戦争神経症の患者たちを見て、フロイトが
第1次世界大戦後に発表した論文「快感原則の彼岸」(1920年)で、「死の欲動」と
いう概念を提唱したことを思い出した。(脇阪亮)

B-244『田中徳三監督 少年河内音頭取り物語』
2007年/制作:吉本興業/監督:河内家菊水丸・田中徳三/出演:田中好子ほか
11月3日から9日まで・神保町花月ほかで公開済
  http://www.yoshimoto.co.jp/yd100 
劇場から漫画誌までトライ&エラーの大好きな“総合笑社”吉本興業が敢行中の
「芸人監督100本」計画。ここまで無謀だと普段は成立しない企画も通るらしくて、
菊水丸師匠は自身の少年時代を憧れの監督&アイドルでまんまと映画化…もう思い
残すことはないでしょう(笑)。かくして『悪名』の田中監督30年ぶりの新作は、端
正な演出とスタッフワークが光る珠玉篇。『三丁目の何とか』とは比較にならない
本格的昭和テイストが満喫できます!(清水浩之)

B-245『日立マクセル DVD ずっとずっと。新留小学校篇』
2007年/制作:ADK+葵プロモーション/
クリエイティブ・ディレクター:サトー克也/演出:久山弘史・山田高之
第47回「ACC CMフェスティバル」グランプリ
動画公開中  http://www.zutto-zutto.com/report/index.html 
CM界が「今年を代表する1本」として選んだのは、休校になる鹿児島の小学校の最
後の5日間を取材したシリーズ。誰もが涙腺を刺激される場面で<思い出を記録す
る意義>を語りかけるコンセプトは結構なのですが、気になってしまうのが「DVD
というメディアは10年後も再生できるのか?」という不安。一般のドキュメンタリ
ー作品と違ってCMは商品(または企業)と運命を共にする存在ですので、マクセルさ
んがんばってくださいね!(清水浩之)

B-246『ウリハッキョ(私たちの学校)』
2006年/韓国/監督:キム・ミョンジュン
12月8・11・14日 シネカノン有楽町1丁目「韓国映画ショーケース2007」で上映
  http://www.cqn.co.jp/ks2007 
全国での自主上映予定 http://urihakkyo.blog105.fc2.com 
日本人には近くて遠い(&ちょっと恐い)存在=朝鮮学校の生活を、遠くて近い存在
=韓国人監督が観察。新学期から運動会、万景峰号で行く“祖国”への修学旅行、
そして卒業式までを一緒に体験するうちに、日頃逆境にいるはずの生徒達が、与え
られたのではない「私たちの学校」の意味を学び取り、誇りと自信を持つに至るま
でをしっかりと捉えた実録『パッチギ!』。都知事や前首相も羨ましくなる「理想
の学校」の姿がここにありますよ!(清水浩之)


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■投稿:「ヤマガタ」の今後をどうするのか?
    浦辻 宏昌(ドキュメンタリー・フィルム・ライブラリー≪京都≫)

第10回目を迎えた山形国際ドキュメンタリー映画祭。今年、参加するにあたっては
二つの目的があった。そのひとつは、山形のあちこちに佐藤真監督の痕跡を見つけ、
個人的な追悼をする事、そして二つ目が映画祭の今後を見究める事だった。それだ
け不安は大きかった。

シンポジウム「明日への架け橋―山形に映画祭は必要か」は山形に着いてから知っ
た。シンポの内容や『映画の都ふたたび』については前号にも報告されているし、
クロージングパーティで市長が’09年の開催を確約した事もあり、詳細は避けたい。
映画祭は準備年に5000万円、開催年に1億円の予算で進められているが、実行委が
市から独立したNPO法人になったため、事務所等の費用を含め実質的には3割減とな
る。そのため東京事務所への業務委託費や裏方への費用等全てが切り詰められた状
態になっている。大きな問題だがNPO移行はすでに終わっており、大切なのは次回
に向けてどうするかということだろう。

今回個人的には「アジア千波万波」の作品選定に不安を感じた。’05年は特別招待
も含めて27本中、30分以下が8本、70分以下が7本だった。それに対し今年は20本中
30分以下は4本、70分以下は4本と半減している。全作の上映分数が’05年は1527分、
’07年は1523分と変わらないのに上映作品は減少している。作品が減れば、翻訳・
字幕・カタログ作成、ゲスト招待にかかる費用も当然減る。内部事情は分からない
がこれらが予算削減の結果、起きているとすれば、アジアの作家を育てようとした
小川紳介監督の志にも反するのではないか。それともこれは今年だけの傾向なのだ
ろうか?

映画祭で毎日発行される「デイリーニュース」。今年の6号の表紙には世界の映画
人13人による声明が揚げられた。ニヨン国際映画祭のディレクター、ジャン・ペレ
氏を筆頭とする連名の声明は、東京事務局と地元の努力を称え、映画祭の今後へ何
か力になればという思いにあふれている。日本の映画人はなぜこのような事ができ
なかったのだろう。

そして、その問いかけは私たちにもかえってくる。「ヤマガタ」からもらったもの
の大きさを思う時、’09年の映画祭に向けて、そしてその未来に向けて、私たちの
側から何ができるのだろう。これから徐々に考えていきたいと思っている。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■告知:EARTH VISIONをともに作るボランティアを募集します!

1992年、アジアで初めての「環境」をテーマとした、国際映像祭として始まった
「EARTH VISION 地球環境映像祭」。以来、毎年、優れた環境映像、映像制作者、
そして環境問題との出会いの場となってきました。この「EARTH VISION 第16回地
球環境映像祭」(2008.3.7-9)を共に作るボランティアを募集します!希望される
方は、2007年11月20日(火)までに下記へご連絡下さい。

アース・ビジョン事務局 担当:仲野(なかの)
Tel: 03-5802-0525
E-mail: nakano@earth-vision.jp 
  http://www.earth-vision.jp 
  http://www.voluntary.jp/E-V/ 


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映:『教えられなかった戦争・中国編』
   (製作・監督:高岩仁、(1時間38分)

1945年、日本敗戦時に日本軍兵士や警察官として中国にいた帰還者の証言を映像に
記録した作品です。映画概要日本の資本主義的経済発展のため、財閥の利益獲得の
ため、明治以来、日本は中国を侵略してきた。日本の貧しい農民や労働者は、騙さ
れ唆されてその先兵として中国に渡り、中国の貧しい農民や労働者に残虐の限りを
尽くした。三光作戦、生体解剖、南京大虐殺、従軍慰安婦。しかし中国の人民は起
ちあがり、中国共産党の指導で、アジアで初めて全人民の解放を勝ち取った。その
闘いには、日本人も参加していた。またかつて中国で侵略の先兵となった元日本軍
兵士が、解放された中国で学習をし、平和の闘志になって日本に帰って来た。

11月24日(土)1)12:00〜 2)15:00〜 3)18:00〜
料金:一般 1000円、ドフィル会員:700円
会場:「ひと・まち交流館・京都」2階、第1、第2会議室
問い合わせ:075―344―2371
主催:ドキュメンタリー・フィルム・ライブラリー≪京都≫


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■募集:「自作を語る」などの投稿歓迎!

「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。その他の投稿も歓迎します。

「自作を語る」は1600字程度。監督のプロフィール(150字)、作品の仕様(制作
年度、時間、ビデオ又はフィルム、スタッフ等)、上映スケジュール、HP等をお知
らせください。

原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp  伏屋まで
稿料:無料。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)

neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力
ください。

(1)上映等の告知の有料化 40字×30行(行数の空きも計算)以内につき、2,000円
です。それ以上の行数の場合は加算します。
(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。
送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、
     みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782
     (有)ネットワークフィルムズ
(銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせ
 ください。)

以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。



┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃06┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●中国インディペンデント映画作家グループである『黄牛田電影』のメンバーによ
る座談会を前回に続いて掲載したのは、中国映画の著しい台頭が、いったいいかな
る背景によって成立しているのか、興味を持ったからである。聞き手になってくだ
さったのは、プロフィールにもあるように、王兵の『鉄西区』に衝撃を受け、現在
北京電影学院に在学中の前田佳孝さんである。

彼らの座談は極めて率直だ。言葉の端々に本音が出ている。さまざまな経歴を経て、
映画を自己表出の手段にしていった経緯や、映画の審査制度が厳しさに抗して工夫
を凝らして伝達していこうとする様が語られている。そしてグループを組むことに
よって、突破していこうとする気概が窺がわれる。座談の末尾に添えられた「注」
からは、中国映画の実情が立ち上がってくる。「例えば田荘荘の作品『青い凧』は
文革批判を盛り込んだ内容で、審査を通さずに東京国際映画祭に出品した」結果、
「国内での映画製作を10年間禁じられた」そうだ。中国の半端でない厳しさに唖然
とした次第である。

こうしたインディペンデント事情からも、今年の山形映画祭で大賞した『鳳鳴―中
国の記憶』(王兵)も小川紳介賞の『稟愛』(馮艶)も中国国内では公然とした上
映が可能でないことは明らかだ。

●前号は山形映画祭の特集をおこなった。やはり、と言うべきか、民営化されたこ
とによって、今後の「ヤマガタ」に対する危惧や不安を綴る意見が表出した。今号
に掲載した浦辻宏昌さんからは、「大切なのは次回に向けてどうするかということ
だろう」と不安をにじませながらも期待を込めた投稿があった。

各地の映画祭が予算の縮小等によって、映画祭が消滅したり規模が縮小されていく
なかで、ヤマガタが先導してきた役割は極めて大きい。それだけに当事者は心ある
声を無にすることなく、今後の運営をしっかりやっていただきたい。ヤマガタの行
方は、世界の映画人も見守っている。

●投稿を歓迎します。自作のドキュメンタリーがあれば、ぜひ応募ください。本誌
は登録者数は2900名を突破し、動員に少しは影響があると思います。その他の投稿
もお待ちしています。詳細は「募集:「自作を語る」などの投稿歓迎!」欄をご覧
下さい。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■発行:ビジュアルトラックス  visualtrax@jcom.home.ne.jp
■責任編集:伏屋 博雄
■編集デザイン:能川 悦子
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せん。また、いただいたメールをこのメールマガジンに掲載させていただくことが
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