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教育記事から教育を考える Vol.281

発行日: 2008/5/2

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【教育記事から教育を考える】   2008年5月2日(金) 
    作者:中土井鉄信             VOL.281
    (合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)
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『今日のテーマ』
 
文科省の積極的な対応が、意味するものは何か。

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【記事】小学授業、週1コマ増 理数強化を来年度から 
        中学は「総合学習」削減

 読売新聞(2008年4/25)より以下抜粋

○文部科学省は24日、先月末に改定した新しい学習指導要領の移行措
置を公表した。
○小中学校とも算数・数学と理科の実施時期を前倒しして来年度からと
し、この2教科の授業時間と学習内容を大幅に増やす。中学は総合学習
などを削減するので総授業時間は現在のまま。小学校は全学年で週1コ
マ授業が増える。移行期間中は新たな検定教科書がないため、同省では
補助教材を作成して配布する予定だが、現場に行き渡るのは実施直前に
なる見込み。準備期間が不足したまま新しい授業が始まることを不安視
する声も出ている。
○「ゆとり教育」からの脱却を打ち出した新指導要領は、約40年ぶり
の授業時間増や学習内容の復活などが柱。小学校では2011年度から、
中学では12年度から全面実施されるが、昨年末に公表された国際学力
調査で理数系の学力の落ち込みが目立ったことなどを受け、同省は、理
数系教育の強化を予定より早く進めるべきだと判断した。ほぼ10年ご
とに改定される指導要領の移行期間中に授業時間が増えるのは初めて。
○新指導要領では小学校の算数は1年が週4コマ(1コマ45分)、
2〜6年が週5コマとなり、6年間で142コマ増える。理科も4〜6
年は週3コマになるなど計55コマの増。中学は数学が1年と3年が週
4コマ(1コマ50分)になるなど計70コマ増え、理科も2〜3年が
週4コマになるなどで計95コマ増える。
○移行措置によって小学校の場合、算数と理科は来年度から授業時間、
内容とも新指導要領と同水準になり、算数は2年の「時刻の読み方」が
1年に、6年の「立方体、直方体」は4年に、理科は「電磁石の強さ」
が6年から5年に早まる。
○教科ごとに担任が違う中学は理数の教員だけに負担が偏るのを避ける
ため、授業時間は11年度までに段階的に増やすこととし、来年度は数
学が1年で年35コマ増、理科は3年で年25コマ増にとどめる。内容
も数学の「球の表面積と体積」や理科の「イオン」など最低限の増加に
した。
○教科書会社は全面実施時期に合わせて検定教科書を作成しているため、
同省は現在の教科書にない分を補助教材にまとめ年度内に全児童・生徒
に配布する。

[解説]教員増員 具体策が必要
○今回、文科省が公表した新指導要領の移行措置は、「ゆとり教育」か
らの一刻も早い転換を望む保護者の声に応えたものと言える。ただ、授
業時間と学習内容の増加で学校現場の負担が増えることも間違いない。
○同省は「教員の増員で対応したい」としているが、今月公表された中
央教育審議会の「教育振興基本計画」の答申は、国の財政事情に配慮し、
増員の数値目標を盛り込まなかった。
○このまま教員増のめどが立たない状態が続けば、新指導要領に対応で
きる学校と、できない学校とでバラツキが出ることも予想される。学力
向上に向けた施策も重要だが、それを実行に移すための条件整備も行政
の責任。学校現場の努力だけに任せていては新指導要領の趣旨は生かせ
ない。(社会部 村井正美)

*私からのコメント

◇文科省にしては、非常に早い対応だ。記事の中にあるように「昨年末
に公表された国際学力調査で理数系の学力の落ち込みが目立ったことな
どを受け、同省は、理数系教育の強化を予定より早く進めるべきだと判
断した。」ということだ。この対応の早さは、どうしたことだろう。こ
んなに行政が早い対応をするのは、異例なことだ。「ほぼ10年ごとに
改定される指導要領の移行期間中に授業時間が増えるのは初めて。」と
いうように、文科省は臨機応変に対応し、学力向上策を前倒しして実行
する。

◇なぜ、このように早い対応をするのか、私は、一つの大衆迎合を感じ
る。文科省が仕掛けた学力重視という考え方が、世間に流布し、さらに
世間は、その学力重視傾向を拡大させ、教育業界のスタンダードとして、
学力という軸を確立させたかに見える。学力問題を教育問題の全てにし
てしまったといってもよい。だから、学力にまつわる性急な対応に、ど
こからも反対の大きな声が上がってこない。もし、教職員が、この決定
に反対でもしようとするものなら、世間の非難が、集中するだろう。
「先生は、自分のことしか考えていない!だから、学校の先生は、ダメ
なのだ!もっと民間を見習うべきだ。こういう早い対応をしながら、民
間は生き残っているというのに、学校は何だ!」こんな批判が、巻き起
こることだろう。

◇1年あるからといって、現場に負担を強いて、今年の生徒指導・教科
指導を、犠牲になるとしたらどうだろう。もっと計画的に新学習指導要
領をよりよく実行できるインフラを整えたらどうだろうか。国民の機嫌
取りをしているように思うが、そんなことでいいのだろうか。何回も繰
り返すが、学力問題は、教育問題の一部であって、全てではない。子ど
もの学力が向上するかしないかが、教育力の焦点ではないはずだ。子ど
もが社会人として一人前になることが、教育力の焦点だ。そのことを忘
れて、文科省は、世の教育ママやパパのご機嫌を取り、また教育の私事
性を推進して行くようなことをするべきではない。人が、社会の構成メ
ンバーになることをどう導いていくかをもっと真剣に文科省は、考えて
ほしい。

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           ◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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