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[BoutReview EXp: 024] 修斗王者・五味隆典インタビュー(前編)

発行日時: 2003/2/9

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■■□■ BoutReview EXpress Vol. 024 (Sun, 9 Dec. 2003) ■□■■
           http://www.boutreview.com/
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● 2月23日(日)プロ修斗後楽園ホール大会に出場決定!
 【修斗ウェルター級王者・五味隆典インタビュー】(前編)
             by 井原芳徳(BoutReveiw編集部) 
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 昨年12月に修斗ウェルター級王座防衛に成功した、五味隆典のインタビュー
を2通に分けてお届けする。
 この原稿は当初は前の号で公開する予定で、その前日には発行のスタンバ
イがほぼできていた。しかしその日K-1ワールドMAXの記者会見で五味にK-1
出場オファーが出されていることが発表され、急停車がかかった。インタ
ビューは主に五味の2003年の試合のスケジュールに的を絞った内容だったた
め、K-1出場となれば予定が大幅に変わる。そうなれば五味に再度話を聞い
て、内容を全面改訂しないといけない。
 だが先日発表されたとおり、五味は結局K-1には出場せず、修斗ライト級
の阿部裕幸に席を譲る格好となった。結局五味は23日のプロ修斗後楽園ホー
ル大会にだけ出場するという元の話に戻り、心配は杞憂に終った。
 今回のインタビューでのK-1の話題は1月中旬時点での物で、今となれば
内容は古びてしまっている。しかしK-1の話題はほんの一部で、それ以外の
ほとんどを占める三島戦の総括、修斗ウェルター級戦線、海外進出、“兄弟”
須藤元気との交流、マスコミとの付き合い方といった話題は、今読んでも全
く遜色がない。また、五味のマネージャーの塚本氏からも今年のスケジュー
ルについて「特に変更はない」と確認が取れたので、1月時点でまとめた内
容のままお届けすることにした。K-1の話題は、後日改めてお届けすること
になると思う。日本の軽量級総合格闘技のチャンピオンとして、ついに海外
メジャー進出をはかる五味の言葉を、熱の冷めないうちにEXpressしたい。


■もう「今年はトップアスリートとやれる」という方向に気持ちが行ってる

−−(インタビューをする喫茶店の椅子に座り)注文はどうしますか?
五味「オレンジジュースで。コーヒーだと酔っちゃうんですよ」
−−12月の試合の後も食事は摂生してるんですか?
五味「早い時期に試合が決まるかもしれないんで。本当は1月いっぱいは遊
びたいですね。」
(※このインタビュー直後、2月23日の修斗後楽園大会の出場が決定)
−−12月の試合から1ヶ月が過ぎましたね。
五味「この世界、試合の終った後の方が大変なんで。お世話になった方にお
礼をしたり。」
−−今後のこともあるのですが、まずはその12月の三島★ド根性ノ助戦を振
り返えらせていただけますか? 三島戦は、去年の他の試合と雰囲気や内容
がだいぶ異なったと思いますが、どうしてああいう試合になったと思います
か?
五味「うーん…。ベルトを失うか失わないかの差でしょうね。」
−−一度試合が流れている三島選手が相手ということで、やはり意識はしま
したか?
五味「それは…(少し考えて)無いっすよね。誰でも1年以内に挑戦を受け
ないといけないですから。ただ、他人に『この時期に防衛戦をやれ』と言わ
れてもやらないですよ。自分のやりたいタイミングでやったというだけの話
で。でもその分いいコンディションで試合ができましたし。」
−−過去の試合と比べて仕上がり具合は?
五味「正直、ルミナ戦の時とその直後が成長した時期なんですよ。それでし
ばらく間隔が空いて落ちかけたんですね。今回ウェイトトレーニングとかで
は不十分な面もあったんですけど、走り込みと、精神的な部分はだいぶ戻っ
てたんで」
−−精神的な面では、やはり木口先生、塚本マネージャー、レスリング教室
の子供達が支えになりましたか?
五味「もちろんです。それはもうこれまでどおり」
−−逆に三島選手はプレッシャーに負けている感じがしましたが?
五味「それが『タイトルマッチ』ですね。プレッシャーは僕もありますよ。
まあ、(三島は)試合やらないで泣いて、試合できて泣いて…。よくわかり
ません(笑)」
−−理解できる部分はありますか?
五味「いや、やっぱりお客さんからお金取ってるんで、違う、とは思います
ね。普通に仕事してる人でも泣けば許してもらえるものかと言ったら、ねえ? 
うーん、何とも言えないです。わかりません。全くわかりませんね。」
塚本マネージャー「まあ今回は、三島選手が最後の賭けに出てくるだろうと
思って、手ごわいだろうというストーリーも想定していたんですね。ですか
ら入場の時の須藤選手とのパフォーマンスもやるかやらないか最後まで凄く
迷ってたんですよ。チームの中にも『パフォーマンスをやることで、せっか
くの試合の雰囲気に水を差してしまうんじゃないか』という意見もありまし
たし、五味自身も最後まで迷っていました。去年、一昨年、私は試合前の晩
から五味に立ち会っていました。一昨年のルミナ戦の直前の五味は夜も眠れ
ないぐらいでしたから、三島選手もそれに近い精神状態であるかもしれない
と想定し、こちらも調整をしました。」
五味「ただ、うーん、(三島が)何をあれしたのかはわからないですけども。
別にもちろんボロクソに言うつもりもないですし…。僕はもう今年はトップ
アスリート選手とやれるという方向に気持ち行ってるので、人それぞれ、い
ろんな生き方ありますし…。まあ、国内では最強の挑戦者だったんじゃない
ですかね?」
−−タイトルマッチの重荷のないところで三島選手と戦おうとは思いません
か?
五味「いや、ないですね。僕チャンピオンですから。そんなことしても無駄
じゃないですか?」
−−三島がああいう精神状態になることは予想の範囲外でしたか?
五味「まあ…、僕の中でもNK大会では阿部(裕幸)選手とノゲイラ選手の試
合の方がクオリティが高かったと思いますね。」
−−もっとクオリティが高い試合を見せたかったですか?
五味「確かに試合前に泣いている様子は記者の方は面白いかもしれないです
けど、阿部選手の泣いている姿、あれが一番だと思いますね。負けて悔しく
て。凄く印象に残りました。」


■修斗ウェルター級、次期挑戦者は?

−−あまり三島選手の話題になると乗り気じゃないようですので、次の話に
移ります…。NK大会では修斗ウェルター級の選手も何人か試合をしていまし
たが?
五味「会場のモニターでも見てましたけど、NK大会のビデオが届いて昨日・
おとついと見て。シャオリン選手、やっぱり強かったですね。」
−−どのあたりが強いと感じましたか?
五味「寝技ですね。今の所、打撃とスタンドレスリングは自分が上ですね。」
−−精神面は?
五味「落ち着いてますね。柔術で試合をこなしている経験と、あとは総合の
方で成功しようという気持ちと。まあ、あれぐらいの選手が他のUFCとかに
行かないで修斗に来てくれてるというのはうれしいことですよね。」
−−仮に修斗のベルトの防衛戦をするならシャオリンが第一候補ですか?
五味「そうですねえ。両方で一回ずつ、修斗でもいいですし、自分が向こう
(WFA=シャオリンがアメリカで主戦場とする大会)でやってもいいです
し。」
−−他の選手は?
五味「ライアン選手、クロマド選手、バスケス選手。もうウェルターならUF
C(で同じ体重にあたるライト級)とも遜色がないと思いますね。あとは長
いキャリアを積んでいる選手ならハワイのレイ・クーパーなんかも。レイは
ミドルなんで、階級を下げてくるのであったらやってみたいですね。」
−−ジョン・ホーキ選手は昨年9月DEEPでライアン選手に勝ってますが、ど
うでしょう?
五味「まあ、同門でシャオリンがウェルターにいるんでね。階級上げてこな
いとは思うんですけども」
−−タクミ選手と対戦した、スカンジナビアのヨアキム・ハンセンは?
五味「そうですね。まあ、“戦いの原点”というのをよくわかってますよね。
シンプル・イズ・ベストという感じで。無駄なことをしないというか。着実
にダメージを与えていくあたり、自分の戦い方に似てますね。」
−−防衛戦の相手としては?
五味「まあ、まだまだじゃないですか?」
−−ライアン選手とは?
五味「何度もやってるので、それほど…」
−−日本人選手は?
五味「たぶん、日本人選手が嫌がりますよ(笑)。やるならやってもいいで
すけど(笑)。いい選手もどんどん出てくるとは思いますが。」
−−修斗タイトルが今年から世界タイトルに移行しますが。
五味「それがうれしいですね。自動的に世界チャンピオンになれました(
笑)。」
−−ただ、日本国内がちょっとした格闘技ブームであるにも関わらず、修斗
の客足が一時に比べて鈍くなっていますよね?
五味「修斗自体が爆発的な人気ではなかったと思いますし、今回のNKも本当
に格闘技好きな人しか来てないと思うんで、そういう意味では、自分の試合
で、本当に格闘技好きな人だけでNKを満杯にできれば、自分の力だなと思え
ますね。もちろん修斗の選手全員で頑張らないといけないことですけど、こ
れがプロだと胸が張れる試合をやっていくしかないですよね。」
−−ブームだけじゃないところで。
五味「今年の修斗は勢いが戻るとは思いますね。1月の後楽園のメインから
言っても植松×ジョン・ホーキで、試合数も多く組まれてますから、今年の
修斗はかなり勢いがあるんじゃないですか? 後楽園が確実に埋まるように
なってくると思いますね。それでNKにつなげられればいいんじゃないですか
ね。」


■修斗では“一人UFC”やってました。

−−塚本マネージャーにお伺いしますが、五味選手は海外での試合を希望し
ていますが、修斗の防衛戦との兼ね合いも含めて、今年のスケジュールはど
うなりそうですか?
塚本「一昨年12月の佐藤ルミナ戦が終った段階で構想はあったのですが、五
味自身は修斗をベースにして世界の試合にもコンスタントに出て行きたいと
考えています。打撃のあるルールなので年間4試合ぐらいしかできないです
が、国内で2試合、海外で2試合ぐらいというペースをこれから数年維持させ
ていくつもりです。今は修斗協会の坂本一弘代表と意見の摺り合わせが終っ
た段階です。12月のNK大会は外せないので、あとの修斗1試合をどこに置け
るかが坂本さんと調整しているところです。それが2月になるか5月ぐらいに
なるか。去年は後半に3試合集中したので、なるべく早いタイミングで試合
を消化できないか考えています。
 私自身も去年、UFCのマッチメイカーのジョー・シルバと何度も話し合っ
てきましたが、修斗の試合のタイミングとの兼ね合いもあり、なかなかUFC
出場のタイミングが合いませんでした。ですが、1位の三島選手との防衛戦
をクリアしたので、今年は彼が純粋にアスリートとして世界に挑戦できる状
況になったと思います。」
五味「もう、修斗という日本で確立されている団体のチャンピオンで、防衛
もできたので、精神的な余裕は凄くありますね。ベルトを持ったまま海外で
やりたいというのが目標だったので。」
−−王者の役割は果たしたので、今度は海外で挑戦者になりたいと?
五味「そうですねえ。人生、生きてれば何でも挑戦で。海外の試合は力半分
と見ていますから。その中でどうやって勝つかですね。」
塚本「五味は最近、海外の選手が日本に来て試合をする苦労がわかってきた
んですよ。今度は逆に五味が海外に行って、時間、言葉、食事、空気、雰囲
気の違う所で、日本と同じパフォーマンスを出せるかどうかを試す番だと思
うんです。」
五味「ラスベガスなんて格闘技ぐらいでしか行くことがないじゃないですか
(笑)」
−−個人として出て行く気持ちと、修斗王者として出て行く気持ちと。
五味「両方ありますね。」
−−強い選手を戦いたい、海外で実力を試したいという以外に、海外で試合
をする理由はありますか?
五味「ありますよ。それはもう、メジャーリーグを目指すプロ野球選手と同
じ心境じゃないですか? ハワイでやったのは何年も前ですけど、やっぱり
海外で場数を踏むと、日本でやるのが楽になりますよ。単純に人と同じこと
をやるのが嫌というのもありますし(笑)」
−−ハワイの時は他に何人か同僚の選手もいましたよね。
五味「あれば修斗の興行だったので、比較的やりやすかったですよね。まあ、
向こうの観客はガラが悪かったですけど(笑)」
−−アブダビコンバットにしても日本人選手団の仲間がたくさんいましたよ
ね。
五味「勝負に徹した旅じゃなくて、交流会になっちゃうんですよね。ラスベ
ガスも観光になっちゃうといけないですよね。見るものみんな初めてですか
ら。」
−−須藤元気選手にはイギリスのUFCの様子は聞きましたか?
五味「アメリカ以上にブーイングがキツい国で大変だったと言ってました
ね。」
−−修斗と違って戦う場所がケージ(金網)ですが?
五味「むしろ総合格闘技はやりやすいかもしれないですね。リングというの
は打撃系に向いている場所だと思うので。あとリングだとグラウンドで場外
になることがあるので、ケージの方がいいかもしれませんね。
 自分が修斗の中でやってるような試合のスタイルと、ケージで主流のスタ
イルは一緒だと思うんですよ。UFCじゃニュートンや須藤元気みたいに、一
本取りに行くスタイルは主流じゃないですよね。日本では総合といえば綺麗
に一本を取りに行くようなイメージがありますけど、僕は天の邪鬼なんで、
一人で“UFCスタイル”をやってました(笑)。ようやくここに来て、他の
人にも理解されつつあるかなって。同じようなスタイルで(山本“KID”)
徳郁さんのような人も出て来て。自分は“一人UFC”でしたね。」
−−アメリカにはUFC以外にメジャーなケージの大会でWFAがありますが、あ
の大会についてはどう思いますか?
五味「今UFCに日本人2人が出てるので、自分自身、今一番興味がありますね。
現実的なところとして日本人が出てないですから。UFCのように2人も日本人
が出てると、修斗と同じで『何のために海外に出たんだ』ってなっちゃうん
で。」
塚本「WFAやキング・オブ・ザ・ケージでも、五味と同じ階級でいい選手が
たくさん出ていて、UFCに比べてさほど遜色ないという気持ちを持ってます。
UFCもチャンスがあれば出したいです。ただ話をするだけで試合の現実性が
ないよりは、確実にアメリカのどこかの団体で試合をすることで、アメリカ
での足場を作って行きたいです。野球のようにメジャーリーグの無い状態な
ので、五味が勝ったり負けたりしながらでも、ホームでやったりアウェーで
やったり、そういうので試合を作って行けたらなと思っています」
−−アメリカ本土に行かれたことは?
五味「ないですね。」
−−木口先生は向こうとつながりが深いですから、アメリカについての話は?
五味「しょっちゅう聞いてますね。アマレスにしても全然迫力が違うし、お
客さんの反応も違うし。海外遠征の話もいろいろ聞きますね。そういう意味
では、木口道場自体が外に出てナンボのところがあるんで。今、笹本睦選手
にしても、オリンピックに出て。まあ、武者修行、プラス、出稼ぎ、という
感じです。生きてくためには何でもやらないと(笑)」

(※Vol. 025に続きます)

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