トップ > 学校・教育 > 教育問題 > ごかいの部屋 〜不登校・引きこもりから社会へ〜

子どもの不登校と大人のひきこもり。その心理は…。対応のあり方は…。親・教育者・援助者は彼らに何ができるのか…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説




□ ごかいの部屋 No.91

発行日: 2004/12/15


   2004.12.15 [No.91]                    vv
==■========================================================\(ё)/
 :         ご か い の 部 屋          §
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜   人
--□-----------------------------------------------------------■--
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      □
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説    :
===============================================================□==

>====・● コ ラ ム ●・===========================================<
                    人生のイチローになろう!
>-----------------------------------------------------------------<

 今年の配信もいよいよ最後になりました。そこで、しめくくりに肩の
こらない話をします(ただし、野球を知らない方にはわかりにくいこと
をご了承ください)。

 今年、スポーツの世界で最も活躍した選手のひとりとして、プロ野球
メジャーリーグ(米国)のイチロー選手を挙げることができます。
 彼は今年、年間安打数の新記録を打ち立てたことで、日本と米国の両
方で年間安打数の記録保持者になりました。

 イチロー(本名:鈴木一朗)選手は、高校時代にケタ外れの打率を残
し、卒業後オリックスに入団しました。ところが、入団後3年間はほと
んど2軍生活。4年目に1軍に定着した途端に、年間安打数の日本記録
を打ち立てたのですから、その前から1軍に定着していなかったのは、
どう考えても不自然です。

 理由はこういうことだったと言われています。
 入団当時にオリックスの監督だったのは、セオリーを重視するD監督
でした。
 のちに「振り子打法」と呼ばれる、セオリーから外れたバッティング
フォームで練習を続けるイチロー選手に、D監督は「そんなフォームで
は通用しない」と考え、1軍に上げなかった、というのです。

 イチロー選手が1軍に定着したのは、D監督が辞任し、発想の柔軟な
O監督が就任してからでした。

 私は最近、このようなイチローの生き方と運命は、発明王のエジソン
と共通しているな、と思いました。
 イチローとエジソンの共通点を、次に挙げてみます。

 第一に、常識に収まらない独自の思考回路を持っていた点です。つま
り、イチローは「振り子打法」が自分に合っていると確信していました。
エジソンは「1+1=2」ということにさえ、納得できるまで先に進も
うとしませんでした。

 第二に、そんなふたりが、当初無理解者によって行く手を阻まれそう
になっていた、という点です。つまり、イチローはD監督によって2軍
生活を強制され、エジソンは、学校の先生に「アホ扱い」されていまし
た。
 その結果、イチローは公式戦(1軍の試合)に出られないまま、ひた
すら練習を続けなければなりませんでした。エジソンは学校に行かずに、
在宅学習せざるを得なくなりました。

 第三に、そんなふたりに、理解者が現れた点です。イチローは、子ど
も時代から父親がつきっきりで練習相手になっていました。そしてプロ
入り後は、2軍のKバッティングコーチが、彼のフォームを認めたうえ
でコーチしてくれていました。エジソンの理解者が母親だったことは、
ご存じのとおりです。
 その結果、イチローもエジソンも、大輪の花を咲かせたわけです。

 さて、私は、このふたりの生き方と運命は、不登校やひきこもりにな
った青少年にも、共通しているように思えてなりません。

 第一に、常識に収まらない独自の思考回路を持っている点です。つま
り、不登校児やひきこもり者は、多くの人が素通りする所にひっかかっ
て立ち止まった人たちです。それはまさに、順調に生きている人とは違
う、彼らならではの感性・直観が働いたとしか、説明できないものです。

 第二に、不登校児やひきこもり者は、ほとんどの場合、当初周囲のお
となが皆無理解者であり、そのために行く手を阻まれそうになります。
 その結果、本人たちは周囲からの「人生の落伍者」「お先真っ暗」と
いう視線に影響され、罪悪感や負い目を抱えつつ、はいつくばって生き
ていなければならなくなります。

 第三に、やがて親御さんが理解者になって、エジソンの母のようにつ
きあったり、家族以外の理解者が現れて、イチローにとってのKバッテ
ィングコーチのようにつきあったりするにつれ、本人は罪悪感や負い目
が軽くなって動き出せるようになり、それぞれの持ち味を伸ばしていき
ます。
 多くの事例が示すように、動き出した本人たちのエネルギーと持ち味
の発揮ぶりは、目を見張るほどです。

 こう考えてくると、人とは違った個性あるいは思考回路を持っている
人は、周囲に無理解者が多いため、その持ち味を伸ばすことが難しいも
のの、理解者に恵まれれば、逆に信じられないくらい持ち味を伸ばすこ
とができる、ということになります。

 イチローにたとえると、不登校やひきこもりは“振り子打法的生き方”
と言えましょう。そのような生き方を、無理解な人は否定し、理解ある
人は肯定するわけです。

 そして、イチローが振り子打法を変更せずに、むしろその打法でよく
打てるよう、2軍で練習を続けていたことが、3年後に花開いたように、
不登校児やひきこもり者も、不登校やひきこもりという生き方を変更せ
ずに、むしろその生き方のなかから自分らしい人生を発見することがで
きるよう、人知れずさまよっていれば、何年後かに花開くだろう、そう
私は信じています。

 周囲の皆さん、本人の生き方を認めて、とことんつきあってあげてく
ださい。本人はいずれ、必ずそれに応えて、幸せな人生を歩き出すこと
ができるでしょう。

 今年1年、お読みいただきありがとうございました。来年も引き続き
ご愛読くださいますよう、よろしくお願いします。

 それでは、来年が皆さんにとってよい年になりますように。


 :筆者:丸山 康彦(まるさん)
  スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
  不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
  1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
  当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。


>===・● ごあんない ●・==========================================<
>-----------------------------------------------------------------<

◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。

 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

◎ ヒューマン・スタジオが、親御さんや教育・援助の関係者に贈る、
 お役立ち情報誌「青少年支援ガイド」を発行しています!
 子どもの不登校や青年のひきこもり等、青少年問題への対応のヒントや
 関連イベント情報、ヒュースタ発のさまざまな情報を発信しています。

 次号は「年末年始に見たいサイト」ほか。
 毎月第2・第4水曜は「青少年支援ガイド」をご活用ください!

 詳細・ご購読登録は↓からどうぞ!
 http://homepage3.nifty.com/Husta/maga2.html 

-------------------------------------------------------------------
--------- ★ 次回発行は2005年1月5日です。お楽しみに ★ ----------
==□===========================================================vv==
 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  (ё )
 :     2004/12/15 NO.91 (発行:第1・3水曜 月2回) \§/
==■===========================================================■==
□発行・執筆者:丸山 康彦
□発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/ 
□ご感想ご意見お便り http://homepage3.nifty.com/Husta/mail_cc.html
□メールマガジン購読解除 http://homepage3.nifty.com/Husta/maga.html
===================================================================
== (C) 2004 Yasuhiko Maruyama@Human Studio, All Rights Reserved.==

----------------------------------------------------------------------
当メールマガジンは、『melma!』 http://www.melma.com/ より配信しています
バックナンバー http://www.melma.com/mag/73/m00075173/

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

和田秀樹公式HIDEKIWADA.COMマガジン
『大人のための勉強法』などの著者である精神科医、和田秀樹氏のエッセイ・最新情報等が掲載されるメールマガジンです。
臨時教職員−常勤・代替・非常勤−制度を考える
小・中・高・障害児校の臨時教職員(常勤・非常勤の講師)は15〜20万人にも!その待遇改善や教採試験、少人数学級、教育問題に関する情報。HPも。
教育記事から教育を考える
2002年教育改革により様々な教育ニュースが跡をたちません。しかし、その本当の意味・背景がどれだけ語られているでしょうか?このマガジンでは今まで誰も...
時事通信「内外教育」メールマガジン
時事通信社が発行する教育界の“定番”情報誌「内外教育」やコラム、教育ニュースなどを紹介。1行の見出しで、最新の教育界の動きがわかり、教育関係者や教職...
日本人なら漢字を知ろう!1日5分この漢字の意味は?
日本人のくせに漢字に弱い〜!?そんなことで外国人に胸張って「私は日本人だ!」って言えますか?漢字を知らない日本人では世間でも恥をかきますよ!当マガジ...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

■三菱東京UFJ銀行系 モビット■
【1】ネットで自動審査・来店不要!
【2】限度額300万円
【3】年利9.8%-18.0%(実質年率)

急な出費にモビット!

発行者プロフィール

ペンネーム : ヒューマン・スタジオ

  • スクールソーシャルワークにもとづき、子どもの不登校と青年のひきこもりを中心に、子育て・家族・学校などの悩みの解決をお手伝いする相談機関。元不登校児にして元ひきこもり青年である代表兼相談員(スクールソーシャルワーカー)が、ときに自らの体験を織り交ぜながら、理解と対応について解説・提言しています。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


注目情報


新着記事トピックス