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[Non Scroll No.90 国宝 風神雷神図屏風展(出光美術館)]

発行日: 2006/9/20


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Non Scroll No.90   2006年9月20日発行
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国宝 風神雷神図屏風展(出光美術館)
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東京の私立美術館のなかでコレクションが最も優れているところはどこか? 
この問いの答えとして、西洋ならば日本橋のブリヂストン美術館というのは衆
目の一致するところだろう。では、東洋はどこか? 私の答えは日比谷の出光
美術館である。両者がともに自動車関連企業の創業者のコレクションであるこ
とは何かの縁だろうか。

出光美術館が誇る名品のひとつが、酒井抱一(1761−1828)の風神雷
神図屏風である。抱一は尾形光琳(1658−1716)の弟子であり、江戸
において琳派を再興した人物である。この風神雷神図は俵屋宗達(桃山末−江
戸初)の風神雷神図の模作であるが、抱一の師匠にあたる光琳もまた、宗達の
風神雷神図を模作している。これまでに述べた3点の風神雷神図を時代順に並
べると、宗達作・光琳作・抱一作となる。宗達作(国宝・建仁寺所蔵・京都国
立博物館寄託)の模作が光琳作(重要文化財・東京国立博物館所蔵)と抱一作
(出光美術館所蔵)である。以上3双の屏風を展示するのが本展であり、3双
が一堂に会するのはじつに66年ぶりのことだという。

3双の屏風をじっくりと観察した感想は、次の一文に尽きる──イミテーショ
ンはオリジナルには及ばない。たしかに光琳作も抱一作も見事な作品である。
風神・雷神からは躍動感が感じられ、細部においても宗達作と酷似している。
だが、宗達作を見たあとでは、格が違うとしか感じられない。宗達作は保存状
態が悪く、色彩の鮮やかさの点において他2双に大きく劣る。だが、そのよう
な表層的な欠点は、この偉大な作品の前では無意味である。比喩的な表現をす
るなら、宗達は風神雷神図という作品において、芸術性というバーの遙か上を
越えていったのであり、それはまさに天才の所業というほかない。

琳派という語は「光琳派」を略したものであり、それは本阿弥光悦(1558
−1637)から宗達を経て光琳によって完成された画風である。つまり、光
悦・宗達・光琳らの画風は光琳の名によって代表されているわけである。だが
宗達と並べられては光琳も形無しである。宗達作の風神雷神図の前では光琳作
は単なる引き立て役でしかない。抱一作については言わずもがなである。

周知の事実であるが、宗達作の風神雷神図は無款である。つまり、この屏風の
何処にもこれが宗達の作品であるとは記されていない。だが、この屏風を一目
見れば、これが宗達の手によるものであることは即座に理解できる。光琳を遙
かに凌駕する風神雷神図を描くことのできる人物、それは宗達をおいて他には
いない。

かなり混雑する展覧会であるが、是非とも、人混みをかき分けて最前列から風
神雷神図と向かい合うことをお薦めする。そうすれば天才俵屋宗達の神髄に触
れられるはずである。(T)

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【国宝 風神雷神図屏風展】
会場:出光美術館(東京)
会期:9月9日(土)〜10月1日(日)
休館日:会期中無休
開館時間:午前10時〜午後7時(会期中の開館時間)
料金:一般1000円、学生700円
アクセス:JR有楽町駅より徒歩5分、東京メトロ日比谷駅より徒歩5分
公式サイト:http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/index.html

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