ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo |
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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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┗━┛ ☆━┛ ┗━☆ 40号 2005.7.15
∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
†01 ワールドワイドNOW ≪サンパウロ発≫
同胞との遭遇 岡村 淳
†02 列島通信 ≪沖縄発≫
映像の新拠点《桜坂劇場》誕生! 真喜屋 力
†03 特報:『銀輪』が見つかった! 岡田 秀則
†04 neoneo坐通信(24) 7月後半のプログラム
†05 広場
投稿屋台『クチコミ来来軒!』(16)
新・クチコミ200字評!(15)
『バグダッドを去る・アーカンソー州兵任務終了』『宇宙戦争』
『皇室日記 天皇皇后両陛下サイパン慰霊の旅』以上、清水 浩之
投稿:映像の衝撃性にもたれかかりすぎか?
『Little Birds〜イラク 戦火の家族たち』(監督:綿井健陽)評
脇阪 亮
告知:上映の告知の有料化とカンパのお願い 伏屋 博雄
†06 編集後記 伏屋 博雄
★バックナンバー閲覧はこちらまで
まぐまぐ配信 http://www.mag2.com/m/0000116642.htm
melma!配信 http://www.melma.com/mag/39/m00098339/
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┃01┃□ワールドワイドNOW ≪サンパウロ発≫
┃ ┃■同胞との遭遇
┃ ┃■岡村 淳
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今年五月のミンダナオ島山中における元日本兵発見の報は、ブラジルのマスコミも賑
わせた。私は心が躍って編集作業も手がつかず、ひたすらインターネットでニュース
の検索を続けた。もしブラジルに移住することがなかったら、東南アジアで元日本兵
たちを捜し求めていたかもしれない――
未知の地に潜む同胞との接触。これが図らずも私が自ら移民となってブラジルで追い
求めていたテーマのひとつであることに気がついた。世間との交際を絶ち、アマゾン
源流の地でひたすら自分バージョンの浦島太郎の話を更新し続ける日本人。戦後、祖
国を訪問しながらも、いまだに日本が大東亜戦争に勝ったと信じ続ける日本人。土地
なし農民運動の最前線で、電気も水道もない掘立小屋に住みながら零細農民たちの指
導を続ける日本人。等々…
そんな思いを踏まえながら、1本のブラジルのドキュメンタリーを紹介しよう。
今年で10年目、10回目を迎えたブラジル国際ドキュメンタリー映画祭が4月にサンパ
ウロ、リオデジャネイロ、ブラジリアの3都市で開かれた。上映作品は133本。ちなみ
に日本の作品はなし。入場料は無料!自作の制作の合間を縫っての鑑賞のため、せっ
かくの機会になかなかドキュメンタリー浸りになれないのがつらいところだ。それで
も日本で紹介される世界のドキュメンタリー映画の情報は、ごく限られたものである
ことを毎年、痛感している。
今回は万難を排して観ておきたい1本があった。
Cao Gimaraes監督の『 A Alma do Osso(骨の魂)』。この作品は、昨年のこの映画
祭でインターナショナルコンペとブラジルコンペの両方の最優秀作品に選出されてい
る。
舞台はブラジル内陸のミナスジェライス州の奥地。人里離れた岩山で穴居生活をする
老人の話だ。老人はドミンギンニョ・ダ・ぺドラ(岩のドミンギンニョ)の名で呼ば
れている。年齢は71歳、ひとりで岩陰に暮らし始めて41年になるという。私好みのゾ
クゾクくる話である。
作品はある朝の老人の日常から始まる。延々と老人がコーヒーを沸かす様が写し出さ
れる。この人なりの細かいこだわりがあるようで、その段取りが解説抜きの長回しで
紹介される。なにやらカトリックのミサや茶道を髣髴させ、儀式と呼びたいほどのパ
フォーマンスだ。このあたりがこちらの評論家衆に受けたとみた。
老人の小川での水汲みの場面から、なぜか水中の微生物や大海を行く小舟の映像が始
まる。イメージショットなのだが、イメージの根拠がまるでわからない。この辺は私
あたりにはついていけない。もっと主人公そのものが見たい。
作者は手の内を隠さずに明らかにしている。日本のマスコミのように「幻の穴居人を
発見!」「史上初の映像!」といったビックリマークがいくつも並ぶでっち上げのス
クープを捏造しない姿勢は、いさぎよいといえるかもしれない。.
岩山の近くの道にバスがやってくる。付近の町の人間の日帰りの観光らしい。夕暮れ
時、ドミンギンニョは集まった観光客に自らの宇宙観に基づく奇妙な物語を披露する
のだ。かつて精神病院で、電気ショックも浴びせられていたらしい。さらに老人は月
に一度は町に出て、年金を受け取っていることも隠すことなく触れられている。この
ことから老人は決して人嫌いではなく、また地元では有名人であることがうかがえる。
おそらく彼の取材を開始するにあたっても、私のブラジルの同胞取材ほどの苦労はし
ていないな、と同業者なりに察しがつく。
そして使用されている映像から判断すると、あまり取材に日数をかけていないこと
も…。ある日のコーヒー沸かしの段取りが延々と紹介される割に、老人がコーヒー以
外に何を食べているかなどは一切うかがうことができないのも妙である。岩山の仙人
の境地になると、コーヒーのみでの生存が可能なのだろうか?それにしてもインター
ナショナルおよび国内コンペの両方の最優秀作品とは…
さあ僕は僕の作品を作り続けよう。
☆(編集者よりお詫び)33号に掲載した岡村さんの記事の中で、1箇所、取り上げた
作品名が文字化けしていました。正式タイトルは、『Motoboy−Vida Loca』です。
MotoboyとVida Locaの間に横棒(ハイフン)が入ります。
■岡村 淳(おかむら・じゅん)
記録映像作家。在ブラジル。1958年、東京都出身。1982年に日本映像記録センターに
入社、番組ディレクターとして牛山純一プロデューサーにドキュメンタリー作りを叩
き込まれる。1987年、取材で通っていたブラジルにフリーランスとして移住。「フリ
ーゾーン2000」(朝日ニュースター)の番組制作により、ひとり取材に開眼。近年は
単独取材、自主制作を専らとしている。本年中に最新作「橋本梧郎南米博物誌 ギア
ナ高地の伝言」を完成予定。92歳の移民植物学者と秘境に挑んだ記録です。
「岡村淳のオフレコ日記」 http://www.100nen.com.br/ja/okajun
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┃02┃□列島通信 ≪沖縄発≫
┃ ┃■映像の新拠点《桜坂劇場》誕生!
┃ ┃■真喜屋 力
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●大小3スクリーンの多目的劇場に改造
2005年の4月10日。沖縄の古い中心街にある最後の映画館が消えました。かつて那覇
の中心街は13スクリーンくらいが集中し、休みともなれば地元の人々の多くが足を向
けたものでしたが、今はもうさっぱり。今や国際通りは観光客のメッカ。
お土産屋さんばかりで、地元民が服を買いに行くのも困るありさまです。ありきたり
の話ですが、沖縄も郊外型のシネコンに持ってかれたわけですね。
そんな中で、最後の既存館が興行をやめるというニュースは、僕だけでなく、多くの
地元民に衝撃を与えました。あとはもうシネコンだけなのです。“シネコン”が悪い
とは言いませんが、“シネコンだけ”ではマズイに決まっています。しかも興行会社
は一社だけの独占状態ですからね。
そんなわけで、僕も含め有志があつまり金を出しあい、この劇場施設を生まれ変わら
せることにしたわけです。その名も桜坂劇場。通称“桜坂”と呼ばれる坂の頂上にあ
るということにくわえて、映画館という枠組みではなく、ライブやトークショーなど
昔ながらのエンターテイメント施設としての復活を目指すということで、あえて“劇
場”と命名したわけです。実はこの場所は戦後すぐに“珊瑚座”という沖縄芝居の劇
団が居を構えたところから、今に至るという歴史を背負った場所なのです。そして
7月1日。
映画ではなく、『おすぎのシネマトーク』という生ライブで劇場をスタートさせたの
でした。
劇場は300席、100席、80席の3スクリーンを持ち、35ミリ、16ミリ、ビデオプロジェ
クターを完備。広すぎる元事務所をワークショップなどができるスタジオに改造(僕
らはこれまた広すぎた社長室を事務所として使用)。さらに受付をロビーの奥に設置
して、ロビーは自由に出入りできるスペースにし、カフェと専門書やグッズをおいた
ショップの設置。近所の婆さんがたもふらりとお茶を視に立ち寄れる気持ちのいい場
所になりました。人が集まる情報拠点として、みごとに生まれ変わったわけです。
これまで沖縄には二つの興行会社があって、見事なブロックブッキングですみ分けを
していました。うち一つが映画興行から撤退したことで、沖縄の興行界は完全独占状
態となるところでした。しかし、僕らはなんのしがらみもないところから出てきて、
完全フリーブッキング。もちろんおつきあいがなかなかかなわない配給会社もありま
すが時間をかけて作品のバリエーションは出していきたいと思っています。
もちろんドキュメンタリー映画の上映もやっていきたいというのはあります。それに
ともなって、モーニングショーという形態も始めていこうと計画中。以前BOX東中野
で働いていた経験を、記憶の底から絞り出している最中です。すでにドキュメンタリ
ーに関しては持ち込みもあり、地元のマスコミとうまく連携して上映をしていきたい
と、枠組み作りをはじめていくところです。
この劇場を始めるにあたり、これまでの放浪生活をやめ、沖縄にもどりました。
今後、桜坂劇場と沖縄の状況を定期的にレポートし低来たいと思いますので
よろしくお願いします。
■真喜屋 力(まきや・つとむ)
1992年『パイナップルツアーズ』の1パートを監督。BOX東中野スタッフを経て、演出
業、Web製作などで、東京と沖縄を行ったり来たりしていたが、本年4月より沖縄に居
座り、桜坂劇場 プログラムディレクターを担当することになった。
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┃03┃□特報
┃ ┃■『銀輪』が見つかった!
┃ ┃■岡田 秀則
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すでに新聞やテレビでも報道されているが、幻の実験映画『銀輪』(1955年、12分)
が50年の歳月を経て発見された。映画アーカイヴの人間として、「幻の」などという
修飾語を使うのは、実はなかなか恥ずかしい。だが、この作品だけはそう語っても許
されるのではないか。実験映画ファンが、映画研究者が、上映プログラマーが、美術
関係者が、音楽関係者が、そしてもちろん当のスタッフの方々が長年その消息を追っ
てきた作品だからだ。撮影の現場を事実上主導した松本俊夫氏だけでなく、音楽を担
当した武満徹も、逝去する間際までフィルムの行方を気にしていたと伝えられる。筆
者自身も10年ほど前、海外での武満徹作曲映画の上映特集を準備していた時、この映
画の消失を嘆いた人間の一人だった。
一種の“シネポエム”とも言える短篇『銀輪』は、もともと日本自転車工業会による
自転車の海外向けPR映画として立案された。新理研映画の社員だった松本が、社の仕
事のほとんどを占めるPR映画に飽きたらず、あえてその時代の尖鋭的なアーティスト
に呼びかけて作った例外的な作品だ。
まず、前衛美術グループ「実験工房」の北代省三や山口勝弘に依頼したグラフィカル
な美術が素晴らしい。浮遊するハンドル、四方に転がるベアリング、回る歯車、床に
散乱するホイールなど、自転車のさまざまなパーツが画面を舞うかと思えば、少年の
自転車へのあこがれを表現するいくつもの自転車が少年の頭上を飛び交う。浮遊する
物体の撮影は、特撮界の大御所だった円谷英二が担当したが、中でも、歪んだガラス
面の向こう側で自転車がくるくると回るショットは、山口のガラス絵画「ヴィトリー
ヌ」シリーズの鮮やかな応用だろう。さらに、まだ駆け出しの作曲家だった武満徹を
呼び寄せると、彼は鳥の声を人工的に歪曲させ、いわゆるミュジーク・コンクレート
を導入してみせた。とにかく、映画全体のまとう空気が若々しい。.
もっとも、このフィルムの全体がこうした実験的な表現で彩られているわけではない。
例えば、少年が本を読んでいるうちに眠りこける冒頭のシーンと、少年が眠りから覚
める結末のシーンは本来の版にはなかったという。会社が彼らの提示した新しい表現
を受け入れられず(それはそれで理解できるが)、「事態」の収拾を図ろうとした結
果、この「夢オチ」が付け加えられたようだ。そんな複雑な力学に翻弄されたこの映
画には、公式の「監督」が一人も存在しない。黒木和雄、土本典昭らが実践したPR映
画への“異議申し立て”のずっと前に、まったく別の動機からなされた「乗っ取り」
の試みも、やはり衝突を生んでいたのだった。
さて、ひとしきり発見を喜んだところで、少しだけ冷静になってみよう。本当は喜ぶ
前に、これまでフィルムが行方不明になっていた事実を問うべきではないだろうか。
「宣伝」というはかない仕事に甘んじるPR映画は、先天的に人々から忘れられやすい
運命にある。このフィルム(オリジナル・ネガ)も、新理研映画の倒産後、同社作品
の著作権を譲渡された会社が保管していた膨大なフィルム群の一つでしかなかった。
先般、その会社がフィルムセンターに素材をまとめて寄贈したために、ようやく個別
の作品として認識されたのである。近年フィルムセンターでは、PR業界を中心に、映
画プロダクションが過去作品のオリジナル・ネガを丸ごと寄贈する例が相次いでいる。
『銀輪』の発見は、まさにこの「丸ごと」の成果に他ならない。何でもかんでも救お
うとしたから、ある一本の大切な作品も救われた。それが『銀輪』の教訓である。
『銀輪』は、フィルムセンターの上映企画「発掘された映画たち2005」の中で上映さ
れる予定である。「前衛」という気取った言葉で飾るにはあまりにもラブリーな、自
転車パーツたちの動きにぜひ対面していただきたい。
☆発掘された映画たち2005
2005年7月19日(火)〜8月18日(木)
※『銀輪』の上映: 8月2日(火)7:00pm、8月18日(木)3:00pm
■岡田 秀則(おかだ・ひでのり)
東京国立近代美術館フィルムセンター。大入りの豊田四郎監督特集、夜の回は若い方
も多くてうれしい限りです。最近は、未来社の広報誌「未来」に、科学映画の魅力に
ついてのエッセイも書きました。
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┃04┃□neoneo坐通信(24) 7月後半のプログラム
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neoneo坐の7月後半の上映をお知らせします。
会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より
徒歩1分、JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。
詳細と地図は下記のneoneo坐サイトをご覧下さい。
http://www014.upp.so-net.ne.jp/kato_takanobu/neoneoza/index.html
皆様には、お得な一般会員(2,000円、1年間有効)になることをお勧めします。
■山ドキ!東京予備校 第3弾(ヤング・チャイニーズ・ボーイズ)
Program A 〜少年たちが制服を脱ぐ日〜
7月16日(土) 15:00〜/7月22日(金) 18:00〜
『この冬』(中国/2001年/中国語/カラー/ビデオ/90分)
監督:仲華(チョン・ホァ)YIDFF2001 アジア千波万波出品
夢を実現させるため北京に行きたくて、武装警察に入隊した少年たち。やがて、仲間
と共に過ごした守られた世界から卒業していく。自分の分身でもある後輩たちにカメ
ラを向けた仲華のナイーブな感受性が涙を誘う。
Program B 〜それは戯れであり、戦いだった〜
7月16日(土) 13:00〜/7月22日(金) 20:00
『I Love (080)』(台湾/1999年/中国語/カラー/ビデオ/58分)
監督:楊力州(ヤン・リージョウ)YIDFF'99 アジア千波万波 NETPAC特別賞受賞
台湾全ての男性に課せられる兵役義務。除隊したら、オーストラリアの美術大学に行
こうと夢見る若者がひとり、軍隊組織のなかの腐敗、言葉の暴力、上司の偽善に徐々
に精神的につぶされていく。カメラの加害性も突きつけられる、胸のつぶれるような
映画体験
『ハイウェイで泳ぐ』(台湾/1998年/中国語/カラー/ビデオ/49分)
監督:呉耀東(ウー・ヤオドン)YIDFF'99 アジア千波万波 小川紳介賞受賞
30歳の男性、不安を抱えている。26歳の友人、カメラを持っている。HIVに感染しな
がら生きていく男の生きざまを撮影しながら展開する二人の関 係。それは戯れであ
り、戦いだった。山形映画祭'99の小川紳介賞受賞作。
Program C 〜唖然としちゃう2本〜
7月29日(金) 18:00〜
『狩りに出る2人』(台湾/1998年/台湾語・北京語/カラー/ビデオ/49分)
監督:陳硯儀(クリストファー・チェン)
ドキュメンタリーのフリをしたバラエティー番組? 友情のはかなさを憂う哲学的考
察?よくわからないが、詐欺師もどきの2人の男とその共犯者(監督兼カメラマン)
が出くわす、思いがけない事実の展開には唖然としちゃう。不倫がバレた瞬間、本当
に警報が鳴るんだから驚いた。
『美麗少年』(台湾/1998年/台湾語/カラー/ビデオ/63分)
監督:陳俊志(ミッキー・チェン)YIDFF'99 アジア千波万波出品
10代のゲイの少年たちと家族の関係を率直に描いた、3話にわたるオムニバス映画。
米国留学を前に恋人と別れる決心をした小羽。名門高校の太っちょモーガン。女装パ
フォーマーの美少年、小丙。彼らの伸びやかな笑顔と飾らないおしゃべりに感染せず
にはいられない。
Program D 〜布団の綿を打ち直す〜
7月29日(金) 20:00〜
『綿打ち職人』(中国/1999年/中国語/モノクロ/ビデオ/78分)
監督・編集:朱伝明(ジュー・チュアンミン)YIDFF'99 アジア千波万波 奨励賞受賞
故郷を離れ北京で古い綿布団を打ち直す仕事を始めた青年。道端に住み、お客を待つ。
北京電影学院の学生監督が同年輩の彼と知り合い、日常生活の記録を始めた。監督は
フィクションの次作『山の上』(2003)で待望の若手としてロッテルダム映画祭などで
脚光を浴びた。
【料金】
1プログラム券 一般 1,500円 / neoneo坐 会員 1,000円
2プロ通し券 一般 2,500円 / neoneo坐 会員 2,000円
補講!多彩なゲストと たっぷり語る!
『ヤマガタ千夜一話』司会:藤岡朝子(山ドキ!専任講師)
「ヤマガタヒストリーズ」(7月16日)は山形映画際'97関連作品を特別上映!
ゲストはNY在住のマサ氏(映画監督)です。2プロ通し券の方・「Neo宿」予約の方は
『良き友、そして良き人々…』鑑賞無料!(対談はお一人様500円)
■小川紳介のコスモス〜小川プロの仕事 (第10弾)
7月24日(日)
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(1986年 16ミリ カラー 222分)
監督:小川紳介、撮影:田村正毅、音楽:富樫雅彦
13:30〜 program 1『1000年刻みの日時計』≪前編≫
小川紳介と小川プロの13年にわたる山形県牧野村生活の集大成。稲のなかに宇宙が広
がる。「これは、もはやドキュメンタリーという必要はなく“映画” なんだ。ぼく
らの中に13年間のドキュメントがあるから身体の中でドキュメントしたものを映画に
したんだ。」(小川紳介)
15:30〜 program 2『1000年刻みの日時計』≪後編≫
古層を現前させ、ドキュメンタリーとフィクションはボーダーレスとなる。何世代に
もわたって牧野村で伝えられてきた口承の伝統、舞踏、そして劇映画の形をとって再
現された一揆から、歴史のリアリティを確認する。そして村人総出演の大団円。
【料金】
当日―1プログラム:1,500円 / 通し券(1日券):2,500円
一般会員―1プログラム:1,200円 / 通し券(1日券):2,200円
17:30〜 講座:ゲスト:鈴木志郎康(映像作家・詩人)
参加費 :1,500円 (1ドリンク+おつまみ)
■「短編調査団」(10) うわさの巻
【料金】鑑賞無料! カンパ歓迎!
7月27日(水) 20:00〜
『コトバと態度』(1956年/20分/白黒/16mm)
製作:三木映画社/プロデューサー・撮影:三木 茂/演出・脚本:丸山章治
コトバと態度が日常生活にどんなに大切であるかを具体的に注意したときと、不注意
のときの結果を例にして説明したもの。『戦ふ兵隊』(1939)で知られるカメラマン
・三木茂(1905〜1978)が終戦直後に創立した三木映画社の作品。
『エチケット―これからの礼儀作法―』(1959年/20分/白黒/16mm)
製作:三木映画社/プロデューサー・演出・撮影:三木 茂/脚本:秋元 憲
個々の場合における具体的なエチケットのあらわし方を説明しながら、“エチケッ
ト”の本体を随筆風に描いた。
『うわさはひろがる』(1959年/21分/白黒/16mm)
製作:第一映画社/プロデューサー:堀田幸一/演出・脚本:岩堀喜久男/
撮影:岡田三八雄
うわさの特徴はすべてこれ推測、また聞きの話です。事実がぼやけるとどうしても勝
手な解釈が生まれ、ゆがんだものになりがちです。うわさはどう拡がっていくか、こ
れを銀座の真ん中で実験的に捉えてみました。
『群集の行動を考える』(1985年/28分/カラー/16mm)
製作:学習研究社/プロデューサー:古岡 滉/
演出・脚本:新井慎一/撮影:川上皓市・篠田 昇
群集の行動に粒状の流れの原理を応用し、群集の力学と心理を科学的に解析する。ま
た、群集事故を未然に防止するために、ロープ規制、ボディアクション、誘導などに
よる群集の分割・整理の重要性と、群集の中の個人の心構えを説く。
■科学映画特捜隊 Vol.4(宇宙映画大作戦 STAR MOVIE TREK)
7月31日(日)上映 17:00〜19:20
『ロケット開発のパイオニア』(2002年/ビデオ/22分/カラー)
企画:NASDA 宇宙開発事業団/製作:日本宇宙フォーラム+メディアアトリエ
最初は23cmのペンシルロケットだった。宇宙開発に生涯を捧げた、ツィオルコフスキ
ー(ロシア)、ゴダード(アメリカ)、オーベルト(ルーマニア)、フォン・ブラウ
ン(ドイツ)、コロリョフ(ソ連)、そして糸川英夫。日本初の試験ロケット「ペン
シルロケット」など、貴重な記録フィルムを駆使しながら先駆者たちの偉業に迫る。
フリッツ・ラング監督もオーベルトのロケットを使って『月世界の女』を撮影しよう
としていた!
『M-V 宇宙 (そら) へ』(1997年/ビデオ/48分/カラー)
企画:ISAS 文部省宇宙科学研究所/製作:電通+電通テック/脚本・演出:井上勤
/撮影:滋沢雅人・鈴木完周・山崎賢次ほか(科特隊隊員・加藤孝信も参加しまし
た!)
科特隊隊員も撮影!最新鋭ロケットの記録。1997年2月12日、鹿児島県内之浦の観測
所から打ち上げられた大型ロケットM-V(ミュー・ファイヴ)の開発工程と発射の様
子をフォトジェックに捉えた一大記録篇。官能的な動きを見せるさまざまな内部装置、
そして四方八方から撮影された打ち上げの瞬間は祝祭的な歓びに満ちる。秋田県の実
験場で行われた水平噴射の燃焼実験もとんでもない迫力!
『X線天文学への道』(1968年/16mm/21分/カラー/企画:文部省/製作:岩波映
画製作所)脚本:吉原順平/演出:矢部正男/撮影:中山正昭/音楽:菊地雅春
“すだれ”が謎の星をつかまえた!強いX線を出す天体を光学的に観測する新分野、X
線天文学を解説した天文学映画屈指の名作。1966年、東京天文台岡山観測所が、光の
入射角を検知する「すだれコリメーター」を使ってさそり座X線の光学的同定に成功
した。謎に包まれていたX線星の正体が明らかになり、その後X線天文学は日本の「お
家芸」とまで呼ばれることになる。
『マカリィ 大きな島の星の子たち』(2000年/ビデオ/39分/カラー)
製作:U.N.Limited+星空上映実行委員会/演出:今泉文子/撮影:西川 宏・田島正
晴・太田耕介ほか/音楽:野田晴彦/語り手:イルカ
厳寒のハワイ(!)にそびえる大望遠鏡。近年の日本天文学界最大の話題、ハワイ島
マウナケア山頂の大型赤外線望遠鏡「すばる望遠鏡」の建設記録で、本作『マカリ
ィ』はそのこどもバージョン(おとなバージョンは『未知への航海』)。「すばる」
で働くスタッフと家族の暮らしをこどもたちの視点から語る。ラスト、一晩の星の動
きをあっという間に体験できる、微速度撮影による満天の星空が圧巻!
19:30〜 <夏の科特隊まつりっ!>
ビールで乾杯後にスタートするトークイベント。1年間の捜査活動を振り返る隊員座
談会「プレイバック科特隊」、お宝映像披露、宇宙食の試食(笑)などを盛り込んだ
真夏の夜のオフ会。シークレットゲストも登場!?
参加費:ドリンク&おつまみ付きで おとな2,000円、こども1,000円
科特隊 隊員募集!
我こそは面白い科学映画を発見したい!という方の入隊をお待ちしております。
年齢不問! 無給! 未経験者歓迎!(現在隊員8名。みんな未経験者)
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┃05┃□広場
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■投稿屋台『クチコミ来来軒!』(16)
■屋台引き:清水浩之(科学映画特捜隊、7月31日に開催!)
ここはメルマガ上に出店した「投稿屋台」です。皆様の投稿をお待ちしております。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアドレ
スor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィールや近
況も)を付記してお送りください。ちなみにここでは稿料は出ません。
清水浩之 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839
■新・クチコミ200字評!(15)
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビなど
皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オススメし
ない映画とその理由!」もOKです。
B-103『バグダッドを去る・アーカンソー州兵任務終了』
2005年/NEPアメリカ/撮影:クレイグ・ルナウドほか/構成:遠藤長光
放映:2005年7月2日・NHK衛星第一「BSドキュメンタリー」
昨年末のNHKスペシャル『イラク駐留 アメリカ州兵部隊』のその後。奨学金のために
州兵登録し、高卒直後いきなりバグダッドの治安維持に狩り出されたマットくん(20
歳)をはじめ、毎日狙撃のマトとして危険に曝された兵士が懐かしい故郷に着くまで。
もうすぐ帰還!という時期に凶弾に倒れたライルくんの悲運が重くのしかかります。
しかし「解放後」のイラクでアーカンソー出身4000人のうち死亡34人、負傷者500人
以上とは…。
B-104『宇宙戦争』
2005年/アメリカ/監督:スティーブン・スピルバーグ
http://www.uchu-sensou.jp/
なぜ今さら宇宙人襲来?「それはアメリカの国防意識を高めるためですよ」という囁
きに俄然興味を惹かれて鑑賞。つまり日本の防災訓練のように、アメリカ人の潜在意
識に「敵が来たら戦え!」と植え付ける必要があるようで、その点ではとても秀逸な
教育映画です。9.11以降のアメリカの国民レベルでの悪夢が、これでもか!というド
迫力で襲ってくる「リアルなテーマパーク映画」。お子さまには確実にトラウマが遺
りますのでご用心を!
B-105『皇室日記 天皇皇后両陛下サイパン慰霊の旅』
2005年/日本テレビ/ディレクター:大里武志/構成:長須良一
放映:2005年7月3日・10日 http://www.ntv.co.jp/koushitsunikki/
(天皇陛下)バンザイ・クリフに立つ天皇陛下…猛烈なインパクト。週末早朝の代名
詞、各局の皇室情報番組では相次いでサイパン慰霊訪問を特集。フジテレビの『皇室
ご一家』は恒例のニュース映画調で淡々と語るのに対し、こちら『皇室日記』では
「おもいッきりテレビ」でお馴染み久能靖さんがサイパンまで同行、両陛下を迎えた
様々な人々の声を集め、その歴史的な意義を探ろうとします。TBS『皇室アルバ
ム』は明日16日に放送。
■『シリーズ憲法 第9条・戦争放棄〜忘却』クロスレビュー募集中!
5月3日(火)深夜に放送されたフジテレビ「NONFIX」のシリーズ憲法『第9条・戦争放
棄〜忘却』(ディレクター:是枝裕和氏)の感想を募集します!今回はお一人様400字
以内を目安にお願いします。当日の放送を見逃した方や関東地方以外の方にもご参加
いただきたいので、録画したビデオテープを「お貸しする」用意もしております。
<録画した番組を売ったり配ったりする>のは犯罪だそうですので、郵便切手550円
分(送料+テープ実費)をお送りいただいた方に、あくまでも参考資料として「お貸し
する」企みです。ご希望の方は清水までメールにてご一報ください。
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■投稿
■映像の衝撃性にもたれかかりすぎか?
『Little Birds〜イラク 戦火の家族たち』(監督:綿井健陽)評
■脇阪 亮(行政書士、ファイナンシャル・プランナー)
このドキュメンタリーを観た後、言葉も出ないくらい衝撃を受けて会場を後にした。
しかし、しばらく時間が経つにつれ、その衝撃が薄まっていくことに気づいた。その
ため、何故観終わった直後は言葉も奪われるくらい衝撃を受けたのもかかわらず、そ
の後、1ヶ月ほどで印象が薄まってしまうだろうか、と考えてこんでしまった。
では何故、そもそも、このドキュメンタリーのどこに、私は衝撃を受けたのだろう
か?私が衝撃を受けたのは、やはりその素材となった映像の衝撃性だった。それは、
数々の死体であり、瀕死の重傷者の肉体である。これらは、テレビのニュース番組で
はほとんど観ることが出来ない映像である。これらの映像に私は衝撃を受けたのであ
る。しかし、考えてみると、テレビでは隠されていた映像のベールが解かれて公開さ
れたに過ぎないのではないか。しかし、隠されていた映像が観ることができるように
なったことの衝撃は一過性に終わらざるを得ない。なぜなら、その映像が衝撃だった
のは、隠されていたから、今まで観ることが出来なかったからに過ぎないから。この
隠されていた映像を見せる、衝撃的な映像を見せるという方法は、一歩間違うと「衝
撃の映像」として消費されかねない危険性をあるのではないか?.
この映画で綿井健陽監督に欠けていたのは、一種の戦略性ではないだろうか?このド
キュメンタリーは、衝撃的な映像の数々に寄りかかり、戦争そのものについて観客に
ついて考え込ませることが不十分なのではないか。個々の映像はすごいが、それをど
のように纏め上げ観客に見せるのかというコンセプトが弱いのだ。この映画のコンセ
プトはテレビで観ることが出来ない映像を見せることと、誰が見ても同情せざるを得
ない犠牲者への同一化だ。この仕掛け(戦略性)は単純すぎるのではないか。
例えば、森達也監督の『A』には明らかに観客に問いかけるような戦略性があった。
この日本社会の内部から生み出されたオウム真理教を日本社会の合わせ鏡として利用
するという独特の戦略性である。日本社会を改めて内省するために、オウム真理教を
鏡として利用するという戦略である。言い換えれば、オウム真理教という激しい化学
反応を起こす物質を使って、日本社会の驚くべき側面を浮かび上がらせるといっても
よい。オウム真理教という劇物を投じて浮かび上がる日本社会は、全く異様な風景だ
った。取材に際して喧嘩を始めるマスコミ、ビデオカメラが回っているにもかかわら
ず不法逮捕をする警察、オウム真理教の信者に説教を始める女性、そして何よりもオ
ウム真理教自身。だから、観客は観ていて居心地が悪くなる。なぜなら、自分が所属
している日本社会の奇妙で驚くべき側面、病んでいる側面をまざまざと見せ付けられ
るから。漫然と観客が前提としている通念が揺さぶられることになる。一体、何が正
常で何が異常なのか?と。『A』を観終わった後、自分が立っている場所が、ぐらぐ
らと揺れていることに気づかされた。
このような戦略性があるから、『A』という映画は、オウム真理教に限らず、ナチス
や日本社会について考える際にもヒントになっていた。つまり、一定の普遍性を持っ
ている。
それに対して、この『Little Birds〜イラク 戦火の家族たち』には、そのような
戦略性が希薄だ。大枠として、アメリカ軍は加害者、イラク市民は被害者が揺らぐこ
とはない。 「イラク戦争」についてのいろいろな情報を与えてくれても、「戦争」
とは何か、戦争を引き起こす「人間」とは何かについて考えることに観客をいざなっ
たりはしない。これでは観客の多くを占めると思われる、イラク戦争に批判的だった
人にとっての再確認にとどまってしまう。.
もちろん、このアメリカ軍は加害者、イラク市民は被害者という枠組が揺らぐ場面
(映像)が全くないわけではない。例えばバクダットが陥落して、アメリカ軍がバク
ダットに侵入していく場面に写っているアメリカ軍の兵士たちである。このシーンで
アメリカ軍の兵士たちは、予想とは違った、というような表情をしている。人間の楯
ウズマ・バシルさんに詰め寄られもする。彼らは、おそらく解放軍として歓迎される
ことを予想していたのだと思われる。しかし、そうならなかったので困惑したのだろ
う。さらに、占領中のアメリカ軍兵士が、綿井監督に詰問されて困惑するシーンがあ
る。私には、死体や瀕死の重傷者よりもこれらの兵士たちのなんともいえない表情の
方が印象深かった。アメリカ軍兵士に「加害者」ではなく、「人間」を見出した時の
衝撃といえようか。善悪や加害者被害者という大雑把な尺度では測ることの出来ない
複雑で奥行きを持った「人間」を見出した時の困惑といえようか。こういう曖昧で微
妙な表情の記録こそ、映像の独壇場だろう。文章での表現では難しい。綿井監督も上
映後のトークショーで、アメリカ兵がこの映画の『Little Birds〜イラク 戦火の
家族たち』のかくれ主人公だ、と語っておられた。
私は、これらのシーンを観ていて、森達也監督の『A』での荒木浩氏のインタビュー
シーンを思い出した。そのシーンの撮影時に森監督は、「加害者」や「悪玉」ではな
く、「人間」を発見していたのだと思う。森監督の『A』はこのシーンだけでなく、
全編に渡って善と悪、加害者と被害者というマスコミが前提とし、我々も大きな影響
を受けている前提を揺るがすシーンに満ちている。
しかし、この様なシーンはこの『Little Birds〜イラク 戦火の家族たち』には多
くない。大枠として、アメリカ軍は加害者、イラク市民は被害者という枠組みは動か
ない。だから、観客が改めてイラク戦争について考え直すきっかけにはなりにくい。
ただ、綿井氏の著作「リトルバーズ」には、イラク国外で広がったイラク反戦運動に
あまり共感できなかったという内容のイラク人の発言も記されている。しかし、映画
にはそのシーンはない。あるいは、この綿井氏の著作には、倒されたフセイン像を作
った芸術家のエピソードも登場する。このシーンも映画にはない。これらのシーンは
撮影が出来ず、映像がなかったのだろうか?死体や瀕死の重傷者の肉体の映像よりも、
このような映像に方が映画にあった方がよかったのではないか?こういう簡単に割り
切れない、複雑で重層的な「現実」を写しだしたシーンがもっと多ければ、このドキ
ュメンタリーは、もっともっと奥行きのある、観客にいろいろなことを考えさせる映
画になったのではないだろうか?このあたりが残念だ。.
それに対して、綿井監督と編集の安井卓治氏は、だれが見ても戦争の犠牲者としかい
いようがない、4人の子供のうちの3人を空爆で失ったアリ・サクバン氏や眼を怪我し
た少女に寄り添っていく。そのために、もちろん観客も被害者としてのイラク市民に
同一化していく。しかし、これでは森監督が批判する「被虐の輪廻」(森達也/姜尚
中『戦争の世紀を超えて』、講談社、p224)ではないか?実際、サクバン氏は、持っ
ている銃を綿井監督に見せたりする。
そもそもイラク戦争はイラク側にも問題はあったとはいえ、アメリカ側の先制攻撃だ
ったのだから、アメリカやイギリスを取材、撮影しなくてはその本質は明らかになら
ないだろう。
ジャーナリズムはそれまで報道されていない事実を報道することが仕事の一つである。
だから、ジャーナリストにとって今まで目にすることが出来なかった映像を撮影し、
公開することは最重要の仕事の一つだ。だから、この映画はジャナーリズムとしては、
素晴らしい。イラク戦争をはじめとする戦場で死線をさまよいながら、日本の視聴者
に戦場の現実を伝えてくれた綿井氏には、感謝している。しかし、ドキュメンタリー
はそれだけでは不十分ではないか?残念ながら、この映画は衝撃的な映像の数々で観
客の目に衝撃を与えてもイラク戦争、いや戦争について、観客により深く考え込ませ
る戦略性が不十分だと思う。.
映像そのものはすさまじいが、作品全体を貫く戦略性が弱い、眼に衝撃を与えても、
頭に訴えかけない、観客に思考を促さない、これがこの『Little Birds〜イラクの
小さな家族たち』が、時間が経つにつれて印象が薄れていく理由だと思われる。
厳しい意見になってしまったが、もちろんイラク戦争の実相を知るために必見の映画
だ。しかし戦争を「考える」ためには十分ではないのではないか?
参考文献:
森達也/姜尚中「戦争の世紀を超えて」、講談社、2004年
綿井健陽「リトルバーズ 戦火のバクダットから」、晶文社、2005年
森達也「『A』マスコミが報道しなかったオウムの素顔」、角川文庫、平成14年
参考サイト:
http://162.teacup.com/sinopy/bbs?OF=20&BD=2&CH=5
http://www.ltokyo.com/yanasita/diary/05051.html
http://cinema.translocal.jp/
http://d.hatena.ne.jp/Kurobaku/20050608
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■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)
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いりましたが、配信を継続する経費、その大部分は稿料ですが、ここに到って、皆様
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以上、neoneoの継続と、今後一層の充実した内容を図るためにも、皆様のご協力を何
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┃06┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
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●大久保賢一さんの「ドキュメンタリー映画のかたち」が多忙のため休載となった。
愛読されていた方には申し訳ございませんが、次回を楽しみにしてください。
一方で、沖縄の真喜屋力さんからは久しぶりにうれしいレポートが届いた。那覇に新
しい多目的の劇場を建設したとのこと。世知辛いニュースが多い昨今、厳しいけれど
も頑張ってほしいとエールをおくりたい。
岡田秀則さんからは「特報」を頂いた。久しく行方がわからなかった監督・松本俊夫、
音楽・武満徹の『銀輪』である。この作品の発見に到る顛末と内容については、ぜひ
本文を。
また脇阪亮さんからは『Little Birds〜イラク 戦火の家族たち』の映評の投稿が
あった。「映像の衝撃性にもたれかかりすぎか?」という辛口の評価だが、考えてみ
る価値がある論考だと思う。
●「ワールドワイドNOW」の本来の担当は≪ソウル発≫のチョン・スワンさんのはず
であった。しかし締め切りになっても原稿が届かない。半ば諦めていたところ、≪サ
ンパウロ発≫の岡村さんから思いのほか早く送信されてきたので、順番を替えて掲載
することにした。
岡村さんは、7月中旬から2ヶ月ほど新作『橋本梧郎南米博物誌 ギアナ高地の伝言』
の撮影のため、時期を早めて先送りしてくださったのだ。前作『アマゾンの読経』に
続いて、早々と新作へのチャレンジ。いつもながら旺盛な制作活動には驚嘆してしま
う。
メールの末尾には、「ブラジルの場合は、ブラジル国産部門のコンペというのがしっ
かりあり、鑑賞の機会の難しい作品群を一挙に見ることができます」とあり、「日本
ですと、私の作品でも上映してくださる飯田さん(優れたドキュメンタリー映画を観
る会)や藤崎さん(メイシネマ)の存在はありがたい限りです」と書かれ、末尾には、
「冬のサンパウロにて」と記されていた。
●編集後記はいつも原稿が揃ってから書くようにしているが、最近原稿が締め切り間
際になって届いたり、締め切りを過ぎてやっと送信されてくることも多いので、なか
なか編集後記に時間を割くことがむつかしい。今回は、これにてご勘弁を。
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■発行:ビジュアルトラックス visualtrax@jcom.home.ne.jp
■責任編集 伏屋博雄
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