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CFP(R)の独り言 第546号

発行日: 2006/6/25

----------------------------CFP(R)の独り言-------------------------

第546号  信託で変わる遺贈の世界
  
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相続発生後にもめないために遺言を遺しておく、非常にポピュラーな方法
であり、これによって無用なトラブルを回避できた例も非常に多いのでは
ないでしょうか。

とはいえ「遺言」が絶対唯一無二の存在というわけではなく、その内容に
不服を持つ相続人が改めて遺産分割協議を申し出るケースもあります。被
相続人は雲の上からこの様子を苦々しく眺めていることも少なくないでし
ょう。

と人間の欲望が最も醜い形で噴出しやすい相続の世界ですが、ここに新た
な楔が打ち込まれようとしています。それが信託法改正※による「受益者
連続型信託」の導入です。初めて聞かれる方も多いと思いますが、今日は
これをテーマとして取り上げます。

※改正案は先日終了した国会では成立しませんでした。今秋の国会で継続
 審議の予定です。
 
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相続と信託というと一般的には「遺言信託」がよく知られています。相続
発生後の遺産分割問題を避けるため、遺言書をつくるという点では同じで
も、その作成・保管、執行業務をプロフェッショナルな集団が引き受けて
くれるのは非常に心強く、活用例も広がっています。最近は資産の多様化
・国際化が広がっており、海外に不動産を保有している、或いは海外企業
の株式を保有しているケースも珍しくなく、そうした資産をどう評価し、
どう分割するか、これは一弁護士、一税理士が容易に判断できないもので
す。さらにオーナー社長ともなると、事業承継という部分も絡みますから、
遺言信託活用のメリットはさらに大きくなります。

さて新しく導入される「受益者連続型信託」ですが、「遺言信託の亜種」
というものではありません。むしろ遺贈の世界、さらには民法の世界を根
底から変えるほどの画期的な制度です。どういう制度かを例を挙げて説明
しましょう。

[被相続人(遺贈者)の思い]
 ある財産をAという法定相続人(例:配偶者)に相続させたい(遺贈したい) 。
 もしAが死んだらBという法定相続人(例:長男)に相続させたい(遺贈し
 たい) 。さらにBが死んだらCに(例:長男の子)に相続させたい(遺贈し
 たい) 。

このような思いを抱くのはレアケースではありません。不動産のように法
定相続を繰り返した挙句、共有者多数のどうにもならない土地がどんどん
増えていますから、これを回避するためにも単独名義のまま引き継がれて
欲しいでしょう。ただし現在の民法ではこのような趣旨の遺言書を作成し
てもダメです。ところが、信託というスキームを活用するとこれが可能に
なる、そしてそれを可能にするのが導入予定の「受益者連続型信託」なの
です。

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信託というのは、委託者、受託者、受益者の3者で成り立っています。そ
して委託者=受託者となる自益信託が多用されています。ある財産を信託
銀行に託し、その財産を運用して得られた収益を(信託受益権を有する)
受益者が受け取る、これがその典型的なパターンです。

受益者連続型信託は、この信託受益権の遺贈先を上記の[思い]の通り定め
られる制度で、妻 ⇒ 子 ⇒ 孫 というような指定も勿論可能です。

この制度が導入されれば、今までの民法では解決できなかった問題が解決
します。例えば法定相続人ではない人の取り扱いについて。具体的には長
男の嫁や内縁関係にある人等。もしも自分が病身の身になった後でこれら
の人たちが甲斐甲斐しく看病してくれた場合に報いることもできます。普
通であれば、このような非法定相続人への遺贈は、法定相続人から猛烈な
反対が起きるでしょうから、まず行われません。その理由は、完全に遺贈
者の財産に帰属するイコール自分たちの取り分が減ることにあります。

ところが受益者連続型信託を使って、内縁関係の人 ⇒ (死別した妻との
間にできた)長男 ⇒ 長男の子 という指定をしておけば、反対の理由も
弱まります。むしろ他の法定相続人との分割協議をしなくてもよくなるの
で、賛成されやすくなることも考えられます。

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以上のように受益者連続型信託は今までの相続・遺贈の世界に楔を打ち込む
制度です。この制度の導入が正式に決まれば、相続・遺贈の世界も間違いな
く変わるでしょう。とはいえ根幹の部分を著しく変えるものではなく、補完
的役割として用いるのが正しいと思います。興味のある方は一度研究されて
みてはいかがでしょうか。

---------------------------------------------------------(以下次号)

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-CFP(R)を目指される方への1問1答(○か×かを考えてみてください。)-

以下の設問はいずれも平成18年3月末時点のものです。

Q1.信託財産の総額は約653兆円に達し、対前年度同月比で約127兆円増加し
  た。

Q2.資産管理型信託、資産流動化型信託、いずれの信託財産額も対前年度同
  月比で大幅増となったが、より増加率が高かったのは後者である。

Q3.資産運用型信託の信託財産額は対前年度同月比で微減した。

Q4.資産流動化型信託の内訳を見ると、金銭債権の信託と不動産の信託の2
  つで全体の95%以上を占めている。

-----------------------------前回の解答----------------------------

Q1.正しい。

Q2.正しい。

Q3.誤り。最後の2年分である。

Q4.正しい。

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CFP(R)は、CFPボードの登録商標で、ライセンス契約の下にNPO法人日本FP
協会が使用を認めています。

次号は平成18年(2006年)6月25日に発行する予定です。

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