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NYBCT#142/最近観た映画6本

発行日: 2003/1/14

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          New York Black Culture Trivia #142
     ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア

             最近観た映画
        
             2003/01/13
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今回は昨年末に観た映画を、まとめて、たららっと書いてみます。


●Formula 51(邦題:ケミカル51)


ドラッグ調剤士兼ディーラーのサミュエル・L・ジャクソンがイギリス
に飛び、一世一代の大仕事にかかるのですが、そこにはサッカー狂のチ
ンピラがいて、なぜか事態はまずいほうへと転がるばかり。


相手役は『フル・モンティ』のロバート・カーライルで、「米英の個性
派俳優が化学反応を起こした」みたいなレビューもありましたが、私に
は今ひとつピンときませんでした。


でも、サミュエル・L・ジャクソンにしか出来ない、コーンロウ+キル
ト+ゴルフバッグという凄いいで立ち。彼のこんな格好見られるだけで
充分満足、もう映画自体はどうでもいいですね。ちなみに監督は台湾出
身のロニー・ユーという人です。


昨夜、アル・パチーノがニューヨークの情けない刑事を演じた『シー・
オブ・ラブ』(89)をテレビで見ていたら、サミュエル・L・ジャクソン
がチンピラ役で一瞬出ていました。思えば、これは『ドゥ・ザ・ライ
ト・シング』と同じ年に作られた作品で、当時はまだ脇役専門だったん
ですね。(感慨)


●I Spy

エディ・マーフィとオーウェン・ウィルソンが、往年のテレビ・シリー
ズ『アイ・スパイ』をリメイクしたものです。原作ではテニス・プレイ
ヤーと、ビル・コスビー演じるトレーナーの白黒コンビが、実はスパイ
としてして大活躍、というストーリー。こう書けばなんてことない設定
に聞こえますが、1960年代に黒人俳優が連続テレビ・ドラマの主役だな
んて凄いことだったのです。


さて、現代版ではオーウェン・ウィルソンが全然冴えないCIAエージェン
トを、エディ・マーフィは彼のいつものキャラ全開の派手好き傲慢な超
人気ボクサーを演じています。このふたりがはるばるウィーンまで赴
き、秘密兵器を巡って騒動を繰り広げます。


観客のなかにはオリジナルのファンだったに違いないおじさんたちを見
かけました。でも、見終わった後は、みなさん一様にがっかりしていた
ようです。オリジナルを見たことのない私は比較はできないのですが、
でも、映画の出来はいまいちと言わざるを得ないですね。


ところでオーウェン・ウィルソンは、今回は黒人の良き相棒(バディ)
を演じ、数年前には『シャンハイ・ヌーン』でジャッキー・チェンと組
んでいます。こちらは好評だったので、続編『シャンハイ・ナイツ』が
公開真近。すっかりマイノリティ俳優の相棒専門になってしまったよう
です。


●8 Mile

デトロイト郊外の、くすんだ街並み。自動車工場とトレーラーハウス。
中産階級エリアとの境界線となっている“8 Mile Road”という名の道路…。
そこに、母、妹と共に暮らす白人の若者が、黒人たちの「白人にラップ
なんかできねーよー」的あざけりを超えて成功するという、エミネムの
半自伝的ストーリー。


そういえば、黒人コメディアン、クリス・ロックの書いた本に、「ラッ
パーはプロジェクト(低所得者団地)出身、カントリー歌手はトレー
ラーハウス出身」「自分のことばっかりで意味のない歌詞」など、ヒッ
プホップとカントリーの共通点が並べてあり、要は「どっちも貧乏人の
音楽」というくだりがあって大笑いしたことを思い出しました。


余談はさておき、エミネムの他にも、ズラなんだか、エクステンション
なんだか分かりませんが、ドレッドロックですごいことになってしまっ
たメーカイ・ファイファー、堕落しまくっているのに清楚さを失わない
不思議な母親役のキム・ベイシンガーが良かったです。


でも、ちょっと不条理を感じましたね。黒人であれ、アジア系であれ、
マイノリティが白人社会に進出する際には必ず、ある種のプレッシャー
があるわけです。でも、それは当たり前すぎて映画にはならないですよ
ね。でも、白人が黒人世界に飛び込んでがんばる話なら映画にもなって
しまうわけです。


●007/Die Another Day

特にコメントはありませんが、007が氷でできた白鳥型のベッドで敵の
女とやっちゃうのですが、私の後ろに座っていた10代の女の子が「あ
れ、寒いんじゃない?」とつぶやいてました。


でも、北朝鮮が敵っていうのは、いかにもタイムリーでしたね。北朝鮮
はこの映画が「冒涜的」とクレームをつけているらしいですが。


●Antowone Fisher

デンゼル・ワシントン入魂の監督第一作。

アントワン・フィッシャーという人が書いた自伝を映画化した作品で
す。最悪の家庭環境に生まれて里親に出された少年アントワンは、里親
から激烈な虐待を受けてしまいます。辛い体験の積み重ねが押さえるこ
とのできない怒りとなり、海軍に入ってからも自分をコントロールする
ことが出来ないアントワンは、精神科医(デンゼル・ワシントン)のカ
ウンセリングを受けることに。やがてふたりの間には強い絆が芽生えて…。


アメリカ独特の医療保険制度を批判した『ジョンQ 最後の決断』が日
本であれほどヒットしたのには驚きました。やはりアカデミー効果だっ
たのでしょうか。本作では、やはり問題だらけの里親制度がでてきます
が、里親のおばちゃんの、ものすごい人非人振り・偽善振りが強調され
てばかりで、里親のシステム自体は、アメリカ以外の観客には分からな
いと思います。ここが少々残念です。(里子を養うと謝礼金がもらえる
ので、この映画に出てくるように複数の子供を預かったり、毎年切れ目
なくいろいろな子供を預かったりする“プロの里親”もいます。養子と
は違い、あくまで数年預かるだけです)


映画のトーンは、どこを切ってもデンゼル節。しみじみと真面目です。
デンゼルは、もし自分がもう少し若ければ、自分で主役を演じてみた
かったのではないでしょうか?でも、主役のデレク・ルークは素人なが
ら良い感じです。演技力の話ではなく、なぜか印象に残るタイプで、す
でに次作『Biker Boyz』も公開が迫っています。(この『Biker Boyz』
は、ここ数年増えている若い黒人バイカー・チームを主人公にしたアク
ションもの。映画自体の善し悪しはまだ分かりませんが、黒人の新しい
ストリート・カルチャーがこんなに素早く映画化される時代になったん
だなあと感心しました。(黒人は娯楽映画をたくさん見るので、ビジネ
スとして成り立つのでしょう)ちなみに、チームのボスはローレンス・
フィッシュバーンで、さすがに少々トウがたっている…かもです)

※原作者アントワーン・フィッシャーのトーク会の模様は
www.eigafan.com(よむ映画/fromニューヨーク)にて。
ただし1月16日アップですから、もう少々お待ちください。


●Drumline

ハーレムの天才ドラマー少年(ニック・キャノン)が、音楽奨学金を得
て南部の黒人大学に進み、そこでマーチングバンドに参加するというお
話。バンドはアメフトの試合のハーフタイムが晴れの舞台で、チアリー
ダー(というよりヒップホップPVのダンサーに近い)と共に、それはそ
れは派手に場を盛り上げます。


ところが見かけの派手さとは打って変わり、普段の練習は体育会系の厳
しさ。天才故に生意気な態度の主人公は、先輩とぶつかり、コーチに叱
られ、大変な日々を送ります。このあたり、まったくの青春ドラマです
が、あまり知る機会のない南部黒人大学や、そのマーチングバンドの様
子などはとても興味深いです。特に、バンドの選曲やパフォーマンスも
最近はヒップホップ・フレイバーを取り入れた大仰なものでないとウケ
ないなど。(学生は古くさい曲など嫌いだし、大学経営者側は生徒数を
集めるために若者に人気のある曲を演奏させたがるわけです)


でも、いちばんの見所は、なんと言ってもバンド対決です。大学二校の
バンドが向き合って整列し、そこでドラムがメインとなっての演奏合
戦。テクニックはもちろんのこと、相手の挑発にのらない冷静さも求め
られますが、なかなか手に汗を握るシーンでした。結論としては、誰が
見ても楽しめる優れた娯楽作品ということで、お勧めですね。ただひと
つ残念だったのは、ハーレムの描写が皆無だったことかな。監督は
『Paid in Full』のチャールス・ストーン三世。


※ホームページには、各映画の公式サイトへのリンクがあります


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             お知らせ


 友人であるブルースマン、テッド・ウィリアムスが来日します。彼の
人生を描いた芝居と、テッド本人によるブルース・ライブのコンビネー
ション・ステージです。貴重!お見逃しなく!


黒人ブルースを聴く『僕のフロイド・リー物語』
2003年1月25日(午後7時〜)、26日(午後2時〜)

作・構成・演出:大谷賢治郎 
出演:フロイド・リー(テッド・ウィリアムス)、クララ・エドワー
ス、大谷賢治郎、Mitsu(AND SUN SUI CHIE)ほか
美術:久保孝造 

哀しみだけではなく、生きることの諧謔の歌ブルース
 ニューヨークで活躍するブルース・シンガー、テッド・ウイリアムス
(本名フロイド・リー)がゴスペル・シンガーのクララ・エドワースと
ともに来日。ブルースに魅せられた日本の青年とテッドとの交流から生
まれた音楽、演劇、絵画によるコラボレーション。共演はニューヨーク
で3年に渡り、テッドと地下鉄ライブを共にしたMitsu(AND SUN SUI 
CHIE)他。

【料金】前売3000円/当日3500円/学生2000円
【予約・お問い合わせ】 シアターΧ (カイ):03-5624-1181
http://page.freett.com/theaterX/0301.htm#blues



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         ハーレムに来てください!


リアルなハーレムを体験・ガイド付きハーレム散策ツアー
http://www.nybct.com/11-tour.html

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発行人:堂本かおる Keideee@aol.com
バックナンバーはホームページで http://www.nybct.com
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