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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 81号 2007.6.1

発行日: 2007/6/1

 
 
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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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  ┗━┛ ☆━┛ ┗━☆    81号  2007.6.1


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 †01 ■ドキュメンタリー映画のかたち
     ドキュメンタリーの光を探せ─たとえば、黒木和雄のPR映画─(5)
         中村 のり子
 †02 ■自作を語る  『ひめゆり』  柴田 昌平
 †03 ■映画時評   『ひめゆり』  萩野 亮
 †04 ■neoneo坐6月前半の上映プログラム
 †05 ■広場
    ■新・クチコミ200字評!(54)
      『若い心の詩』『御巣鷹山』
      『ふるさとからくり風土記―八女福島の灯籠人形―』
                  (以上の評:清水 浩之)
    ■『映画は生きものの記録である』ニュース(8)
    ■告知:『ドキュメント路上』(土本典昭、1964年)を販売しています
       (作品解説:鈴木一誌)
    ■告知:国際交流基金(ジャパンファンデーション)より
       イベント(6月16日)のご案内
    ■追悼:ゴヴァース・弘子さんを悼む   高橋 晶子
    ■募集:「自作を語る」などの原稿募集!
    ■上映の告知の有料化とカンパのお願い  伏屋 博雄
 †06 ■編集後記  伏屋 博雄


    ★バックナンバー閲覧はこちらまで

   まぐまぐ配信   http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/ 
   melma!配信    http://www.melma.com/backnumber_98339/ 



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┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■ドキュメンタリーの光を探せ──たとえば、黒木和雄のPR映画(5)
┃ ┃■中村 のり子
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●ノンフィクション映画の中の“政治”

黒木が1964年に作ったPR映画『あるマラソンランナーの記録』は、大学での岡田秀
則先生の講義ではじめて見る機会に恵まれた。それは『海壁』(1959年)から『太陽
の糸』(1963年)までに通ずる黒木らしい巧さと華やかさに比べると、地味な印象を
与える作品だ。それが黒木と製作会社との間に激しい対立を引き起こしたと聞いて、
その時の私は何とも不思議に感じたのだった。しかも「『あるマラソンランナーの
記録』事件の真実」という自主発行のパンフレットまで残されている(*1)。そうし
て知りたがり根性が頭をもたげ、あまり言及されず資料も少ない『あるマラソンラ
ンナーの記録』を検証することを卒論のトピックにする、という考えを思いついて
しまったのだった。

卒論本文では『あるマラソンランナーの記録』の映像表現と、その背後にあった製
作上の対立とをそれぞれ仔細に考察したが、ここではその中でも私が感じとったこ
とを二つのキーワードに絞りたい。まず一つ目は“政治”だ。

映画の作り手が自分の表現を貫くために製作会社と衝突する、ということは珍しく
なく、黒木自身も岩波映画の中ではつねに会社と問答しながら作ってきたことが知
られている(*2)。ただ、彼がフリーになって3作目に東京シネマ社で作った『あるマ
ラソンランナーの記録』の場合、その衝突は作品の内側に収まらず、当時のノンフ
ィクション映画界における政治的な価値観の対立に火をつけることになり、他の作
り手仲間を巻き込んで闘争の域に達したのだった。それは1964年という時期を象徴
していたとも言える。

ノンフィクション映画史と政治史とは、切り離し難い関係を持っている(*3)。1958
年に松本俊夫が教育映画作家協会の中から機関紙「記録映画」を仕掛けて以来、若
手とベテランの映像表現をめぐる論戦は確かに新旧左翼の対立にリンクしてきてい
た。松本自身はその点で確信犯的であったし、黒木もかつて共産党に与していたこ
とがあり、世代的にはやはり渦中の人であった。ただし彼は政治的に対立したと言
っても、“政治理念から離れてノンフィクション映画を見る”ことを主張したのだ
った。松本や黒木はちょうど、業界の中でそうしたことを肌で感じながら手探りし
た最初の作り手だと言える(*4)。黒木より下の世代になると大学時代に1956年の
“新左翼”の台頭を迎えており、はなから旧左翼を拒絶する姿勢を持って社会に出
ているのだが、黒木の場合はもっと我が身に戸惑いを覚えていたと思われる。戦前
世代の作り手たちにお世話になりつつも、彼らの政治とノンフィクション映画の結
びつきには違和感がある、という微妙なところにいて、製作システムや表現方法と
同様にやはり転換期の上に立たされていたのではないか。ちなみに土本について言
及するなら、黒木よりも二歳年上で共産党との関係も深いが、そのイデオロギーと
映画づくりとの違いを知っているという点で例外的な存在だったと考えられる。

『あるマラソンランナーの記録』の製作会社である東京シネマは共産党の力が強い
ことで知られていた。しかし会社と黒木との対立は、PR映画(富士フイルムの企画
だった)としての理想図の食い違い、その話し合いにおける組織的圧力、また関係
者の性格的な問題なども含んだものであって、その背景に新旧左翼の亀裂の深まり
が付帯しているに過ぎなかった。黒木のピンチに対して仲間たちが集まったのは、
彼が新しい映像表現を試みる求心的な存在だったからである。だからはき違えては
ならない点は、『あるマラソンランナーの記録』にまつわる闘争は決して“政治の
ための”ものではなかった、ということである。むしろ黒木やその後輩たちがこだ
わったのは、この作品を“政治のための”存在にはさせないというところであり、
パンフレットにもその思いは繰り返し述べられている。包括すれば、『あるマラソ
ンランナーの記録』という作品が、東京シネマの求める社会性・科学性・啓蒙性を
持ったノンフィクション映画ではなく、“ただの表現”であったことが根本的なズ
レとなったのだ。

●ノンフィクション映画の中の“人間”

この“ただの表現”である、というところは、この時期ノンフィクション映画につ
いて考える上で肝心な問題となる。教育や科学や政治などに役立つための作品では
なく、また宣伝に使うためだけの作品でもない、映画はやはり一つの映像表現であ
ると捉えた黒木にとって、興味ある対象が“人間”に移っていったということはあ
る意味で自然なことだったのかもしれない。その傾向は『恋の羊は海いっぱい』
(1960年)や『わが愛北海道』(1962年)や『群馬県』(1962年)などにも見られるが、
『あるマラソンランナーの記録』はその究極のスタイルであろう。ノンフィクショ
ン映画において“人間”を描くとは、どういうことか。私がこの作品を通して考え
させられた、二つ目のキーワードである。

土本さんは、『あるマラソンランナーの記録』にそれ以前の黒木にはないナチュラ
ルな“ドキュメンタリー”の方法を見て驚いたそうだ。それは、ケガをした選手と
いう思い通りにはできない対象を前にした時点で始まったのではないか、と振り返
る(*5)。また、大津さんは『あるマラソンランナーの記録』と土本作品の『留学生
チュア・スイ・リン』(1965年)の二つが、日本において“ドキュメンタリー”の方
法を成立させた最初ではないか、と言っていた。

同志であった彼らの言う“ドキュメンタリー”とは何を指しているのだろうか。映
画をつくる時、どんなかたちでも一つの見世物にまとめることは不可欠である。し
かし“人間”を追う場合、整然と理論化することなど本来は無理であると作り手が
気づいた時、どうするかが問題だ。黒木は君原健二というランナーの走る姿を追い
かけることだけに尽力した。そのやり方は、映画の体裁を考えた場合には一つの賭
けである。頼りになるのは黒木という作り手の視点の他にないからだ。しかしそう
やって全編を組み上げていくのが以前にはなかった“ドキュメンタリー”のやり方
である、と当時の黒木や仲間たちはすでに体感していたのではないだろうか。

私は東京シネマの作った科学映画の中にも好きな作品があるのだが、たとえば竹内
信次の『潤滑油』(1960年)などは小林米作の顕微鏡撮影がある意味で想定外に美し
いカットを撮ってしまった、という点で一種の“ドキュメンタリー”が垣間みられ
る。ただし、調べていて興味深かったことは、東京シネマの会社としての意向では、
そうした部分に重きをおいていたわけではなかったようだ(*6)。そこが黒木たちと
の明確な違いであろう。彼らの対立の本質には、ノンフィクション映画の対象に向
かう姿勢の差異があり、『あるマラソンランナーの記録』の君原の描写のような
“人間”の有り様を認めるかどうかが一つの分かれ道であったと言うことができる。

そして、まもなく作り手の視点を生かす“ドキュメンタリー”という方法が盛んに
なる時代を目前にして、PR映画の中で工夫をやめなかった黒木がその先駆けの一作
を担ったということは、やはりノンフィクション映画史の道筋を感じさせる発見で
あった。岩佐さんは「黒木さんが対象を見極めることができたからこそ行き着いた
方法だったのではないか」と語るが、それは“ドキュメンタリー”という文句を頭
で唱えていても実現しなかったことであろう。

多くのPR映画で実験とフィクションを試み、その後は劇映画で作風を確立した黒木
にとって、『あるマラソンランナーの記録』はやはり異色作であると言っていい。
しかしながら同時に、現場の状況に応じて変化を厭わないという彼の映画づくりの
核心に触れるものでもある。次号はやっと最終回となるが、番外として『とべない
沈黙』の考察を少し加えて、私が卒論を書いていく中で映画史と映画研究について
あらためて学んだことを記して締めくくりたいと思う。(つづく)

(*1)岩波映画で先輩だった藤江孝が中心となってこの闘争の経緯と問題追及につい
てまとめられた100ページ余りにわたる冊子で、私は関係者が保管していたものを参
考にさせていただいた。このパンフレットのおかげで、当時の状況や黒木の意識を
窺い知ることができた。

(*2)『わが愛北海道』の冒頭シーンが会社によってカットされたことなどは、よく
知られているだろう。また『群馬県』も会社の判断でオクラ入りとなった作品であ
る。

(*3)ここに戦前からの歴史を総述することは難しいが、たとえばプロキノ、芸術映
画社、ポール・ローサ、亀井文夫といったトピックを調べると、ノンフィクション
映画と左翼政治との結びつきを実感することができる。

(*4)松本俊夫と黒木和雄の関係は、ノンフィクション映画界に入った時期が近く、
その問題意識の高さも互いに負けず、松本が『記録映画』で打ち出す主張に黒木が
実作で共鳴するような印象を当時から与えていたようだ。その一方で両者の作風は
対照的であり、比較してみると発見が多い。

(*5)ちなみに、土本さんが『あるマラソンランナーの記録』の現場では助監督をつ
とめた泉田昌慶の粘り強さも大きな役割を果たしたのではないか、と言っていたこ
とを記しておきたい。

(*6)東京シネマの理念については、主に川崎賢子・原田健一著『岡田桑三 映像の世
紀』(平凡社/2002)と吉原順平『日本の産業技術映画』(第一法規出版/1989)、加え
て当時の東京シネマで秘書係をしていた郡司良さんのお話を参考にさせていただい
た。


■中村 のり子(なかむら・のりこ)

2006年度に明治学院大学芸術学科映像専攻を卒業。卒論は「ドキュメンタリーとい
う亀裂──黒木和雄の『あるマラソンランナーの記録』にみる日本の1960年代のPR
映画製作」。最近の悩みのひとつは、どうしてもお金が貯まらないことです。映画
料金が高いせいにしているのですが……。もうひとつは、生来の遅筆ぶりが輪をか
けてひどくなってきているということです。どちらも、秘訣を知っているという方、
ご一報ください。



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┃02┃□自作を語る
┃ ┃■『ひめゆり』
┃ ┃■柴田 昌平
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「なぜ今ひめゆりなの?」という質問をよく受ける。「また、ひめゆり?もうお腹
いっぱいだいよ」という眼差しもよく向けられてきた。先週土曜日から東京・ポレ
ポレ東中野でロードショー公開が始まった長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』
をめぐってのことだ。

が、これまで、ひめゆり学徒に正面から向き合ったドキュメンタリーは作られて来
なかった。劇映画やドラマ、ニュースや情報番組などで「沖縄の悲劇のシンボル」
として頻繁に取り上げられるなか、実態への理解がともなわないまま虚像だけが追
い求められてきた。

この稿では、ひめゆり学徒生存者たちが自らの体験を言葉にすることができるまで
に、いかに長い時間と試練が必要だったかを述べたい。そのことが、なぜ今『ひめ
ゆり』なのかの答えになると思うからだ。

ドキュメンタリー映画『ひめゆり』は、1994年以来、足かけ13年にわたって細々と
撮り続けてきた映像を、2時間10分にまとめた作品だ。
が、13年という月日は、ひめゆりの人たちが過酷な体験を語れるようになるまでの
歳月に比べれば、ほんの一時にすぎない。戦場から生きのびた少女たちの多くは、
戦場での出来事を最初は忘れよう忘れようと努力した。記憶を引きずったまま日常
生活を送るには、その体験はあまりに重すぎたのだ。

戦場の記憶が、人間の心をどれだけ蝕むかを目の当たりにした人もいる。ひめゆり
学徒隊の生存者、宮良ルリさんは、終戦直後、沖縄に初めて設置された精神科病棟
で働いた。1945年7月、羽地村真喜屋(現名護市)のテント張りの病院にたどり着い
た宮良さんは、「多くの友人たちが死んでしまった。自分だけ楽な仕事をしていて
は申し訳ない」と、つらい精神科病棟の担当を志願した。そこには戦争のトラウマ
を抱える沖縄県民が百人以上収容されていた。患者たちの多くは、最初はひどく暴
れ、食事も取らず、紐で首を吊ろうとするので、裸にして独房に入れられていた。
わずかな物音でも「ああ恐ろしい。怖い怖い」と怯えて独房の隅っこで縮こまって
しまう人、周期的に暴れるだけ暴れる人、独房の中で飛んだり跳ねたりしながら逃
げまどう人。そうした患者たちの世話をしながら、宮良さんは戦争の惨さを改めて
認識し、泣けてたまらなかったという。

心の傷を乗りこえられないまま亡くなったひめゆり学徒隊の生存者もいる。Kさんは
郷里の小学校教員となったが、やがてひめゆりの学園時代(沖縄戦前)を生きてい
る錯覚を起こすようになった。症状が悪化して休職、実家で座ったままうつむき、
母親が語りかけても反応がなくなった。「こんなになってしまって」と母親が嘆く
なか、1950年、亡くなった。ひめゆりの学園時代には成績優秀で学級委員も勤めて
いた人だった。

過酷な戦場から生きのびても、戦後生活そのものが少女たちにとって棘に満ちてい
た。生存者が最も辛かったのは、亡くなった友達の親御さんと会うことだった。娘
がどこでどのように亡くなったのか、親たちに問われる。そのたびに「自分だけが
生き残ってしまった」と自らを責めた。耐えきれず、生まれ島を離れる人もいた。

ひめゆりの物語は1950年代に入ると小説や映画となって日本全国で大ヒットしたが、
それらは他者がひめゆりを語ったものだった。殉国の乙女として祭り上げられてい
った一方で、当事者たちは口を閉ざした。「ひめゆりばかりが取り上げられて」と
いう周囲の視線から逃れるため、ひめゆり学徒隊の生存者であることをひた隠しに
してきた人もいる。

ひめゆりの生存者たちの多くが、自らの体験を口にするようになったのは、戦後40
年ほど経ってからだった。子育てを終え、還暦も近づき、第二の人生を迎えようと
する頃、平和祈念資料館を建設しようという機運が芽生えた。生存者どうしで頻繁
に集まり、互いの体験や思いを確認しあうようになった。

富村都代子さんは、戦後すぐ故郷久米島で小学校教員になったが、1948年に那覇に
出た。この年6月23日ひめゆりの塔の慰霊祭に列席したが、その夜、悪夢にうなされ
た。壕の中に残してきた友達が追いかけてくる夢だった。というのは、沖縄戦末期
の1945年6月18日、ひめゆり学徒隊には解散命令が下り、生徒たちは壕を離れ米軍が
包囲する戦場の真っ只中に出ていくことを命じられた。富村さんがいた伊原第一外
科壕には負傷して動けない生徒9人が寝かされていたが、彼女たちを壕内に残したま
ま出て行かざるを得なかったのだ。富村さんが見た夢は、壕の入口で友人たちがエ
モン掛けに吊り下げられてこちらを見ている、自分が逃げようとすると次々と追い
かけてくる、というものだった。富村さんは3年つづけて慰霊祭に参加したが、その
度に悪夢を見たため、ひめゆりの塔に行くことができなくなった。
亡くなった友達のことを考えるたびに「生き残った自分たちを恨んでいるのではな
いか」と苦しんだ富村さん。亡き友たちの魂の苦しみを和らげることができないか
と思っていたとき、資料館建設の話を聞き、活動に参加した。

ひめゆり平和祈念資料館には、亡くなった教師・生徒たちの遺影が並ぶ展示室があ
る。資料館がオープンした18年前、富村さんはこの部屋に入るのが怖かった。学友
たちの遺影が自分を睨みつけている気がした。しかし証言員として資料館に通いつ
づけるうちに遺影の表情が変わった。今は友達が微笑みながら楽しかった学園時代
の思い出を語りかけてくるように見えるという。語ることを通して、戦後ずっと背
負ってきた心の傷を乗り越えたのだ。

ドキュメンタリー映画「ひめゆり」にはナレーションはない。生存者たちの証言で
構成されている。語られる内容は重い。しかし地獄を乗り越えた末に紡がれたひめ
ゆりの人たちの言葉は、凛とした力に満ちている。過酷な記憶を掘り起こし、自ら
の言葉にして語ってくれた皆さんに、深く感謝している。

☆長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』は、東京・ポレポレ東中野にて上映中。

詳しくは  http://www.himeyuri.info 


■柴田 昌平

1963年生まれ。東大卒業後、NHK(沖縄放送局、報道局特報部)、民族文化映像研究
所を経て独立。 沖縄やアジアに目を向けた映像作品を作りつづけている。
主な監督作品:NHK『風の橋〜中国雲南・大峡谷に生きる』(ギャラクシー賞)、
NHK『杉の海に甦る巨大楼閣』(ギャラクシー賞・ATP賞)、NHKスペシャル『新シル
クロード・第一集・楼蘭・4千年の眠り』(米・国際エミー賞参加)、NHKスペシャ
ル『新シルクロード・第五集・天山南路・ラピスラズリの輝き』(伊・国際宗教映
画祭参加、2007年ニューヨーク・フェスティバル金賞受賞)、『1フィート映像でつ
づるドキュメント沖縄戦』(教育映画祭優秀賞)、その他 ひめゆり平和祈念資料
館の展示リニューアル事業総合プロデューサーを勤めた。



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┃03┃□映画時評
┃ ┃■『ひめゆり』(柴田昌平監督、2006年)
┃ ┃■萩野 亮
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『ひめゆり』は、元ひめゆり学徒隊だった22名の女性たちの語りを、沖縄戦の経過
に沿って全3章に整理している。語りと語りのあいだには、アメリカ側のニュース・
フィルムや説明字幕、そして沖縄の風景を写したイメージ・ショットが挿入される。
映画の核はもちろん女性たちの語りにあるわけだが、上記のようなショットを織り
込んで120時間にわたる記録を2時間に構成する手腕は、みごとというほかない。

すでに「オバア」になった22名による語りは、こういってよければ実にゆたかであ
る。オバアによってまったく異なる語り口、それは彼女たちの戦争体験の仕方、そ
して戦後の生き方が種々さまざまであったことを想起させる。物語化され、平板化
されてきた「ひめゆりの悲劇」。しかし実際には戦争体験のあり方はひとりひとり
異なっているという当たり前のことを、なぜわたしたちは知ろうとしてこなかった
のか。

かつて大島渚は「敗者は映像を持たない」という有名なテーゼを残したが、『ひめ
ゆり』もまた沖縄戦の資料映像をすべてアメリカ軍が撮影したフィルムに拠ってい
る。戦局を映し出すこれらの資料映像とオバアたちのゆたかな語りが、一本の映画
のなかであたかも向き合っている。一挙手一投足の記憶が滲み出す、あまりにも
生々しい語り。彼女たちには「見えて」いるのだ。映写機にかけられたフィルムが
正しく当時の光景を映し出すように、それは彼女たちの内側でいまも回転の止まな
いもうひとつの映像なのだ。

わたしたちはその内なる映像を、彼女たちの声として聞き、彼女たちの目の光にお
いて、感じ取る。13年を要したという『ひめゆり』は、いわば大島のテーゼに対す
るひとつの応答として、映像化されなかったひめゆり学徒たちの映像を回復してい
る。それは「アウシュヴィッツの映像を撮れなかった時点で映画は終わった」とい
うゴダールのテーゼに対して『ショアー』が9時間にわたる映像によって示した姿勢
とも通じているだろう。

冒頭で述べたように、この映画は2時間に「みごとに」構成されている。だが逆にこ
の「みごとさ」において彼女たちの語りが抑制されているような印象を受けること
もたしかだ。おそらく柴田監督じしんも同じ感情を抱いているのだろう、6時間版や
続編を構想中だという(「見てくれる人がいれば」)。しかしたとえ6時間という時
間が許されたとしても、証言記録を「映画」として編集することに変わりはない。
どのカットを「使い」、どのカットを「使わない」のか。120時間の記録が、なぜ数
時間の「映画」という形態をとる必要があるのか。叶うならば次なる作品を見て、
もう一度考えてみたい。

☆『ひめゆり』
(柴田昌平監督/2006年/プロダクション・エイシア/カラー/130分/16mm)
現在、ポレポレ東中野にて上映中。


■萩野 亮(はぎの・りょう)

1982年生まれ。和光大学表現学部卒。論文に「絵金と映画――〈物語的時空間〉の
構築をめぐって」(『和光大学学生研究助成金論文集14』)がある。先月イタリア
映画祭で見た『カビリア』の復元版はすごかった。「復元」がクリエイティヴな領
野であることを実感。



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┃04┃□neoneo坐6月前半の上映プログラム
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会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩1
分、JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。
詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。 http://www.neoneoza.com/ 


■サテライツ オブ アニメーション
―アニメーションにまつわるいくつかの定点―2007年6月2日〜6月10日

空に浮かぶ放送衛星のように、アニメーションの魅力を世のなかに発信しようとし
ている個人や団体があります。本企画はアニメーション作家の作品、或いはアニ
メーションの魅力そのものを世の中に発信しようとしているいくつかの団体をもと
に構成しました。


6月2日(土) 13:00〜・6月7日(木) 19:00〜・6月9日(土) 13:00〜

Aプログラム「ザ ベスト オブ アニメーション80」
1980年から続く老舗のアニメーションサークル『アニメーション80』が提供する近
年のベストオブワークス。
『バナナの法則』中村武、『できごころ』細山広和、『雑草』鈴木美智子、
『MULTIVERSE』花里清彦、『こどものたび』高橋慶、
『有機都市ーBio Cityー』中西義久、『Strange Pop』島由美、『幻視痛』水上弘、
『ベティとペイニーペンギン』中村景子、『いきるよろこび』モリタダシ、
『蟻の生活』浅野優子


6月3日(日) 17:30〜・6月5日(火) 19:00〜・6月9日(土) 14:30〜
Bプログラム animation soupの中山双葉PV「友だちは犬だけちゃうやん!」
関西発面白いこと大好きアニメーター集団アニスーが送るPV企画。中山双葉に惚れ
込んでしまった多種多様なクリエイターたちが、彼女のPVを想いのままに制作。
『わすれものマフラー』山登恭子、『つり』権田直博、
『友達は犬だけ』田口美早紀、『しってるかいね』田口美早紀、
『雨になりたいな』日野馨、『七月』SUPER PHENIX、『砂と女の子』永田ナヲミ、
『おとめきぶん』FT=man、『きり』ヨシムラエリ、
『こまったことだ』ウエマリイン、『ワット』ハセガワマサハル、
『はなとり』pubway、『ゆうなぎ』水内義人


6月2日(土) 16:00〜・6月6日(水) 19:00〜・6月10日(日) 14:30〜
Cプログラム「アニメーション・テープス」
名古屋を拠点に作家と観客の交流の場を提供し続けるアニメーション・テープスが
提供する女性作家特集。
『だるまさんがころんだ』安部有希子、『ドーナツの歌』安部有希子、
『nocturne』永下山由香、『盗人神様』大森美来、『ずるずる』桑山佳代子、
『空はとても青い』桑山佳代子、『花を摘みに』小出英貴+百合草尚子、
『CHIBICO』若見ありさ、『お向かいさん』清家美佳、『天使と悪魔』石井あみ、
『ホワホワプロジェクト おかしな戦い』石井あみ、
『ホワホワプロジェクト 雲にのって』石井あみ、『転』田ノ上彩香、
『unhuman〜アフターマンの欲望〜』S-S(上映順未定)


6月2日(土) 13:00〜・6月6日(水) 20:30〜・6月10日(日) 17:30〜
Dプログラム「青空飢饉のアニメーション」
エクスペリメンタルな作風の作家が多く参加している映像上映団体「青空飢饉」が
送るアニメーション作品特集。
『Era Era』清水好美、『シヒナ』清水好美、『独習』飯田美保、
『カタカナ・カタカナ』コタキマナブ、『ピピンポップ』コタキマナブ、
『Pamu』渡部詠子、『Peep me』渡部詠子、『Mimi』渡部詠子、『gurumo』とっと、
『ハミングジャック』とっと、『まにゅもば』とっと、
『コマ撮り十三番地』田端志津子、『Winter Park』田端志津子、
『鈴の名は』諸藤亨


6月3日(日) 19:00〜・6月8日(金) 19:00〜・6月9日(土) 17:30〜
Eプログラム「ベル・エポック80s」80年代個人主義アニメーションの軌跡をさぐる
数多くのアニメーション作家を輩出した80年代に焦点をあて、現在も制作活動を続
けている作家達の初期作品を一挙紹介。(キュレーション:浅野優子)
『紙の家』浅野優子、『五つの指の庭』浅野優子、『回転AB』IKIF、
『石化(一)』IKIF/4分00秒/1982年、『阿耳曼陀羅(二)』IKIF、
『アニマルでんぐりん』石田卓也、『ドーブツドンブリコ』石田卓也、
『どーぶつマキマキ』石田卓也、『はうはうでんでん』石田卓也、
『Frame Story』関口和博、『IgI』関口和博、『ちんぐるま』守田法子、
『わたくしの細胞に燐火を燃やし』守田法子、『水棲』山村浩二、
『人魚』横須賀令子、『もうれんじゃかじゃか』横須賀令子、
『クレーターのなる木』横須賀令子


6月3日(日) 14:30〜・6月7日(木) 20:30〜・6月9日(土) 16:00〜
Fプログラム「ピピアめふアニメーション作品集」
関西の個人アニメーション史、キーマンのひとりK.Kotani氏。本プログラムは氏の
作品と彼が講師を務めるピピアめふアニメ教室に焦点をあてる。
(キュレーション:K.Kotani)
『字戯アニメ2007』西俣文恵、『こどもたちのきせつスケッチ』AINO TAMAMI、
『ネバネバ』K.Kotani、『PULL OUT』K.Kotani、『面喰い』K.Kotani、
『長距離狙撃者の孤独』K.Kotani、『喜劇駅前自殺』K.Kotani、
『粘る世界』K.Kotani、『アニメのアニメ』K.Kotani、『まんま』K.Kotani、
『溺れた凡人』K.Kotani


6月2日(土) 14:30〜・6月4日(月) 19:00〜・6月10日(日) 13:00〜
Gプログラム「オクシデンタリスム!=欧州のアニメーション作家たち」
イギリスの人形アニメーションを中心に、フランス、スペイン、オーストラリアの
作家達を紹介。魅惑のオブジェクトアニメーションを一挙上映(キュレーション:
石井あみ)
『トーマス&コリンショー』オースティン・チャールズワース、
『プラズモ 第3話』アンソニー・ローレンス、『スージー』キャシー・スネリング、
『黒は神様の色』マーク・リバ&アンナ・ソラナス、
『バンチ・オブ・クラウンズ』ジョーディ・メレディス、、
『カンド・ヒート』ディビッド・セシー、『ビニー』ダニー・カポッツィ、
『馬を探して』アンソニー・ローレンス、
『マンブルズ岬の女性たち』リサ・アン・ジョーンズ、
『家』ソレダッド・カラミローネ、
『キッチンズ・シーズン』グレゴリー・デュゴワ、
『征服者』マルティ・ロカ&エロイ・トマス


6月2日(土) 17:30〜・6月8日(金) 20:30〜・6月10日(日) 16:00〜
Hプログラム「線からはじまるアニメーション」
鉛筆などの手描きの線、コンピュータによる線。線は形を作り、線でつながり、線
が動いてアニメーションとなる。彼らが線で表現していることを意識しているか分
からないが、活動のジャンルを超えて、線で表現する作品をつなげてみた、ひとつ
の線のように。(キュレーション:藤田千彩)
『母をたずねて30000ドット』中ザワヒデキ、鬱砂丘』柏尾和直、
『FILM -ver.s-』遠藤雪代、Diet Butcher Slim Skin』水野健一郎、
『どこかの星の上で』松本力、『House Drawing』下野久仁子、
『アニメくん』にゃおぞ、『kiro no hito』和田淳、『Bumper』都築潤


6月3日(日) 13:00〜・6月5日(火) 20:30〜・6月10日(日) 19:00〜
Iプログラム「ネクスト・ジェネレーション」
全国の映像を扱っている大学に協力してもらい、これから脚光を浴びる若い世代を
集めたプログラム。瑞々しい感性をご覧下さい。
『永訣庭園』安藤嘉高、『ひらさか』西村元伸、『MIND GAME』熊川佳子、
『火の消えた世界』江間一隆、『ハリボ』石川さやか、
『ぢゅうだら劇場』西川剣介、『Suit or shadow』kato、『まえがうしろ』星裕子、
『UNDERWEAR』井出絢子、『にゃっプリンのテーマ』井澤澄子、
『Chandelier』ALIMO、『部屋』春日真弓、『光、染みゆ』高橋幸子、
『旅情詩』金子友里香、『コスモス』亀井隆広、『Line』鈴木綾香、
『セツナ(刹那)』オ・ジョンゴン


6月4日(月) 20:30〜 Jプログラム「倉重哲二作品集〜月の夜のこと」
Jプログラム「倉重哲二作品集〜月の夜のこと」
本企画担当している倉重のアニメーション作品を公開。
『江南の魔術師』『子供のころ土手の木にぶらり人が下がっていた』
『阿片譚』『兎ガ怕イ』『スクリプティング・ゴースト』


6月2日(土) 19:00〜
Kプログラム「中ザワヒデキの「KIDS BOX」であそぼう」
1995年に発売され、インタラクティブ・アニメーション・ソフトとして株式会社ア
スクから好評発売中の「KIDS BOX」。作者である中ザワヒデキ自らが「KIDS BOX」
を使ってライブ・パフォーマンスを行います。


6月9日(土) 19:00〜
Lプログラム「短編調査団出張所」
本会場スペースネオにて月2回ペースで催されている「知られざる短編映画を見てみ
る会」短編調査団。本プログラムは調査団の形式に倣ってレアなアニメーション・
フィルムを掘り出してきます。飲食しながら貴重な映像を堪能下さい。

【料金】当日券1プログラム ・・・・・・・・500円
    特別プログラム(K、L)・・・・・2,000円
    (特別プログラムは、飲物+食物+イベント込みの値段です。)

【お問い合せ】スペースneo:E-mail: spaceneo@tcn-catv.ne.jp 
Tel:090-3271-5280 Fax:03-5281-5710(佐々木)


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■「短篇調査団」(50) 橋(ブリッジ)の巻
2007年6月13日(水) 20:00〜

『祖谷(いや)の かずら橋』
1991年/30分/カラー/制作:東京シネ・ビデオ/企画:国立歴史民俗博物館/
プロデューサー:横川元彦・佐藤有弘/脚本・監督:米内義人/撮影:福井久彦
■四国・徳島県の山中の祖谷の村々。文化財の保存と観光のために残されている蔓
橋の、3年に一度の架けかえの様子〜シラクチカズラの採取に始まり、綱揃え、雲綱
張りなど〜を克明に追う。

『東京港に虹をかける―レインボーブリッジの建設工事記録―』
1994年/21分/カラー/制作:日本シネフイルム研究所/企画:首都高速道路公団
/プロデューサー:小池敬吉/脚本・監督:石原直明/撮影:田島進・石井泰徳
■東京港を横断する吊橋レインボーブリッジ。平成5年夏に完成するまでの工事過
程をアニメの図解をまじえて紹介。吊橋の主要工事、ケーブルに使われるストラン
ドは細かい金属素線を何百本も束ねたもの。架設は、素線の一本一本にかかる力を
均等にしなければならない慎重な作業だった。

『ちからばし』
1976年/11分/カラー/制作:エコー/原作:小泉八雲/
脚本・監督:岡本忠成/撮影:田村実/音楽:鶴澤清治/
ナレーション:岸田今日子
■夜道で見知らぬ女から預かった赤子が、松吉の背中でだんだん重くなる…三味線
の調べに乗せて、小泉八雲の幻想的な世界を描く。

『橋は生きている』
1988年/35分/カラー/制作:海洋架橋調査会+山陽映画/
企画:本州四国連絡橋第二建設局/プロデューサー:船谷富男・近藤忠夫/
脚本・監督:日下部水棹/脚本:佐野幸洋/撮影:山崎照夫・故倉好男
■本州と四国を結ぶ本州四国連絡橋(児島・坂出ルート 南備讃瀬戸大橋)の建設記
録。磐石のごとき巨大橋も実はミクロの科学技術の集積であることを描く。長大吊
橋の風への対応、しなやかで生きている様に働く鉄道緩衝桁、列車走行試験などの
映像は、見る人に大きな感動を与える。

【料金】鑑賞無料! カンパ歓迎!
【お問合せ】清水 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp 


■「neofest 2007 夏」開催! 作品大募集のお知らせ
〜東京神田neoneo坐で上映バトル!

2006年に引き続き、neofest2007の作品を募集します。応募全作品を一挙上映。日頃
上映の機会の少ない学生作品・自主制作映像作品に発表の機会を提供します。観客
投票により選ばれた「neo賞ベスト」作品はneoneo坐にて12月に再上映をします。

「neofest 2007 夏」 開催要項
【期間】2007年07月28日(土)・29日(日) 12:00〜21:00
   (予定・応募数により変動あり)
【主催】主催・会場: スペースneo 協力:neoneo坐(佐藤)
【作品応募について】
■応募締切:〜2007年06月30日(土)(当日消印有効)
■募集内容
作品時間60分未満(作品時間の条件に合わない場合は、ご相談ください)。
ジャンルは問いません。
■応募規定
1.作品を収録する応募メディアの形式は、Mini-DV。
2.応募作品の返却はいたしません。必ずコピー版にてご応募ください。
3.既公開・未公開は問いません。
4.応募点数の制限はありません。
■エントリー料
1作品 1,000円(応募者にエントリー料分 1,000円の入場券を送付します)。
■応募資格
1.プロ・アマは問いません。
2.個人・グループ、国籍、年齢は問いません。
■応募方法
エントリーフォームとエントリー料の両方の受領で申し込み完了とします。
1.エントリーフォームの必要事項をご記入の上、Eメールで送信してください
(複数作品を応募の場合は作品数と同じ数のエントリーが必要です)。
送信先: spaceneo@tcn-catv.ne.jp 
2.エントリー料を下記振込み先に納入して下さい。

必ず応募名にて振込みをしてください。振込み手数料はご負担ください。
振込み先:三井住友銀行 神田支店 普2052295 ネオネオザ

なお詳細は、neoneo坐のHPをご覧下さい。 http://www.neoneoza.com/ 

「プログラム」の項をご覧下さい。



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┃05┃□広場
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■新・クチコミ200字評!(54)
■清水浩之(短篇調査団・6/13は橋の巻! http://d.hatena.ne.jp/tancho/ 
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビなど
皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オススメ
しない映画とその理由!」もOKです。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアドレ
スor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィールや
近況も)を付記してお送りください。ちなみにここでは稿料は出ません。
清水浩之 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839

B-211『若い心の詩』
1969年/制作:ハマダプロ/監督・撮影:浜田英夫/音楽:長谷川きよし
見た場所:neoneo坐「8ミリフィルム映画祭」
「浜田英夫の映画を見る会」東京・稲城市で毎月開催中!
  http://hamadahideo.blogspot.com/ 
昨年逝去された浜田監督は、撮影から販売まで殆ど独りで活動した稀有な映画作家。
東京教育大付属盲学校の少年少女の成長を、8mmから16mmへと機材を変えながら12年
間記録した本作は、生徒の一人・長谷川少年が「盲人としての進路」に悩んだ末に
歌手デビューを果たすエピソードをはじめ、誰の記憶にもありそうな青春の瞬間を、
親友みたいな距離感の手持ちカメラで的確に切り取っていきます。被写体と作者が
共に成長する至福の55分!(清水浩之)

B-212『御巣鷹山』
2005年/制作:マルパソプロ/監督・主演・映写:渡辺文樹
見た場所:横浜市青葉公会堂
『家庭教師』から20年、35mmで自主製作映画を撮り続ける怪人の最新作。1985年の
墜落事故を独自の仮説でポリティカル・アクションにしたのは新鮮ながら、三段階
ズーム、スモークが右から出たり左から出たり…と技術者不在の撮影・録音・編集
で惨憺たる仕上がりなのが残念。怪人と雖も独力で作るならビデオで、フィルムに
拘るなら技術者と協働して、という選択からは逃れられませんが、今後も小さくま
とまらない異色作を期待します!(清水浩之)

B-213『ふるさとからくり風土記―八女福島の灯籠人形―』
1987年/制作:英映画社/監督:松川八洲雄/撮影:清水良雄
見た場所:ゆふいん文化・記録映画祭「松川八洲雄監督追悼特集」
  http://movie.geocities.jp/nocyufuin/home.html 
松川作品約100本の殆どはスポンサーのある請負仕事。テーマは原爆から原発まで
(!)多岐に亘りますが、どの作品も過去と現在の繋がりを見据えた「松川印」の映
像詩になっているのが驚異的。北九州でからくり人形の伝統を受け継ぐ現代人を記
録したこの作品でも、からくり芝居の間に客席で見つめる老人と少年のツーショッ
トを挟むことで、物言わぬ人形が町の人々を何世代も見守ってきたことに気づかせ
る“どんでん返し”が見事でした。(清水浩之)


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■『映画は生きものの記録である』ニュース(8)

 公式ホームページ: http://www.tsuchimoto-eiga.com/ 

●パンフレット作りが本格化

ゴールデンウィークも明け、5/10のアテネ・フランセ文化センターでのイベントも
終了し、公開まで一ヶ月を切ったところで、劇場で販売するパンフレット作りが最
後の大仕事で残っておりました。(これも宣伝の仕事と数えるべきものなのか…)
パンフレットとは言っても、いろんな形態・内容のものがあります。
『映画は生きものの記録である』のパンフの編集方針は?

その1…読み物としておもしろいものを作る
その2…これまで土本さんについて書いたことがない方に執筆してもらう

というものです。

まず、内容の中核になるものとして、土本さんの岩波映画時代の盟友で、『ある機
関助士』にも助監督として参加された岩佐寿弥さんと藤原監督との対談を企画(対
談の模様はホームページの『映画は生きものの記録である』ニュース(6)を参照く
ださい)。この対談の文字おこし作業が大変です。文字おこしは、宣伝を手伝って
くれている佐藤寛朗くんにお願いしました。
そして、原稿の依頼。いろいろ頭を悩ませながらも、劇作家・演出家・作家の宮沢
章夫さん、映画監督・脚本家の井土紀州さん、映画祭コーディネーターの藤岡朝子
さん、映画批評のクリス・フジワラさんに執筆を依頼。〆切はゴールデンウィーク
明けに設定。さて、〆切まで受け取れるのか、楽しみでありながら、心配な日々で
す。

さてさて、(予想通り‥失礼)〆切まで原稿をいただけた方は、…いなかったので
すが、なんとか原稿も集まりデザイン作業に突入。デザインは高木善彦さん。書籍
のデザインをメインに、映画のチラシも手がけているデザイナーさんです。(諏訪
敦彦監督の新作『不完全なふたり』も担当しています)大きさはB5サイズ、ページ
数は20ページ。原稿を渡し、入稿までの約一週間でデザイン作業を進めてもらうと
いう、無理なお願い。予算も少なく、制約が多いなか、スッキリと読みやすい高木
さんらしいデザインとなりました。僕は、文字校正の毎日。目がチカチカしてきま
す。
そして入稿(宅急便で)。今回は新潟にある印刷屋さんにお願いしました。何たっ
て安いんです!完成・納品は公開前日の6/1。無事、初日にはユーロスペースのカウ
ンターに並んでいることを祈りつつ、どんな仕上がりかワクワクしています。
パンフとはいえ「本」。残るものです。できるだけ、ちゃんとしたものを作りたい。
いつもそんなことを考えています。購入頂いた方のご意見お待ちしております。
(宣伝担当:原田)

●6月2日からのユーロスペースでの上映(モーニングショー、10:20am)がいよい
よ始まります。上映期間中、毎週土日にトークイベントを開催いたしますので、ご
来場をお待ちしています。※イベント開始時間にご注意ください。

●土本典昭トーク
※すべて『映画は生きものの記録である』上映後、11:55〜12:15を予定

6月9日(土)「78年生きてきて」
    6月16日(土)「私の映画スタッフワーク論の意味は?」
    6月23日(土)「誰でもドキュメンタリーをつくれる時代だが…」

●ゲストトーク
※すべて『映画は生きものの記録である』上映前、10:00〜10:30。
トーク終了後に本編から上映いたします。トークの相手は全回、藤原敏史監督です

    6月3日(日)鈴木邦男(一水会顧問)
    6月10日(日)池谷薫(映画『蟻の兵隊』監督)
    6月17日(日)鎌仲ひとみ(映画『六ヶ所村ラプソディー』監督)

●なおneoneo坐でも、下記のイベントを行ないます。

詳細と地図はneoneo坐のサイトをご覧下さい。 http://www.neoneoza.com/ 

「映像作家・土本典昭発見の旅」  6月16日(土) 14:00〜「アバンギャルド映像作
家・土本典昭」「水俣シリーズ」で知られる映画作家・土本典昭は、また同時にア
バンギャルドな作家でもあります。初期の代表作である傑作『ドキュメント路上』
や、新聞の切り抜きから原発行政の矛盾を静かに告発する実験的な『原発切抜帖』
などに、映像表現の自由さを発見します。

14:00〜『ある機関助士』(1963年・37分)
14:50〜『ドキュメント路上』(1964年・54分)
16:00〜『原発切抜帖』(1982年・45分)
17:00〜 トーク 土本映画を語る夕べ―1
     ゲスト:岩佐寿弥(映画作家)

6月17日(日) 14:00〜「海の作家・土本典昭」
「水俣シリーズ」の中でも叙情的な代表作『不知火海』と、命を育む海を描く『海
とお月さまたち』から、海の作家・水の作家である土本典昭の魅力を探ります。
14:00〜『海とお月さまたち』(1980年・50分)
15:00〜『不知火海』(1975年・153分)
17:45〜 トーク 土本映画を語る夕べ―2
     ゲスト:加藤治代(映画『チーズとうじ虫』監督)

※16ミリフィルムでの上映を予定していますが、DVD上映になる場合もあります。
 ご了承ください。
※タイムテーブル、上映作品、ゲストなど変更の可能性もございますので
 ご了承ください。
【料金】上映 1,500円(出入り自由)
 ただし、『映画は生きものの記録である』前売券提示の方は1,300円)
【トーク料金】1,000円(ワンドリンク+おつまみ付き)
 ※ 上映とトークは別料金となります。ご了承ください。
【お問い合せ】スリーピン(デジタルムービー工作室内)
TEL:03-5327-3771(平日 11:00〜18:00)

●大阪ではシネ・ヌーヴォにて今秋ロードショーを行ないます。


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■告知:『ドキュメント路上』(土本典昭、1964年製作)DVD、VHSを販売しています。
個人価格(特価):3,000円(税込み)送料別
ライブラリー価格(特価):10,000円(税込み)、送料別

購入希望の方は、DVDかVHSを選択し、住所・氏名・電話番号,ファックスを明記の
うえ、メール又はファックスでお申し込みください。郵便振込用紙を同封し郵送し
ますので,到着後にお支払いください。

申し込み先;映画同人「シネ・アソシエ」
 doro@carrot.ocn.ne.jp  又は、Fax:03-3321-8678

水俣病で知られる記録映画作家・土本典昭には〈水俣〉以外の傑作も多い。『ドキ
ュメント路上』は、警視庁の全面協力のもと、「交通安全」を訴える目的で撮られ
た作品だが、視線をまず奪うのは、オリンピック(1964年)を翌年に控え、変貌し
つつある東京の、ドクン、ドクンとの心臓音が聞こえそうな脈動だ。土本は、のた
うつ都市を、ひとりのタクシー・ドライバーの視線から捉える。周囲のクルマ、歩
行者、工事中の障害物、頭上で建築中のビル、一転して車内の速度計など、さまざ
まな〈視覚〉の断片がドライバーに降りそそぐようすを、映画は、ナレーションの
ない前衛的なモンタージュで伝える。名カメラマン・鈴木達夫は、自身をクルマの
バンパーに縛りつけて、クルマの「タイヤからの目線」で路上の光景を捉えた。都
市のあえぐような心臓音は、タクシー・ドライバーの意識の揺らぎにも同期してい
る。このタクシー・ドライバーの妻と乳児が、実は探され集められたのだと土本は
証言する。架空の家族がドキュメントされている。本作品は、記録映画にシナリオ
が存在した時代の傑作と言えようが、同時に、シナリオを廃棄することになるドキ
ュメンタリーの胎動を写してもいる。事実、土本は次作『留学生チュア  スイリ
ン』(65年)で、シナリオのない世界に突入していく。『ドキュメント路上』につ
いて「綺麗な透明ガラスのなかで虫が死んでいくように、何万人という人間が死ぬ
ような空間として都会は存在していることを描」こうとした、と土本は語る。じっ
さい、この作品は「交通安全」ではなく「交通危険」をなまなましく描く映画とな
り、長いあいだ「お蔵入り」だったが、近年、上映が可能となり、日本ばかりでな
く、米国や中国、韓国などでも「ドキュメンタリーの先鋭的な教科書」として熱い
反響を呼んでいる。時代のもつ技術と演出手法を最高度に発揮させたとき、映画は、
ドキュメンタリーか劇映画であるかを問わず、〈その時代を記録したドキュメンタ
リー〉となる。そう『ドキュメント路上』は教えてくれる。ほぼ同時期に公開され
た劇映画『ならず者』(石井輝男監督)や『狼と豚と人間』(深作欣二監督)など
と、カッティングの冴えを比べてみたい。

(鈴木一誌 「at」7号、ドキュメンタリーの視角1より)

☆『ドキュメント路上』(白黒、35ミリ・16ミリ、54分)
製作:東洋シネマ、脚本:楠木徳男、演出:土本典昭、撮影:鈴木達夫、
音楽:三木稔、音声:浅沼幸一、整音:杉崎喬、照明:伴野功、藤来義門、
協力:警視庁交通局、警視庁、日本自動車連盟


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■告知:国際交流基金(ジャパンファンデーション)よりイベントのご案内

最新日本映画、欧州で人気の秘密は?
フランクフルトNIPPON CONNECTION参加ゲストによる報告

日時:6月16日(土)14:00〜16:00
会場:ジャパンファウンデーション本部 JFICコモンズ
   (東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル21階)
  http://www.jpf.go.jp/j/about_j/access03.html 
東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」3番出口
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王駅」13番出口

映画研究者の平沢剛さんを迎え、ドイツのフランクフルトで毎年開催されている
NIPPON CONNECTION(最新の日本映画を中心に日本の映像作品を紹介する映画祭)
 http://www.nipponconnection.de/ の模様を報告していただきます。欧州の人々に
とって、最新日本映画の魅力はどこにあるのでしょうか。

イベントの詳細: http://www.jfsc.jp/calendar/ev-0706-d001 

参加費:一般200円 JFサポーターズクラブ会員は無料
JFサポーターズクラブについてはこちら  http://www.jfsc.jp/ 

※要事前予約(申込締切:6月13日)
件名を「6月のイベント」とし、お名前、連絡先を明記して info@jfsc.jp まで。

お問合せ:国際交流基金(ジャパンファンデーション)情報センター
Tel:03-5562-3538

☆平沢剛さんのプロフィール
映画研究者、明治学院大学非常勤講師。ウィーン国際映画祭、全州国際映画祭『ATG
レトロスペクティブ』の日本側プログラマーを務める。編著に『アンダーグラウン
ド・フィルム・アーカイブス』(河出書房新社)など。


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■追悼:ゴヴァース・弘子さんを悼む

■高橋 晶子

去る5月13日、パリ郊外の病院にてゴヴァース(黒田)・弘子さんがお亡くなりに
なった。享年69歳。フランスにおける日本映画の紹介に生涯を費やされた。フラン
スを初め、海外への一歩を踏む際にゴヴァースさんにお世話になった日本の監督・
映画は数知れない。

今でこそ日本映画は世界で確実な地位を得ているが、彼女が渡仏した約40年前は状
況は違った。日本人女性が単身渡仏する事さえ珍しかった時代に彼女は海を渡り、
まだ開拓されていない道を切り開いた。1984年から85年にかけては、川喜多記念映
画文化財団と共に本格的な日本映画特集をシネマテーク・フランセーズにて開催し、
500本を超える作品を上映した。フランスにおけるこの規模・内容の特集上映はそれ
以後も行われていない。また、寺山修司作品に関しては映画から演劇まで幅広くサ
ポートされた。

ゴヴァースさんにとって日本映画を海外に紹介するという事は、単に映画を外国の
人に「見せる」のではなく、「魅せる」を意味していた。映画を抱えて渡仏する日
本人監督たちへの対応は、単に通訳として付き添うのではなく、自宅に招待して手
料理を振舞うことも含まれていた。

私が彼女に初めて出会ったのは、1998年にパリで行われたドキュメンタリー映画祭
シネマ・デュ・レエルの日本映画特集の準備の時であった。当時学生だった私は、
映画祭のボランティアスタッフになれば無料で映画が観れるだろうとの思惑で映画
祭の扉を叩いた所、映画祭ディレクターからHIROKOの手伝いをして下さいと言われ
たのがきっかけだった。仏人スタッフ達から絶大な信頼を受けていたのが印象的だ
った。これが今から約10年前の出来事なので、私はゴヴァースさんの人生の最後の
たった10年間をご一緒させて頂いたに過ぎないが、その間彼女から学んだ事は計り
知れない。

業績においては前述の通りの偉大さだが、今思い出されるのは日常のゴヴァースさ
んだ。映画をひたむきに愛し、映画館にも熱心に通っていた。テレビで放映される
映画は誰かに貸せるようにと必ずビデオに録画した。永遠の映画少女の香りをいつ
も漂わせていた。世代の離れた青臭い私に対しても謙虚に振舞われた。「大丈夫
よ」と気丈に繰り返し周りに気遣っていた病床の姿もまたゴヴァースさんらしかっ
た。

5月17日付けの新聞ル・モンドの訃報欄にゴヴァースさんのパリでの葬儀のお知らせ
が掲載された。その見開き横のページにはちょうど同じ日に始まったカンヌ映画祭
の記事が大きく出ていた。最後まで映画にこだわり続けたゴヴァースさんの情熱が
痛いほど感じられてならない。

    ◇────────────────────────◆◇◆     

■訂正

前回掲載していただいた拙稿「珈琲時光の記録性」の記事上の表記に二箇所誤りが
ありました。

候孝賢→侯孝賢
Forrest of Pressure → Forest of Pressure

お詫びして訂正いたします。水野祥子


    ◇────────────────────────◆◇◆     


■募集:「自作を語る」などの原稿募集!

「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。

文字数:1600字程度。厳密な規定はございません。
監督のプロフィール(150字程度)
その他:作品の仕様(制作年度、時間、ビデオ又はフィルム、スタッフ等)
上映のスケジュール、HP等をお知らせください。

原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp  伏屋まで
稿料:無料。

その他、さまざまなご意見、投稿を募集しています。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)

neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力
ください。

(1)上映等の告知の有料化 1200字(40字×30行)以内につき、2,000円です。
  それ以上の字数の場合は加算します。
(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。

送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、
     みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782
     (有)ネットワークフィルムズ
(銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせ
 ください。)

以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。



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┃06┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●ゴヴァース・弘子さんといっても知らない方が多いかもしれない。しかし本誌で
その追悼文を執筆した高橋晶子さんが、その業績を明確に伝えている。1960年代に
渡仏した後、「フランスにおける日本映画の紹介に生涯を費やされた」と。つまり、
まぎれもなく未開の分野を開拓した功労者であった。

1960年代から90年代にかけてゴヴァースさんのお世話になった映画人は数知れない。
たとえば私が知っているだけでも、大島渚、土本典昭、黒木和雄、東陽一、小川紳
介、寺山修二といった監督たちがいる。彼等の作品は、ゴヴァースさんによってフ
ランスに紹介され、それがヨーロッパへ、さらにアメリカへ、世界に広がった。映
画の黒子として尽力された功績は言い尽くせないほど大きい。

私は1998年、パリで開催された日本のドキュメンタリー映画特集に招待されて、黒
木和雄、原一男、伊勢真一、三浦淳子といった監督たちと楽しい10日間を過ごした。
そのときのコーディネーターがゴヴァースさんだった(本誌の「パリ発」の執筆者
である高橋晶子さんを知ったのも、このときだった)。仕事とはいえ、そのときの
ゴヴァースさんの心からのもてなしは今でも忘れられない。と同時に夕食などで彼
女の口から漏れる日仏の交流のエピソードは、黒子として長年その仕事に携わった
者からしか分からない貴重な話に満ちていた。それは、日仏の映画交流の裏面史だ
った。私はそうした話を聞くに付け、これを記録に残したい、否、残さねばならな
いとおもった。帰国してから彼女に、私が編集する「neo」(「neoneo」の前身)に体
験を掲載しませんか、と提案したのは自然の成り行きだった。幸いにも、ゴヴァー
スさんは快諾され、当時の資料と記憶をもとに少しづつ書き起こされていったのだ
った。しかし、…その後脳梗塞を患い、病に臥せることが多くなり、執筆は困難に
なっていった。高橋さんの協力で口述筆記も試みようとした。が、これも難しくな
ってしまった。返す返すも口惜しくてならない。

ゴヴァース・弘子さんはパリのペールラシェーズ墓地に眠っている。ここは高橋さ
んの自宅から徒歩10分くらいの所で、エディット・ピアフも埋葬されている有名な
墓地だそうである。これまでの彼女の日仏映画交流にかけた献身に感謝し、ご冥福
をお祈りいたします。

●本格的に宣伝活動を開始してから5ヶ月、『映画は生きものの記録である 土本典
昭の仕事』はいよいよ6月2日の初日を迎えることになった。はたして上映の成否は、
どうなるであろうか、はなはだ心配ではある。しかし、やるだけのことはやった。
スタッフを始め、多くの方々の協力も得られた。心より、感謝申し上げます。

上映期間中は、主演の土本典昭監督を始め、多彩なゲストを迎えてのトーク、さら
に土本作品の上映も企画している。詳細は本誌の「『映画は生きものの記録であ
る』ニュース」欄をご覧になっていただきたいが、まずは初日、ユーロスペースで
お待ちしています。



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