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New York Black Culture Trivia #148
ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア
NAACPイメージ・アワード
2003/03/24
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※戦争のことばかりでは気が滅入るので、今回は開戦前に書いて配信し
なかったものをお送りします。現在のニューヨークの様子はホームペー
ジの<日々の考察>に、ほぼデイリーでアップしています。
http://www.nybct.com
3月8日、ロスで第34回 NAACP(全米黒人向上協会)イメージ・ア
ワードが開催された。
黒人アワードには、ヒップホップ雑誌 SOURCE 主催の ソース・アワー
ド、黒人テレビ局 BET主催の BET アワードがあるけれど、どちらもヒッ
プホップ・アーティストが中心。女性誌 Essence 主催のエッセンス・ア
ワードは、当然女性に焦点を当てている。対してこの NAACP イメー
ジ・アワードには団体の趣旨どおり、黒人のイメージ向上に貢献のあっ
た黒人セレブが幅広く登場する。音楽系アワードのような派手さはない
ものの内容は濃く、黒人社会の動向を反映している率が高いように思える。
今年は、これまで極端に黒人選手の少なかったプロ・テニス界に風穴
を開けたヴィーナス&セリーナ・ウィリアムス姉妹、現代ブラックムー
ビーのパイオニアであるスパイク・リー監督、人権活動家でもある俳優
ダニー・グローヴァーが特別賞を受賞した。
ヴィーナス&セリーナの受賞に際しては、“デフ・ポエトリー・ジャ
ム”から3人の女性詩人が登場し、ポエトリー・リーディング(詩の朗
読)を行った。詩はふたりの強さと美しさを讃えたもので、最後は「誰
の許可を得ることもなく、このまま美しくあれ」と締め括られた。「女
性が羽ばたくのに男性や社会の許可はいらない」「黒人が自己主張をす
るのに奴隷制時代のような白人の許可はいらない」というふたつの意味
を込めているのだろう。白いドレスに身を包んだヴィーナスは、朗読を
聞きながら涙ぐんでいた。妹のセリーナよりも一足早くリリーホワイト
(白人世界)なテニス界にデビューし、ひとりでがんばった時期があっ
ただけに感慨深かったのかもしれない。3人の女性詩人が黒人・アジア
系・ラティーノの取り合わせだったことも印象深かった。
・・・・・
スパイク・リーは言うまでもなく、現在のブラックムービー・シーン
の土台を作り、今も“スパイク”の名前どおり、尖った論争的な作品で
アメリカ社会を刺激し続けている映画監督。プレゼンターは、昨年のア
カデミー賞で主演男優賞と女優賞をダブル受賞したデンゼル・ワシント
ンとハリー・ベリー。ふたりは共にスパイク・リーの作品に出演してい
る。デンゼル・ワシントンは「マルコムX」「モ・ベター・ブルース」
「ラスト・ゲーム」に主演。ハリー・ベリーは「ジャングル・フィー
バー」でドラッグ中毒の女を演じ、「ガール6」にはカメオ出演している。
スパイク・リーの作品リストを改めて見てみると、数え切れないほど
多くの黒人俳優が無名時代に出演していることに驚かされる。今や“世
界一クール”な男サミュエル・L・ジャクソンは初期作品の常連だった
し、ローレンス・フィッシュバーン、ウェズリー・スナイプス、アン
ジェラ・バセットなども出ている。ブラックムービーのコアなファンな
らジャンカルロ・エスポジート、イザイア・ワシントン、オシー・デイ
ヴィス、ジョーイ・リーもお馴染みだ。
スパイク・リーの最新作「25th Hour」主演のエドワード・ノートン
もスピーチに駆けつけた。黒人アワードという場で白人がステージに立
つというのは相当なプレッシャーに違いない。けれどスピーチは知性と
洞察力に富んだものだったし、特別賞受賞者へのスピーチを白人に託し
た NAACP にも驚かされた。
・・・・・
実は今回の NAACP イメージ・アワードには、ひとつの問題があった。
昨年 CBS でオンエアされたテレビ映画「ローザ・パークス物語」
と、その作品でローザ・パークスを演じたアンジェラ・バセットがア
ワードにノミネートされたのだけれど、アワード会場に招待された本物
のローザ・パークスが招待を固辞したのだ。
ローザ・パークスは1955年に白人にバスの座席を譲らなかったために
逮捕された黒人女性。この事件がきっかけとなってアラバマ州で大々的
なバス・ボイコットが起こり、その結果、バス車内の黒人差別ルールが
撤廃された。以後、ローザ・パークスは黒人史に名を残す“偉人”とし
て尊敬されている。
そのローザ・パークスが、自分の伝記作品がノミネートされたにもか
かわらず会場にやってこなかった理由は、やはり今回のアワードにノミ
ネートされていた映画「バーバーショップ」だ。これは<暴力・ドラッ
グ・セックス>をテーマとすることが多かったこれまでの黒人コメディ
とは大きく異なり、市井の人々が集う床屋を舞台にしたフレッシュな作
品。けれど劇中、床屋のひとりがローザ・パークスやキング牧師を
ジョークにするシーンがあったのだ。しかも、そのセリフを喋った床屋
役のコメディアン、セドリック・ザ・エンターテイナーが、よりにも
よって今回のアワードの司会役だったのだ!
セドリック・ザ・エンターテイナーにとって、ローザ・パークスの招
待固辞はかなりのショックだったことだろう。コメディアンとして
ジョークのネタにはしても、黒人としては当然ローザ・パークスのこと
を尊敬しているはず。彼はショーの最後に短いスピーチの場をもらい、
いつにない真顔でキング牧師の言葉を引用し、先達への尊敬を表した。
この出来事は、差別撤廃を求めて実際に闘った世代と、その世代を尊敬
しながらもジョークにしてしまえる若い世代とのあいだに大きなギャッ
プがあることを物語っている。
いずれにしても、今年の NAACP イメージ・アワードも見応えたっぷ
りの内容だった。
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発行人:堂本かおる Keideee@aol.com
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