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[ 素顔のアジア アフガニスタンの青空と涙(4) ]

発行日時: 2005/12/26


■ 「素顔のアジア」は旅フォトグラファー・三井昌志が2001年から2005年にかけて旅したアジア各国の表情を綴る写真付き旅行記です。初めての方は、まずホームページをご覧下さい

■ 現在三井は東南アジアを旅しています。最新の旅の様子はBlog「旅空日記」で更新中です。


 僕は合計四日間バーミヤンに滞在したけれど、一日中青空が広がっていたのはわずか一日だけだった。それ以外の日には、晴天から一転して分厚い雲が空を覆ったり、土煙をもうもうと舞い上がらせるつむじ風が吹き荒れたりした。僕は普段コンタクトレンズを使っているので、この突風には特に閉口した。

 「強烈な日差し」と「乾燥した空気」と「強い風」というバーミヤン三点セットは、言うまでもなく肌にとって大敵である。ただ日に焼けるだけではなく、頬や唇などの水分が奪われてかさかさに荒れてしまうのだ。日焼け止めとリップクリームは必ず携帯すること――もし「バーミヤンへの遠足のしおり」というものがあれば、第一項目に必ずそう書き記しておくところだけど、そんな情報を持たずに行った僕は、かなりひどい目に遭ったのだった。

 アフガニスタンの女性がチャドルやブルカといった被り物で顔を隠すのも、男性が頭に長いターバンを巻き付けているのも、強い日差しと砂埃を避けるためなのだということを、僕はこの土地を歩き回ることによって初めて実感した。


 イスラムという宗教が砂漠で生まれ、日差しが強く乾燥した国々で受け入れられていったことと、ムスリム女性が顔を隠して歩くことは、おそらく無関係ではないだろう。外部から見れば理不尽なようにも見える風習も、その土地に根ざした合理性があるのだと思う。

 しかし、頭からつま先まで全身をすっぽりと覆ってしまうブルカは、アフガン人の間でも評判が良くなかった。特に英語を話すことができる進歩的な考えを持つ人の多くは、「ブルカは女性を縛りつける醜いものだ」と断言した。ブルカというものは、もともとイスラムの習慣などではなく、一地方の風俗に過ぎなかったのだが、それをタリバン政権が国民全員に強制したのだ、と彼らは主張した。とりわけタリバン政権によって迫害を受けていた少数民族のハザラ人やタジク人達にとって、ブルカが「抑圧のシンボル」であったのは確かなようだ。

 今ではブルカを被るのも被らないのも、個人の裁量に任されている。地方によっても違うのだが、ブルカを被っている女性の割合は、だいたい半分弱というところだった。特に首都カブールでは「非ブルカ率」が高かった。ブルカを脱ぐ女性の数は、おそらく今後もっと増えるだろう。

 それでも、バーミヤンの青空の下で見るブルカは、抑圧のシンボルであることを越えた美しさがあった。吹きつける強い風にたなびく青いブルカは、まるで大きく羽ばたく鳥のように見えた。三六〇度どこを見渡しても乾いた土の色しかない土地にあって、その鮮やかなスカイブルーは一瞬にして僕の網膜に焼き付いたまま、いつまでも離れなかった。





 9月28日に発売になった写文集「素顔のアジア」には、現在更新中のアフガニスタン旅行記のほか、インドネシア、アフガニスタン、ネパールの旅行記と写真が収録されています。
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 31歳になりました 12/23

  カンボジアのシェムリアップで31回目の誕生日を迎えた三井です。サーティーワンです。
 去年、ベトナムのチャウドックで30歳になったときには、それなりの感慨があったし、「この先の10年をどのように生きようか?」と将来に思いを馳せたりしたのですが、31の誕生日はそういうこともなく、淡々と過ぎていきました。 (→続きを読む)




 1974年、京都市生まれ。旅フォトグラファー・フリーライター。機械メーカーでエンジニアとして2年間働いた後退社し、2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅に出る。
 帰国後立ち上げたホームページ「たびそら」が「@niftyホームページグランプリ2002」で準グランプリを受賞。2003年12月に初の写真集「アジアの瞳」を出版。
 2004年1月から6月に再びアジア(カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、アフガニスタン)を旅する。2005年には東南アジアと津波後のインドネシア・スリランカを旅し、3月に帰国した。
 2005年9月には2冊目の著作「素顔のアジア」を出版。 (→更に詳しく)



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