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【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界 Vol.140
作者:荒木崇
(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)
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『蛙の死』(前編)
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前にも書いたと思うが、僕は高校卒業まで『超』田舎で育った。
中学生の男子は全員坊主で、交通事故なんて起こりようがないぐらいに
往来する人や車は少ないくせに、自転車に乗るときは全員ヘルメット着
用だった。いわゆるヘル中ってやつだ。
まさに、「坊主オン・ザ・ヘルメット!」。
これだけでもどれぐらいの田舎かお分かりいただけるだろう。
田舎の夜は見事なまでに暗い。
人は歩いていない。車なんて言わずもがな。
21時を過ぎると、道路では信号が黄色か赤の点滅を繰り返し、
近所の小川では蛍が小さな明滅を繰り返していた。
しかし、夏の田舎の夜は静かではない。
そこらじゅうの田んぼから「グェグェ」という蛙の鳴き声が聞こえてく
る。たまに牛蛙が「ボォゥボォゥ」とほえる。
当然、一匹ではないので「グェグェグェグェグェグェグェグェグェグェ
グェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェ
グェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェ
グェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェグェ」
と途切れることはない。
昼、彼らは子供たちの格好の餌食となる。
味付け海苔が入っているバケツ大のプラスチックの入れ物をご存知だろ
うか。
(こんなやつ→ http://page.freett.com/giftmaruzen/foods/img/R14-13.jpg )
小川へ網を持って行き、これにトノサマガエルをすくっては入れ、すく
っては入れした。何が目的というわけではない。ただ、容器を蛙で満た
すという行為自体が楽しかった(ときに、それがザリガニにもなった)。
今思い出すと、背筋に悪寒が走る光景だ。
海苔の容器に所狭しとトノサマガエルが詰まっている。引っくり返って
白いお腹をみせている奴もいれば、容器の壁に押し付けられて目をひん
向いている奴もいる。あぁ、憐れな蛙たちよ。その数50は下らない。
その蛙たちの行く末は・・・・。
大半の運のいい連中は元の川へ戻される。ただし、当然、元気良く、と
いうわけにはいかない。
そして、2、3匹の運の悪い奴らは、クソガキどもの餌食となる。
お尻の穴にストローを突っ込まれ、息を吹きこまれる。
白いお腹がぷくっと膨らむ。これがフグなら、ちっとも面白くないのだ
ろうが、こいつは蛙なのだ。ガキどもはその様子に笑い声を上げる。
お次の一匹は口を無理やりこじ開けられた。
クソガキがポケットから取り出したのは、
♩♩テッテケテッテ、テッテケテッテ、テ〜♩♩
「バクチク!」
火のついた爆竹を口の中に放り込まれ、天高く投げ上げられた蛙は、乾
いた破裂音とともに空中でただの肉片となった。
クソガキどもは、その光景に狂喜した。
子供ほど、残酷な生き物はこの世にいないと思う。まだ、知恵も力もな
いために、被害は甚大ではないが、この他にも随分と無駄な殺生を繰り
返したものだ(詳しくは、またお届けしたい)。
なぜ、こんな、田舎の山猿時代のことを思い出したのかというと、中3
のテキストに萩原朔太郎の次の詩が載っており、授業をしなくてはなら
なかったからだ。
「蛙の死」
蛙が殺された、
子供がまるくなつて手をあげた、
みんないつしよに、
かわゆらしい、
血だらけの手をあげた、
月が出た、
丘の上に人が立つてゐる。
帽子の下に顔がある。
(幼年思慕篇)
(次回へ続く)
(登場する子供たちは全て仮名です。)
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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