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猫のおきてVol.119「青梅猫土偶その2・金毘羅山から博物館へ」

発行日: 2005/4/12

  猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。などなど、どう
いうわけでだか猫たちが決まってする行動の数々。このメールマガジンでは、そんな愛ら
しくも不可解な行動、習性を「猫のおきて」と呼び、それにまつわるあれやこれやについ
て大まぢめかつ勝手気ままに考察してまいります。筆者の飼い猫、黒猫の「ち」の、思わ
ず失笑しそうに油断しきった日常も、覗いていただけます。

 さて「青梅猫土偶探索」の第2回。地道な探索ですがお付き合い下さいませ。
 そういえば先日、青梅出身の方と一緒にお仕事をしましたが「猫土偶」はご存知じゃあ
りませんでした。うーむ、どうなの猫土偶。

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 猫のおきて 第119号 番外ならぬ「野外」編

  短期連載・青梅に「猫土偶」を探して・その2 〜
         金毘羅山から図書館、博物館へ。空腹を抱えて

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 3月中旬のとある日曜、私は「青梅の猫土偶」探索行に出かけた。目的地は東京西部、
多摩地区、青梅駅裏の金毘羅山上の「金毘羅神社」、その近くの青梅市立中央図書館と、
必要があれば郷土博物館。さらに足を伸ばして吉野梅郷の背後の山の「琴平神社」である。
 全部回るなら早朝に出るべきではあったが、本来レクリエーションの「猫おき」活動の
ために、歯を食いしばって早起きする気もなかった私が青梅に着いたのは十時過ぎである。

  目指す金毘羅山は、駅のすぐ裏にこんもりと見えた。丘程度ながら、一気に立ち上がっ
ているので、登りは急。そんな道を十分ほど歩くと頂きに至る石段があり、金毘羅神社は
その上にあった。銅葺きに緑青がついて緑色になった屋根のこぢんまりとした社殿、その
前に同じく緑色になった天水桶が一対ある他は何もなく、がらんとした印象。近づくと軒
下に「金毘羅宮」の扁額、正面は閉めきられていて、中を伺うことはできない。
 もし社殿の中に「供えられて」いるのだとしたらどうにもならないな、と思いつつ、左
側をめぐって社殿の裏に回る。と、そこに資料で読んでいた「石造の亀を台座にした七星
権現と十二方角名所碑」が。近くには紅梅や沈丁花などの花木も植えられ、社殿の正面よ
り裏のほうが幾分かは愛想が良い景色である。
 裏を通ってぐるりと社殿の右側に回ると、昔の道標ほどの大きさの石柱や石板が幾つも
立てかけられている。「立っている」のではなく資材置き場のように「置いてある」のだ。
 何か曰くありげではあるが、でも「土」ではなく「石」ものだしなあ。境内には教育委
員会による「十二方角碑」の説明板はあったが、この神社自体の説明はなく、ここでそれ
以上の手がかりは望めなさそうだと思い、図書館に向かうことにした。

 しかし図書館でも、捗々しい成果は得られない。かろうじて見つけたのは昭和16年刊
「?梅?土誌」(平成6年復刻)の「社寺」の項、「琴平神社 大社 小學校裏山金毘羅
山上にあり。江戸時代末の創建」云々という箇所だけであった。
 こちらでは「金毘羅」ではなく「琴平」となっている。ここでも例の「方角碑」へは言
及しているが、猫土偶のことなど一言も書かれていない。そして、同書には、吉野梅郷の
ほうの琴平神社のことは出ていない。まあ、この本のエリア外ということもあろうが。
 ここで私はフト迷う。やっぱり土偶って言ったら文化財なんだから、昔はともかく今は
もう神社に供えられていたりせず、どこかに保管されているのか。だとしたら郷土博物館
あたりが順当か。
 ――などと考えているうちに、気づけばもう昼過ぎ。空腹でもあるし、本来ならどこか
でビールとご当地名物といきたいが、私は昼食を抜いて、郷土博物館に回ることにした。
昼抜きなんて、レクリエーションとは言えない有様である。

 私は「腹減った……」とつぶやきながら、てくてく歩いて多摩川にかかる橋を渡り、郷
土博物館へ向かった。上流部の多摩川は、小石が並ぶ河床をくねくねと蛇行しながらさら
さらと流れている。橋の向こう、その蛇行のカーブが大きく、川に突き出したような土地
に茅葺き屋根の古民家が見え、のどかで気持ちの良い景色だ。郷土博物館はその隣である。
 入り口で貰ったパンフレットには「民具類や古文書、遺跡から発掘された考古資料等が
収蔵、展示」とあり、期待は高まる。他に目をくれず、目指す「土偶」関連の一角に足早
に向かったが、「甕」だの「鉢」だの器ばかりで、猫はおろか動物や人間型の土偶はない。
 そんな私の妙な動きを見咎めたのか、職員の方に「何かお探しですか?」と声をかけら
れた。「ええ、猫土偶を」と言のうは何となく憚られ、「埋蔵文化財の展示はあちらだけ
ですか?」と甕や鉢のほうを指しながら尋ねると、「ああ、埋蔵系専門の」と妙に納得し
たように頷かれてしまい、「いや考古マニアではなく猫たわけなんですけれども」と申し
開きしたくなったが、そんなことをしたら時間をくい、さらに不審がられるだけである。
  職員の方によれば「出土品を集めた企画展が先日ありましたが、今は出ているだけです」
とのこと。私は思わず勢い込んで「そのときの展示リストはありませんか?」と尋ねてし
まい、ますます考古マニア以外の何者にも見えなくなっていく自分自身を持て余したが、
答えは「無いんですよねえ」と素気無いものであった。

 こうなったらもう、「吉野梅郷の背後の山」の神社に行くしかない。私は「腹減った…
…」とつぶやきつつ、梅郷に向うバス停を目指した。(次号に続く)

*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

●青梅探索行は全4回とお知らせしましたが、あまりに長いので次号3号で完結に。ちょ
っと飽きてきたので、通常より早く配信するかもしれません。

●明日13日までには今回の探索行の画像を「サイト版」にアップ予定。 
http://homepage2.nifty.com/bon-neko/
から、どうぞご覧ください。

●猫の埋蔵文化財といえば、去年キプロスで、人間の墓の近くに埋葬された猫が発見され、
それは今まで考えられていた猫飼育の歴史の起源よりも随分古い時代の遺物であるとか。
  その話題もいずれ取り上げたいのですが、キプロスだと、現地探訪費用は青梅とは比べ
物になりません。捻出する自信は、限りなく低いです……。

●アンケートは今回もお休み。猫についての埋蔵文化財や、キプロスについての情報は、
どうぞメールにてお寄せ下さいませ。

===================================
「猫のおきて」(Vol.119)2005年4月12日発行
【著者・発行者】    馨歩
【E-MAIL】  bon-neko@mbi.nifty.com
【サイト「盆猫」】 http://homepage2.nifty.com/bon-neko/

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■「猫のおきて」に掲載されている内容は、ご家族、ご友人などまわりの皆さんにどんど
んお広め下さい。その場合「『猫のおきて』で読んだんだけどさ」と言っていただけると
嬉しいです。転載などなさる場合もお知らせいただけると嬉しいです。
―――――――記事内容の全ての著作権は著者・馨歩に帰属します―――――
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