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タイトル:米国カジノ経済:またも計画倒産か
発行日: 2008/7/21ベンチャー革命2008年7月21日
山本尚利
タイトル:米国カジノ経済:またも計画倒産か
1.証券化住宅ローンのバブル崩壊
ネット上の情報によれば、2004年6月18日のダウ・ジョーンズ通信のニュースにて、日本銀行が米国の政府系住宅抵当金庫ファニーメイ(FNM)と住宅金融抵当公社フレディーマック(FRE)が発行する住宅ローン担保証券(債券)の購入を検討していると報じられていたそうです。その後、日銀が実際にそれを購入したのか、購入したとすればどのくらい購入しているのか一般のわれわれには不明です。このニュースから、小泉政権当時の日銀(福井総裁)はブッシュ政権の圧力に晒されていたことを伺わせます。ところで小泉政権の5年間(2001年から05年)の間、日本政府の累積債務(850兆円、2008年3月末)は、国家予算に組み込まれた国債費以外に120兆円以上増えています(注1)。この多くはイラク戦争の戦費に化けた米国債購入以外にFNMやFREなど米国の政府系住宅抵当企業(GSE、Government Sponsored Enterprises)の債券購入に当てられている可能性が大です。2008年7月17日のマスコミ報道によれば、農民・漁民の預貯金を預かる農林中金が5.5兆円のGSE債券を保有しているそうです。農林中金を含み日本の民間金融機関が保有している米国の証券化金融商品の債券保有総額は22兆円規模(2008年7月)に達するそうです。この額には日銀保有分は含まれていないでしょう。民間金融機関は日銀が買っているから大丈夫と考えて22兆円ものGSE債券を購入していると思われます。7月15日のマスコミ報道によれば、パニック売りの危機に直面するFNMとFREは全米の住宅ローンの半分を引き受けており、その債権総額は5兆ドル(530兆円)とのこと。つまり全米の住宅ローン債権総額は10兆ドル(1000兆円)規模です。住宅ローンが平均5000万円/件として2000万戸の住宅ローンに相当します。ちなみに日本国民の国富(非金融資産)3500兆円(2006年度)、そして金融資産(国民預貯金)1500兆円(2007年度)です。
現在の米国では昨年のサブプライム・ローン債券(ハイリスク)の焦げ付きに次いで、今年はプライム・ローン債券(ローリスク)も危なくなっているということです。ブッシュ政権のヘンリー・ポールソン財務長官はFNMとFREの緊急支援を発表し、信用不安の沈静化に努めています。
2.案の定、米国の証券化ビジネスの行き詰まり
筆者は1980年代後半、当時所属したSRIインターナショナル(米国シンクタンク)にて、日本の某都銀クライアントの依頼で行われた米国金融業界のセキュリタイゼーション(金融商品の証券化ビジネス)の実態調査に関与したことがあります。当時の米国では個人の住宅ローンや自動車ローンのみならず農家の家畜ローンまでもが証券化されて、一般投資家に転売されていました。当時の筆者は、米国には個人ローンを投機商品にして売買するというビジネスがあることを初めて知り驚愕しました。ローンを証券化して他人に転売すれば、貸し手(金融機関)のリスクは確かに分散されます。この仕組みはローンの借り手と貸し手(証券化ローン債権の所有者)の間に何重にも金融機関やブローカーが介在し、わけがわからなくなります。よくこんな仕組みが成り立っているなと不思議でした。当時の日本の銀行業界では考えられない危ない仕組みです。案の定、米国では2007年末より、サブプライム・ローン証券化ビジネスが破綻し始め、ついにプライム・ローン証券化ビジネスの信用不安に発展したということです。米国の金融ビジネス(一種のババ抜きゲーム)は日本の通勤電車にたとえるとわかりやすい。過密ダイヤの通勤電車が順調に動いていれば、乗客は安心して居眠りしていますが、いったんどこかで事故がおきると瞬く間に、上下線とも全線不通となります。一方、米国の金融ビジネスも順調に機能しているときは、潜在危険(リスク)が次々と他人に転嫁されて問題は表面化しません。しかしいったんどこかで、わずかでも焦げ付きが発覚するとたちまちシステム全体が機能不全に陥るわけです。そして最後にババを掴んだ投資家が大損する構造です。動いている金額が膨大なため国家経済までもがたちまち機能不全に陥るのです。恐ろしい世界です。
3.なぜか繰り返されるバブルの発生と崩壊
昨今の米国における住宅ローンの証券化ビジネスの破綻・信用収縮をみて、筆者は2000年春のITネットバブルの崩壊を連想しました。米国では70年代からAT&T(米電話公社)に独占されていた通信事業の解体と民営化が始まり、国防総省の開発したインターネット・プロトコルTCP/IP(かつてSRIがメンテ担当)が80年代末、無償開放された後、90年代、通信規制緩和が急速に進行、MCIワールドコム、スプリント、グローバルクロッシングなど新規参入の通信事業者が続々登場、米国では90年代半ばよりITネットバブルが発生しました。そして新規通信企業の株高を背景に、高速インターネット・インフラ投資ブームが起きました。インターネット・インフラ投資が一巡したところで、新規通信企業の粉飾決算が発覚(シナリオどおりか?)、2000年春、ITネットバブルが崩壊しています。その後、住宅バブルが起き、今回の証券化住宅ローン・ビジネスの破綻につながっています。これらのバブル発生と崩壊の繰り返しをみてみると、どうやら、仕掛け人(おそらく国際金融資本のオーナーである寡頭勢力)がシナリオを作って、計画的に行われている(計画倒産)ようにみえます。上記、日銀も2004年の段階ですでに「ババの引き役」として、彼らのバブル崩壊シナリオに組み込まれていた可能性があります。証券化ビジネスは一般的に、証券化商品の市場価格の上げ局面と下げ局面で利益を確定させるビジネスです。投機対象の市場価格が安定しているときは損失がでない代わり、利益もでないという宿命をもっています。だから国際金融資本オーナー(あらゆる法規制を超越する存在)という胴元はあの手この手でバブルを仕掛け、タイミングをみて崩壊させて収益を出すのが常道です。つまり米国の金融ビジネスはマージャンと同じゼロサム・ゲームであり、敗者から勝者へマネーの移転が起こるのみで、経済成長を推進させる付加価値は創造されません。したがって、ものづくり大国日本が製造業で生み出した付加価値(円の預貯金)は常に、彼ら(FRBの実質オーナー)から虎視眈々(まさに1ドル札のルシファーの眼)と狙われる運命にあります。
4.二重にも三重にも、とことんカモにされる日本国民資産
サブプライム・ローン商品というハイリスク証券化商品にはさすがに保守的な日本の金融機関はそれほど手を出していなかったようですが、米国連邦政府の暗黙の保証つき(ただし明文化されてはいない)の政府系住宅抵当企業(GSE)の債券は安心して購入していたようです。日本人は一般的に、政府という組織体を無条件に信用する習性をもっていますから・・・。しかしながら、日本政府と違って米国連邦政府は上記、寡頭勢力に牛耳られる「私物化された政府」という認識をもてば、米国GSE債券ほど当てにならない証券化商品はありません。住宅抵当証券系のGSEの負債(1000兆円規模)を連邦政府が公的資金で救済するといっても、連邦政府の累積債務は公称9兆ドル(1000兆円規模、2007年)(注1)もあり、上記、公的資金の原資をどこから調達するつもりでしょうか。当面、寡頭勢力の実質所有するFRB(連邦準備理事会)から借りる(米国債発行)つもりでしょうが、連邦政府は、そのとき発行する臨時米国債を誰かに買わせる必要があります。しかし寡頭勢力の所有する国際金融資本企業群は買ってくれません。なぜなら、連邦政府が発行する米国債の債権者であるFRBと国際金融資本は水面下でつながっているからです。つまり水面下の寡頭勢力にとっては、自分の所有するドル債券を自分で買うという珍妙な「共食い」になるだけだからです。そこでまたも、日本か、中国か、中東の親米産油国の政府に奉加帳よろしく米国債購入を押し付けてくることになります。またもカモにされそうな日本政府はすでに外貨準備高100兆円を含む500兆円規模もの米国債(長期債)および米ドル資産を保有し、その上、日本政府は対内的に850兆円もの国債残高を抱えています。いくら日本が米国と運命共同体の親米国家であっても、これ以上、返済される見込みのない米国債を買わされてはたまりません。小泉政権下の日本政府だったら、日本が財政破産しても米国連邦政府を優先的に救済したでしょうが、現在の日本政府はどうやら、そこまでお人好しではありません。
これから先、上記寡頭勢力の一部(勝ち組)を除き、多くの一般米国民(主に住宅ローン破産者と破綻企業から解雇される被雇用者)と、大量の米国債(不良債権)を抱えている日本政府および日本の金融機関(日本国民の預貯金が勝手に米国債購入当てられている)が想像を絶する被害を受けるわけです。わかりやすく言えば、われわれの預貯金はすでに、米国の住宅建設(サブプライム・ローンで建てられた家でも、われわれのウサギ小屋によりはるかに立派)使われてしまっているということです。この構造は、ちっぽけなわれわれ日本国民にとって、群盲象を撫でるに等しい壮大な国家詐欺といえます。
FRBを握る寡頭勢力は米国ドル経済が行き詰ったら、最後の手段、新通貨(アメロ)の発行権を行使するでしょう。そうなれば日本の対米ドル債券500兆円は永遠に戻ってきません。まあ、ドルがアメロに切り替わらなくても、対米ドル債権はどうせ戻ってこないでしょうが・・・。働けど、働けど、われわれ日本国民の暮らしが豊かにならないのは、この寡頭勢力の対日国民資産搾取構造のせいです(注2)。
注1:ベンチャー革命No.262『消費税の増税:福田首相の自爆テロ』2008年6月21日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr262.htm
注2:ベンチャー革命No.251『日本国民はなぜ、貧乏化しているのか』2008年1月4日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr251.htm
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