ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo |
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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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┗━┛ ☆━┛ ┗━☆ 90-2号 2007.11.1
∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
†01 ■特集:山形国際ドキュメンタリー映画祭2007
●『稟愛(ビンアイ)』―人間の根源を問う 春田 実
●ヤマガタの「精神」は変わって欲しくない 土肥 悦子
●「DOCUMENTARY BOX」の終刊に際し、東京事務局を想う 黒川 通子
●シンポジウム「明日への架け橋―山形に映画祭は必要か」
パネラーとして参加して 本田 孝義
明日はどっちだ!? 江利川 憲
●科学映画特集に関わって 中村 のり子
※90-1号より
◇────────────────────────◆◇◆
†02 ■ドキュメンタリー映画のかたち
京橋三丁目、映写室からの眺め(2) 岡田 秀則
†03 ■ワールドワイドNOW ≪北京発≫
座談会:中国インディペンデント映画の方向
中国独立映画作家グループ『黄牛田電影』(徐辛、胡新宇、趙大勇、
劉高明、黄文海、王我) 聞き手:前田 佳孝
†04 ■列島通信≪大分発≫
佐賀に映画館をつくる話 田井 肇
†05 ■neoneo坐11月前半の上映プログラム
†06 ■広場
■新・クチコミ200字評!(63)
『ミリキタニの猫』『藝州かやぶき紀行』
『ハダカの城〜西宮冷蔵・水谷洋一』(以上の評、清水浩之)
■募集:「自作を語る」などの原稿募集!
■上映の告知の有料化とカンパのお願い 伏屋 博雄
†07 ■編集後記 伏屋 博雄
★バックナンバー閲覧はこちらまで
まぐまぐ配信 http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/
melma!配信 http://www.melma.com/backnumber_98339/
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┃02┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■京橋三丁目、映写室からの眺め(2)
┃ ┃■岡田 秀則
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●サイレント・フィルム・ラプソディ
企画に思い入れが深ければ深いほど、上映前に頻繁に大ホールのロビーを訪れてし
まう。「小屋」の様子が気になって、居ても立ってもいられないのだ。お客様の数
や年齢層、男女比などを大まかに把握し、知己がいれば挨拶をする。もし私がしょ
っちゅうロビーに立っていたら、その企画は私の最愛の特集というわけだ。ドキュ
メンタリーの企画になると、いい加減オフィスに引っ込んでろと言われても仕方な
いほど、ロビーの隅でぼんやりと立っている。
上映企画には、それぞれの「勢い」というものがある。そういう「勢い」がしっか
り感じられる時も、なるべくそれを共有しようという気になり、いそいそとロビー
に降りてくる。例えば2003年の「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」で、英国
の無声映画伴奏ピアニストのニール・ブランド氏を招聘し、生演奏つきでドライ
ヤー監督の初期無声映画を上映した時は、日に日に会場が熱を帯びてゆくのが分か
った。説話の流れを傷つけず、作品の生理に沿った旋律を即興で編み出してゆく
ニールさんの演奏は、ホールをエレガントな緊張感で徐々に満たし、実際、上映終
了後の拍手の音が最終日に向かってどんどん大きくなっていった。ニールさん自身
も、私の演奏と観衆の間に無言の対話が成立していた、と私たちに話してくれた。
上映の至福はこういうところにある。
無声映画に生演奏をつけて上映するスタイルは、1970年代にヨーロッパで始まった
らしい。世界映画史のもっとも偉大な遺産である無声映画を、新たな装いのもとに
再生させる試みであったと思う。だから、ほとんどの場合、曲は登場するミュージ
シャンの創作、というより即興だ。中にはひどい演奏もあることは知っている。数
年前にアムステルダムで観たジャズ・トリオの伴奏は、映画の進行にまるで配慮し
ない惨憺たるもので、こんなものを聴かされるぐらいなら無声のままの方がいいと
思った。映画を活かすも殺すも音楽次第なのだ。
楽器の主流は、やはり一台でさまざまな表情の音を出せるピアノである。欧米では
無声映画専門のピアニストが誕生して、各地のフィルム・アーカイヴや映画祭、と
りわけサイレント映画の祭典であるイタリアのポルデノーネ無声映画祭で活躍して
いた。
新装なったフィルムセンターも、「シネマの冒険闇と音楽」というシリーズ企画を
始めてこのスタイルの上映を根づかせようとしたが、1990年代の半ばにこうした演
奏を日本で実践していた方は、事実上柳下美恵さんお一人であった。この頃は日本
の方であれば柳下さんと、現在はテレビ・ドラマの作曲などで活躍されているピア
ニストの渡辺雄一さんにお願いしていたが、世界の趨勢を知る意味もあり、しばし
ば外国から専門のピアニストを招聘した。2000年のフリッツ・ラング監督特集では、
ドイツからお二人のピアニストを招き、そして2001年の「イタリア映画大回顧」で
は、イタリアのアントニオ・コッポラ、ステファノ・マッカーニョの両氏が即興演
奏の妙技を披露してくれた。中でも、イタリア無声映画の伴奏では随一と言われる
アントニオさんの来日をお世話したことは、私にとって大きな経験となった。─w)
窓u凾タ ローマからの直行便で成田空港に到着したアントニオさんは、39度近い
高熱を出していた。出発前日に発熱したのだがまだ引いてくれない、と巨体を揺ら
しながらおっしゃった。
翌日からは午後3時と7時、1日2回の演奏である。何とかして熱を下げていただかな
くてはならない。ホテルに着くと、熱を出したら必ずたっぷり水を飲んで寝るのだ、
とおっしゃるので、ミネラルウォーターを大量に差し入れて眠っていただいた。ホ
テルに医者の手配も頼んだ。翌朝のアントニオさんは、まだ熱っぽい顔をしていた
が、演奏はどうにかすると言ってくれた。ただ、あまりに水をたくさん飲んだので、
最悪の場合は演奏を中断してトイレに行くかも知れないという。
最前列の左端、グランドピアノの前の席に陣取って、ただ祈った。しかし、最初こ
そアントニオさんの方を注視していたけれども、映画好きなんて現金なもので、結
局はスクリーンに吸い込まれてゆくのだった。果たして、アントニオさんは上映時
間2時間42分の歴史大作『カビリア』をダイナミックに弾き通した。翌日からは体
調もすっかり回復し、彼を診察したお医者さんがにこやかな顔でお客さんとして現
れるほどになった。そして、1週間の仕事を完璧にこなした後、彼は私にこういっ
た。「今は、私のような専門のピアニストを外国から招くのもいい。だが、君らは
これから日本でミュージシャンを育てなければならない。それもフィルム・アーカ
イヴの仕事だろう」。アントニオさんは、あのカーマイン(イタリア人らしく「カ
ルミーネ」と発音した)やフランシス・フォードとも遠い親戚だそうで、つまりは
アーティストの家系である。頻繁に調律師を呼ばねばならぬほど鍵盤を強くたたく
コッポラさんと、翌週に来日された、ジャズをベースにした繊細なステファノさん
とのコントラストは、無声映画伴奏についての私の理解をたちまち深めてくれた。
さて、イタリアが落ち着くと、その夏にはもう翌年の1月に行うD・W・グリフィス
特集のための準備が始まった。ここからはミュージシャン発掘の旅だ。発掘といっ
ても、日本の状況で、ヨーロッパのようにそれだけで食べてゆく専門ピアニストが
たくさん生まれるとは考えにくかった。だから、すでにさまざまな演奏活動を行っ
ている方にチャレンジしていただくのが適切と考え、クラシックやピアノ業界のこ
となど何も知らないまま、東京藝術大学や国立音楽大学をはじめとする音楽系の大
学にぶつかってみた。まず、趣旨を説明することからして大変だったが、いざ理解
が得られると、どちらからも有効なアイデアを出していただいた。
この手の演奏は、いくつかの旋律のモチーフを用意はできても、事前にがっちりと
楽譜を準備するスタイルのミュージシャンには向かない。いったん映写機が回り始
めたら、もう画面の進行に合わせるしかなく、ある方はこれを「映画の奴隷にな
る」と表現した。まったくの実感だろう。事前に作品のビデオ(無声映画の多くは
「1秒=24コマ」ではなく速度がまちまちなのでテレシネの際に速度を調整してい
る)を渡して準備していただくのだが、実際にホールで演奏してみると微妙に速度
が違うそうで、やはりその点でも即興型の方が望ましい。また、あくまで映画が主
で音楽が従であるという「鉄の掟」には、芸術家としてのプライドを傷つける面も
あるだろう。まったく、私たちはシレッと高度な依頼をしているわけである。
結局グリフィス特集では、実にさまざまなピアニストの方々に挑戦していただくこ
とになった。小林弘人さん、長谷川慶岳さん、松村牧亜さんなど東京藝大出身の気
鋭の若手の方々の快諾も嬉しかったし、ラジオのパーソナリティも務められる人気
ピアニスト小原孝さんにご出演いただいたことも幸運だった。単独でもホールを女
性客でいっぱいにできる小原さんが、一本の映画のために2時間近くも弾き続けて
くれるという贅沢。この時は、とりわけ長谷川さん演奏による『大疑問』と、小原
さん演奏の『曲馬団のサリー』に涙が止まらず、これらは今でもメロディ・ライン
を記憶している。以降も、小津安二郎特集など、毎年のようにこうした方々の華麗
な演奏に出会うことができ、今では無声映画特集のファンが生まれるほどになった。
昨年は、ピアノばかりではだめだと一念発起、国内で活躍している二胡、能管、ア
コーディオン、ギターの演奏家にご出演いただいて現在に至っている。
そんな中、昨年だったか、ケン・ローチ監督の『麦の穂をゆらす風』を観に行った
ら、映画館のシーンがあった。アイルランドの条件付き独立を伝えるニュース映画
に不満をぶつけるダブリンの市民たちの隅っこで鍵盤を叩いていたのは、あのニー
ルさんであった。英国ではピアニスト活動の傍ら、テレビの昼ドラで俳優もやって
いると聞いていたが、カンヌのパルム・ドール受賞作に出ていたなんて…。まるで
自分のことのように喜んだ。
開始ブザーと場内放送のあと、大ホール脇の扉の影からミュージシャンの方を送り
出す瞬間は、外国の方も日本の方も関係なく、いつもうきうきしてしまう。にわか
ステージ・マネージャー稼業の喜びである。
■岡田 秀則(おかだ・ひでのり)
東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員。宣伝です。今年はチャーリー・
チャップリンの没後30年。チャップリンの秘書を18年務めた日本人、高野虎市(こ
うのとらいち)の遺品を中心とした展覧会「チャップリンの日本」がフィルムセン
ターで始まっています。あまりにニッポン大好きな喜劇王と、あまりにチャップリ
ン大好きなニホン人たちの姿に、微笑んでいただけることは必至です。ぜひご来場
のほど。
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┃02┃□ワールドワイドNOW ≪北京発≫
┃ ┃■座談会:中国インディペンデント映画の方向
┃ ┃ 中国独立映画作家グループ『黄牛田電影』(徐辛、胡新宇、趙大勇、
┃ ┃ 劉高明、黄文海、王我) 聞き手:前田 佳孝
┃ ┃■前田 佳孝
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今年の8月20日に成立した中国独立映画作家のグループ『黄牛田電影』を紹介した
い。メンバーは徐辛、胡新宇、趙大勇、劉高明、黄文海、王我の六名。黄文海の
『夢遊』(注)、胡新宇の『姉貴』(注)は今年の山形国際ドキュメンタリー映画
際にも出品されているので、日本でも既にご覧になった方もいるだろう。それぞれ
国内外で活躍するインディペンデント映画作家だ。近年海外の映画祭などで華々し
く活躍する中国インディペンデント映画だが、国内の反響はそれとは打って変わっ
て冷ややかなものだ。
中国では一般的には独立(インディペンデント)=地下(アンダーグランド)とい
う見方が強い。インタビューを通して少しでも中国国内での彼らの事情、インディ
ペンデント映画が置かれている現状を知ってほしい。 (北京にて 前田 佳孝)
(注)
『夢遊』(Dream Walking )中国/2005/中国語/モノクロ/ビデオ/86分
監督:黄文海(ホァン・ウェンハイ) Huang Wenhai
自称有名芸術家4人のある夏の生活。逆立ち生態美術家、教師あるいは画家、詩人、
彼らを撮影する男。人生とアートを彷徨い、横断するモノクロのリズムに身を任せ
て。(山形映画祭公式パンフより)
『姉貴』(Sister )中国、アメリカ/2007/中国語、英語/カラー/ビデオ/151分
監督:胡新宇(フー・シンユィ) Hu Xinyu
暴力的な夫と別れ、アメリカへ渡り再婚した監督の姉。娘も同居することになり、
母娘、家族に亀裂が入る。なぜか一緒に住んでいる監督がコミカルに介入する。
(山形映画祭公式パンフより)
■座談会:中国インディペンデント映画の方向
前田:今日は何日ですか?
趙大勇:9月6日。
前田:では、9月6日朱日坤宅にてインタビューを行います。まず、日本の皆さん
に各自自己紹介をお願いします。
黄文海:中国でドキュメンタリーを撮っている者です。
朱日坤:中国でドキュメンタリーを見ている者とでもいいましょうか。日本の皆さ
んに向けてあなたがもっと多くの中国独立映画、特にドキュメンタリーを
紹介して欲しいです。私は現在、栗憲庭電影基金(注1)の仕事に従事し
ており、もう一方では現象工作室(注2)にて映画のプロデュースと配給
を行っています。栗憲庭電影基金というのは主にインディペンデント映画
の資料収集及び整理、それといくつかの作品の資金援助を行っている機構
です。
趙大勇:私は趙大勇と申します。真実電影(シネマヴェリテ)を撮っています。い
つもドキュメンタリーといっていたらいけない、私たちはシネマヴェリテ
に習わなければいけない!
前田:真実電影ですね…。
趙大勇:私たちは真実電影を撮っている者で、ドキュメンタリーを撮っている者で
はない!
朱日坤:(大勇は)ドキュメンタリーという言葉が嫌いだから。
趙大勇:そうだ!その呼び方がきらいなんだ、ドキュメンタリー映画が正しい!
黄文海:私たちは映画を撮っている。
趙大勇:ドキュメンタリーというのはテレビ局が使っている呼び方で、私たちは映
画を撮っている。
前田:分かりました。
趙大勇:インディペンデント監督です。
前田:今日は主に中国ドキュメンタリー映画の最近の動向、主に黄牛田電影につ
いて伺いたいとおもいます。黄牛田電影とはなんなのか?黄牛田黒社会の
ボスから日本の皆様に向けて紹介をお願いします。
朱日坤:黄牛田の顔役です(笑)当時、シンセンのドキュメンタリー監督、劉高明
が上映会(注3)を企画して、それに参加した何人かの監督が今の黄牛田
電影グループのメンバーになっています。黄文海、趙大勇、王我、徐辛、
それに胡新宇、これらの監督の作品をシンセンで上映しました。私は付き
添い人としてこの上映会に参加しました。その後これらの作家が互いに集
まり何か活動をしようということになりました。実際には回顧録など作る
としたら、みんなの観点が一致していることに気がつきました。様々な問
題の上でも共通の理解がある、だから彼らはお互いに集まってもっと緊密
な協力、または創作面での互いの支持や討論などでグループを作ったほう
がいいのではないかと考えました。ちょうど私の実家に遊びに行った時、
そこは黄牛田村と呼びますが、みんなその名前を気に入ってこの映画グ
ループの名を黄牛田電影にしました。
前田:その日はたしか…。
朱日坤:八月二十日です。
前 田:その日に正式に成立したということになりますね。
黄文海:この上映会『老男人party』にはドキュメンタリー監督のZhou Haoも参加
していましたが結局考え方の不一致によって最終的には一緒に活動すると
いうことにはなりませんでした。ですからこのグループは同じ志を持った
もの同士グループと言えるでしょう。実は私たちも最初は映画グループを
作ろうという考えはありませんでした。朱日坤は私のプロデューサーで何
年も共に仕事をしてきました。それから私を含めた大勇、徐辛、胡新宇は
Ai Weiweiの『童話』(注4)のスタッフとして参加していてポスプロで一
緒でした。その頃、朱日坤と王我は頻繁に来ていてみんなでよく話し合っ
ていました。その内容はとても有意義なものでした。思いがけなくも私た
ち中年男の考えは似ていて、それに直面している苦境も同じようなもので
した。しかし、シンセンに行く前までは誰も映画グループを作るという話
を知りませんでした。
前田:誰がヌーヴェルヴァーグの概念を持ち出したのですか?大勇ですか?
朱日坤:当時は私もよく分かりませんでした。大勇と王我の話から始まって、それ
で…。
趙大勇:実際にはこういうことです。私が『童話』の仕事の最終日、北京を離れる
ときに王我が見送りをしてくれて、一緒に食事をしました。その時に話し
合った内容が中国映画のこと、その方向性、それに中国映画の制作者の意
識の問題を分析していたところヌーヴェルヴァーグの問題だと思いました。
新しい思想についての問題です。
今の中国の映画作家には優秀な人が多くいます。彼らが早期に制作したイ
ンディペンデント作品は初歩的な段階に置かれていると思います。技術上
や創作上に係わらず思想的にも或る種の探求段階にある。しかし、これら
の作家は創作面では成熟してきているにも係わらず自分たちの映画の思想
体系を成立させていない。このような状況において更に中国の映画制度下
では正常なプロセスを経て映画館で作品がかかることは困難だし、自分で
それを普及させることも難しい。更に重要なのは自分たちの思想体系を作
り上げることです。ヌーヴェルヴァーグとはいうけれど、それは別の人の
もので、私たちのものはヌーヴェルヴァーグとはいわず、何というかは分
からないが、少なくとも自分を確認できる中国人としての私たちが集まっ
て出来る考え方なのだろう。ちょうど『老男人party』でみんなが一緒に
集まったので、ではやろうじゃないかということになりこのグループが出
来たのです。グループがあれば目の前のいくつかの苦境を解決できる。こ
の苦境のひとつに配給の問題があります。私たちは作品を撮り終えた後ど
のような路を辿っていくのか。受動的に映画祭に応募して賞を獲っていく
のか、それとも自発的に新たな配給の手段を模索しそれを普及させるか。
なぜなら中国では正規にDVDを販売することが不可能なのです。自分で方
法を考えるほかないのです。このように私たちが集まって共に問題を解決
していく、では誰と集まるのか?私たちは同じ志を持ったもの同士です。
それぞれの作品はスタイルを持っていて、それに思想上成熟している。こ
れは非常に重要なことです。こうやって私たちは集まり黄牛田電影を組織
しました。共に模範を樹立させようというわけです。少なくとも私たちは
勇気を持って立ち上がることが出来る!私たちはことをなすことが出来
る!私たちがどんなに凄くて先鋒であるかとなどという感覚で自分を標榜
することはありません。
黄文海:やはり我々は映画において理想を抱いています。DVを含む新たな媒体の出
現以降、私たちはインターネット、映画データベース、大量の海賊版DVD
で映画の知識の探求を行ってきたのかも知れません。この点においてもし
かしたら私たちは第六世代、第五世代よりも多くの映画の知識を得ること
が出来たのかも知れません。経済上の独立、精神上の独立も含まれます。
前田:第五代、第六代というのは自分に関係の無いものとして見受けられますが…。
朱日坤:世代論というのはくだらないもので、それが代表するものといったら伝承
性です。もしも第五代やら第何代やらを伝承していくとしたらそれはめち
ゃくちゃな考えです。
前田:そうです。なぜなら誰がこのような考え価値観を持っているのか、その出所
は非常に曖昧蒙古なものです。もしも年齢から世代論というのを判断してい
るとしたらそれは可笑しな考え方です。
黄文海:時代ごとに異なる背景があるのでは…。
前田:しかし、安易に第五代やら第六代という曖昧な概念でひとつの時代を概括す
るというのは中国映画がよく陥る誤った固執だとおもう。
趙大勇:私は第何代だとか云ったものは単純にメディアが扇情に使っているもので、
かれらはそれを探すのが仕事です。メディアの人間というのは何も分かっ
ておらず、大抵が馬鹿、だからこんな第五代やら第六代という呼び方を持
ち上げてきた。第六代と第五代の間に創作上どのような関係があるんだ?
黄文海:しかし、どの世代にも特色があって共通性もやはりある。
朱日坤:その共通性といったら何年に卒業したかを指しているだけで、創作上のと
いうわけではない。この考え方はこじつけだ。
前田:例えば私が出てきたら第七代になるのでしょうか?私には関係ありませんね。
黄文海:いや、今そのことを持ち出してきても意味が無い。映画の時代ということ
であって…。
前田:どのみち他人が押し付けた定義なんて自分には関係ありません。
趙大勇:お前は第七代だよ。(前田:違います)じゃあ第八代だ。
前田:第零代!黄牛田!
趙大勇:俺たちは何も代表していない(笑)
前田:その通り!黄牛田の精神は何も代表していないことだと思う。
趙大勇:実は黄牛田にはひとつ大きな共通項というのがあって、ここに集まったも
のの中で黄文海を除いたみんなは電影学院に関係していないし映画を勉強
したわけでもない。
前田:そうそう(笑)
黄文海:一年進修しただけでまるで俺だけまともな職業になっちまったみたいじゃ
ないか(笑)俺だけ唯一のプロフェッショナルって事だな(笑)
趙大勇:絶対に経歴の中から外せ!
黄文海:(笑)
趙大勇:お前の恥辱だ!
前田:大勇は以前現代アートをやっていましたね。それにCMを撮っていましたね。
趙大勇:黄文海よりもプロフェッショナルということだ。
前田:王我と劉高明はデザインをやっていて、胡新宇はジャ・ジャンクーの作品に
参加したことがあると聞きましたが?
朱日坤:主演男優の候補だったのですが最終的には…。
前田:初めて知りました。
趙大勇:『プラットフォーム』だよ。ジャ・ジャンクーの映画にいつも出演してい
るあの女の子、ジャオ・タオ。あれは胡新宇の同僚で、あいつがジャ・ジ
ャンクーに紹介したんだ。
朱日坤:だからかなりの打撃を受けた。
趙大勇:それからというもの胡新宇の映画を撮るという欲望に影響を与えた。
前田:(笑)
趙大勇:その後あいつは飛行機に乗って広東にいきおんぼろDVを買って帰ってか
ら撮り始めた。それでフィクションを撮って失敗に終わった。(注5)ど
うやって映画撮影を管理するかも分からずに撮り始めたから、意気込みに
任せてやっていたら駄目だ。
前田:その後ドキュメンタリーを撮り始めたのですね。
趙大勇:その作品で美術をやっていたのがラオスーで、仕事を退職になったばかり
で胡新宇の家に住んでいた。それでラオスーを撮って出来たのが『男人』
(注6)だよ。
(聞き手:前田佳孝)
(次回に続く)
注1:芸術批評家栗憲庭によって設立された中国国内の映画基金
注2:現象工作室(fanhall films)は朱日坤の個人スタジオ。国内の多くのインデ
ィペンデント映画の製作、配給を行っている。現在同スタジオから三作品のDVD販
売を行っている。
注3:シンセンで行われた芸術祭『外出』の一プログラムとして劉高明が企画した
ドキュメンタリー映画の上映会『老男人party』。集まった監督が男だけ、平均年
齢が40歳になることから老男人=中年男のpartyになった。もともと呉文光とシン
センのドキュメンタリー映画監督Guo Xizhiも参加予定であったが諸事情により当
日は来られなかった。
注4:北京の芸術家Ai Weiweiのパフォーマンスアート作品『童話』。1001人の中国
人を同時にドイツ中部の都市カーセルに短期移民させるという内容。多くのドキュ
メンタリー作家がこのドキュメンタリー映画の制作に参加した。
注5:2001年2月から撮影された胡新宇の劇映画『過渡』は資金不足によって完成し
なかった。
■前田 佳孝(まえだ・よしたか)
1984年生まれ。高校卒業後映画美学校入学。王兵の『鉄西区』に影響されて中国へ
留学を決意。二年間の語学勉強の後、北京電影学院に入学、監督科に在学中。現在
中国のドキュメンタリー作家を追ったドキュメンタリーを制作中。
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┃03┃□列島通信≪大分発≫
┃ ┃■佐賀に映画館をつくる話
┃ ┃■田井 肇
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佐賀県庁から電話がかかったのは、ちょうど1年前のことになる。佐賀の町中にあ
った最後の映画館がとうとう閉館してしまい、佐賀には郊外にあるシネコンしかな
くなってしまった。中心市街地の空洞化にさらに拍車がかかることも懸念され、そ
の閉館した映画館をなんとかして復活したい。ついては、そのなくなった映画館の
人から、大分には小さい映画館をずっと続けている人(つまり僕だ)がいる、彼に
話を聞いてみてはどうかという助言を受けた、ぜひ話を聞かせてほしい、という電
話だった。
佐賀で何十年も映画館をやってきた、僕にとっては先輩格にあたる方が、シネコン
の進出で経営に苦しみ、7館持っていた映画館を、1館閉め、2館閉めしながら、つ
いにすべてをやめることになった話は知っていた。その映画館がなくなったことは、
佐賀の人にとっては、決して「青天の霹靂(へきれき)」ではない。徐々に閉め始
めたあたりから、それは「いつか訪れる日」として認識されていたはずなのだが、
いざすべてが閉館するとなると、思わぬ郷愁をかきたてられるということも、わか
らないではない。しかし、だからといって、誰かが替わってがんばればやれる、と
いうほど映画館経営は甘いものではない。僕の話を聞いたところで、どんな役に立
つというのだ。
とはいえ、相手も「わらにもすがる」という思いなのだろう。僕は承諾したが、そ
こで突然、「質問事項」とやらが事前にファックスされてきた。
「経営者の年収」「従業員の賃金」「フィルム入手先と入手方法」「近隣の映画館
の状況」等々、しまいには「トイレ・自販機などの設備」の項目に「要写真貼付」
とある。
僕は、即刻、お会いすることをお断りした。というか、辞退した。僕が経験に基づ
いてお話しできることがあるとすれば、映画館をやることの心構えと言えばよいか、
すなわち、「ハート」の部分でしかない。
「映画館の運営マニュアル」みたいなものを知って、それで映画館がやれるなんて
とんでもない。たとえやれたとしても、それは「仏作って魂入れず」というものだ。
そうして佐賀の人とはお会いすることもなく、半年が過ぎた今年3月。今度は、彼
らが次に相談に行ったらしいエース・ジャパン、コミュニティシネマ支援センター
から連絡が入った。佐賀で「映画上映者養成講座」を開き、そこで映画館再開の道
を探ってみたいということだった。そうして僕は、ついに(因縁の)佐賀を訪ねる
ことになる。
佐賀の閉館した映画館は、いわゆるアート系ミニシアターにふさわしいこじんまり
した映画館だった。3スクリーンが1フロアにあり、2スクリーンを使ってやれば、
これまで佐賀でほとんど上映されることのなかった単館系の映画が、おそらく年間
100本以上公開できることになる。かつての映画館を経営していた大家さんは、格
安の家賃で貸してくれるという。これをやらないテはない。問題は、誰がやるか、
だけだ。もちろんのことだが、佐賀に住む人がやるのがいちばんよい。しかし、
「お手伝いしたい」という人はたくさんいても、中心となって経営をしてゆこうと
いう人がいない、というところで事態はこう着状態に陥った。
かくして頓挫するかに思われた映画館に、「ぜひやりたい」という若者が現れたの
は、2ヶ月後のことだ。福岡の若者が、佐賀に移り住んでやろうということになり、
ようやく話が具体化し始める。だが、今度は、その若者が、上映する映画そのもの
よりも、上映の方法や劇場の付帯設備のことにばかり興味を示すという事態が起き
る。「おいしいコーヒーが飲めるカフェ」や「絵本の読み聞かせをやるスペース」
や、そんなことが中心課題となり、「何を上映するのか」が、いっこうに議論され
ない。
いやはや、いったい「映画館をやる」とはどういうことなのか。僕もこの間、いろ
いろと考えさせられた。そして、さまざまな話し合いの後、ようやく今年の12月に
オープンというところまで、なんとかこぎつけた。「シアター・シエマ」と名付け
られた、この佐賀県初のアート系専門館が、今後、どのような映画館になってゆく
のか。
その様子は、今後も、この通信でお知らせしてゆくことになるだろう。
■田井 肇(たい・はじめ)
1956年岐阜市生まれ。大分に移り住み、1976年、「第1回湯布院映画祭」の立ち上
げに加わる。以後13回目まで中心メンバーとして活動する一方、地方で上映機会の
ない映画の数多くを自主上映する。1989年、当時閉館の瀬戸際にあった映画館「シ
ネマ5」の運営を引き継ぎ、アート系専門の映画館として、その経営を軌道に乗せ、
現在に至る。
シネマ5:大分市府内町2-4-8 TEL 097-536-4512 FAX 097-536-4536
http://www.cinema5.gr.jp
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃04┃□neoneo坐11月前半の上映プログラム
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩
1分、JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。
詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。 http://www.neoneoza.com/
■16ミリフィルム映画祭 2007 秋
1日目・11月1日(木)
20:00〜 事件がある情景・映画“CINEMA”
斎藤ユキヱ『かげのあかり』(16ミリ/15分/1994年)
大西健児『水槽都市』(16ミリ/55分/1996年)
2日目・11月2日(金)
20:00〜 筒井武文『ゆめこの大冒険』(モノクロ/16ミリ/70分/1986年)
※上映後、筒井武文ワンダーランドBAR開店
3日目・11月3日(土)
15:00〜 山崎幹夫セレクション9
松浦博直『バオバブのけじめ』(16ミリ/34分/ 2005年)
菊地夢高『僕達はくり返していく』(16ミリ(ビデオ上映)/45分/2005年)
18:00〜 山崎幹夫『プ』(35ミリ(16ミリ縮小プリント)/96分/1995年)
4日目・11月4日(日)
11月4日(日) 15:00〜 講座/映画と音楽、映画と文学
澤井俊朗『京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ』(8ミリ/50分/1989年)
『(未完成のジャズ映画)』約60分/1987〜1992年)
※このプログラム枠のみ上映会ではなく「映画と小説、映画と音楽」を
テーマにした「山崎幹夫の映像講義」ということにします。
11月4日(日) 18:00〜 山崎幹夫セレクション10
山崎幹夫『VMの夢想』(16ミリ/9分/1990年)
大川戸洋介・稲生光芳『夢のアンダンテ』(16ミリ/31分/1987年)
山田勇男『ロング・グッドバイ』(16ミリ/32分/1997年)
【料金】全プログラム 1,000円(各プログラム入替制)
【BAR料金】全日程、上映終了後TALK BARあり
1,000円(食べ物+1ドリンク付)
【お問い合せ】スペースneo E-mail:spaceneo@tcn-
catv.ne.jp Tel:03-5281-7820(佐々木)
■11/8(木)〜10(土) GAIA食堂
連日11:00?15:00 美味しい新米ランチタイム
9日(金)19:30? Rumico&Goro ライブ
主催:エコロジーショップGAIA 御茶の水店
http://www.gaia-ochanomizu.co.jp/
■11/10(土) 13:00 ワークショップ「神楽坂で8ミリを回そう」
集合場所:飯田橋セントラルプラザ/講師:山崎幹夫/受講料 3500円
予約先: spaceneo@tcn-catv.ne.jp 佐々木
http://www.neoneoza.com/lecture/
■短編調査団(56) 民家の巻…日本建築の魅力に迫る4本立て
11月14日 (水) 20:00〜(計94分)
『日本の建築 すまいの伝統』(1963年/19分/カラー)
制作:日本映画新社/企画:文化財保護委員会/プロデューサー:西沢豪/脚本・
監督:木村建二/監督:星山圭/脚本:加納竜一/撮影:林田重男・津田秀夫
◇古代から現代へ歴史の移りかわりとともにすまいの様式も変遷した。しかし日本
的な美しさは伝統として今なお息づいている。
『木と家』(1973年/25分/カラー)制作:岩波映画製作所/企画:住友林業/
プロデューサー:高橋宏暢/脚本・監督:羽田澄子/撮影:中谷英雄
◇日本は古来、木の豊富な国である。日本の木造家屋の特徴と伝統を、木という素
材の美しさに焦点をあてる。日本の木造家屋には木の生命が生きている。
『今井の町と民家』(1983年/21分/カラー)制作:メディアート+新日本映像/
企画:近畿日本鉄道/プロデューサー:小林真・宇田川宏光/脚本・監督:山添哲
/撮影:上岡葆史/音楽:長沢勝俊/語り:斉藤穎
◇奈良県橿原市今井町は室町時代の末に一向宗の門徒が開いた寺内町で、江戸時代
には自治の進んだ商業の町として栄えた。重要文化財の民家の構造と変遷を調べな
がら、この町の歴史についても考える。
『古民家は語る』(1978年/29分/カラー)制作:世田谷を記録する会/
企画:世田谷区教育委員会/脚本・監督:浅野辰雄
◇昔の庶民の家 ― それは単なる建築物としてではなく、この家の中でどんな人が、
どういう生活をしてきたか、世田谷という地域を含めた歴史の中でこの家の誕生、
変遷を捉えながら古民家の解体を描く。
【料金】鑑賞無料! カンパ歓迎!
【お問合せ】清水 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp
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┃05┃□広場
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■新・クチコミ200字評!(63)
■清水浩之(短篇調査団・11/14は民家の巻! http://d.hatena.ne.jp/tancho/ )
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビな
ど皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オスス
メしない映画とその理由!」もOKです。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアド
レスor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィール
や近況も)を付記してお送りください。ちなみにここでは稿料は出ません。
清水浩之 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839
B-241『ミリキタニの猫』
2006年/アメリカ/監督・出演:リンダ・ハッテンドーフ
出演:ジミー・ミリキタニ、スティンキー(猫)
11月9日まで渋谷ユーロスペースで上映、今後各地で上映予定
http://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/
路上のグランドマスター・アーティストことジミー氏が、9.11をきっかけに近所の
リンダ女史と“奇妙な同居生活”を始め、長年の孤独の中で身に纏ってきた「見え
ない鎧」を脱ぐまでのウェルメイドなホームドラマ。猫のような気高さで周囲のお
節介を嫌うジミー氏が、リンダ女史の遅い帰宅には猫と一緒になってニャーニャー
怒るような人情劇が、国や言葉を超えた“same old story”として共感を呼びます。
千昌夫氏の世界への浸透にも吃驚!(清水浩之)
B-242『藝州かやぶき紀行』
2007年/制作:新日放・Imagine/撮影・構成・語り:青原さとし
9月22日〜28日・広島シネツイン1で公開済、今後各地で上映予定
http://dotoku.net/
『土徳』(2003)以降、地元広島で活動を続ける青原監督の新作は、安芸・備後に残
る茅葺き屋根の調査記録。地域ごとの工法の違いなど学術的な内容かと思えば、職
人さんの年期の入った手や顔に注目したり、九州や関西に伸びた“広島人出稼ぎ
ルート”を辿ったりと「寄り道」の多い構成で、その迂回が茅葺きを巡る風土と歴
史を裏付けるのがなんとも魅力的。茅葺き歴60年のマイスター・石井さんによる、
過剰な思い入れをいなす一言に爆笑!(清水浩之)
B-243『ハダカの城〜西宮冷蔵・水谷洋一』
2007年/制作:「鳥類」/監督・撮影・編集:柴田誠
11月9日までポレポレ東中野にてモーニングショー
http://diary.jp.aol.com/nkhuhjyme7sn/
雪印食品牛肉偽装を内部告発した水谷社長(三代目)の「正義の戦争」の顛末。なん
となく池乃めだか似の社長には独特のペーソスがあって見飽きないのですが、「彼
は誰と戦っているのか」「どこから仕事をいただき、どう失ったか」が今一つ判然
としない108分は些かシンドい気も…。ある日突然自宅が“硫黄島”状態になった
若旦那(四代目)の心境も気になるところ。何が必要/不要か?ドキュメンタリーの
編集・構成を考察するためにも必見!(清水浩之)
◇────────────────────────◆◇◆
■募集:「自作を語る」などの投稿歓迎!
「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。その他の投稿も歓迎します。
「自作を語る」は1600字程度。監督のプロフィール(150字)、作品の仕様(制作
年度、時間、ビデオ又はフィルム、スタッフ等)、上映スケジュール、HP等をお知
らせください。
原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋まで
稿料:無料。
◇────────────────────────◆◇◆
■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)
neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力
ください。
(1)上映等の告知の有料化 40字×30行(行数の空きも計算)以内につき、2,000円
です。それ以上の行数の場合は加算します。
(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。
送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、
みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782
(有)ネットワークフィルムズ
(銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせ
ください。)
以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。
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┃06┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
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●「特集:山形国際ドキュメンタリー映画祭2007」、いかがでしたか?6名の投稿
していただいた方々には心より御礼申し上げます。さまざまな意見や感想が綴られ
ているが、これもヤマガタを期待してのこと。主催者や関係者は眼前の問題を少し
でも克服し、2年後にはさらに素晴らしい作品やイベントを見せてもらいたいと切
に願っている。
●岡田秀則さんのHP「アトリエ・マニューク」
( http://users.ejnet.ne.jp/~manuke/ )の「日記」は、私の寝る前の楽しみの
ひとつだ。そこには映画に関わる喜びが四方に延びていて、映画の奥深さを知らさ
れることになる。前回から始まった連載も同様で、あの手この手と実に多様な仕事
ぶりが飛び出してきて、まるで「びっくり箱」のようだ。今回は無声映画と生演奏
のコラボレーションについてだが、岡田さんのチャレンジ精神は発揮されている。
●「ワールドワイドNOW」に≪北京発≫が加わった。執筆者は23歳の前田佳孝さん
である。映画美学校の生徒だった頃、王兵の『鉄西区』に衝撃を受け、北京電影学
院監督科に入学したという方である。私はかねてから本欄に中国からの最新情報を
取り入れたいと願ってきたのだが、幸いにしてやっと新しい執筆者を見つけること
ができたことを嬉しく思う。
近年、中国映画の活躍は目覚ましい。たとえば今年の山形映画祭ではコンペの大賞
作品は王兵の『鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶』(『鉄西区』に続く二度目の受
賞)だったし、アジア千波万波の小川紳介賞は馮艶の『稟愛(ビンアイ)』が受賞
した。
こうした傾向は、本人の資質であるといえば身も蓋も無い。何かそれ以上の要因が
潜んでいるのではないか?中国のドキュメンタリーの環境は恵まれているとは言い
がたい。彼らは映画的資性をどのように磨いているのであろうか?
今回前田さんはneoneoのために、中国のインディペンデントグループ『黄牛田電
影』のメンバーに彼らの方向性や各自の抱負を語るよう働きかけてくださった。座
談会形式のフランクな語り口のなかに、彼らの本音が窺がえると思う。次回も続く
ので、ぜひご一読願いたい。
●田井肇さんの「佐賀に映画館をつくる話」も好読物だ。閉館した映画館を作り直
し新たにアート系ミニシアターを作ろうとする顛末だが、行政の映画精神を逸脱し
た考えを拒否し、他県から移住した若者と異論・反論を交わしながら実現を目指す
様子はスリリングである。おそらく全国各地には、同様の条件を持つ映画館が多い
ことであろうから、そうした意味からも参考になると思う。田井さんは今後も事の
成り行きをレポートしてくださるというから、目が離せない。
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■責任編集:伏屋 博雄
■編集デザイン:能川 悦子
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