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ごかいの部屋 〜不登校・引きこもりから社会へ〜

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□ ごかいの部屋 No.118

発行日: 2006/3/15



   2006.03.15 [No.118]                   vv
==■========================================================\(ё)/
 :         ご か い の 部 屋          §
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜   人
--□-----------------------------------------------------------■--
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      □
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説    :
===============================================================□==


>====・● コ ラ ム ●・===========================================<
                   トンネルを歩き通すために
>-----------------------------------------------------------------<

 もうひとつのメルマガ『青少年支援ガイド』41号のコラム「当方見聞
読」欄に書いたとおり、去年12月23〜24日「第3回民間教育学会」が開
催され、初日のシンポジウムで、愛知県の「NPO法人アイ・メンタル
スクール」代表理事の杉浦昌子氏が実践報告を行いました。

 氏は、去る2月15日に放送された『緊急大激論SP2006!“子どもた
ちが危ない”こんな日本に誰がした!? 全国民に“喝”!!』というテレ
ビ番組に出演し「心をなくした子どもたち」というコーナーでは、活動
の様子がVTRで流れました。ちょうど1ヶ月前ですので、ご覧になっ
た方は覚えていらっしゃると思います。

 氏は、姉の長田百合子氏と同様ひきこもっている青少年を連れ出して
入寮させ、生活に始まり学校復帰や就労への支援を行っています。

 実践報告によると、就労支援では、地元のファミリーレストランや静
岡の工場との提携をはじめとする職場開拓、アルバイトしている若者が
ミスしたときのフォロー、など丁寧な支援を行っているようでした。

 家庭訪問や親子への指導では「親子を責めない」「ときには寮を見学
してもらって、お互い納得の上で連れ出す」「寮での生活を日報にまと
めて家庭に送っている」など、姉との理念・手法の違いを示しながらも
「対象としているのは近所で迷惑をかけている(荒れている)子どもた
ちであり、警察の協力を得て訪問することが珍しくない」と、その苦労
を語っていました。

 フリーディスカッションの時間に私は「警察の協力を得なければ訪問
できない原因が<訪問の仕方>にあると判断したケースは1件もないの
か」と質問しましたが、氏は「段階を踏んで慎重に進めている」と、訪
問実践に落ち度のないことを強調しました。

 この姉妹のように、不登校児やひきこもり青年を積極的に説得して、
あるいは強引かつ乱暴に、連れ出して入寮させる実践者は、不登校児や
ひきこもり青年を「人生の歩みを止めた人たち」「自分で動き出す力を
失っている人たち」と見ているのではないかと、私には思えます。

 私は、不登校児やひきこもり青年をそのようには見ていません。むし
ろ逆に「人生の歩みを続けている人たち」「その歩みが自分で動き出す
力へとつながる人たち」と見ています。

 ただし彼らの多くは、自分で歩んでいる道を“見通しのよい明るい道”
ではなく、“出口の見えない暗いトンネルの中”だと感じていることで
しょう。

 出口の見えない暗いトンネルを歩いている姿を想像してみてください。
先の見通しが立たない不安におびえながら、ソロリソロリと少しずつ歩
いている場面が、目に浮かぶと思います。

 そんな彼らに対して、親御さんや学校の先生や関係者がするべきこと
は何でしょうか。マスコミがしばしば取り上げ称賛するように“熱血家
庭訪問”によって連れ出し入寮させることは、よい解決方法なのでしょ
うか。

 私の表現では、家庭訪問して連れ出すというのは、外からトンネルの
途中に穴を開けて、外の世界に引っ張り出すようなものです。つまり、
彼らが手探りで歩むことをやめさせ、手取り足取り指導して、通常の道
を歩くことができる心身をつくる、ということです。

 彼らは、そのような支援を望んでいるのでしょうか。

 私自身の不登校とひきこもりの体験は、まさに「トンネルを踏破した
(歩き通した)体験」でした。苦しみ抜いた末にトンネルを抜けたとき、
目の前に広がっていた光景は、トンネルの途中で穴から連れ出される地
点からは、決して見ることのできないものでした(64号参照)。

 さらに、現在不登校やひきこもりの相談を受け<連れ出す目的ではな
い家庭訪問>を含む支援活動を行っていて、だんだん「かつての私と同
様彼らの多くも、自分の足でトンネルを踏破するつもりで歩いている」
と認識せざるを得なくなってきたのです。

 つまり彼らが望んでいるのは、トンネルの途中で引っ張り出してもら
うことではなく、トンネルを歩いている自分を応援し、踏破する(出口
まで歩き通す)エネルギーを補給してくれる、そんな支援なのではない
でしょうか。

 このような支援を私は、45号で“後方支援”と表現し、次のように説
明しています。

 「歩いている本人の前に出て誘導するのではなく、本人の斜め後ろを
本人と同じペースで歩き、本人が歩き疲れて後ろに倒れそうになったら
頭を打たないよう支えたり、本人の靴がボロボロになったら取り替えた
りする、というイメージ」

 もちろん、不登校児やひきこもり青年のすべてがそう望んでいる、と
盲信しているわけではありません。本人のタイプや状態、また支援に対
する本人のニーズは人それぞれです。その鑑別は常に心がけていますが、
それでもなお「トンネルの途中で引っ張り出してもらう」支援を望んで
いて、かつそれに向いていると思われる青少年は、これまでに受けた相
談にかぎって言えば、ほとんどいなかったのです。

 もちろん「家庭訪問→入寮指導」というシステムを実践している団体
はいくつもありますから、それらをひとくくりにして否定することはで
きません。「このシステムに救われた」と認識している青少年も少なく
ないでしょう。

 ただ、私は個人的にこう思っているだけです。「不登校やひきこもり
の時代に、家庭訪問して連れ出そうとする支援者に出会わなくてよかっ
た」と&#8212;&#8212;。


:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。


>===・● ごあんない ●・==========================================<
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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--------- ★ 次回発行は2006年4月5日です。お楽しみに ★ ----------
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  (ё )
 :   2006/03/15 NO.118  (発行:第1・3水曜 月2回) \§/
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□発行・執筆者:丸山 康彦
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