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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 30-2号 2005.2.15

発行日: 2005/2/15


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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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  ┗━┛ ☆━┛ ┗━☆    30-2号  2005.2.15


∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 †01 日本のドキュメンタリー映画のかたち
      ドキュメンタリーの新しい夜明け (2)  阿部 嘉昭
 †02 自作を解剖する
      『わたしの季節』  小林 茂
 †03 ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫
      サンダンス映画祭の旅(1)―少し長い前置きから初上映まで―
         東谷 麗奈
 †04 列島通信 ≪名古屋発≫
      「特集:ドキュメンタリーの過去と現在」を終えて  越後谷 卓司
 †05 特別寄稿:
      科学映画の歴史〜東京シネマを軸として  岡田 一男
 †06 neoneo坐通信(14) 2月後半のプログラム
     2月18日(金)〜2月19日(土)「山ドキ!東京予備校」
          ―山形映画祭・アジア千波万波を中心に上映
     2月23日(水)「短篇調査団」上映会(3)
          ひなの巻『ひなまつり 日本人のこころ』 他3本
     2月27日(日)「小川紳介のコスモス〜小川プロの仕事」
          『映画作りとむらへの道』『三里塚・辺田部落』

※30-1号より

     ◇────────────────────────◆◇◆    


 †07 広場
     投稿屋台『クチコミ来来軒!』(6)
         新・クチコミ200字評!(5)  清水 浩之
         臨時企画 短篇調査団・調査報告
     投稿:「小川紳介のコスモス〜小川プロの仕事」レビューリレー(5)
                『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』('70)を見て  毛利 明光
        「はじめまして、小川さん」  阿部 理沙
 †08 編集後記  伏屋 博雄


   ★バックナンバー閲覧はこちらまで

   まぐまぐ配信   http://www.mag2.com/m/0000116642.htm
   melma!配信    http://www.melma.com/mag/39/m00098339/



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┃07┃□広場
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■投稿屋台『クチコミ来来軒!』(6)
■屋台引き:清水浩之(ゆふいん文化・記録映画祭)

ここはメルマガ上に出店した「投稿屋台」です。皆様の投稿をお待ちしております。
本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先(メールアドレ
スor電話)/題名/制作年/監督/見た場所(よろしければあなたのプロフィールや近
況も)を付記してお送りください。
※今月から宛先が変わります!
清水浩之 E-mail: shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp /ファクス:03-3703-0839


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■新・クチコミ200字評!(5)
オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!映画・ビデオ・テレビなど
皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも可!もちろん「オススメし
ない映画とその理由!」もOKです。

B-076『われら!農民オーケストラ 北の大地の賢治たち』
2004年/北海道文化放送/ディレクター:吉雄孝紀
第13回FNSドキュメンタリー大賞 特別賞受賞作品
放映:2005年2月2日・フジテレビ(受賞記念の再放映)
農閑期に出現する「北海道農民管弦楽団」10周年コンサートの準備から本番まで…と
はいえ演奏風景はほどほどに、カメラは団員達の生活に注目。自然農法にこだわる活
動の一方で、輸入野菜による価格暴落で作物を廃棄せざるを得なかったりと、決して
見通しは明るくない日本の農業。それでも「食べ物を作りたい」と語る彼らの姿と、
「音楽をやりたい」楽しさに満ちた演奏とを重ねる優しい視点が、静かな問題提起と
して印象に残りました。
(清水浩之/東京/37歳/宮澤賢治の♪星めぐりの歌、いい曲ですねー)

B-077『罪の意味 少年A仮退院と被害者家族の7年』
2004年/関西テレビ/ディレクター:柴谷真理子
第13回FNSドキュメンタリー大賞 大賞受賞作品
放映:2005年1月30日・フジテレビ(受賞記念の再放映)
神戸タンク山の児童殺人事件から7年、犯人の少年院仮退院を期に被害者の父と兄が
やりきれない思いを語る。事件そのものより気になったのは「仇討ち気分」満々な制
作方針。報道屋さんも近所の見物人も当事者にとっては同種の野次馬ではないか、と
いう自制は不要かなあ?兄の『法律は正義じゃないと思いました』等の発言をテロッ
プで強調するのもアリかなとは思いますが、その言葉を借りれば『テレビも正義じゃ
ない』と思いました。
(清水浩之/東京/37歳/『TVのチカラ』という番組もちょっとコワいです)

B-078『失業エヴォリューション』
2004年/パトリア=プラネット+1「シネアストの眼」シリーズ/監督:鎌田大資
3月11日(金)・12日(土) アテネ・フランセ文化センターで上映!
 http://www.athenee.net/culturalcenter/ 
タンク山にカメラ持参の訪問者はみんな野次馬!というメッセージが観る者に衝(笑)
撃を与えた『インサイド神戸』(1997)の作者・鎌田さんが、奥さんと息子という格好
の共演者(共犯者?)を得て「もしも今の仕事(大学の先生!)を失ったら?」をテーマ
に繰り広げる寸劇入りシネエッセイ。失業の先輩である知人が語る風俗情報誌の広告
営業事情などムダな知識満載の30分。ある意味オモチャにされている雷賀くん(2歳)
の将来も心配です!
(清水浩之/東京/37歳/お父さんの映画に協力的な、イイご家族です…)


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■臨時企画 短篇調査団・調査報告
「私のオススメ三品」は、登場予定の某氏が急用のためお休みをいただいて、neo
neo坐にて無料上映中!の「短篇調査団」調査報告をお送りします…。
(文責:短篇調査団)

『自然界のつりあい 動物の数は何で決まるか』
1972年/東映教育映画部/企画・構成:布村建/脚本・撮影:川崎龍彦
アメリカシロヒトリの卵10,116個がどれだけ成虫になれるかの生き残りレースを密着
取材。孵化した子供たちに降りかかる数々の危機!鳥に喰われ、ハエに寄生され、カ
ビにたかられて仲間はどんどん減っていき、やっと成虫になれたのは58匹…生存率5
%の難関を突破した「エリート」たちも外敵に狙われるから、子孫を残せる者は更に
少ないという、人間社会にも似た大河ドラマ。なんだか身につまされるところがポイ
ントでしょう。(2005年2月9日上映)

『つつが虫』
1953年/三井芸術プロ/演出・脚本:太田仁吉/撮影:鈴木喜代治
日本初の科学映画作家"太田監督は「理科教育に熱心な小学校の先生」から映画界に
とらばーゆしたそうで、ナレーションの語尾に「…です」と「…である」が混在して
いる辺りがそれっぽい気もします。大きさ僅かに0.3ミリ!というつつが虫の子蟲が
誕生する瞬間を、ズームレンズもあったかどうかという時代に捉える作業は気が遠く
なるくらいシンドいはずですが、そんな苦労は一切口にしない作風も、明治生まれの
気概を感じさせます。(2005年2月9日上映)

『阿寒湖のまりも』
1954年/科学映画研究所/演出・脚本:太田仁吉/音楽:伊福部昭
「脚本・演出 太田仁吉(遺作)」というタイトル通り、完成直前に急逝…でも当時試
作段階にあったカラー撮影(色彩監督なる役職のヒトも登場)にチャレンジするなど、
作風はあくまでものびのび。当日上映したプリントは白黒版でしたが、水中をふわり
ふわりと浮き沈みする漆黒のまりも達も、観ているうちに吸い込まれそうな奥深さを
たたえていました。アイヌの「まりも祭」を彩るエスニックな伊福部サウンドも素敵
でございました。(2005年2月9日上映)

『猫の散歩』
1962年/桜映画社/演出:大橋秀夫/脚本:岡野薫子/撮影:アン・スンミン
野良猫の“吾輩”から提言される人間社会の環境衛生…というコンセプト自体、言う
は易く行うは難い企画だと思いますが、撮影のアン・スンミンさんをはじめスタッフ
の粘り強い作業が実って、猫の“極めて自然な名演技”が堪能できます。サザエさん
チックな東京郊外の街を舞台に、人口急増でゴミ処理が追い付かない昭和30年代の都
会生活も活写されていて見応え充分。町内の奥さん総出でドブ掃除をするモブシーン
は感涙必至の美しさ!(2005年2月9日上映)

次回2月23日(水)「短篇調査団」は某巨匠の幻の作品が登場?詳しくは今号の上映
情報を、追加情報は http://d.hatena.ne.jp/shimizu4310/ をご覧ください。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■投稿:「小川紳介のコスモス〜小川プロの仕事」レビューリレー(5の1)
■『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』('70)を見て
■毛利 明光(P.O.P.ネットワークス)

三里塚シリーズのうち、この作品は「困窮した農民が自ら糞尿弾となって公団に立ち
向かう姿を描いた」と紹介されるが、その手段がたまたま“ユニーク”だからよくレ
ビューで取り上げられるのだろう。僕はその糞尿弾云々ではないところで、作品につ
いて記述したい。

『三里塚』シリーズのどの作品を見ても涙が出てくる。なぜかと言われれば上手く言
葉で表現できない・・・。評論ではないところで、純粋に思ったこと考えたこと感じ
たことを素直に書きたいと思う。この作品だけに限定するのではなく、三里塚シリー
ズ全体についてのレビューになるかもしれないが・・・。

涙が出る理由として考えられることがいくつか浮かぶ。
一つはこの事件性のため。同じ日本人同士でなぜここまで争わなければいけないのか、
という悲哀にも憤怒にも似た感情のため。平穏に暮らす農民の生活を突然変異のごと
く変えてしまった。農民たちは募る怒りのせいで人相が変わって見える。農民から農
地や家を奪うことは、存在意義の大部分を奪うことにつながるからだと思う。未開の
地を開墾して、血と汗と涙の結晶である農地を“剥奪される”という危機に面してい
るのだから、どんなに気の優しい人でも怒りは覚えるだろう。自分がその立場であれ
ば当然命をかけて反対するし、例え、国策に勝てないと分かっていても傍観するわけ
にはいかない。守るべき家族がいればなおさらだ。ましてや相手側に翻りはしない。
映画の中で公団側に就いた男が、みんなからリンチに近い“いじめ”にあっていたの
が印象に残った(『日本解放戦線 三里塚』より)。この“神聖なる”行為を誰が止め
られるだろうか。

もう一つは作家性のため。この一連の闘争を、キャメラがそのキャメラアイを被写体
から背けることなく一部始終を撮り続ける、その姿勢に感動するからだ。田村正毅さ
んのキャメラは恐い。そして、小川紳介さんの鋭利な作家魂が恐い。全てを写してし
まうから。田村氏の『萌えの朱雀』の優しいキャメラワークや、小川氏の『牧野物
語』シリーズの達観した演出とは違う迫力がある。例外なく全ての農民がそのキャメ
ラアイによって挑発され、農民たちが考えている以上の欲求を引き出し行動に移させ
てしまう。学生闘争よりもっともっと生々しい闘いであることは間違いない。学生は
やり直しがきくし、身寄りがある。確かに、アイデンティティを否定された学生が怒
り、この世を粛正しようとするのは分かる。ただ背負っているものが違い過ぎる。農
民たちの鬼気迫る状態をこの映画はよく捉えられていると感じる。その瞬間を捉える
ことが、それこそがドキュメンタリー映画の意義の全てであると思う。抽象論で恐縮
だが。

シリーズ第3弾の本作で農民たちは精神的な誓い、団結力が一層強くなっていること
が見てとれる。糞尿を頭からかぶって戦線の前面に威風堂々と座り込む老人が現れた。
敵(公団)にも焦りの色が見え、強硬姿勢にうって出てきたからだ。これらのシークエ
ンスから、石や砂を投げつけて測量を阻止しようという応戦状態を超越し、次の段階
に入ったことがうかがえる。この迫力を、71年以降に使用されるエクレール社のカメ
ラとナグラ社の録音機での所謂同録システムを確立する直前に、生々しく伝えること
に成功しているところに、偉人小川紳介の手腕、才能のすごさが垣間見られる。

このレビューは、全くこの章のレビューになっていないと思われるが、この章は紛れ
もなくシリーズの中核をなす作品である。シリーズ全体を見渡していないため、全シ
リーズを見終えてからこの章の意義を再考したいと思う。そのため、今回はこの辺で
指を止めておこう。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■投稿:「小川紳介のコスモス〜小川プロの仕事」レビューリレー(5の2)
■はじめまして、小川さん
■阿部理沙(大学生)

私が小川紳介を初めて観たのは『日本解放戦線 三里塚』(1970)、19歳のクリスマス
であった。恥ずかしながら、三里塚といえば中学校の公民の授業以来耳にしていない。
それを承知で、今回は誰しもが通るであろう「小川紳介を初めて見る」という視点か
ら、このレビューを書いてみたいと思う。

『日本解放戦線 三里塚』は三里塚シリーズの第2作目である。通称『三里塚の冬』
といわれているが、三里塚の人にとっても、作り手にとっても、冬だったのだなと感
じた。144分の1つの作品として観た時に、何を伝えたいのかということが、とても曖
昧だ。解説には「三里塚の人々の内面を描く」とあったが、インタビューに頼りすぎ
ていて、核心の部分が伝わって来なかった。冒頭の方でおじいさんの方言がきつくて
何をしゃべっているのかわからない。それでも字幕がない、テロップが少ない、ナレ
ーションがない、といった小川さんの演出は三里塚の人々を丸ごととらえたいという
気持ちのあらわれだとは思うのだが、観ている方は少し戸惑ってしまった。やはり
『日本解放戦線 三里塚』はひとつの通過点として、三里塚シリーズの始めから見る
べきなのだろうか。ただこの曖昧さは、作り手側の戸惑いや迷いの空気と、三里塚の
人々の闘争に対する疑問や迷いの時期、がリンクした結果である。この作品のテーマ、
実は伝わっていたのかもしれない。

三里塚の人々も悩み、小川さんも悩み、そして観客も悩む。

私の個人的な疑問として、三里塚の人々がこの闘争に対して、一人一人考え始めてい
ることをなぜもっと画でみせてくれなかったのか?私は内面こそ、ちょっとした行動
に出てくると思う。しかし、この作品には三里塚の人々の生活の様子はいっさい出て
こない。小川さんは村の人々と住み、生活をしていたのに、なぜそれを撮らなかった
のだろうか?目の前の闘争のことに夢中だったのか?映画に対して「もしも」の話は
禁物だが、そこが見たいのにぃ!とつい思ってしまったのは否めない。

一方、先日『三里塚・第二砦の人々』(1971)を見たが、ナレーションがない、手持ち、
長回し、の小川さん演出は健在でありながら、テロップは増えて、この作品から見て
もある程度理解できる作りになっていた。カメラも体をはって、人々の中に突っ込ん
でいて、公団と村の人々のぶつかり合いのシーンではおばちゃんの凄まじいアップシ
ョットにドギマギさせられた。そして、『三里塚の冬』では見られなかった人々の生
活が映し出されていて、面白かった。穴の中ですごくうれしそうにニコニコ話してい
る男の人など、闘争の裏側の生活や工夫、そして人間が見えることによって、とても
豊かな作品となっていたのである。

とはいえ、『三里塚の冬』でも、インタビューでの人物の表情やシワ、手、目、仕草、
などにカメラをむけて凝視することで、小川さんはこの闘争や三里塚の人々と体当た
りで向き合おうとしたのだ、ということは感じた。そして、「映っちゃったもの」は
とても面白かった。村人の一人が公団の人に怒り言い争っている後ろで、必ず誰かは
ニヤニヤ笑っていた。機動隊の人も村の人にすごく攻められているのに、ちょっと口
が笑っていた。三里塚の人たちは前歯が銀歯の人が多いが闘争に夢中で歯を磨く時間
がなかったのかな?と自分勝手な想像をしてみたりするのだった。見る前の想像と反
して、三里塚の人たちは意外にあくどい手を使っていたりする。子供をダシにして公
団と言い合っている光景は、人間臭くて面白いなと思った。

こうして小川さん初見を果たした日、寒さのあまり空を見上げると、重いグレーの雲
が静かに浮かんでいた。まるで『日本解放戦線 三里塚』だ、と思った。

このレビューでは闘争の内容や国家権力に対しての意見は述べていない。ドキュメン
タリー映画の1つの作品としてみた。それは、まだ私が映画を勉強している学生にす
ぎないことや、そういった知識に対して軟弱であることがあげられる。もっと勉強し
なくてはという気持ちにさせられた事も確かである。昔の偉人が「見る事は知る事
だ」と言ったように、昔の出来事を見る事によって、今私たちの生きている世の中が
見えてくる。この三里塚や学生闘争が起こり、団結して抵抗できた時代と、今とでは
明らかに状況は違う。しかし、問題にすべき出来事はたくさんあると思う。
しかし私たちはやらない。やはり個人個人で考えて行動してゆくしかないのだろうか。

まだまだ、小川さんとの対話は続きそうである。

「小川さん、じゃあまた今度!」


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映

●京都 ドキュメンタリー・フィルム・ライブラリー 2月の上映会
 http://dofil87.hp.infoseek.co.jp/index.html 
山形国際ドキュメンタリー映画祭2003セレクション
『350元の子』(監督:李林 (リー・リン)中国・アメリカ/2001/ビデオ/85分)

麻薬におぼれる成都のストリート・キッズ。
カメラを向けるだけでは済まされない! と監督が立ち上がる。
子供を食い物にする黒社会と警察を暴こうと孤軍奮闘するが...
作品紹介(山形映画祭ウェブカタログ)
 http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/2003/cat037/03c041.html 

-----

彼らを撮り続けたのは、映画人としての良心から
(李林監督インタビュー)
Q: その後の彼らについてと、続編についてよろしければ教えてください。

監督:『350元の子』と続編の『求救』を1本に短くまとめたものが、既にオーストラ
リアのABCTVで放送されている。彼らとは1年後に同じ場所で再会した。チェン・リー
(女の子)はHIVに感染していた。彼女と注射針を共有していた2人の男の子も感染の疑
いがあると思い、病院に連れて行って検査をした。結果は陽性。まだ発症はしていな
いけれどもいずれ発症し、死を迎えるということは避けられないだろう。問題なのは
彼らが何の治療も受けていないこと。そして、警察や人々がHIVに関する知識を持た
ないこと。私はこの撮影にあたり、中国の法律の中に子どもを守るものがないか調べ
た。もちろんそれはあったのだが、実行されていない。一番心が痛んだのは、彼らが
ぶたれること、警察官にぶたれ、物を盗った相手にもぶたれる、結局法律自体が機能
していないということだ。あるがままに子どもたちを現在の状況に放置している。か
わいそうなのは子供たちだけではなくて、そこに住んでいる大人たちも哀れだし、そ
れにもましてこの私の国自体がとても悲しい。むろん自分が生まれた国、自分の国で
ありとても愛しているがゆえに余計悲しい。この映画を観てくださる方にお願いした
いのは、フィルムを通して私が観たもの感じたことを、是非どうか心に留めていただ
きたいということだ。そしてこの映画が中国でも上映されることを望んでいる。
(山形映画祭2003デイリー・ニュースから)

上映日時:2月26日(土) 14:00 上映 /18:00 上映
料金:一般 1000円、ドフィル会員 700円
会場:「ひと・まち交流館 京都」第1・2会議室(河原町五条下る東側)
   (京阪「五条」駅下車徒歩8分 地下鉄烏丸線「五条」駅下車徒歩10分
   JR京都駅から市バス17,205号系統「河原町正面」下車 約5分)
   TEL:075-354-8711  FAX:075-354-8712
地図: http://www.hitomachi-kyoto.jp/access.html 


●『永遠のハバナ』上映(ユーロスペース)

「ゲバラもジョンレノンも、もういない。でも、私たちの人生は、ここにある」1本
のフィルムがすりきれるまで上映された、これこそ「私たちの現実」

障害を持つ子供、街角でピーナッツを売る老女、ダンサーを夢見る青年。公園で人々
の夢を見守っているかのようなジョン・レノンのブロンズ像。そして、壁にひっそり
と飾られたチェ・ゲバラの写真。ハバナに住む12人の人々の1日を音と映像だけでつ
むぎながら、これまで明らかにされなかった現実、人々の内なるドラマと夢、希望と
絶望を真正面からとらえた「ハバナの物語」です。キューバの名匠フェルナンド・ペ
レス監督(「ハロー・ヘミングウエイ」)が、傷ついた街に住みながらも、尊厳を持っ
て生きる人々への愛を込めて描き上げた「永遠のハバナ」は、宣伝がなかったにもか
かわらず、観客の口コミで30万人を動員し、1本のフィルムがすり切れるまで上映さ
れました。

ペレス監督からのメッセージ:
「現在の世界で、人々の間の壁や障害を取り除くことができるのは、芸術と文化だけ
です。『永遠のハバナ』が、日本の観客の方々の人生をもうつし出す、鏡のような作
品になれることを確信しています」

3月12日(土)より渋谷ユーロスペースにて
連日:21:10〜。土、日、祝日は、10:30-12:00の回もあり。

☆『永遠のハバナ』(監督:フェルナンド・ペレス、35ミリ、カラー、84分)



┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃08┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●サンダンス映画祭のことは(その名前は)日本でもよく知られているが、実際どのよ
うに運営されているのか実体はよく把握されていなかった。それだけに東谷麗奈さん
の報告は、作品出品者としての感慨を込めた当事者ならではの「息」が感じられ、臨
場感ある読み物となっている。連載3回を予定しているので、たっぷり味わって頂き
たい。

筆者の東谷さんはそのプロフィールにもあるように、ニューヨークのダウンタウン・
コミュニティTVセンター(DCTV)でドキュメンタリーの制作スタッフとして働く傍ら、
NYを拠点としたアートコラムペーパー「云々」の編集長として映画批評活動をしてい
る方である。

昨年私がプロデュースした『土本典昭 ニューヨークの旅』(監督:藤原敏史、So-
netチャンネルで放送)の中に、土本夫妻がDCTV を訪ねるシーンがある。DCTVが地域
に根ざした活動をモットーにしていること等が代表の津野恵子さんや東谷さんやから
語られていた。事実、それを裏づける沢山のドキュメンタリー作品がケースに収納さ
れていて、こうした活動は並大抵な努力で出きるものではない。今回のサンダンス映
画祭への出品という快挙の前に、ここニューヨークでも、志を持った地道な活動があ
ってこそである。海外にこのような日本人がいることを誇りにしたいと思う。

●プライベート・ドキュメンタリーについては、本誌の前身である「neo」でも佐藤
真と安岡卓治の論争があった。これは当時の話題となり、A紙でも取り上げられた。
ここで対象になった作品は、原一男の『極私的エロス』を源流とする最近のプライベ
ート・ドキュメンタリーであった。今回越後谷さんはこれらの動きとは別に、ジョナ
ス・メカスの『リトアニアへの旅の追憶』の系譜とする作品群があったことを指摘し
ている。例えば実験映画の領域まで考慮にいれれば、わが国でも鈴木志郎康の系譜と
して、1980年代から90年代に「より率直に私個人のあり様を表面化させた作品」とし
て、石井秀人や土居晴夏、小口詩子、大木裕之の作品を列挙し積極的な評価を与えて
いる。昨年愛知芸術文化センターで行なわれた「第9回アートフィルム・フェスティ
バル」《第二期》もそれを実現しようとして企てた意欲溢れる企画だった。

●neoneo坐では基本的に上映後にゲストを呼びトークを催している。昨年で印象的だ
ったのは、岡田一男さんによる科学映画の歴史を語って頂いた話である。科学映画が
いかに開拓者精神に溢れ、最新の映画技術を取り入れ、鋭意努力してきたかが分るの
である。日頃見る機会が少ない分野であり、一般に聴くことが少ない話だけに、ぜひ
ご一読して頂きたい。



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■発行:ビジュアルトラックス visualtrax@jcom.home.ne.jp
■責任編集 伏屋博雄
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せん。また、いただいたメールをこのメールマガジンに掲載させていただくことが
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