Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です [フォークロア]とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。
- 最新号:2008-08-21
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Servus AKIの「食卓のフォークロア」
発行日: 2003/12/24◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
★☆★Servus AKIの『食卓のフォークロア』★☆★
2003年12月24日 発行
【027】天麩羅2
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Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です
[フォークロア]とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。
食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。
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【弟子】 師匠、前回のてんぷらは、安土桃山時代に長崎にきたキリスト教の
宣教師が伝えた、との事ですがこの天麩羅、伝えた宣教師の国にも
有ると言うことですがどのようなものですか?
【師匠】 これはぢゃな、「フリッター」と言って小麦粉に卵と塩、ビールや
白ワインなどで作った衣を油で揚げた料理ぢゃ。
詳しく言うと、小麦粉に塩、卵黄を加え、ビールまたは白ワインを
加えてよく混ぜ合わせておき、ホイップした卵白を加えた種を魚に
からませて、油脂でカラッと揚げた料理ぢゃ。今の日本ではビール
で作るフリッターが多いが白ワインで作るとカリッと揚がって香ば
しい。または牛乳を使っても良いな。
【弟子】 それがそのまま日本に伝わった・・・・。
【師匠】 当時はそうぢゃろうが、時代とともに少しづつ変わってきて、室町
時代後期には小麦粉、卵、塩、そして砂糖を加え、水を使って作り
上げたそうぢゃ。当時の日本ではビール、ワインは日常的ではない
からな。それから塩の替わりに醤油も使っていたそうぢゃ。
【弟子】 師匠、ちょっと疑問があるのですが、卵白を泡立てるのに当時から、
ホイッパー(泡立て器)なんてあったんですか?
【師匠】 当時のヨーロッパには、ステンレス製のホイッパーは有るわけが無
い、当時はツゲや柳の小枝で泡立てたということだ。これは、西洋
で初めてホイップクリームを作ったのが宮廷料理人のヴァテールと
言われておる、ホイップクリームつまり、クレーム・シャンティイ
の事ぢゃな。そのときの記録にツゲや柳の小枝で泡立てたという記
録が残っておる。
【弟子】 日本でもそうなんですか?
【師匠】 長崎あたりでは、大きな茶せんで泡立てたそうぢゃが、日本全国に
広まるにつれこの部分はだんだんと省略されてきたようぢゃな。つ
まり、先ほど述べた小麦粉、卵、水、塩または醤油で作られるよう
になってきたのぢゃ。卵白は泡立てておらんのぢゃ。
今では、小麦粉、卵、水だけで作る。カリッと揚げる技術には料理
人の腕が重要ぢゃな。
ついでに言っておくが、この天麩羅、全国ではいろいろな呼び方を
されておる。
【弟子】 九州ではさつま揚げも天麩羅も同じような物だと言うことですか?
【師匠】 そんなもんぢゃ。
関西では、魚介類を揚げた物が天プラで、野菜を揚げたのは精進揚
げと呼ぶのぢゃ。
愛知では、つき揚げとか、つけ揚げ、岡山ではころまげ、山口では
衣揚げ、香川ではあげもんとか言っておるようぢゃな。
天プラには、何も付けない素揚げ、小麦粉や片栗粉等を付ける唐揚
げ、水で溶いた衣を付ける衣揚げ、よく料理屋で見かける衣に味噌
・カレー・雲丹等を入れて作る味付け揚げ。変わり衣と言われ、春
雨や道明寺粉等を使うまぶし揚げ、海苔・紫蘇の葉等を使う、巻き
揚げ。湯葉・錦糸玉子等を使う、包み揚げ、などなどあるな。
そうそう、挟み揚げと言うのも有るな。
【弟子】 そういえば、徳川家康の死因は鯛の天麩羅と言われていますが、
本当ですか?
【師匠】 そうぢゃな、よくそう言われておるようぢゃがそんな記録は無いな。
それはぢゃな、元和2年(1614)正月3日に家康が珍しい食べ物とし
て、かやの油で揚げた鯛を食べたとの記録が確かにあるのぢゃが、
家康が死んだのは翌年4月ぢゃから、これはやはり作り話で死亡
の原因とは無関係なんぢゃな。
【弟子】 かやの油と言いましたか?昔はテンプラは「かやの油」で揚げてい
たのですか?ところで、「かやの油」とはなんですか?
【師匠】 かやとは漢字で「榧」と書く。イチイ科の常緑針葉樹で高さは約
20メートルに達するな。
この木は碁盤などを作る木材としても有名ぢゃが、種子は油をとる、
また「榧の実」と言って、食用にもするな。
当時の絵を見ると、「胡麻揚げ」「かやの油」と強調した看板が見
られる。当時、油は貴重品で燈油としても使われておった。
【弟子】 食用油と燈油は同じものなんですか?
【師匠】 そうぢゃ。ヨーロッパでもオリーブオイルは食用にも使うし、燈油
としても使うのぢゃ。
油は貴重品だから一滴一滴が貴重ぢゃ。ぢゃから昔の油屋は升で計
った一滴の油を最後まで大事に使ったんぢゃな。お客に量り売りす
る油を注ぎ終わるまで、いつまでも見守っている様を回りで見てい
る人々が油屋の小僧は仕事もしないでサボっているように見えるの
で、ここから油を売る=サボっている、という言葉が生まれたんぢ
ゃな。
【弟子】 そうなんですか。私もよく油を売っていると言われるんですが、
本当は仕事をしているんですが中々良く見てくれませんね。
【師匠】 ・・・・・・・・・・
ついでにもう一つ油にまつわることわざを教えよう。
「爪に火をともす」と言うことわざは知っておるか?
【弟子】 はい、知っています。師匠の事ですよね。
【師匠】 何を馬鹿なことを言っておる。
この「爪に火をともす」と言うのはぢゃな、辞書を引くと『蝋燭
(ろうそく)の代わりに爪に火をともす意』極端な倹約ぶりをたとえ
ていう語。と出ておる。この意味がわかるか?
【弟子】 ですから、師匠はいつも爪に火をともして使っているから指が短い。
ですよね・・・。
【師匠】 ムムム・・・。これは生まれつきぢゃわい。それにケチでは無い!
【弟子】 それでは師匠、美味しいテンプラを食べさせてくれるところがある
んですが、奢ってください。
そこのお店はすべて個室でお客様専用の板前さんがついて好きなも
のを揚げてくれるのだそうです。思いっきり好きなテンプラを食べ
たいので、ネッ!シショウ・・・行きましょ!!
【師匠】 その話は、後にしてぢゃなまずはこの語源からいこう。
何故、爪に火をともさなければならんのか。それはぢゃな、昔の明
かり取りは蝋燭(ろうそく)や、燭台(しょくだい)または行灯
(あんどん)を用いていた、行灯とは燭台(しょくだい)に和紙な
どで周りを囲った明かり取りなんぢゃがこんなものは今では、数少
ないので若い読者に判るかのー。
【弟子】 そこは、皆さんに辞書でも引いていただいて、ということで如何で
しょうか。
宜しければこちらへリンクしていただければ写真が載っています。
燭台
http://www.shirakami.or.jp/~goshou01/SHOKUDAI.htm
行灯
http://www.city.kusatsu.shiga.jp/midokoro/honjin/hj2_13.html
【師匠】 昔は、明かり取りも大変であった。ロウソクはとても高価で、ロウ
ソクを買えるものは金持ちしかいなかった。庶民はと言うとなるべ
く夜は早く寝て早起きして生活しておった。
まーあたり前と言ったらあたり前ぢゃな。
ロウソクを買えない庶民は、油を灯架(とうか=灯火の油をいれる
皿を載せる台)に入れ、芯をつけて油を燃やして明かり取りとした
のぢゃ。
油は菜種油が良く使われておった。油も安いもになると鯨油ぢゃな。
しかし鯨の油はかなり匂いがきつかった様ぢゃ。
この明かり取りが写真にある、燭台(しょくだい)ぢゃ。
または灯台(とうだい)とも言う。
【弟子】 灯台って、海にある灯台と同じですか?
【師匠】 そうぢゃ。よく間違える諺に、「灯台下暗し」というのがあるな。
【弟子】 エエ、知っています。灯台の真下が暗いように、身近なことがかえ
って気づきにくいことのたとえですよね。
【師匠】 この灯台というのは、燭台の事を言っておる。まー、海の灯台でも
同じ事ぢゃがな。
【弟子】 師匠、どんどん話がずれてきているんですが、まずはこの「爪に火
をともす」から話してください。
【師匠】 そうぢゃった。灯火に入れた油の芯を大きく出せば明るくなるが、
油の消費が早い。そこで油を節約しようと芯を爪の先で押し込むと
爪に油がつく、灯台は燃えているので爪についた油が燃えている様
子が油を倹約している=倹約家という訳なんぢゃ。
【弟子】 そーだったんですか。私はただのケチかと思いました。
ケチと倹約は違いますよね、シショウ。オゴッテ!!
でも、どーしてテンプラが「爪に火をともす」になったんですかね。
【師匠】 お主がかやの油って何ですかと、聞いたからぢゃ。
【弟子】 私が悪いんですか。でも師匠、ずいぶんと諺を覚えられました。
【師匠】 これで今年の話は終わりぢゃ。また来年ぢゃな。
【弟子】 来年は三年目に入りますので気合を入れてお願いします。
【師匠】 もうそんなになるのか。休も〜かの〜?
【弟子】 冗談言わないで下さい。それでなくても遅れがちなんですから。
【師匠】 お主は、ジョークも通じんの〜。
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