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2008メルマ!ガ オブ ザ イヤー発表
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視覚装置(3次元LSI、MIMD/SPMD、同期/非同期)、局所並列画像処理(多色分類、文字抽出)、3自由度回転システム(人工眼球、自在雲台、手先効果器)、盲導犬ロボット(携帯、カメラ、プロジェクタ、視聴触力覚ナビゲーション)、ホムンクルス

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【解説】39/40野と読字障害

発行日: 2008/10/13


読者の皆様へ

(株)エッチャンデスの味岡です。
10月12日のNHKスペシャル 病の起源で第4集 読字障害という番組を見ました。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081012.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A2
私の専門である高次脳機能とピンポイントでオーバラップしていましたので、
外側(一般向け)と内側(専門向け)の両面から簡単な解説を書きます。

まずは外側からの解説をします。内容は以下の通りです。
1) 文字とは何か
2) 電脳めがねと拡張現実感
3) 盲導犬ロボットと視覚支援サービス

第一に、ナビゲータの片岡鶴太郎さんが「人類にとって文字って何なんだろう?」
と問い掛けていましたが、
私自身にとっても常に追い掛けている問題の1つであります。
http://www.melma.com/backnumber_60083_804306/
http://www.melma.com/backnumber_60083_804272/
今回の番組では頭頂連合野にある39野と40野に
視覚機能、言語機能、運動機能を加えた感覚連合野を取り上げ、
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kaysaka/draft/qa-n0.htm
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/40/index-40.html
http://www.tmd.ac.jp/med/phy1/ptext/high4.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%84%B3%E5%9C%B0%E5%9B%B3
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0220c/contents/7h/f/f16.html
文字発明から約5000年しか経ていないため読字機能は現在進化途上にあり、
39/40野における文字列のコード(符号)から音声のコード(符号)への変換機能の
機能不全が読字障害を引き起こしていると述べています。
番組中で出演者が「文字は言葉ではなく絵のようにしか見えない」
と言っていましたが、
この話を聞いて思い起こすのは、養老孟司先生の「バカの壁」ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%A3%81
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%A3%81-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%A4%8A%E8%80%81-%E5%AD%9F%E5%8F%B8/dp/4106100037
この本については随分と誤解されている人が多いようですが、
有名な音痴の話などを聞くと、本来生物には絶対音感という機能を備えていたのに、
進化の過程で人間は絶対音感を捨てて、
誰もが発した音声を聞き取り簡略化することにより
脳(の情報処理)にとって都合が良いように解釈しているそうです。
そればかりか廻りの環境までも作り替えてしまっている(これを脳化と言う)そうです。
話を文字に置き換えると、特定のワープロで印刷した文字だけでなく、
誰が書いたどんな文字でも難なく読めると言うことです。
つまり、文字とは脳の音痴の帰結であると、、、。
そう思うと、読字障害についても考えさせられてしまいます。
ちなみに、文字音痴という観点から、
文字列中に誤字や脱字があっても文字列を理解できるような機能に関して研究すると、
その1つの解としてレーベンシュタイン距離が考えられます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E8%B7%9D%E9%9B%A2
http://www.melma.com/backnumber_60083_3674938/
現在の私の研究開発の1つは、
レーベンシュタイン距離のような誤字脱字に強い認識機構が
脳の内部表現としてどの様に存在しているか規定することです。
つまり文字音痴システムの開発と言うことですね。

第二に、番組の中で地層や岩を見るだけで
その場所の過去の状況を想像できる考古学者や、
あたかも目の前に建造物があるかのように振る舞っている建築家の話が出ていました。
こういう話を聞くと奇異に思う人も居るかと思いますが、
でも、実際に目の前にないはずのものがあたかも存在するかのような感覚を
体験したことがある方は以外に多いのではないでしょうか。
こういう感覚は別に超能力や霊視といったオカルトではなく、
丁度電脳めがねを掛けた際に、拡張現実感により
目の前にあるものに関連した映像が浮かび上がって見えるようなもので、、、。
http://www.melma.com/backnumber_60083_4216375/
http://www.melma.com/backnumber_60083_4229899/
何でお前にそんなことが判るんだ!というツッコミは無しですよ。
只、そう見えると言うか判るだけなので、、、。
私は医療の専門家ではありませんが、恐らくfMRIやCTスキャンなどで検査すると、
幾つかの特異的な反応を示す場所が見つかるものと思います。
最近はより簡便な光トモグラフィなんてのもありますしね。
http://www.ymdlab.mce.uec.ac.jp/research/DOT2007j.pdf
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol06_09/special1/p10.html
http://jp.hamamatsu.com/rd/technology/health/rdot.html
http://www.ymdlab.mce.uec.ac.jp/thesis/2007/E16fukuzawaryo.pdf

第三に、読字障害の方は欧米人の約10%、日本人の約5%居る可能性があるそうで、
例えば新聞や雑誌など、文章を読むのに大変苦労をされているようです。
知っている人は知っていることですが、
当社が進めている盲導犬ロボットのコンセプトは
何も視覚障害者だけを対象にしているのではなく、
見えるけれども見えない人も対象としています。
例えば、ドライバーの死角や視力が衰えた高齢者など。
勿論、読字障害や相貌失認などの障害を持っている方も。
http://www.wdic.org/w/SCI/%E7%9B%B8%E8%B2%8C%E5%A4%B1%E8%AA%8D
http://www.wdic.org/w/SCI/%E5%A4%B1%E8%AA%8D
http://www2.tmig.or.jp/CNP/pastcnp/PDFs2003/Kaneko.pdf
ちなみに、昔は相貌失認等の研究とかもしていたりして、
お陰で会社設立の頃は局所並列画像処理を用いた顔抽出なども行っていました。
ということで現在事業化に向けて、
電脳めがねを用いた視覚支援サービスの準備をしています。
http://www.cyberdoc.co.jp/CharacterExtraction/
http://www.melma.com/backnumber_60083_4039061/
http://www.melma.com/backnumber_60083_4050954/
今月下旬に電脳めがねと拡張現実感に関連した会合が東京であり、
恐らくそこで代読サービスや顔認証サービスなどの事業化に向けた
話合いが行われるのではないかと思います。
事態が進展するようでしたら読者の皆様にもご協力をお願いしますので、
その節は宜しくお願いします。


さて次に内側からの解説をします。内容は以下の通りです。
1) 感覚連合野と一次連鎖
2) 文字の種類と変遷
3) 単語の切り出しと視線移動
なお、以下の内容はその道の権威やその筋のお偉いさんには
全く相手にされていませんので、くれぐれも鵜呑みにしないで下さい。

第一に、番組の中で音声を聞くという処理は、
(1) 聴覚野で音声が知覚された後に音声コードに変換され、
(2) 言語野(ウェルニッケ野とブローカ野)で音声が理解される
と規定されています。
さらに文字列を読む(暗唱)という処理は、
(1) 視覚野で文字(列)が知覚され、
(2) 下側頭葉で文字(列)の形が識別された後にコード化され、
(3) 39/40野で文字列コードが音声コードに変換され、
(4) 言語野(ウェルニッケ野とブローカ野)で文字が理解される
と規定されています。
例えば「あした晴れ」という文字列を暗唱できるのは、
39/40野において「あした晴れ」という文字列コードを
「あした晴れ」という音声コードに変換できるからであるという訳です。
ここで読字障害とは、39野と40野における文字列コードから音声コードへの変換が
機能不全を起していると説明されています。
ここで1つ注意が必要です。
1896年にP.W. Morganによって最初の読字障害が発見された
(Dyslexiaの命名は1884年にRudolf Berlinに因るらしい)際、
http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/437/1/AN00211590_94_73.pdf
http://dspace.nara-edu.ac.jp:8080/dspace/bitstream/10105/492/1/20070327-3.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A2
アルファベットは一字ずつなら読めるが単語や文章が読めなかったそうです。
例えば"7"は読めるが"SEVEN"は読めないと言った具合いに。
勿論読字障害と言っても種類は様々ですが、
このような症例から39/40野では、
(1) 複数の文字の間の関係性を定義付けること
(2) 文字列コードと音声コードを関連付けること
が行われているものと推察されます。
実は、このような脳の内部表現(心的表象)は
一次連鎖によって簡単に説明することができます。
http://www.melma.com/backnumber_60083_4130335/
しかも頭の中でこれらの文字列を繰り返し暗唱できることも、
一次連鎖を用いれば簡単に説明することができます。
なお、繰り返しお断りしておきますが、
現在に至るまで39/40野に一次連鎖が存在するという
神経生理学的証拠は見つかっておりませんし、
技術的な問題から恐らくこれから十数年は見つからないのではないかと思います。
但し、例えば人間は人種や民族を問わず、
生まれながらにしてあらゆる言語の文法でも獲得することができるのですが、
一次連鎖であればこの理由を説明することも可能であり、
しかもそれらは遺伝的若しくは薬物などにより39野と40野が損傷していない限り、
繰り返し発話練習をすれば、年齢を経てからでも学習できる可能性を示しています。

第二に、欧米人の場合読字障害が約10%と推定され、
日本人の場合約5%と推定されているそうですが、
これは文字の種類、即ち表音文字と表意文字に起因するところが大きいと思います。
つまり、アルファベットの場合、各文字自体には何の意味もありません。
それに対して漢字の場合、
その文字自体でロゴやアイコンのように意味や情景を表しています。
したがって、右脳が活動し易くなります。
但し、日本語の場合、ひらがなやカタカナなどの表音文字も混在するため、
このことが読字障害の判定を難しくしているのでしょう。
ちなみに、日本人や中国人は数詞を文字で表すのに対して、
欧米人は数詞を単語で表すようです。
例えば前述の例で言うと、日本人には"7"の方が馴染みなのに対して、
アメリカ人は"seven"の方を頻繁に使います。
この辺りの差異は単なる文化的な背景だけではなく、
右脳と左脳の優位性の違いや39/40野との関連があるのかも知れませんね。
ところで番組中、個々の文字の変遷は、
主に書き易さから簡略されたものとして説明されていました。
確かにその説明は間違っていないと思うのですが、
そもそも文字とは何かという観点に立つと、
文字とはある人から(自分を含めて)ある人に
時間と場所を越えて情報を伝達することを目的としたものであることから、
読めない文字には何の意味もありません。
加えて自らの考えを反芻して纏めることにも有用であります。
このことから、現在の文字は発展途上であるとは言え、
文字列コードを音声コードに変換し易いものに変遷してきたと考えられます。
つまり、誰も読めない文字は自然淘汰されるということで、
謂わば文字とは脳化の代表例ではないでしょうか。
もしかしたら、選別されてきたのは環境(テスト)という名の人間(脳)の方?
この辺りは文字の細線化など、
文字抽出や局所並列画像処理と相俟ってややこしい問題なのですが、
http://www.melma.com/backnumber_60083_4024181/
39/40野の機能を解明するのに重要な指標になるのではないかと思います。
特に書き順や配置など、読み易い文字を如何にして作り出すかという視点は
読字障害の克服のためにも今後重要となるでしょう。

第三に、番組中で文章中の単語の切り出しについて説明がありましたが、
これについては構文解析や音声認識などで多くの研究があります。
特に構文解析や音声認識ではHMM(Hidden Markov Model)が多く用いられていますが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
http://unicorn.ike.tottori-u.ac.jp/murakami/doctor/node7.html
http://www.ncrna.org/Members/asai/lectures/2007-sequence-analysis/09-Asai%28Yada%29-HMM3.pdf
これにより単語の区切りを見付け出したりすることが可能となります。
但し、現在に至るまでHMMに対応する具体的な脳の内部表現(心的表象)は
発見されておりません。
一方で一次連鎖においても単語の区切りなどを見付けることができます。
ちなみに、かつて4文問題(Four statement problem)という研究をしていたので、
ご興味があれば参考にして下さい。
http://books.google.co.jp/books?id=NPDY5O3xhpUC&pg=PA105&lpg=PA105&dq=solving+four+statement+problem+ajioka&source=web&ots=VPRbpOZhc0&sig=JBJyaFlow5QIqdB--ZtZTGBL8U0&hl=ja&sa=X&oi=book_result&resnum=4&ct=result
http://ieeexplore.ieee.org/Xplore/login.jsp?url=/iel2/632/5902/00227287.pdf?arnumber=227287
さらに単語の読みと眼球運動の関係についても
番組中にちょっとだけ説明がありましたので簡単に考察してみると、
あくまで仮説の段階ですが、恐らく文章を読み易いように
単語の適切な位置に注視点を移動させているのではないかと思います。
これはある意味で文章の先読みをしていること意味しています。
だから誤字や脱字があっても構わずに読み進めてしまうこともできると、、、。
まさに文字音痴ですね。
39/40野の研究や読字障害の克服についても、
この点を考慮に入れた考察が必要ではないでしょうか。
ちなみに、かつて4文問題における次のアルファベットと単語の予測について
研究していたことがあるので、ご興味があれば参考にして下さい。
http://ieeexplore.ieee.org/Xplore/login.jsp?url=/iel2/587/4027/00155477.pdf?arnumber=155477
読字を筆記や視線と組み合わせると、
恐らく39/40野の全体像が見えてくるのではないかと思います。
なお、くれぐれも断っておきますが、
これらの研究はもう20年近く前に行っていたことであり、
しかも全く相手にされてこなかったので、決して鵜呑みにしないで下さい。


さて最後に、先にも書きましたが、
近日中に電脳めがねと拡張現実感に関する会合があります。
進展がありましたらご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

それでは。

--
                                    (株)エッチャンデス
                                            味岡

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