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「マガジン」はアラビア語が語源だということをごぞんじでしたか?週刊アラブマガジンはアラブ・イスラーム文化について幅広くご紹介します。中東及びアラビア語、アラブ・イスラム文化に興味のある方、必見です!
- 最新号:2008-06-26
- 発行周期:毎週1回
- 読んでる人:407人
- 創刊日:2003-07-22
- Score!:-点
- コメント数 : 0
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週刊アラブマガジン [Vol. 235]
発行日: 2008/1/30
Vol.235 2008.01.30発行
◆◇◆ 『週刊アラブマガジン』 ◆◇◆
【今週の目次】
1.キングダムタワー 【リヤド空港編】
2.アラブのことわざ 【一時の痛みは一生の痛みより良い】
3.アラブを見つめて 【月曜の夢】
★★1.キングダムタワー ★★★★★★★★
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
‐第四回日本・サウジアラビア王国青年交流使節団に参加して‐
【リヤド空港編】
成田からフィリピン航空で経由し、サウジアラビアの首都リヤドにあるキン
グ・ハーリド空港に到着したのは3月17日木曜の夜9時過ぎだっただろうか。
リヤドに滞在経験もある頼もしいH団長の指示のもと入国ゲートへと向かう。し
かし、その後事件(?)は起きた。
H団長:
「おかしいなあ、出迎えのサウジの役人さんが来ているはずなのだが……。」
しばらく待つ一行。しかし出迎えの人たちが現れる様子はない。
H団長:
「しょうがない。先に荷物を取って入国ゲートを突破しましょう。外で待ってい
る恐れもありますし。ただし、迎えがいないとバックの荷物を全部空けられる覚
悟が必要ですが。」
一同:「噂の荷物チェックですか? 凄まじいと聞いていますが……。」
そう。出発前に多くの人たちから言われたのがサウジの空港での厳重な荷物検
査。これは麻薬やアルコール類、ポルノなどのイスラーム的に良くない物を国内
に持ち込ませない事を目的とされているらしい。
私は特にいかがわしい物は持っていないのだがやられて気分の良い事ではな
い。そんなこんなを考えているうちに荷物受け取り場に到着。なぜか作業着(ツ
ナギ)を着たインドやパキスタンと思われる人たちが沢山いる。すると、なぜか
私の方に寄ってくる。
パキスタン人らしき人物:「#$%#“$#$%&‘&%#$#」
何を言っているのかさっぱりわからない。すると、台車を指差し
P:「これ使いますか?」
と、聞きづらい英語。もちろん私の馬鹿でかいスーツケースは片足がもげてい
てもはや転がらないので台車は嬉しい。
私:「もちろん。」
すると、急に満面の笑顔をみせる彼。
P:「レッツゴー、サー!」
と、荷物に向かい走りはじめる。
P:「だんな、お荷物はどこですかい?」
と、話し掛けてくる彼。なぜこいつが私のバックを探すのだ? と、疑問に
思っているとH団長が登場。
H団長:「鈴木さん、ポーター雇ったんですか?」
私:「は? 何かわからないけど彼は荷物を運んでくれるようです。」
H団長:「鈴木さん、有料ですよ。」
私:
「え! だって彼が勝手にアラビア語かなんかで話し掛けてきて、その後台車を
使うかと聞くから……。」
H団長:
「おそらく彼はパキスタン人でしょうが、アラビア語はしゃべってないと思いま
すよ。単に英語の発音が悪いだけだと思います。」
そんなこんなでポーター君を雇う羽目になった私。他の団員は私の失敗を目撃
していたのでことごとくツナギ軍団の声を無視している。しかしながらこのポー
ター君は後に思わぬ活躍をする。
私の荷物だけでなく、他の団員の荷物まで運んでくれようとするP君。しか
し、私はあることに気がつく。サウジリアルを持っていないことだ。
私:「サウジリアル持ってないけど……。」
P:
「ドル持ってる? ドルでもいいし、持ってないなら中国のお金でも良いよ。」
私:「おら日本人だから中国元なんぞもっとらんわい!」
財布を見ると、フィリピンで買い物した際の残りが10ドル程ある。足りるだ
ろうか……。
私:「10ドルしかないが、お釣りあるか?」
P:「あるよ。心配しないでください旦那……。」
そう言って黙々と荷物を運ぶP君。そして荷物検査所に到着。そして20人ほ
どの列。団長が一生懸命「我々はサウジ政府に招かれたゲスト」と説明しても駄
目なようである。一同、荷物をぐちゃぐちゃにされる覚悟をしたそのとき、
P:「旦那、そっちじゃないよ。こっちに並びな。」
見ると、空港職員すらいない無人のゲートに誘導しようとする。
P:「旦那、すぐ戻るからちょっと待っててくだせえ。」
そしてすぐに空港職員を連れて戻ってきた。
空港職員:「どこからきた? 日本? ふーん。どうぞ。」
荷物を空けられることなくあっさりスルー。他の団員も続けとばかりほぼ何事
も無くスルーしている。
A団員:「いやー、鈴木君、お手柄だねえ。ポーター代半分払うよ。僕なんか荷
物パンパンに詰めてきたから一度開けられたらエライ事になるとこだったよ。そ
れに彼、なぜか僕の荷物まで持ってくれてるし……。」
私:「いや、勉強代だと思って自分で払いますよ……。」
そしてついにサウジに入国を果たした。すると前方で大きく手を振る数人のサ
ウジ衣装の人たち。どうやらお迎えがやっと到着したらしい。
ハーリド(この後ハーリドと言う名前の人物は3・4人登場するのだが):
「いやーすみません。遅れました。ようこそサウジへ。私も昨年に団長として日
本に行きました。」
急に親近感が湧く日本人団員達。
アブドッラー(その後アブドッラーは沢山登場するのだが……。) 「ようこ
そサウジへ。私も昨年日本に行きました。非常に素晴らしい国でした。今回の皆
さんのサウジ滞在中は私がずっと同行いたします。」
さらに親近感が湧く日本人団員達。このアブドッラー氏、見るからに良い人の
オーラが漂っている。
ハーリド:「さて、車が外に停めてありますので行きましょう!」
相変わらずP君は僕の荷物を押している。外までついて来てくれるようだ。
空港の外に出ると外はすでに真っ暗。暑いサウジを想像していたが意外にも肌寒
く感じた。
ここでP君とはお別れ。お迎えのバスに他の団員の荷物まで載せてくれた。ふ
と見ると、空港の外の柱にはキーホルダーやらカメラやら財布やら、ありとあら
ゆる物が貼り付けてある。
私:「ハーリドさん、これには何か意味があるのですか?」
ハーリド:
「あぁ、おそらくは誰かの落し物ですよ。サウジではシャリーアというイスラー
ム法によって人のものを盗む事は厳しく禁止されています。まあ、サウジで右手
の無い人を見たら盗みをした人だと思ってください。(注1)」
一同:「おっかねえ……。なら確かに盗まないな。」
少し暗い雰囲気になったその時、タイミングよくP君が寄ってくる。
P:「旦那、荷物も積み終わったし、あっしはそろそろ。」
私:「あー、ありがとう。10ドルしかないからお釣りくれ。」
P:「はいよ。それでは。」
と、サウジ紙幣をくれた。後で換算するとお釣りは200円ほど。サウジの人
達に聞くと通常300円くらいを払えば良いらしいので実に2倍以上のお金を
払ったことになる。まあ大変役にはたったので良いのだが……。
さて、車に乗り込む団員。宿泊先のHoliday Innに向かう。しかし
ながら、すぐに異変に気付く。
団員T:
「てゆーか、車のスピード速くないですか? 普通に130・40キロくらいで
ていますが?」
団員A:「てゆーか、スピードはともかく、車間距離やばくないですか?」
団長H:
「まあ、こんなものです。私はサウジに居た時は運転をしていましたが、ほとん
どの現地職員は恐ろしくて自分では運転しないようです。私もよく運転して隣国
に行きましたけどやはり怖かったです。」
一同:「………………。」
空港からリヤドの中心部に向かう途中には多くの検問所が設置されていた。時
折停められている車もいる。しかし、一見すると平安な感じがする。少し安心。
むしろ心配なのは運転だ。運転手さんはどう見ても65歳オーバー(注2)。ス
ピードは130キロオーバー。車間距離は日本人の感覚の半分以下、つまりギリ
ギリ。しかしながら中心部に入ると混みはじめスピードも落ち着く。
空港から市内への途中には遊園地と思しきエレクトリカルパレードの世界や
TOYOTAやGMなどの自動車会社の看板、マクドナルドやバーガーキング、
ピザハットが立ち並んでいる。正直、アラブ世界にいる感じはしない。ただし、
人々の服装は間違いなくサウジ。女性はアバーヤを着用していて上から下まで
真っ黒なので、突然道に現れると非常にびっくりする。暗闇に見事なほど溶け込
んでいるからだ。
H団長:
「お、そろそろホテルなはずですよ。」
見ると確かにホリデーイン。8年程前に泊まったアメリカのホリデーインとの
大きな違いはホテルが自爆テロ防止の沢山のコンクリート防御壁に囲まれ、通常
荷物を降ろすために乗り付ける正面玄関のローターリーに通じる道にタイヤをパ
ンクさせる為の装置がついているあたりだ。(自爆テロ防止用であろう)
ホテルに入ると、そこはまさにホリデーイン。アメリカとさほど変わらない。
そしてサウジ側から簡単な説明を受け、各自自由行動となった。テレビ局で記者
を務めるI氏は早速市内探索に行くようであるが、私は疲れたので部屋で休む事
にする。部屋の中もまるっきりサウジの感じはなし。やはりホテルはホテル。し
かし、矢印でキブラ(メッカの方向)が示してあるところはさすがイスラーム教
の国といった感じである。シャワーを浴びると疲れていたのか、すぐに眠ってし
まった。
注1: 現在は初犯では右手を切られる事はほとんど無いという。
注2: 後に眼鏡は老眼鏡であること、また、年齢も65歳よりはるかに若いこ
とが判明。
筆者 : 鈴木 健
アラブ イスラーム学院 研究員
★★2.アラブのことわざ ★★★★★★★★
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【一時の痛みは一生の痛みより良い】
ワジャウ サーアティン ワ ラー クッリ サーア
訳:一時の痛みは一生の痛みより良い
解説:好ましくない状態でも受け入れて少し我慢すれば解決する。さもないと、
未解決の状態が延々と続く。
対応することわざ:聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥
筆者 : エバ ハッサン
アラブ イスラーム学院 研究員
★★3.アラブを見つめて ★★★★★★★★
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【月曜の夢】
数年前には、ラマダーンがやって来ても、その時期には学校の授業は行われま
せんでした。そのため家族は子供たちを昼間好きなように寝させ、夜は好きなよ
うに起きさせておいたものでした。
ですから、子供たちは昼間は断食をしながら寝てすごし、夕方から翌朝まで
‐時には翌日の昼ごろまで‐は、断食明けの食事を取りながら寝ないで過ごして
いたのです。そしてその世代は、ラマダーンの余暇と眠りに慣れ親しみ、彼らに
とってラマダーン月の断食は、休みと結びついたものとなったのです。
しかし近年になって、学校の授業がラマダーン中にも行われるようになり、授
業の期間がラマダーン月4週間のうちの3週間を下回らないようになりました。
いえ、それだけではなく、ここ何年かは学校のカリキュラムや授業が、失われる
ことなくきちんと固定されるよう、ラマダーン月に試験の時期を設定するように
なったのです。
つまり、前期試験のことです。それは、ラマダーン中でも学生は欠席できない
ということを意味しているのです。
その上今年は、試験期間がラマダーンの最終日までに及ぶように設定され、そ
れにより、登校期間の最終日まで、学生が欠席できるチャンスは全くなくなりま
した。
数年前までは、ラマダーンの最後の時期になると、学生も家族も朝寝て過ごし
たり、勉強のことを気に留めなかったり、あるいはラマダーン中の概念‐つま
り、ラマダーンは昼間に寝て、夜中起きていて食べるもの、という概念‐ゆえ
に、多くの学生たちが授業をサボったものでしたが。
それに、ラマダーンの最終日(*つまりイード休暇の前日)やイード休暇明け
の最初の数日も、学校を欠席しないよう、厳しく指導されるようになりました。
しかし問題は、状況が変わった今でも、昼寝と夜明かしと怠慢な習慣に慣れた
人々が、毎年決まってある噂を流すことです。文部相や政府が、ラマダーンは体
力的に疲れるという理由で、今年からまた、ラマダーン中は学校の授業を取りや
めにするのだ、という噂です。毎年繰り返されるこの根も葉もない噂は、これま
でそれが実現したことがないことなど気に留めず、毎年必ず現れるのです。
ある私の同僚は‐彼女はそのような噂についての私の意見をよく知っているの
ですが‐、恥じらいながら私に言いました。月曜日に閣僚会議が開かれ、国民へ
の恩寵(*ラマダーン中の学校休暇や職場休暇)が発表されるはずだ、と。
それに対して私が、「あなたはどうしてそれを知り得たの?」と訊ねると、彼
女はこう言いました。
「ほとんどの人たちがそれについて話していて、高校の私の生徒たちでさえそう
話しているわ。今日、女学生の一人なんか、私にしばらくのお別れだと言って、
挨拶までしにきたのよ。」
私はその学生の「お別れの挨拶」に驚きました。その学生は強いてその噂に飛
び込んだのですから。しかし同僚はこう言ったのです。
「もしも恩寵が実現すれば、その学生はもう明日から学校に来ないのだし、テレ
ビでそれが公表されるまでに、もう数時間しかないのだから。」
私はそれを聞いて、思わず彼女にこう言いました。
「一体、いつからあなたはそんなことに関心を持つようになったの?」
すると彼女はこう答えました。
「閣僚会議が招集されて、ラマダーン中の学校の授業は1週間に短縮されると、
中継で発表されるはずなのよ。だって、政府も人々がラマダーン中には体力的に
疲れて、仕事や勉強が良くできないことを知っているんだもの。
それにラマダーン中にウムラ(小巡礼)の行をしたい人たちだっているし、勉
強ではなく、イバーダ(信仰行為)に没頭したい人たちだっているってことも
ね。」
そこで私は彼女にこう訊ねました。
「でも、今までにそんな発表があったことがあるかしら?」
すると彼女はこう答えました。
「いいえ、なかったわ。でも政府は私たちの状態をよく知っているの。ここサウ
ジでは、私たちはラマダーン中に勉強をするべきではないのよ。」
ここでの問題は、噂が夢と合わさり、その夢を現実とすることに没頭すること
です。私は、数日前に新聞で読者の投稿欄を読みました。そこには、文部相に対
して、ラマダーン中の授業を取りやめ、その代わりに夏休みを短くしてほしい、
と求めている意見が出ていました。人々はみな、聖なるラマダーン月を静かに楽
しみたいと思っているし、またイバーダ(信仰行為)に没頭したいとも思ってい
る、と。
しかしその数日後、私は新聞で文部相のこのような声明文を読んだのです。
<ラマダーン中の授業日数を短縮することで、これ以上学校の授業を損失する必
要ありません。ラマダーンは努力の月であり、怠慢の月ではないのです。>
しかし、文部相の声明が出て、既に扉は閉じられたにもかかわらず、噂はまだ
流れ続けています。それは、有意義でないことのために扉を叩き続けることだと
いうのに。閣僚会議が行われる月曜日が終わっても、噂は必ず続くのです。次週
の月曜日に開かれる閣僚会議への夢がまだ残っているのですから。
楽天家の私の同僚がこう言ったように。
「今に決定が出されて、私たちはラマダーン中の勉強や仕事から解放されるわ。
そしてその時、政府は私たち国民の体力的な疲れや心配を感じてくれているん
だって、私たちは思うことができるのよ……。」
筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家
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