ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo |
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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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┗━┛ ☆━┛ ┗━☆ 82号 2007.6.15
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†01 ■ドキュメンタリー映画のかたち
ドキュメンタリーの光を探せ─たとえば、黒木和雄のPR映画─
(6−最終回) 中村 のり子
†02 ■ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫
コミュニティビデオが映すアメリカ 東谷 麗奈
†03 ■列島通信 ≪沖縄発≫
南島の劇場から 巡回上映、そして子どもたちへ 真喜屋 力
†04 ■neoneo坐6月後半の上映プログラム
†05 ■広場
■新・クチコミ200字評!(55)
『選挙』『歩く 東京―広島平和行進』『独立宣言』
(以上の評:清水 浩之)
■『映画は生きものの記録である』ニュース(9)
■投稿:山形国際ドキュメンタリー映画祭への提案 本田 孝義
■募集:「自作を語る」などの原稿募集!
■上映の告知の有料化とカンパのお願い 伏屋 博雄
†06 ■編集後記 伏屋 博雄
★バックナンバー閲覧はこちらまで
まぐまぐ配信 http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/
melma!配信 http://www.melma.com/backnumber_98339/
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┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■ドキュメンタリーの光を探せ─たとえば、黒木和雄のPR映画(6―最終回)
┃ ┃■中村 のり子
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●『とべない沈黙』という境界線
今回の連載では、私が卒論のために60年代のPR映画について調べた試行錯誤の道筋
を振り返ってきた。この拙い私論を終える前に、黒木が『あるマラソンランナーの
記録』の直後にとりかかった長篇劇映画『とべない沈黙』(1966年)について触れた
い。
製作した東宝でオクラ入りとなった一年余り後にATGで公開が決まった『とべない沈
黙』は、奇妙な物語と鮮やかな映像とが絡まった魅力的な作品だが、黒木の制作歴
においてはPR映画から劇場用映画への橋渡し役を担っている。それは日本映画史の
中でも他に見られない状況であり、現場に立ち会った人びとには特別な印象を残し
ていたようだ。
『とべない沈黙』の脚本を手がけたのは、当時ノンフィクション映画の世界に身を
置いていた松川八洲雄と岩佐寿弥と黒木の三人だった。岩佐さんはもはや自分しか
生き残っていない状況で語ることの不公平さを心配しながらも、興味深いお話を聞
かせてくださった。まず、この作品のスタッフというのが『あるマラソンランナー
の記録』をめぐって黒木と共に闘った仲間から構成されていたこと、つまりほとん
どがPR映画製作の若手たちであったという事実だ。そして黒木がこの仕事を受ける
ことができたのは、結果的にとは言え、『あるマラソンランナーの記録』の闘争に
よってノンフィクション映画界での仕事がなくなっていたからであった。もし、黒
木がPR映画製作と折り合いを続けていたら、『とべない沈黙』を作る機会も来なか
ったと言える(*1)。
そんな黒木とつるんでいた岩佐さんは誘われるままにスタッフとなった言う。この
作品は、思いもよらず長篇劇映画を作ることになった若手たちの興奮がそのまま注
ぎ込まれているようなもので、岩佐さん曰く「やることすべてが“発見”の作品」
であった。またチーフ助監督を務めた東陽一の言葉によれば、「精神の熱い『ほて
り』のようなもの」(*2)に支えられていた。それらは大胆で瑞々しい映像表現とし
て形になっており、今でも見る者を惹きつける。ただし物語の方は、煩雑で混乱気
味であるとの指摘が多い。これについて岩佐さんは、実際に自分でも脚本を書きな
がら、蝶の存在と不在という哲学的なテーマには共感する一方で、黒木がそこに加
えようとする戦争の影という要素に対しては正直なところ十分に理解できなかった、
と言う。そして黒木の晩年の作品を見てみた時、やはり自分(岩佐さん)とは違っ
て黒木は戦争に対する当事者的な責任感を抱えている世代として『とべない沈黙』
にも原爆や復員兵のエピソードを入れずにいられなかったのかもしれない、と推察
していた。そして、岩佐さんがこうした自身と黒木との志向の差異を“作品にメッ
セージ性を与えるか否か”と表現していたことが興味深かった。
『とべない沈黙』の物語構成は確かにまとまりに欠けている。しかし黒木のPR映画
づくりを思い返してみて気がつくのは、黒木の作品においては、メッセージに不足
があっても映像感覚のレベルで映画が保たれていくということである。それは以前
も記したように、PR映画の中で映像表現を工夫してきた彼の力量が成せる技でもあ
り、『とべない沈黙』が混乱した物語にも関わらずギリギリのところで不思議と成
立しているということは、欠点というよりむしろ特質であるとも言える(*3)。黒木
のこれ以後の作品を見ても感じることだが、意識的なメッセージ性は常に持ちなが
らも、そことは異なる次元で映画的なパワーを宿してしまう、というユニークさが
彼の中にはあるのではないだろうか。
●映画を論ずることの不確かさ
さて、“ドキュメンタリー”という言葉に対する問題提起から始まったはずのこの
連載は、途中から黒木和雄のPR映画の話に特化してしまった。そして実際に私の書
いた卒論もやはり、私自身が思っていた以上に黒木という一人の作り手と『あるマ
ラソンランナーの記録』という一つの作品に惹きつけられ、そこに比重を強くする
ことになったのだった。私がこの卒論を書きながら思い知ったのは、映画史のある
一場面を論じようとする時に、こうした固有の人物や作品の具体性を尊重しなけれ
ば、それは研究者に都合のよいカテゴリー的な切り口に甘んじてしまうということ
である。私は60年代当時に黒木と関わりのあった方々へ取材をする中で、彼らがそ
うした勝手な枠組みでまとめられることを非常に警戒していると感じさせられるこ
とが多かった。今回の場合で言えば、岩波映画に集った作り手たちを伝説的に見た
り、『あるマラソンランナーの記録』を政治運動の先入観で捉えたりすること、ま
たは“ドキュメンタリー”の定義にだけ固執することもそうであろう。しかし実際
には、どんな局面にも忘れられがちな要素や小さな例外がいくつもあり、それらが
積み重なって結果的にひとつの動きを形成したに過ぎない。私は当事者である映画
の作り手たちに生の声を聞くことでそのことに注意を払うようになり、できるだけ
多角的に、慎重に論考を進めることの必要性とその難しさを実感することになった。
そして私にとって面白かったのは、もとは60年代のPR映画の社会的・時代的な特徴
を浮き彫りにするために黒木の『あるマラソンランナーの記録』を引き合いに出し
たのだが、彼について調べるうちに、映画の作り手がいかに映画と向き合ってきた
か、という非常に普遍的な問題提起についても考える運びになったということであ
る。だから私の論考は予想外にも、黒木とその仲間たちがひとつの時代の上で刻印
したことと、一方で時代を超えて通ずる彼らの作り手としての姿勢と、その両方を
映し出すような結論を迎えた。具体的な事象を掘り下げていくことで後者のような
普遍的な要素が見えてくるということも、今回の執筆を通した発見であった。
しかしながら、これらの論はあくまで不確かな仮説でしかない、ということをここ
にあらためて記しておきたい。私が大学で色々な映画研究に触れて学んだことのひ
とつに、対象に誠実な論文ほど安易な断定を避ける、ということがある。とくに映
像という多元的な魅力のある媒体について論じようとする時、それを言語化するこ
とにはどこまでも疑いを持つ必要があるように思う。私が何とか完成させた卒論は、
果たして考察の中にそうした余地を残せているだろうか。そんなことを思っている
と不意に、矛盾したバラバラの要素を生かしたまま大きなまとまりにしていくとい
うやり方は奇しくも黒木和雄の映画づくりとも通じていると気づいて、こうした妙
な一致にも感慨を覚えながら、このドキュメントを終わりとしたい。今までご通読
くださった方、ありがとうございました。(完)
(*1)黒木が『とべない沈黙』を手がけることになった経緯は、阿部嘉昭・日向寺太
郎『映画作家黒木和雄の全貌』(フィルムアート社/1997)の「黒木和雄による黒木和
雄─全作品をふりかえる」、山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局編『ドキ
ュメンタリー映画は語る─作家インタビューの軌跡』(未来社/2006)の黒木和雄の章
などで詳しく触れられている。
(*2)東陽一「青の会と『とべない沈黙』のころ」国立近代美術館フィルムセンター
編『NFCニューズレター 72号』(2007)p.9 ……黒木の追悼特集に向けて書かれた東
さんのこの文章には、彼の当時の状況に対する姿勢が率直に表れていて興味深い。
(*3)『とべない沈黙』の公開当時にすでに、松本俊夫が「黒木作品の魅力の本質は、
欠陥や限界をも、強引に克服してしまおうとする葛藤にある」として「ゴッタ煮」
の美しさを指摘した評を寄せている(松本俊夫「『とべない沈黙』論ノート」前掲
『映画作家黒木和雄の全貌』p.115)。
■中村 のり子(なかむら・のりこ)
2006年度に明治学院大学芸術学科映像専攻を卒業。卒論は「ドキュメンタリーとい
う亀裂──黒木和雄の『あるマラソンランナーの記録』にみる日本の1960年代のPR
映画製作」。受付スタッフをしているイメージフォーラムでは、現在2つの劇場で
A・ソクーロフの『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』と想田和弘の『選挙』を上映
していて、一時的にドキュメンタリー映画館の様相を呈しています。お越しいただ
けたら嬉しいです。お待ちしております。
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┃02┃□ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫
┃ ┃■コミュニティビデオが映すアメリカ
┃ ┃■東谷 麗奈
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●社会の基層を撮る
勤め先のメディアセンターDCTVで、映画祭配給担当から制作部に移って早8ヶ月が過
ぎた。いくつものプロジェクトを平行しながら、めまぐるしく日々が過ぎていく。
私のいる部署は、コミュニティ・ビデオプロダクションといって、アメリカでもそ
の業務内容を理解してもらうのには少し時間がかかる。テレビで放映されたり、劇
場で公開されるいわゆるドキュメンタリーを制作している部署とは異なり、ここで
は平たく言えばプロモーションビデオを制作している。ただし、顧客が企業ではな
く、非営利の組織や草の根の活動を行っている団体であるというところに大きな違
いがある。
日本では約2万ほどあるといわれるNPOだが、アメリカには120万を軽く越える数の団
体が存在している。環境、政治、経済、教育、医療など、実に様々な内容でまた
様々なレベルでの活動が行われている。規模はニューヨーク市内というローカルな
ものもあれば、国内海外合わせて数十箇所に及ぶオフィスを構えているというケー
スもある。しかし、彼らに共通しているのは、公的援助はほとんどなく、基本的に
は財団や企業、篤志家の寄付によって運営しているということ、つまり限られた予
算しかないということである。社会への貢献度の観点に立つと非常に重要な活動を
しているにもかかわらず、資金集めに関わる広報や宣伝に十分な予算をとることが
できないため、民間の認知度が上がらない。認知度が低ければ寄付も集まらないと
いう悪循環に陥っている。
そこで、コミュニティに貢献することを使命としているDCTVでは、同じ使命を持つ
団体のために低予算でプロモーションビデオを作ることで、広報、寄付集めの手段
を提供している。強みは、1970年代からドキュメンタリーを作ってきた経験を活か
した、質が高く内容の充実したビデオの制作が可能なことだ。企業ビデオでよく見
かけるような、ナレーション中心の統計やグラフが度々登場するような情報提供も
のにはならない。団体で働く人、あるいはその団体の活動によって恩恵を受けた
人々を追いかけるミニドキュメンタリーのスタイルをとる。個人の表情がより見え
るビデオにすることで、その団体の活動により深く共鳴してくれることを狙うのだ。
例えば、私が担当した顧客に、移民や経済的に恵まれない家庭の子供たちの教育支
援をする団体があった。対象となるのは、3歳から5歳の小学校に行く前の子供たち
だ。これらの子供たちの多くは、親自身が十分な学校教育を受けたことがないこと
から、小学校に入る時点で既に後れをとっていることが多い。先生の言っているこ
とが理解できなかったり、課題をこなせなかったり、他の子供たちとの協調性がな
い。そこで、この団体は、親子の絆は代えがたいという信念の基に、子供たちを予
備校に呼び集めるのではなく、家庭での子供の教育を支援する活動を行っている。
取材で出会ったテキサスのダラス郊外に住むラテン系移民の家族は、住む家からし
てすさまじかった。長屋のような一軒家が仕切られ3世帯が住んでいるのだが、台所
兼リビングを含めわずか2部屋しかない空間に、4人の子供と両親が生活している。
掃除されていない部屋はゴミだらけで床はツルツルと滑り、異臭が鼻を突く。そこ
に赤ちゃんの哺乳瓶が落ちたときは、カメラマンと二人で思わず声を上げそうにな
った。しかし、だからといって生活が荒んでいる訳ではない。若い母親は子供たち
をとてもかわいがっており、子供たちもお互いに仲がよく見知らぬ私たちにもすぐ
なついた。
母親は、子供たちに十分な教育を受けさせようとこの団体のプログラムに参加して
いる。毎週、家庭に団体から派遣されるインストラクターがやってきて、教材を渡
して子供への教え方を説明する。あとは、毎日15分づつ子供たちとゲーム遊びをす
る感覚で教材をこなしていけばいい。丸、三角、四角の違いや、牛はどんな声で鳴
きますかとかいったごく簡単な教材から始め、教育を受けたことがなく子供にどう
教えたらいいのか分からない親や、英語がろくに話せない移民の親も一緒に勉強す
ることができるようになっている。彼女の長女は、言葉の発育が遅れていて特別教
育を受けていたが、プログラムを通して目覚しく成長し、今では小学校でも優秀な
生徒のひとりになっている。母親が、娘のことを誇りに思うと言って涙をこぼした
ときは、こうした団体の草の根の活動がどれだけアメリカ社会の底辺を支えている
かを実感した。これらのプログラムが全て無料で提供されているのだから更に驚か
される。
また、精神病患者の支援をする組織の建物を訪れたときは、まずその外観から意表
を突かれた。クラブハウスとよばれる建物は、マンハッタンでも裕福なコミュニテ
ィに建っており、並木道沿いに思わず足を踏み入れたくなるような美しい玄関を構
えている。豪華な石造りのロビーの横には、ギャラリーがあり、緑豊かな中庭があ
る。「建物内どこにも立ち入り禁止区域はないんです」とスタッフが説明してくれ
た通り、とても解放的で気持ちのよい場所だ。患者ではなく、同じ人間なのだから
と、組織の名前には一切精神病をほのめかす言葉が含まれていない。彼らが社会復
帰することを支援しているため、中では様々な仕事が彼らの手に委ねられている。
たとえば、カフェテリア(食堂というにはとてもきれいな環境)で給仕をしてくれ
るのは彼らだし、毎日、ニュースレターを発行して配るのも彼らだ。こうした努力
を重ねて、一流企業に勤めることに成功している人がたくさんいるのだからすばら
しい。そして、それを支えるスタッフの情熱にも脱帽する。
この仕事をしていると、こうして思いもかけなった人々に出会い、その暮らしを見
させてもらうことになる。それは、またアメリカの社会が抱える多くの問題の一端
を知る過程でもある。その度、私はやはり日本のことを思わずにいられないのだ。
私が知ることのなかった日本社会の側面、そしてそこに手を差し伸べる人々がどれ
ほど存在するのだろうか。劇場やテレビで放映されるものだけがドキュメンタリー
ではない。
草の根のレベルで、ドキュメンタリーが果たせる役割が、まだまだあるような気が
するのだ。
■東谷 麗奈(ひがしたに・れいな)
ニューヨークを拠点に、ディレクター、カメラマン、編集者として数多くのビデオ
制作に関わる一方、新聞、雑誌などで映画批評活動を行う。現在、マンハッタンの
メディアセンター、ダウンタウン・コミュニティ・テレビジョンセンター(DCTV)
で、プロデューサー兼ディレクターとしてコミュニティ・ビデオの制作に携わる。
初の長編ドキュメンタリー『Shall We Sing?』がコネチカット映画祭及び東京ビデ
オフェスティバルで観客賞を受賞。ニューヨーク大学大学院映画学研究科卒。
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┃03┃□列島通信 ≪沖縄発≫
┃ ┃■南島の劇場から 巡回上映、そして子どもたちへ
┃ ┃■真喜屋 力
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●映画はどこにでも行けるし、観客はどこにでもいる
桜坂劇場には3スクリーンの設備がある。そこで6月に上映されている2本は沖縄の映
画だ。一つは中江裕司監督の『恋しくて』。もう一つは岸本司監督の『アコーク
ロー』。二人とも20年前から、自主映画を作ってきた仲間。ついでに言うとフィル
ム・オフィスの主要スタッフ又吉氏もそう。なんか沖縄の映画状況も変わってきて
いるのを実感。なおかつ『アコークロー』は監督の熱烈な希望により、オール沖縄
スタッフで現場をこなしている。クレジットを観れば、沖縄の名字がずらっと並ん
で、学校の名簿を見ているような気さえする。映画の経験は浅くとも、技術スタッ
フのレベルは、ずいぶんとあがってきている。おもしろいのは『アコークロー』は
ホラー映画であるにも関わらず、ご当地映画としての色も濃く、こちらが想像して
いた以上の年齢のバラつきがある。老人の映画好きが、他地方より特別に多いとは
思えないのだが、ユニークな結果が出ている。
一方『恋しくて』のほうは、東京では中江作品にしては不調なようだが、沖縄では
好調。公開から1ヶ月過ぎた今も安定した集客が続いている。そして今月から中江作
品好例の地方巡業もスタートする。上映はロケ地石垣市を皮切りに、全30ヶ所以上
の市町村、離島を回る。こちらの主催はあくまでも上映委員会だが、各地の上映責
任者として、桜坂劇場の若いスタッフが1地域1名の割合で派遣される。普段劇場で
客を待ちかまえている若いスタッフには、現地の受け入れ先との調整や券売など良
い勉強となるだろう。
『アコークロー』もホラー映画としては珍しく、ロケ地の公共施設での凱旋上映も
あり、桜坂劇場で担当することが決まっている。さらにデジタルコンテンツ協会と
の事業で、地方ホールでのデジタル機材を使った、旧作邦画の上映活動も毎月行っ
ていくことが決定した。こちらはわりと大きめのホールが中心だが、桜坂劇場とし
ては、『恋しくて』と同じように草の根的な公民館周りにまで発展させたいと思う。
会社的には年間50本以上の巡回上映を目指している。
劇場は僕らの活動の拠点であるが、あくまでも拠点でしかない。映画というのは本
来どこにでも行けるものだし、観客はどこにでもいる。映画というクリエイティブ
が、本来自由であるということを証明するためにも、そして映画が来るのを待って
いる遠くの人や、身体の不自由なお年寄り(彼らは映画黄金期に映画漬けになった
人々)がいる限り、そして映画という産業の未来のためにも、ビデオでは味わえな
い体験を持って回りたいと思っている。
余談だが、今年の夏に予定している子供向けの映画祭には物語が用意されている。
かつて映画の巡回をおこなっていたロボットが、時代の流れに忘れられて動かなく
なってしまったという哀しい物語だ。映画祭期間中、劇場前にはそのロボットのハ
リボテを展示する。ロボットの頭にビデオ・プロジェクターが仕込めるようになっ
ている。
映画祭のラストには、子どもたちが野外に劇場を作り、そのロボット・プロジェク
ターで上映会を行うのだ。映画の歴史というと、リュミエールとかグリフィスとか、
そういうことも大事だが、草の根的な上映というプロセスを感じさせる映画祭にな
ればと思う。
■真喜屋 力(まきや・つとむ)
1992年『パイナップルツアーズ』の1パートを監督。BOX東中野(現・ポレポレ東中
野)スタッフを経て、演出業、Web製作などで、東京、沖縄、台湾を行ったり来たり
していたが、2005年4月より沖縄に居座り、桜坂劇場プログラムディレクターを担
当。
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┃04┃□neoneo坐6月後半の上映プログラム
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会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩1
分、JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。
詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。 http://www.neoneoza.com/
■映像作家・土本典昭 発見の旅
『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』公開記念上映&トーク
映画『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』のユーロスペースでの公開
を記念して、土本監督作品の上映とトークを開催します。代表作の一つである『不
知火海』を始め、比較的目にする機会の少ない『海とお月さまたち』など、5作品を
上映。トークゲストには、「青の会」での土本監督の盟友で『叛軍No.4』などの映
画監督・岩佐寿弥さんと、映画『チーズとうじ虫』の監督・加藤治代さんを予定し
ています。
6月16日(土) 14:00〜 「アバンギャルド映像作家・土本典昭」
「水俣シリーズ」で知られる映画作家・土本典昭は、また同時にアバンギャルドな
作家でもあります。初期の代表作である傑作『ドキュメント路上』や、新聞の切り
抜きから原発行政の矛盾を静かに告発する実験的な『原発切抜帖』などに、映像表
現の自由さを発見します。
14:00〜『ある機関助士』(1963年・37分)
14:50〜『ドキュメント路上』(1964年・54分)
16:00〜『原発切抜帖』(1982年・45分)
17:00〜 トーク 土本映画を語る夕べ―1
ゲスト:岩佐寿弥(映画作家)
聞き手:藤原敏文(『映画は生き物の記録である』監督)
6月17日(日) 14:00〜「海の作家・土本典昭」
「水俣シリーズ」の中でも叙情的な代表作『不知火海』と、命を育む海を描く『海
とお月さまたち』から、海の作家・水の作家である土本典昭の魅力を探ります。
14:00〜『海とお月さまたち』(1980年・50分)
15:00〜『不知火海』(1975年・153分)
17:45〜 トーク 土本映画を語る夕べ―2
ゲスト:加藤治代(映画『チーズとうじ虫』監督)
【料金】上映 1,500円(出入り自由/『映画は生きものの記録である』
前売券提示の方は1,300円)
【TALK料金】1,000円(ワンドリンク+おつまみ付き)
※ 上映とトークは別料金となります。ご了承ください。
【お問い合せ】スリーピン(デジタルムービー工作室内)
TEL:03-5327-3771(平日 11:00〜18:00)
■NEO Gallege Bar 番外編
映像の密会:大西健児作品集+大和隆生LIVEパフォーマンス
6月21日(木) 20:00〜 第一弾(上映作品未定)
料金:2000円(軽食付・アルコール類は別料金/1ドリンク300円)
問合先:SPACENEO 佐々木 TEL:090-3271-5280
■「短篇調査団 アンコール」 短篇調査団アンコール 科学と芸能の夕べ
2005年のスタート以来 おかげさまで50回を突破した「短篇調査団」。
これまでの上映作品約200本の中から「もう一度見たい」 9本を集中上映!
鑑賞無料・上映カンパ(500円)にご協力感謝します。
6月23(土)… 猫の巻
17:00〜18:05『阿寒湖のまりも』
◎雄大な伊福部サウンドで綴るマリモの生態とアイヌ文化
まりもは浮き上がったり沈んだりして成長し、100〜200年生きる。10月にはアイヌ
のまりも祭の儀式が古くからの歌と共に行われる。日本の科学映画の父・太田仁吉
監督の遺作。1954年/15分/白黒版(全巻傷あり)/制作:科学映画研究所/監修
:西村真琴/脚本・監督:太田仁吉/撮影:関口敏雄/音楽:伊福部昭
『球』
◎歪みのない「真球」が披露する驚異のアクロバット映画
ベアリングなど近代産業の中で重要な役目を果たしている「球」。より精度の高い
「真球」を追い求める技術者たちの努力を見つめる。1975年/28分/カラー/制作
:東邦シネ・プロ/企画:天辻鋼球製作所/監督・撮影:市川雅啓/脚本:鮫島亀
祿/撮影:志賀葉一/解説:荒川修
『あなのふしぎ』
◎森羅万象“あな”だらけの世界に迫る珠玉のシネポエム
生きものは「あな」と関わりをもち、人間は穴の特性を利用し色々なものをつくる。
それは生体の中の小さな穴とよく似ている。穴の性質や働きを巧みに取込んだ人間
の知恵を子供たちに紹介する。1978年/17分/カラー/制作:シネ・サイエンス
(現・アイカム)/企画:科学技術庁/脚本・監督:武田純一郎/撮影:長谷川高
久・杉山章/音楽:池野成
18:20〜19:30『でたらめの規則』
◎確率と標準偏差=“でたらめ”の正体に挑む本格数学映画
血液検査で顕微鏡をのぞくと、赤血球のばらつきは一見「でたらめ」な状態にあり
ながら、そこには法則性があり、それを推計できる。こうした確率と標準偏差の問
題を数式と実験で証明していく。1971年/35分/カラー/制作:岩波映画製作所/
指導:文部省/脚本・監督:花松正卜/撮影:中神賢史/解説:竹内三郎
『猫の散歩』
◎野良猫が公衆衛生を説くエンターテインメント教育映画
「吾輩は猫である。空地も川もゴミでいっぱい。ネズミが天井を走り回る下で人間
様は平気で食事をしている。ハエ、ゴキブリ、ネズミ、ダニ、蚊―人間の家なんて
害虫のアパートみたいなものだ」…野良猫から見た人間と害虫どもの真夏の騒動を
風刺的に描き出す。1962年/30分/白黒制作:桜映画社/企画:中外製薬/監督:
大橋秀夫/監修:山本嘉次郎/脚本:岡野薫子/撮影:アン・スンミン/音響:大
野松雄/猫の声:高橋和枝
19:30〜21:00 TALK BAR「猫屋」開店!
上映後は居酒屋スタイルのTALK BARでまったりお楽しみください。
おまけ上映 ◎「映画の中の猫」特集!
1ドリンク&お食事+猫グッズおみやげ付き 1,500えん
6月30日(土)… めがねの巻
17:00〜17:55『りゅうの目のなみだ』
◎ジャパニメーションの鬼才、初の映画演出作品
村の人々を苦しめる恐ろしい竜を確かめに、一人の少年が山に向う。竜は少年の美
しい心に感動して涙を流し・・・優しい心を育もうとするアニメーション。1981年
/20分/カラー/制作:学研映画/原作:浜田広介/監督:押井守/脚本:富田祐
弘/音楽:菅野由弘/作画:田中享/撮影:アートスタジオ
『あき巣』
◎怪優・伊藤雄之助氏熱演のピカレスクロマンな防犯映画
年間300億円もの被害額に上る窃盗。平和な家庭生活に忍びよる黒い影…常習の侵入
犯(演:伊藤雄之助)の体験を通して、最も効果的な予防対策を具体的に訴える。
1967年/30分 カラー(褪色)/制作:朝日テレビニュース(現・テレビ朝日映像)
企画:東京防犯協会連合会/脚本・監督:山崎大助/撮影:有村弘/出演:伊藤雄
之助・阿部寿美子・浦野光・利根はるゑ・山本鱗一 ほか
18:10〜19:15
『涅槃―雛―』
◎“あの”実相寺スタイルで展開するシュールな伝統文化映画
日本独特な芸術である雛人形を通して人間社会の業、祈願、期待を見つめる短篇。
人形の発生であるひとがた、呪術用具としての雛形が近世の雛人形に変わって行く
歴史をたどり、精神の形成をみる。1975年/10分/カラー/制作:キングレコード
/脚本・監督:実相寺昭雄/撮影:中堀正夫/美術:池谷仙克/音楽:広瀬量平/
語り:清水紘治
『めがね小僧』
◎宇野重吉監督が子どもの繊細な心を描く児童劇映画
内気なためにめがねをかける勇気のない進少年が、義父をはじめ家族の暖かい愛情
に支えられてめがねをかけるようになるまでの物語。1958年/50分/白黒(全巻傷
あり)/制作:民芸映画社/原作:漆田康二/監督:宇野重吉/脚本:久板栄二郎
/撮影:荒牧正/音楽:斎藤一郎/出演:宇野重吉・小夜福子・中西一男・南風洋
子 ほか
19:15〜21:00 TALK BAR「めがね屋」開店!
上映後は居酒屋スタイルのTALK BARでまったりお楽しみください。
おまけ上映 ◎「映画の中のめがね」特集!
1ドリンク&お食事+めがねグッズおみやげ付き 1,500えん
◇────────────────────────◆◇◆
■『月刊『もっちょむ』6月集壕』〜あがた森魚月刊映画上映会〜
6月24日(日)
開場 17:00 (開場中に『もっちょむうすけしぱあぷるへいず4月號』上映)
上映開始 18:00 『もっちょむうすけしぱあぷるへいず5月號』
上映後、トークあり 監督:あがた森魚、岡本和樹 来場予定
料金:2000円(『月刊映画5月號』DVD-R付)
問合先:月刊ぱあぷる 倉科 mail:purple@agatamorio.com
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■短編調査団(51) 選挙の巻
6月27日(水) 20:00〜
『考える私の一票』
1960年代/10分/白黒/制作:東京都映画協会/企画:東京都広報室
■明るい民主主義と平和の道からはずれないためのハンドルは私達の一票にある。
私達は選挙についてもっと関心をもたなければならない。
『激戦区オクスフォード―イギリス総選挙―』
1966年/26分/白黒/制作:岩波映画製作所+大広/企画:自治省/
プロデューサー:伊坂達孝/監督:秋山矜一/脚本:高村武次/撮影:西山東男
■大学の都市として知られるオクスフォード市における1966年3月のイギリス総選挙
の模様を記録し、イギリス人の選挙のやり方、政治気質などを伝える。
『東京はいま…新しい革新都政をめざして』
1982年/30分/カラー/制作:にっかつ/企画:東京都区職員労働組合
■鈴木都政の四年間は都民にとって何だったのか。都民にとっての、ゆりかごから
墓場までを鋭く総括したドキュメント映画。
『主役はあなた―義理と選挙―』
1967年/33分/白黒/制作:東映教育映画部/プロデューサー:田中森治/
脚本・監督:豊田敬太/脚本:堀内甲/撮影:原田英昭
■農村における選挙には未だ多くの悪い習慣が残っているといわれている。ある村
長選挙をめぐって、一人の農民が義理人情にしばられて選挙違反をおかす過程を描
き、正しい選挙のあり方を示す。
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┃05┃□広場
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■新・クチコミ200字評!(55)
■清水浩之(6/23・30は短篇調査団アンコール! http://d.hatena.ne.jp/tancho/)
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビなど
皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オススメ
しない映画とその理由!」もOKです。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアドレ
スor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィールや
近況も)を付記してお送りください。ちなみにここでは稿料は出ません。
清水浩之 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839
B-214『選挙』
2006年/制作:Laboratory X,Inc./監督・撮影・編集:想田和弘
渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国各地で上映中
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/
小泉「改革」真っ只中の2005年、川崎市議補選に落下傘立候補した自民新人の選挙
戦“観察映画”。選挙はお祭りとよく言われるように、日本のマツリ(祭=政)を保
守派がムラ単位で担ってきた歴史、その象徴たる自民党の強さの秘密がよくわかる
作品。
「改革」と叫べば誰でも当選する状況は、尊皇攘夷や大東亜共栄圈など中身を問わ
ないワンフレーズ主義の「美しい国・日本」を見事に映しています。有権者はもち
ろん各党も選挙対策に必見!(清水浩之)
B-215『歩く 東京―広島平和行進』
1975年/制作:翼プロ/監督:板谷紀之
見た場所:明治大学リバティタワー「被爆者の声をうけつぐ映画祭」
http://eigasai.exblog.jp/
夢の島の第五福竜丸前から広島の平和記念公園まで、各県の原水協・民青・新日本
婦人の会がリレーでデモ行進する70日間の記録。参加者5700人がひたすら歩き、声
を上げ、沿道の家々でカンパを募る姿に「♪歩く〜歩く〜原爆ゆるすな〜戦争やめ
ろ〜」と主題歌を繰り返すプロパガンダ映画がなぜか感動的なのは、参加者も取材
者も「正義感」を原動力にしているから?今時の「現実主義」なる打算に飽き飽き
した皆さんにオススメです。(清水浩之)
B-216『独立宣言』
2006年/監督・主演:梅澤佳寛(埼玉県秩父郡)
調布映画祭第10回ショートフィルム・コンペティション入選
http://www.chofu-culture-community.org/movie/05index.htm
80年代生まれにも拘わらず80年代アイドルに恋した青年が、ママチャリ型のタイム
マシンを開発してゴー・トゥ・ザ・パストする物語。「なぜ島田奈美なのか」「な
ぜ彼は彼女と結婚できるのか」「誰にこの作品を見せるのか」といった他者の「な
ぜ」には一切迎合せず、ただ「自分が見たい映画」に忠実な制作姿勢が清々しいで
す。人呼んで"ビューティフル・ドリーマー"こと梅澤氏の生活と意見に迫る『童貞。
をプロデュース』は8月公開!(清水浩之)
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■『映画は生きものの記録である』ニュース(9)
公式ホームページ: http://www.tsuchimoto-eiga.com/
6月2日(土)
宣伝を手がけた作品の公開日の前日(というか数日間)というのは、落ち着かない
もので、何度経験しても「慣れる」ということはないような気がします。期待と不
安が入り交じって、というあまりにも、ありふれた言い方しかできない高揚感を感
じる一日です。パンフレットも無事完成し、手持ちでユーロスペースに納品。初日
を待つばかり。
ということで公開日の朝。思ったよりよく眠れました。少しは「慣れた」のでしょ
うか。朝の渋谷はなぜか気持ちいいものです。人混みと喧噪が始まる前の、静かさ
がいいですね。
ユーロスペースに到着し、事務所へ。初日舞台挨拶に登壇していただく土本監督と
奥さんの基子さん、それに藤原監督と伏屋プロデューサーも既に到着していました。
簡単に段取りを打ち合わせて、上映が始まる階下に劇場に移動。
ベルがなって舞台挨拶がスタート。藤原監督、伏屋プロデューサー、土本監督の順
番で挨拶いただきました。土本さんの悠々たる話しぶりが、やはり印象深い挨拶で
した。満場の客席…とはならなかったものの、ご来場いただいた皆様ありがとうご
ざいました。
舞台挨拶と上映終了後は、打ち上げも兼ねて道玄坂の高層ビルにある和風レストラ
ンへ。ビールで乾杯。土本さんも交えていろいろな話しに花が咲きます。僕はとい
うと、ビールを口にしたら、ドッと疲れを感じフラフラになってしまいました。
「映画の宣伝に慣れた」なんて思うには十年早いと改めて感る、一日となりました。
『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』は渋谷ユーロスペースで、6月29
日まで上映です。よろしくお願いします。(宣伝担当:原田)
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■投稿:山形国際ドキュメンタリー映画祭への提案
■本田孝義(映画監督)
先ごろ、山形国際ドキュメンタリー映画祭への応募が締め切られ、今年10月開催の
映画祭もいよいよ本格的に準備が進められているところだと思う。
すでにいろんな形で話題となっているように、今年4月1日から山形国際ドキュメン
タリー映画祭実行委員会は、山形市から独立しNPO法人となった。前回の映画祭期間
中にも山形市との関係について様々なことがあちこちで語られていたから、NPO法人
としての再出発には「やはりそうなったのか」という気もし、あまり驚きはなかっ
た。しかしながら、よくよく考えてみれば、なぜそうなったのかについては、あま
り具体的な話を聞いたことはなく、私のまわりでも憶測・噂が飛び交っていたのも
事実だ。また、NPO法人に対する会員の募集があったり、映画祭の財政を心配する
方々がカンパを呼びかけているのを何度か目にした。
私自身が一番危惧しているのは、今年の開催はなんとかなるのであろうが、次回が
どうなるのか、ということだ。今年の映画祭が始まってもいないのに、いまからこ
んな心配をすると鬼が大笑いするのであろうが、自分にとっては楽しみで刺激を受
ける映画祭であるのだから気になるのである。
そこで私から山形国際ドキュメンタリー映画祭にお願いしたいことがある。前回の
映画祭後、どのような話し合いがあり、NPO法人という道を選択することになったの
か、また、今後、映画祭を継続していくためにどのような展望を持っているのか、
ぜひ、今年10月の映画祭の場で、公に議論できる場を設けていただきたいのである。
組織運営に関しては公に出来ることも出来ないこともあるだろう。何も全ての内情
をさらけ出すべきだ、と言っているわけではない。直接映画祭の運営にタッチして
いない、私のような外野の人間が、どのようにすれば映画祭を応援できるのか、真
剣に考えることの出来る材料と場を求めているだけだ。
今からこういうことを言うのは気が引けるが、多分、今年の山形映画祭ではありも
しない憶測や噂があちこちで語られるような気がしてならない。そういう状態はけ
っして好ましくはないだろう。であればこそ、これまでの山形国際ドキュメンタ
リー映画祭がどうであったのか、これからの山形国際ドキュメンタリー映画祭がど
うなっていくのかをオープンな形で語り合える場を、映画祭のプログラムの中に組
み入れて欲しいと切に願うのである。
山形国際ドキュメンタリー映画祭は、いろんな意味で大きな存在になった。映画祭
をどうするのかについて、世界の、とりわけアジアの映画作家たちに対する責任も
あるはずだ。実行委員会の方々がこのneoneoを読んでいるのなら、一考していただ
ければ幸いです。
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■募集:「自作を語る」などの原稿募集!
「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。
文字数:1600字程度。厳密な規定はございません。
監督のプロフィール(150字程度)
その他:作品の仕様(制作年度、時間、ビデオ又はフィルム、スタッフ等)
上映のスケジュール、HP等をお知らせください。
原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋まで
稿料:無料。
その他、さまざまなご意見、投稿を募集しています。
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■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)
neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力
ください。
(1)上映等の告知の有料化 1200字(40字×30行)以内につき、2,000円です。
それ以上の字数の場合は加算します。
(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。
送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、
みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782
(有)ネットワークフィルムズ
(銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせ
ください。)
以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。
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┃06┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
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●中村のり子さんの6回にわたる連載が完結した。若い世代からの発言を願ってきた
私としては、嬉しい掲載だった。1960年代後半に勃興した自主映画制作前夜のPR映
画の状況を吟味し、その只中から生まれた黒木和雄の『あるマラソンランナーの記
録』を検討し、『とべない沈黙』を関わったスタッフの証言を基に考察してもらっ
た。この連載は好評だった。これまで論及されて来なかったPR映画の内実に本格的
にメスをいれたことが大きかったと思われる。この論考によって、60年代のPR映画
と自主制作映画が、「断絶」ではなく「連続」として捉えられる問題提起が新鮮だ
ったのではないかと思う。この時代の映画状況については、今日の映画を考えるう
えでも、大きな示唆を与えると思われるので、より多面的な角度からの研究を期待
したい。
●ニューヨーク在住の東谷麗奈さんが自らの仕事を紹介している。それは、全米の
NPOや草の根団体のように公的支援を受けない、財政的に苦しむ団体がその活動を知
らせ、民間から支援を受けるためのプロモーションビデオを製作する仕事である。
これは、東谷さんが勤めるメディアセンターDCTVの活動の一分野であるが、低予算
かつ質の高い作品を制作することをモットーにしている。この仕事に東谷さんは誇
りを持って臨んでいる。それは、アメリカの格差社会にあって、社会の基底に住む
人々に共感をもって見つめているという自負と貢献への裏づけがあるからだと思う。
また、そうした弱者に手を差し伸べる人たち(団体)がアメリカには存在すること
を発見していることからくるのであろう。そのうえで、東谷さんは、日本の現状を
振り返っているが、日本に住む私たちにとっては、痛い所を突かれた思いがある。
●真喜屋力さんからは、那覇の桜坂劇場の巡回上映の報告が届いた。「映画という
のは本来どこにでも行けるものだし、観客はどこにでもいる」という信念をもとに、
沖縄各地を巡回上映しようとしている。その場合、桜坂劇場は定点の劇場として機
能するが、一方で、こちらから積極的に上映に出かければ(出前すれば)、より多
くの観客と出遭えるという考えに基づいている。つまり、映画はあくまで自由で固
定観念に囚われることなく健脚を発揮すれば、観客をもっと発掘できるという考え
だ。こうした巡回上映は、かって小川プロが行なっていたし、その他にも、たとえ
ば土本典昭監督とそのクルーが水俣の映画を天草・離島で上映していった詳細な記
録もある(「土本典昭―わが映画発見の旅 不知火海水俣病元年の記録」土本典昭
著 図書センター)。巡回上映に苦労はつきものだが、それだけにより密接に反応
が聞けるし、土地の人たちとのぶ厚い関係も築けるというもの。土地を知り、人を
知る。次回作の企画が生まれることだってある。
●本田孝義さんから、「山形国際ドキュメンタリー映画祭への提案」の投稿があっ
た。毎回欠かさず山形映画祭に参加している本田さんだが、昨今の山形映画祭への
心ある提案だと思う。従来の機構からNPOへの移行で生じる今後の映画祭への不安、
情報伝達の不確かさがあるのではないかと思う。映画祭のこれまでの貢献を評価す
るだけに、本田さんの提案を、実行委員会は真剣に検討していただきたいと思う。
●6月2日より渋谷ユーロスペースで『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕
事』の公開が始まった。朝10:20からのモーングショーで6月29日まで行なっている。
平日の動員がもう少しほしいところだが、土日はイベントを行なっていて、評判が
いい。
「土本典昭トーク」は毎週土曜に上映後に行なっている。短い時間ではあるが、
土本さんの映画人生で培った味わい深いトークに耳を傾けていただきたい。
6月16日(土)「私の映画スタッフワーク論の意味は?」
6月23日(土)「誰でもドキュメンタリーをつくれる時代だが…」
「ゲストトーク」は6月17日(日)に上映前の10:00〜10:30から藤原敏史監督とゲス
トの鎌仲ひとみ監督(『六ヶ所村ラプソディー』)を迎えての対談を予定している。
その他、neoneo坐でも、土本作品の上映(傑作ばかり)とゲストのトークイベント
を予定している。詳細は、本誌の「neoneo坐6月後半の上映プログラム」欄を参照い
ただきたい。
幸いにも、映画は好評なのが有難い。29日までの上映の機会を逃さず、ご覧下さい
ますよう、お願いします。
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■発行:ビジュアルトラックス visualtrax@jcom.home.ne.jp
■責任編集 伏屋博雄
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