世界70カ国で活動するCAREのメンバー、CARE International Japanが発行するメールマガジンです。読むだけで、国際協力のこと、世界の様子が見える!ぜひご一読ください。
- 最新号:2008-10-02
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ケア・ジャパン ニュースレター**読むだけで国際協力**
発行日: 2004/2/1★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞
ケア・ジャパン ニュースレター
**読むだけで国際協力** 2004年2月1日
< http://www.carejapan.org >
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今月号のテーマは「食の安全」です。ちょうど今、アメリカでのBSE(牛海綿
状脳症)によって、牛丼がなくなるといわれています。世界中がつながってい
る現在、自分の身近な「食」にも、さまざまな危険性がひそんでいます。今回
は、ふだん私たちが食べ慣れている「カレーライス」に欠かせない食材を例に、
「食の安全」について考えていきます。
【コンテンツ】
★「食の安全」 〜 グローバル化する世界の中で
★ 牛肉 〜 海外で育つ「国産牛」?
★ じゃがいも 〜 遺伝子組み換え作物
★ コメ 〜 農薬と輸入米
★ 小麦 〜 食糧の安定供給
★ 私たちの選択 〜 消費者として
【「食の安全」〜グローバル化する世界の中で】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
今、私たちが口にする食べ物の中には、外国からきたものがたくさんあります。
関税の引き下げによる貿易の自由化は戦後一貫してガットの目指してきたとこ
ろです。ガットのウルグアイラウンドは日本も大きな影響を受け、注目を集め、
このラウンドが終わり、ガットはWTOへと変わりました。このような動きと
並行して、巨大アグリビジネスが急成長をとげ、世界の農業を支配するように
なってきました。こうした経済のグローバリゼーションの動きは、市場を完全
に自由化して地球的な競争体制に入る方向性をめざしてきました。そうするこ
とによって、経済が成長し、貧しい国も恩恵を受けると信じられてきたのです
が、現実はそう単純には進みませんでした。
効率性の追求の裏では、さまざまなことが犠牲にされてきました。その一つは
安全性です。後に詳しく見ていきますが、農薬、BSE、遺伝子組み換え作物、
などの危険性が問われています。農薬や遺伝子組み換え作物は、食べる側だけ
でなく、作る側の健康や環境にも害を与えます。さらには、作り手と食べる人
の間の関係性も見えにくくなってきたために、こういう危険性も見えなくなっ
ています。そこをわかるようにするための表示も、本当かうそか消費者として
はわからないという状況になってしまっています。
また、効率性を高めるために生産地を集中させることは、「アメリカの牛が輸
入できないと牛丼がなくなる」という最近の騒動からもわかるように、その産
地に病気の蔓延や自然災害などがあったときを考えると、非常に高いリスクを
伴います。
このような効率化、一極集中を行う巨大アグリビジネスは、もう一方では途上
国の飢餓問題を産み出してきたといわれます。日本の零細農家も兼業化や農業
をやめるという選択を迫られてきたように、そもそも持っている土地や資源、
投資できるお金などのスタート地点がちがうのに「対等な競争」の場にほうり
こまれても、勝ち目はありません。植民地時代のなごりも依然として存在し、
途上国はアグリビジネスが「食料生産でもうけるための場」になっていきます。
途上国側の政府としても、外貨を得るために、商品作物の栽培を優先します。
食べる物もないのにコーヒー豆しか作れない、得られた収益はアグリビジネス
を展開する多国籍企業が独占する、という搾取体制ができあがってしまってい
ます。
グローバリゼーションが進み、競争が激しくなるにつれ、先進国では安くいろ
いろなものが手に入るようになった一方で、食べるものの安全性が犠牲にされ、
食料供給の安定性もリスクをはらむようになり、同時に、食べ物を手にできな
い人たちも増えていきます。最近ではそういう危険性に対する認識も広がって
きています。「食の安全」という問題の具体例を取り上げるとともに、これか
ら消費者としてどういう選択をしていけばいいのかということについて考えて
いきます。
【牛肉〜海外で育つ「国産牛」?】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
かつて日本人には馴染みのうすかった牛肉は、所得水準があがり、食生活が多
様化するにつれて毎日の食卓に登場するようになりました。飲食店などの業務
用を中心として安い牛肉がアメリカ、オーストラリアなどから輸入されるよう
になり、今では輸入牛肉は当たり前のようにスーパーの店頭に並んでいます。
★輸入牛肉の時代★
このように輸入が増えたのは、1988年からの牛肉・オレンジならびに果汁の自
由化、ウルグアイ・ラウンドの農業合意が原因にあげられます。牛肉の輸入自
由化が1991年に実行され、しだいに関税率が引き下げられていきました。輸
入牛肉は価格が安く、「硬くてまずい」イメージがありましたが、日本人好み
の味へと改善が進み、現在は国内で消費される牛肉の6割以上を占めるように
なりました。2001年9月に日本国内でもBSE(牛海綿状脳症)にかかった牛が
発見されてからは、さらに消費需要が増しました。政府による『安全宣言』の
後も、国内産牛肉に対する不安はしばらく残りました。以来、特に人気が上が
ったのはオーストラリア産の牛肉でした。牧草と穀物の豊富なオーストラリア
では飼料にBSEの原因とされる肉骨粉は与えていなかったからです。
しかし、去年の12月にアメリカでBSEの牛が発見され、輸入が禁止されたこ
とから、再び国産牛へと人気がシフトしています。日本では食肉処理される全
ての牛についてBSEに感染していないか検査を行いますが、アメリカの検査率
はわずか1%です。日本はアメリカに全頭検査を要求していますが「科学的根
拠がない」として拒まれています。
★逆輸入★
日本の食肉メーカーや商社は飼育のコストを安くあげるため、アメリカ、オー
ストラリア、ニュージーランドなどへ海外進出し、現地で生産して日本へ輸出
しています。製造業では安い人件費を求めて、国内から中国を始めとした海外
へと生産拠点が移っていますが、畜産業界においても空洞化が進んでいます。
肉牛は生まれた場所と育った場所が違うことが一般的です。例えば「カリフォ
ルニア和牛」は日本で生まれ、カリフォルニアで育った輸入牛です。和牛とは
品種名で産地とは全く関係ありません。黒毛和種、褐色和種、日本短角種、無
角和種の四品種だけを示す言葉です。国産牛は日本で生まれた牛とは限りませ
ん。品種に関係なく一定期間(牛の場合は3ヶ月以上)日本国内で肥育されれ
ばよく、どんな品種であろうとも国産牛になります。
★つきまとう不安★
牛肉の安全性といえば、まずBSEを思い浮べることでしょうが、ホルモン剤や
遺伝子組み換え穀物を使用した飼料、飼料添加物にも不安がつきまといます。
なぜなら、ホルモン剤の残留した食肉を食べた場合、人体への影響について安
全性が確認されていないからです。ホルモン剤はアメリカをはじめ、オースト
ラリア、カナダ、日本でも使われています。ホルモン剤を与えることで、成長
を促進して適度な脂肪のついた柔らかい牛肉ができます。EUだけはホルモン
剤の使用、ホルモン剤を使って肥育した牛肉の輸入を禁止しています。
また、牛たちの餌となる飼料も安全とはいえません。大半をアメリカからの輸
入にたよる穀物飼料はかびや害虫防止のためにポスト・ハーベスト農薬が使用
されています。また、アメリカやオーストラリアで日本向けに輸出する肉には
草だけでなく、大豆やトウモロコシなどの穀物を飼料に与えています。草だけ
で育てた牛は脂肪の少ない赤身の肉になるので、霜降り肉を好む日本人に合わ
せているのです。ただし、遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシなどの穀物が
飼料に使われています。
★増え続ける肉食と減り続ける耕地★
本来は自然の牧草で育ててきた牛にホルモン剤を使ってまで、私たちはおいし
い肉を食べています。さらにこれからは、現在経済発展を遂げつつある国々で
も肉食が広がっていくと予想されます。私たちの食べる家畜の餌は穀物なので、
穀物の需要は高まる一方ですが、耕地面積には限界がきています。そして、忘
れてはならないのはアジア・アフリカの途上国では飢餓に苦しむ人々が増えて
いる現状です。現在の世界での穀物生産を合計すると、120億人を養えるとい
われます。しかし、現実にはその4割を家畜が食べているということや、富の
偏りによって、食糧輸入のもっとも必要な国がお金がなくて輸入できないとい
う現実があるのです。先進国に暮らす私たちは、自分たちの食卓にのぼる家畜
には穀物をどしどし与えるといった矛盾、いつまでも海外から安く農産物を輸
入できるのか?といったことについても考えてみる必要があります。
【じゃがいも〜遺伝子組み換え作物】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
★食糧安全保障作物としてのじゃがいも★
FAOによると、2001年の世界のじゃがいも生産量は3億8百万トンで、その
内日本は3百万トンを生産し、生産量は世界第17位でした。
じゃがいもの栽培特性は際だった安定性にあります。土質を選ばず、荒地でも
そこそこの収穫ができ、エネルギー固定効率の高いじゃがいもは、万が一、食
糧の輸入が大きく減少した場合の食糧安全保障作物になりえます。なお、現在
のじゃがいもの自給率は約80パーセントとなっていて、2011年度までに84
パーセントを目標にしています。また、輸入品の概ね4分の3がファストフー
ドなどで使用されている冷凍フライドポテトだといわれています。
★遺伝子組み換えのじゃがいも★
このように身近にある輸入じゃがいもですが、今から4年前に、日本では未承
認の遺伝子組み換えじゃがいも種がアメリカから輸入され、スナック菓子に使
用されていたという出来事がありました。ひょっとしたら、知らない内に未承
認の遺伝子組み換えじゃがいもを食べていたのかもしれません。ここでは、遺
伝子組み換えについて考えたいと思います。
★遺伝子組み換え技術とは?★
遺伝子組み換え技術とは、他の生物の遺伝子を導入する技術のことです。本来
その生物がもっていない遺伝子を入れることで、これまでは考えられなかった
新しい性質を、作物にもたせることが可能となります。たとえば、魚のヒラメ
がもつ血液を凍らせない蛋白質をつくる遺伝子を作物の中に入れて、寒さに強
い作物が開発されています。
★指摘されている問題点★
現在、遺伝子組み換え食品について、4つの点が問題になっています。
1つは、農家にとってメリットが少ないことです。除草剤耐性作物も殺虫性作
物も、農家の省力化・コストダウンを売り物に開発されてきましたが、現実に
は収量が低下し、農薬の使用量も減らないことが分かってきました。
2つ目は環境への影響で、生態系への影響が深刻になりつつあります。花粉の
飛散により、非遺伝子組み替え作物との交雑が起きることが有力視されていま
す。その他にも、殺虫毒素が地中に分泌されたり、ミツバチやテントウムシの
寿命が短縮化することが実験で示されました。
3つ目は、食品としての安全性に疑問を投げかける実験結果が出始めているこ
とです。1998年に英国で動物実験の結果が発表され、世界に波紋を投げかけま
した。ラットに殺虫性作物を食べさせつづけたところ、免疫細胞や内臓に異常
を引き起こしたというものでした。
4つ目は、輸出入時にチェックする方法が難しいので、世界中に遺伝子組み換
え作物が流通してしまう可能性があることです。
★身を守る方法★
食品表示が始まりましたが、農水省などの調査によると、遺伝子組み換え作物
を使用したり、混入していると明示した食品は皆無でした。輸入の実態と、あ
まりにもかけ離れた表示の現実は、表示制度そのものの欠陥を露呈したといっ
てよいでしょう。
私たちは、賢い消費者になって、私たち自身で身を守るしかないのです。その
方法の1つとして、生産者が明かにされている作物を選んで買うということが
あります。生産者が明らかに示されることにより、生産に対する責任の所在が
はっきりします。そのことにより、生産者側も今まで以上に安全な食物を生産
するようになると思います。
【コメ〜農薬と輸入米】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
★日本のコメ自給率★
日本というとコメの自給率は100%というイメージがあると思います。しかし
明治以降、コメの自給が確立されたのは1967年からなのです。それまではコ
メの不足分は台湾や朝鮮などから輸入して賄っていました。コメが自給できる
ようになったのも束の間、今度はコメが余るようになってしまい、米価の下落
を押さえるために1970年からはコメの生産調整が始まります。
国の減反政策によりコメを作っていた農家は別の作物に転換をしたり、農業を
やめたりしました。また第二次世界大戦直後、日本が食糧不足に陥っていたと
き、アメリカが自国の余剰小麦を援助してくれ、これが日本にパン食が広がる
きっかけとなりました。このような食生活の変化により、コメが以前に比べて
食べられなくなったというのもコメの生産調整が行われる理由の一つです。そ
の後、日本はコメの自給ができており生産調整までしているにも関わらず、ウ
ルグアイ・ラウンド協定調印、WTO発足に伴い、1995年以降コメを恒常的に
輸入するという矛盾した体制をとらなければならなくなりました。
★○○米という表示は本物?!★
「○○産コシヒカリ」とか「○○産あきたこまち」とかいう表示はルールに基づ
きなされています。産地銘柄名のコメが100%であれば書くことができます。
いくつかの銘柄を混合している場合は「○○ブレンド」と表示しなければなり
ません。またこれができるのも50%以上その銘柄が入っている場合のみです。
しかし米業者が混ぜてしまえば、小売業者もなかなか見分けをつけることが難
しく、たとえば90年代の初め頃、長野県産のコメが魚沼産コシヒカリとして
出回っていて問題になったという事件もありました。このような問題を避ける
ため、2001年にJAS法が改正され産地銘柄名の虚偽が判明した場合は、最高1
億円の罰金が科せられることとなりました。
★輸入米のゆくえ★
輸入米は加工食品や外食産業で需要が大きいです。このため日本のニーズにあ
ったコメをつくってビジネスを拡大しようとする動きも盛んです。輸入米とい
うと、まず思い浮かぶのは米粒が縦長のタイ米ですが、日本の商社と提携した
外国の農家で日本から種を持ち込んだ「あきたこまち」や「コシヒカリ」をつく
っていたりしている例もあるのです。こうして安く輸入したコメがレストラン
などで使われていて、メニューの低価格化に貢献しています。また加工食品で
いうと、冷凍ピラフや焼おにぎり、レトルトのおかゆや雑炊などで輸入米が使
われています。ビジネスとしては多少味の違う輸入米でも、加工すれば国産米
と区別がつかなくなるので、品種をかえるより簡単に、安い商品が提供できる
ようになるのです。こうした輸入米の需要は、生活スタイルの変化により外食
や中食(テイク・アウト、デリバリー)が増え、家事の外部化が進んでいる現
状を踏まえるとますます高まっていくのではないかと思われます。
★便利な生産手段・長い輸送手段の弊害★
日本では戦後の食糧難を解決するために、昔ながらの方法から農薬、化学肥料、
機械化に象徴される近代的で効率的なコメの生産へと大転換がなされました。
これによりそれまで農家を悩ませてきた過酷な労働などが軽くなり、生産性も
向上したことは確かです。しかし水田にいたホタルやトンボが姿を消し、農薬
と化学肥料が河川の汚染に拍車をかけ、また農家の人に中毒症状を起こしてし
まったりしました。このような過去を振り返り、効率性の追求から安全性の追
求へ低農薬の農業が実践されるようになりました。その一例として、1990年代
から除草剤の代わりに合鴨を水田に放し、雑草の除去と合鴨の糞の養分利用、
合鴨の飼育を目的とする合鴨農法などの有機農業が注目されています。
また輸入米は遠い場所から時間をかけて運ばれてくるために、収穫後に殺虫剤
や殺菌剤を混ぜ込むというポストハーベストが行われています。1993年、日本
のコメの凶作の後280万トンも輸入されたコメの一部からもポストハーベスト
と思われる残留農薬が検出されました。今までならば輸入中止になるほどの農
薬が残っていても、WTOによって大幅に国際基準がゆるめられたため、輸入
が許可されているのが現状でもあります。
【小麦〜食糧の安定供給】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
★私たちの食生活に欠かせない小麦★
米、とうもろこしとともに世界 3 大穀物の 1 つに数えられている小麦は、そ
の中でも世界で最も広く栽培されている作物です。小麦は世界の各地で生産さ
れており、主な生産地には、中国、インド、ロシア、アメリカ、フランスなど
があります。既によくご存知のとおり、小麦は古くから人々の食生活に欠かせ
ない存在であり、現在では、パン、パスタ、うどん、ラーメン、ピザなど、さ
まざまな料理として毎日の食卓を彩っています。
★小麦の生産事情★
このように私達の食生活は小麦に大きく依存していますが、その生産状況はど
のようになっているのでしょうか?ここでは、小麦の安定供給という視点に立
って、生産事情を中心に考えていきたいと思います。
小麦は保存や携帯性に優れていることから、世界中で広く貿易されています。
現在、小麦の生産量は約 6 億トンで、米をわずかに抑えて世界最大となって
います。また、食糧援助用としても、小麦は米や乳製品を抑えて最も多く利用
されています。世界食糧計画(WFP)の統計によると、2002 年に世界中で行
われた総計 878 万トンの食糧援助のうち、小麦と小麦粉が 374 万トンを占め
ており、食糧不足の国々に対する大きな食糧供給源となっています。こうした
数値からも明らかなように、地球規模での食糧問題に取り組む場合、小麦の果
たす役割は非常に大きく、その安定的な供給は重要な課題であると考えられま
す。
小麦の生産量を増やすための取り組みとして、これまで、品種改良によって干
ばつや病害虫に強い小麦を開発する試みがなされてきました。たとえば、さび
病と呼ばれる病害では年間に 2000 万トンもの小麦に被害が出ているとされ
ていますが、こうした研究を通じて、さび病に強い品種が開発されるなどの成
果を上げています。この他、大豆などと同様に、小麦においても遺伝子組み換
えによる改良が試みられていますが、現在のところは特に安全面でまだまだ議
論の余地を残しています。
近年では、従来の病害虫や干ばつによる被害に加えて、地球温暖化が小麦の生
産量に影響することが懸念されています。地球全体で温暖化が進むと、たとえ
ばアジアにおいて生産量が大きく低下する地域があるなど、全体的な小麦の生
産量が低下することが予想されます。また、地球温暖化は、農作物全体に大き
な被害を及ぼす大洪水や大干ばつの一因にもなっているため、地球規模での対
策が求められています。
★日本の小麦生産★
日本における小麦の自給率はどの程度か皆さんご存知でしょうか?日本は世界
でも有数の小麦消費国ですが、その自給率は実は 1 割程度しかなく、残りの
ほぼすべてをアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入に頼っています。
これほどまでに自給率が低い理由には、人口の増加、食生活の欧米化、米重視
の農業政策、気候的な要因などが考えられます。農林水産省の統計によると、
1960 年度から2001 年度の間に、小麦の国内生産量は 153 万トンから 70 万
トンに大きく減少しました。一方で食生活の欧米化が進むにつれて小麦の消費
量は増え、1 人当たりの年間消費量は 34kg から 41kg に増加しています。こ
れは、同期間に米の 1 人当たりの年間消費量が 126kg から 70kg に大きく
減少したのとは対照的です。小麦の消費量が増えているにもかかわらず生産量
が減っている原因の 1 つとして、日本では長年にわたって米の栽培が重点的
に保護され、小麦の生産が重視されなかったことが挙げられます。農家にとっ
ては小麦よりも米を栽培した方が、より多くの収入を安定して得ることができ
る状況となり、小麦の自給率が低下しました。
しかしながら近年では、自給率の低さが問題として指摘されており、米の需要
が低下している中、小麦などのその他の穀物の生産に力を入れることで全体的
な自給率を高める取り組みがなされています。
★食糧の安定的な確保のために★
小麦に限らずあらゆる食物を生産する上で、天候や地理的な条件が整っている
ことは不可欠です。そのため、ある地域では多くの食物を生産できる一方で、
別の地域ではどうしても食物の栽培ができず、外国からの輸入や食糧援助に頼
らざるを得ないという現実があります。
このような事情を前提とすると、食糧の安定的な確保のためには、全世界的な
視点に立って食糧問題に取り組むことが必要となります。世界の各地で異なる
作物を広く生産し、自然災害や病害虫に対するリスクを世界中で分散させると
ともに、国家間で情報を共有し、ある地域で自然災害や病害虫が発生したとき
に別の地域でそれに対して有効な対策が取れるように協力していく必要があり
ます。また、急速に増加する人口に対処するには限られた土地で効率的に作物
を栽培する必要があり、そのために作物の品種改良などの技術革新や有効な栽
培方法などの情報を広く共有することは重要です。
世界各地の人々に少しでも多くの食糧が行き届くようにするには、食糧は単な
る商業の手段ではなく生きていくための糧であるという認識の下、国や企業の
利益を超えたよりグローバルな視点に立って、地球規模で食糧の安定的な生産
に努めつつ、必要なところに食糧が供給できるように目指していくことが求め
られるのではないでしょうか。
【私たちの選択〜消費者として】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
日本人の主食であるコメでさえ、農業の効率化や輸入自由化により安全性を
疑わなければならないのがグローバリゼーションが進む現代社会です。国の管
理も重要ですが、それに頼りきることなく私たちが食べ物に存在するリスクを
知り、食べ物を選択する目をもつことが重要であるということがいえます。そ
の食べ物がどこでどう育てられ、どのような経緯をたどってきたのかを知るた
めのトレーサビリティーシステムも開発が進みつつあります。そういう情報を
得たときに判断するのは私たちです。
また、これまでも述べてきたように、グローバリゼーションの進展は、貧富の
格差を広げてきました。日本を始めとした先進国では、世界中から輸入された
さまざまな食べ物があふれ、世界各地の料理も手軽に楽しむことができます。
人々は飽食を当たり前のことと考え、日常的に食べ物を残したり、賞味期限が
切れた食べ物を大量に捨てたりしています。その捨てられた食べ物を作った人
は、十分な栄養をとれていないかもしれません。グローバリゼーションの進展
が強化している搾取体制そのものへの反省もこれからは必要になってくるでし
ょう。
これまで述べてきたような問題への対応として、「スローフード」という試み
が始まっています。一般的にはファストフードの反対として、調理や食べるこ
とにかける時間をゆっくりとることや、ただ単に有機栽培のものを食べること
だと誤解されていますが、本当はもっと深いところまで切りこむ思想です。
本来「スローフード」が提唱しているのは、ゆっくり食べるとか農薬をさける
とか、買う人・食べる人だけのことを考えることではなく、作り手の健康や環
境にも配慮し、大切に育てられた農作物を正当な価格で買い取るというフェア
トレードの考えも取り込んだものです。
現在の食をめぐる問題は、人間の生存の根幹に関わる食べ物までもが商品とし
て生産され、巨大アグリビジネスに支配されることによって起こっているとい
われます。このような問題を解決するためには、人間の生命や環境を保全して
いくという本来の農業のあり方に立ち戻ることが必要です。農薬や遺伝子組み
換え食品などは、消費者が「安さ」や、不自然なまでの甘さややわらかさとい
った「味」をもとめたことから発達してきたものです。消費者としての私たち
の日々の選択のつみかさねが、現状をいい方向にも悪い方向にも動かしていく
のです。
○○●●●●●○○○○○○●○○○○○●●●●●○○○●●●●●●
○●○○○○○●○○○○●○●○○○○●○○○○●○○●○○○○○
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○●○○○○○●○○●●●●●●●○○●○○○●○○○●○○○○○
○○●●●●●○○●○○○○○○○●○●○○○○●○○●●●●●●
【編集後記】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
食べ物をまじまじと眺めてしまう今日この頃です。(アツシ)
遺伝子組み換えといえば、「光るサル」!って今も生きてるのかな?(さちこ)
食品も安全性という付加価値がないと、売れなくなるのかな?(トリ)
食の安全難しい〜〜(ソノ)
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