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東京下町の地域情報サイト「下町探偵団」で見つけたとっておき情報、下町に住んで感じたことを、江東区、中央区、台東区、墨田区を中心にエッセイ形式で紹介しています。




メルマガ下町探偵団112

発行日: 2003/12/6

       vol.112/2003.12.6発行
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  ■■  メルマガ下町探偵団
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東京下町の地域情報サイト「下町探偵団」で見つけたとっておき情報、
下町に住んで感じたことを、
江東区、中央区、台東区、墨田区を中心にエッセイ形式で紹介しています。

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01:ベーゴマで遊びませんか
02:下町の顔
03:下町探偵団今月のおすすめコーナー
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 ★☆  01  ベーゴマで遊びませんか  ★☆
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■森下児童館・森下公園
日  時:毎週土曜日 
時  間:PM2:00〜4:00 
場  所:第1土曜日    :森下児童館(東京都江東区森下3-14-6) 
        第1以外の土曜日 :森下公園(東京都江東区森下2-5) 
 
■サンストリート(亀戸) 
日  時:毎月第3日曜日 
時  間:AM11:00〜PM4:00 
場  所:サンストリート(東京都江東区亀戸6-31-1) 
URL:http://www.sunstreet.co.jp/ 


ベーゴマやって遊んでいます。やってみたい方、集まってください。
ベーゴマ持ってなくても大丈夫。差し上げます(余裕がある限りね)。
ベーゴマやった事がなくても大丈夫。お教えします。
※森下公園で開催の場合、雨天中止です

地図はこちら↓
http://www.shitamachi.net/beigoma/

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 ★☆  02  下町の顔 第16回  ★☆
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■江戸の粋を今に伝える■ 
新川工業株式会社 代表取締役   山口 政五郎さん

<プロフィール>
昭和6年、霊岸島濱町(現在の中央区新川)に、
濱町抱鳶頭・山口重次郎の長男として生まれる。
昭和19年、14歳で鳶の世界に入る。
平成5年、労働省の「現在の名工」100人の1人として卓越技能賞受賞。
平成6年、黄綬褒章受章。


『"半纏に股引、腹掛けに草履履き"祭りの正装にも見えるこのファッションは、
鳶の者が祭りにかかわってきた名残です』という記事が、
サライ1998年正月号に掲載されていました。
下町には鳶という言葉が良く似合います。
その鳶頭(かしら)である山口政五郎さんのお宅へ、大きく一つ深呼吸をして、
ちょっと背筋を伸ばして訪問しました。
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1.鳶頭がきてくれたと町内の人が喜んでくれれば……
 
★「鳶」という職業をまずお聞きしたいのですが?
鳶そのものは大きく分けて二つありますね。
一つは江戸時代からずっと続いている我々みたいな町鳶。
江戸市中で町火消しをやりながら鳶をしてきたということですね。
明治以降ゼネコンさんの下請けをしている専属鳶というのがあります。
我々の中では、野丁場と言い分けてますが、その二つですね。

★町鳶というのは、
江戸時代から町民の世話を焼いてきた人たちときいてますが?
徳川家康が入府なされた時江戸は荒野なわけですよ。
で、家康が江戸の町作りに入るわけだよね。
建設関係が道路を作ったり家を作ったりね。
地方から出稼ぎに来た人が根付いていく。かなり街並が整ってくる。
火災が発生する。火災が発生すれば消すものがいる。
幕府としては武家屋敷、神社仏閣は消すけど町方は消さないわけ。
それでいよいよ8代将軍になってから町火消しが登場してくるんですね。
町内で自衛消防を作れってね。店火消、そして町火消を作れってね。
誰がいいかということになって、
そうだ町内では鳶のものが親分子分で統制取れているし、
高いところは慣れているし建物のことは良く知っているから、
あいつらに任せればいいって、鳶の親方が呼ばれて。
そうして『いろは48組』が出てくるわけ。
平常時は町の仕事をやっていて火急の場合に火消に早代わりというのが
町火消しなんだよね。
火消しだけでなく、町内の横のつながりも強いから、
例えば冠婚葬祭があれば「親方!」って頼りにされる。
嫁取りなんかもね、どうだろう?って相談されればね、
その嫁さんになる人の住んでいる町内の頭んとこ行って聴いてくる。
大店の旦那さんの枕元までも入っていかれる。
店半纏もらって、店の者扱いになってしまう。

★そんなところまで。う〜ん。すごいですね。
そんなわけでね。町の全般的な使い走りをしているのが鳶で、
その中でお祭りでありお正月の門松があるんですよ。
年中行事に鳶は欠かせない。
今だって学校の運動会があれば校長先生に頼まれて、
テントや幕を張ってますよ。
我々は町の人たちを旦那って呼ぶ。そのくらい一歩下がっている。
えこひいきはしない。
ここんとこ間違うといけないんだけど、「頭が仕切ってる」って時々聞くけど、
違うんだよね。あくまでも旦那衆が基本。私らが仕切っているわけではない。
ただ、お祭りが近づくと道具を調べて神輿を飾るお仮屋を作って、
祭りが終わると、我々がしまってね。
この次に使う提灯が傷んでいればそれを新しいものにかえて、
次の祭りに万全にしておく。でも予算の関係もあるし、
今は町会の人が来てやってる町もあるよね。時代だね。
町鳶も町に住んでいられないわけもあるのよ。開発になってね。
私ら表通りはいらない。路地の奥でいい。
ここいらも開発の波に洗われているしね。
でも町鳶は町にいなければいけないでしょ。大変なのよ(笑)。
我々は町内にいなければ首がないのも一緒。
何かあるとき役に立とうとすれば若い衆をそばに置いておかなければいけない。
笛を吹けば若い衆が集まるようになっている。
この辺り都心で若い衆住まわせるワンルームマンションは高いのよ。
でも町鳶の粋。だけど私は町内の人にはそんな事は言わないから、
町内の人はわからないと思うのね。
ただ面白おかしく住んでいるんだと思うかもしれないけど、
そういうことがあるんだよね。余計なことだけどもね。
 
★目に見えない縁の下の力持ち的な部分があるのですね。
こっちの個人的なものなんだよね。地域で要望はしていない。
町のためにったって、
警察がいて消防がいるから関係ないよって言われればそれまでなんだけどね。

★天皇陛下から黄綬褒章を貰われたそうですね。その辺りの話を。
30代の頃にね。いつまでも地べたにはいつくばっていてもしょうないから、
鳶の社会的地位を向上しようって。
鳶とか大工の職人は戦前は税金がなかった。
学者の人たちも勘違いしている。
町民というのは大通り筋で商いをやっている税金を払っている人。
武家と町人は人間でその下の職人はそれはもう勘定に入っていない。
それでずっと来ている。
そこで地位向上をしなければいけないということで
組合活動が始まってくるわけ。江戸鳶職組合から鳶工業会。
それを全国に呼びかけて連合会になってね。
それで30歳のときから組合活動に入って、
鳶の専門校作ったりしてもうかれこれ40年くらいやっている。
だからその社会的な貢献でね貰ったわけ。

★鳶をやっていて一番印象に残っていることってなんですか?
こっちの10の想いが1つだけでも伝わったときは嬉しいね。
ああ鳶頭が早く来てくれた、良かったなってことがあれば
こっちはいろいろなことで生きがいを感じるんだよ。
そんなことが町鳶としての使命なんだよね。

★町の人が喜んでくれる、ということが一番嬉しいことですね。

2.黒子の立場で

★お祭りなんか各町会のこだわりがあるでしょうね。
その辺りどう調整していくのですか?
お祭りの仕事は「やって合わず、やらして合わず」なんだよ。
やる方だってかかっただけ貰うわけじゃない。
町会でもって寄付が決まっていて上限があるわけで、
鳶頭のほうにはこれだけしかあげられないよってね。
たとえば100万もらっても150万に見えるように作る。
町会のほうは予算でやってくる。寄付はある程度決まっているでしょ。
鳶には2割なら2割と。だから1000万集まったね、じゃ200万ください。
若い頃からね。そのバランス。パーセンテージ。
 
★この次はいくらとか?
いやいやこの次は当てにならない。三年後だから(笑)。
町会長が「鳶頭、この次は予算出しますから」って。
あのね、ここにも少し誤解があるんだよね。
町内の鳶頭を頼まなければいけない、
うちのほうも地域の行事だから協力しなければいけない、
でも商売だから貰うものは貰わなければいけない。
私らが寄付したらいけないわけじゃないですか。
結局ね、言葉遣いの悪いところがある。ここは鳶頭が仕切っている。
とんでもない。仕切ってなんかいない。
お祭りをするにあたってわれわれは黒子なんだよね。お仮屋を造って準備する。
暗黙のうちの警備というものがある。旦那衆の下でわれわれがお手伝い。
悪いやつがくれば我々のほうで排除する。
皆さんが楽しくお祭りができるような環境作りをする。
うん。それでいいんだよ。
それがしっかりしている所か、していない所かの違いなんだよな。

★富岡八幡宮のお祭りなんですが、江東区のほうから見ると
中央区の新川、箱崎だけポコッと氏子さんがあるような感じですよね。
どうしてですか?
関東大震災までは、
現在の新川二丁目は永代橋の西詰でそこが富岡八幡宮の宮元だったんですよ。
『大川端』という町会だった。
まあ要するに江戸初期、八幡様の由来にもあるように深川は浅瀬だった。
家は無かったけど州はあった。
そこにお参りに行くにはここから船で行かなければ行けない。お宮に行く出発点。
だから江戸時代からずっと震災までは新川は宮元という提灯をつけていた。
私たち子供の自分は、ここから船に乗っかってお囃子付けて、
隅田川を乗り切って深濱まで入っていって、そこから神輿を担いでお宮行って、
御霊入れてもらって帰りは永代橋を渡って帰ってくるんだけどね。
だから古式で言えば、船でなければいかれないという儀式があった。
橋がないという想定でね。深川は州なんだよね。
ここから行かなきゃいけないんだよ本当は。
それを言うと下を向いてしまう人多いけどね(笑)。

3.義理と人情とやせ我慢

★今と昔では新川は違いますか?
ここは中央区のはずれなんだよね。
中央区は大通り筋だけが商人。日本橋、京橋、銀座とね。
この新川辺りの土地に住む者は
酒問屋が七割で他は兜町の人たちが遊んだ料亭と花柳界ですよ。
残りがいくらでもない大工や魚屋や八百屋。それが戦前の形でしたね。
江戸八百八町と俗と言うけど、
広い江戸の街には『代地』という町内があるんですよ。どこそこの代地とね。
火事があるとたくさんの家が燃えてしまう。
建て替える間、みんなでこっちに来ている。
2年くらいでその町がまた復興するんだけど、
こちらにいるときは何々代地と言って、
それまで住んでいたところの名称がくるんだよね。
江戸時代から大店は必ず代地を持っていたよね。
おそらく霊巖島浜町だって向こうの浜町とつながりがあるわけ。
今の江戸橋の郵便局、あそこの後ろは四日市。
四日市は新川にもあったんだよね、昔。
でも災害があるたびに所有権がない人たちはいなくなっちゃうよね。

★人情なんかはどうですか。薄れてきましたか?
長屋ってさぁ、学者の先生なんかは楽しかったって言うけど、
楽しいわけないって言うの。
みんな和気あいあいしてるって言うけど、
壁一つで、便所なんて共同で一つ。しかも外にね。楽しいわけない。不自由。
ただね、私たちの家業は三代付き合う。
ご隠居、当代、せがれ、お孫。全部つなぐ。
そんでも、町内のしがらみってなくなっちゃったね。
しょうゆがなければ隣に行けばあるってね。そんな時代もあったのにね。
我々につながっているのは、義理と人情とやせ我慢っていうのが残っているね。
だけど今は義理と人情はいいけどやせ我慢ができない時代になっている。
義理は冠婚葬祭があって3万もらえば3万返して、
あるいは体で手伝えば義理が返せる。義理と人情は思いやりで何とかできる。
でもやせ我慢ができない時代になっている。
俺が病気になったとき仲間が10万もって来てくれたけど
あいつに10万の金があるわけがない。
きっと女房質に入れて、
あるいは何かごまかして持ってきてくれたんじゃないかという
やせ我慢があるわけ。
それを今度はこっちがあいつに何かあったら返さなければいけない。
そういうことね。
金を貸してくれって言われた時、明日の手形落とす時の金はあるが、
あいつに金を貸して俺が不渡り出すか……でもそれが今できない。
うちも金がいるからって。
だからオヤジが友達は持つな持つなって言ったの。
友達を持ったら裏切れないぞって。
あとね、出たものは返ってこないと思えって。これは鉄則。
それを友達と借用書だの担保だの連帯保証人だのって。
これだったら銀行でしょ。
消防精神なんだよね。今、生コンを出して型枠に入れなければいけない。
そこで火事が起きたら、
このコンクリート駄目にしても火事場に行かなければいけない。
それが一つの我慢。だから戦争中のうちのオヤジがそう。
八丁堀の火を消せって。オヤジは行ってくるぞって。
こっちだって焼夷弾落ちてるのに、
てめえのうちが焼けているのに人のうちの火事消しに行ってくるぞって。
そういうのがね、消防精神。大事なんだけどね。
今の俺んちだって、せがれに言ったってなかなか理解はしにくいよ。
「江戸の鳶、己を殺して公につくす」ってやつだよ。

★では最後の座右の銘を。
今さっき言ったように「今、今、今」なんだよね。
今日が過ぎれば明日は何とかなる。
かっこよく言えば人の世は義理と人情とやせ我慢って言っているけどね、
本当はそんなことはかっこだけになる。
実際にはがまんはできないない時もある。これってことはないけどね。

――――――――――――
大きな時代の流れを、『鳶』という仕事面から切り取って、
それを巻物にして流してみせて戴いたような感覚が残りました。
灯明のついた神棚には、火消しで亡くなられた方の霊が供養されていました。
江戸町火消しの纏が書かれた大きな屏風を背にして座られている山口さん。
その脇の鴨居には粋な半纏がピシッと形よく衣文掛けに吊るされてありました。
緊張の取材でしたが、はしばしの江戸言葉や、
上に立たれる方がかもし出される大様さに、なぜか自然に包まれていって、
いつの間にか緊張感が安堵感に変わっていました。
山口さんは小さな頃、
お父さんのご趣味でちょんまげを結わえさせられていらっしゃいました。
もちろん他の子と違いましたが、全然恥ずかしくなかったそうです。
くりくりした目のちょんまげの子どもが棒切れを持って
下町の路地を飛び跳ねている……
当時の下町の物音までが偲ばれそうな取材でした。

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 ★☆  03  下町探偵団今週のおすすめコーナー  ★☆
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   発行責任者 下町探偵団 鈴木祥元
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