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[BoutReview EXp: 021] 緊急対談:猪木祭はこう読め!

発行日時: 2002/12/28

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■■□■ BoutReview EXpress Vol. 021 (Sat, 28 Dec. 2002) ■□■■
           http://www.boutreview.com/
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●コラム/"Seize the day pass!"(シーズ・ザ・デイ・パス)
  〜当日券派のあなたに贈る今週の観戦ガイド〜

  【特別編】「語りおろし:猪木祭はこう読め」

             講師:矢作祐輔先生  
            聞き手:井田英登(BoutReview編集長)
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井田「さて、今年も格闘技界は色々ありましたが、ヤハギ先生は如何でした
か?」
矢作「先生ゆーなっちゅうの。イヤミっぽいなあ(苦笑)ってか、こないだ
ひーっさしぶりに新しいのが来てたけど、またメルマガはじめんの?」
井田「ええ、悲願の再開です(笑)」
矢作「ホント気まぐれなんだからさぁ。読者だってこう不定期だと、楽しみ
にしていいのか、無視したもんかわかんないと思うよ」
井田「ご指摘ごもっとも(笑)」
矢作「あんた、All About JAPANのコラムもよくさぼってるよねえ…」
井田「お説の通りです(笑)」
矢作「要するに、聞く耳もたねえと」
井田「御意(笑)」
矢作「勝手にしやがれ(笑)で、今日はなんすか?いきなりテープ回してま
すけど?」
井田「いやね、そのメルマガでしてね。例によってセンセイに猪木祭りのカー
ドが出そろいましたんで、いつもの勝敗予測というか、直前オススメをやっ
てもらおうかと思うんですわ」
矢作「…思うんですわ、ってこの大阪野郎は。でも、31までもう三日しかな
いよ? 急に来て明日原稿ちょうだいって無理じゃんよ」
井田「そこで、今回テープっちゅうことで(笑)」
矢作「それ、さっき思いついただろ?」
井田「ご明察(笑)」
矢作「くっそー、たまに遊びに来たと思ったらこれだよ」
井田「まま、そう言わずにカード見てくだせえ。結構面白げなカードが並ん
だとおもうんですが」


  (8) 総合:高山善廣×ボブ・サップ
  (7) 総合:吉田秀彦×佐竹雅昭
  (6) 総合:藤田和之×ミルコ・クロコップ
  (5) K-1:クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン×シリル・アビディ
  (4) K-1:ゲーリー・グッドリッジ×マイク・ベルナルド
  (3) 総合:滑川康仁×ヴァリッジ・イズマイウ
  (2) 総合:中邑(なかむら)真輔×ダニエル・グレイシー
  (1) 総合:安田忠夫×ヤン“ザ・ジャイアント”ノルキヤ


矢作「んー微妙だねえ。なんかDynamite!のエキストラトラックというか、
夏の三大マッチの合同興行?(笑)」
井田「というと?」
矢作「日本人選手の顔触れ見てごらんよ。吉田はDynamite! 藤田、安田はUF
O LEGEND組、そんで滑川がDEEP2001でしょ? 桜庭、小川、田村とメインイ
ベンターを抜きにしてミックスしたらこうなるという(笑)。ついでにK-1
もアビディ、ベルナルドとドーム落選組で」
井田「いきなり、暴言で企画ぶっこわす気ですか(笑)」
矢作「カットしやがったら、もうしゃべらねえからな(笑)」
井田「でも、11月の末にようやくやるって言い出して、その時押さえてたの
がサップだけでしょ?よくこんだけ揃ったなと思いますけどねえ」
矢作「まあそれは評価できるよね。去年、TBSは視聴率が取れたんで、製作
費は出せるんだけど、石井館長の脱税容疑っていうのは、実は業界内部では
10月辺りからささやかれてて、いつ検挙されるかX-DAY扱いだったもんで、
逆に予定が立てられなかったんだよなー」
井田「あんた、意地でも企画つぶす気やな(笑)」
矢作「いやいや、もうその辺はしゃべってもいいでしょ(笑)。実際、猪木
さんは年末やりたかったんだけど、石井館長の身柄がどうなるかわからなかっ
たんでゴーが出せなくて。脱税関係にはテレビ関係者も関わってるって噂が
あったから、局もどこにするか決まらなくて、一時は新日本プロレスつなが
りでテレ朝って話もあったって聞いたよ」
井田「よく知ってるなー。なんかネットの裏読み格闘技マニアみたい(笑)」
矢作「やかましい、きちんとした取材の成果です。書けないことばっかりだ
けど(笑)。でも、実際、秋ごろは毎日そんな話で、業界人が顔合わすとそ
んな話バッカリだったじゃん。キツかったのがW-1で、Dynamite! 直後は石
井館長がガンガン動けたもんだから、館長まかせになってたマターが秋が深
まるにつれてキツくなって、直前までカード出せずにバタバタしたんだもん
ね」


●佐竹×吉田はPRIDE.23のドン・フライ戦の再現に

井田「でもW-1は逆にそれで独自色が出たんちゃうかなあ?」
矢作「まーねー。サップのプロレスは何も館長が教えたわけじゃないしね(
笑)グレコの日本でのプロレスデビューも好評だったし。佐竹もその余波で
プロレスデビューしたようなモンだし」
井田「SATA...yarnでしたっけ?(笑)。全日本の道場で安生に受け身習っ
てるって聞いたのが試合の一週間前で、ウチはその辺関係ないからネタには
しなかったけど、ちょっとビビったね(笑)」
矢作「いや、ホント、ランペイジに頭がい骨割られる前に受け身練習しとく
べきだったんだよ(笑)」
井田「(笑)まあ、結局佐竹も今回の吉田戦が総合引退マッチって言ってる
し、最高の舞台は準備してもらったといっていいんですかね」
矢作「小川戦といい、佐竹は柔道出身者に縁があるんだよな。佐竹はK-1時
代から頭部にダメージがあって、顔面にはキツい打撃は受けないほうがいい
のもあって、組み技系の相手とマッチメイクされたんだろうけど。俺個人は、
K-1に戻って武蔵と最後の決着を付けるとか、アルティメットボクシングや
るとか、まだまだ可能性を残してるとはおもうんだけどね。」
井田「まあ、来年はこのままプロレス転向ですかねえ」
矢作「そうだねえ。彼の場合タレント仕事が結局PRIDE参戦してる間に角田
さんにとって替られた感じじゃない? だからもう一花プロレスで咲かして
おいて、芸能人ってコースを考えてるんじゃない?」
井田「バラエティの格闘家枠ってヤツやね、具志堅、ガッツ石松、タコ八郎…
みたいな(笑)。角田さんはもうレフェリーだから、戦績関係なく人気ある
けど、現役選手は結局勝ってナンボですからねえ」
矢作「そそ。逆に吉田はこれから現役オーラでお茶の間進出だから、それも
含めて佐竹には負けられないと(笑)」
井田「じゃ、ズバリ勝敗予想は?(笑)」
矢作「吉田でしょう。これがまだDynamite!の頃なら、佐竹がローで蹴り潰
しにいけば勝機もあったと思うんだよね。ホントに空手vs柔道の異種格闘技
戦になってたと思う。ただ、PRIDE.23でフライ相手に見せたタックルを見る
と、もうかなり道場とかで高阪とか小原相手に総合対応の練習してるんだと
思うんだ。速かったし、タイミングばっちりだったからね。アマチュア出身
の吉田だけに、引退だから、お祭りだから、ちょっと蹴られてやって華もた
せようとかはないと。聞くところによれば風邪がずっと治らなくて体調も悪
いらしいし、ここは短期勝負をねらってくるんじゃないですか?」
井田「なるほど。じゃあ、PRIDE.23のドン・フライ戦の再現だと?」
矢作「そそ。で、来月は佐竹は気分よく東京ドームでW-1二戦目だったり(
笑)」
井田「その風邪の影響とかはないですかね? 吉田の場合。」
矢作「あー、そればっかりは格闘家はあんまりホントのこと言わないじゃん。
体調に関してなんかはさ。だから、もし吉田が体調最悪で熱でぼーっとして
たりしたら、そりゃ佐竹がガンガン攻め込む事もないとは言わないけどね。
打撃に関しては怖くないんだし」


●矢作センセイ、天狗のミルコの鼻っ柱を折る!

井田「じゃ、メインの高山善廣×ボブ・サップは最後にするとして、下の試
合から見ていきましょう。藤田とミルコはどうですか?」
矢作「んー、そろそろミルコは負けごろだよね(笑)」
井田「そんな旬があるんかっ!(笑)」
矢作「いやいや、そうじゃなくてさ。ミルコ自体はすごく調子に乗りやすい
ヒトなんだよ(笑)。アル意味体育会系のおっちょこちょいサンだからさ、
調子いいとすぐいい気になって天狗になっちゃうのさ。去年のオーストラリ
アのK-1は君も見たと思うけど、そこまで東京ドームでホーストといい勝負
したり、アーツに勝ったりしていい気になってたと思うんだよね。スタッフ
の顔触れすっかり入れ換えちゃって、取り巻き連れてきたり、態度が傲慢に
なってたりね。クロアチアでTV特番組まれたりですごく人気もあったらしい
んだよね。そしたら、いきなりマイク・マクドナルドに何もできないでノッ
クアウトでしょ(笑)。あの態度に最近また似てきてる気がするんだよ」
井田「まあ、総合転向して負けなしでしょ?」
矢作「でもね、彼ってまだ総合でホントに結果残したとは俺は思ってないん
だよね。高田戦は寝技を拒否したのは怖かったからだし、桜庭はミドル級の
選手であって、本来ライトへビーの彼とやるべき相手じゃない。ヴァンダレ
イ・シウバは元々がスタンドファイターなもんだから、お見合いしちゃった
トコがあるしね。潜在能力は認めるけど、まだ世界ランキング10位ぐらいの
選手ですよ。ティトとやったら勝てないよ。ケビン(ランデルマン)でもキ
ツイんじゃないかな」
井田「出た、UFC至上主義(笑)」
矢作「藤田戦を受けたのでも、多分初戦の結果を実力だと思い込んでるんじゃ
ないかな? 今、ミルコは腰ヘルニアできついんでしょ? 藤田を甘くみて
ると思うんだよ。去年の永田と五十歩百歩ぐらいに思ってるんじゃないかと。
でも、さいたまの初戦は藤田のミスだからね。正面からフェイントなしにタッ
クルに入ってなかったら、結果はちがってたと思うんだわ」
井田「じゃ、藤田リベンジ?」
矢作「そうだね。もうそろそろ藤田には最前線に戻って来て欲しいし、これ
以上停滞してる場合じゃないから。希望も込めて、藤田ですね」


●K-1ルール2試合、アビディ&ベルナルドのリベンジなるか?

井田「じゃ、下の試合はざっといきます。まずK-1二連戦はどーすか?」
矢作「シリル・アビディ、これ負けるようだったら、ちょっとまずいっす。
負けるとしたら頭部にノックアウトダメージたまってる証拠なんで、一年程
休むべきですな」
井田「ベルナルドは?」
矢作「この人も同じ。パワーファイターにびびって下がる癖がついてるんで、
来年、K-1の前線に戻るつもりなら、バンナとやった時のように気持ちの面
で前に出て、勝負どころ畳み込める自分を取り戻すべきだろうね。その意味
では試金石になる試合ですな。普通、一蹴しとかなきゃ駄目な相手でしょ。
連敗したら引退勧告だよ。ホーストは1回で、きっちり片付けてるんだから」
井田「パワーファイター嫌いですねえ(笑)」
矢作「ってか、来年石井館長の脱税問題がどう転ぶにしても、K-1には競技
性を取り戻してほしいわ。だいいち、他流試合は自分の所のリングでやるべ
きじゃない。選手の自主性で他のジャンルにチャレンジするならともかくね。
サップが出てきて“K-1存続の危機”って騒いでたけど、それって全部、石
井館長のマッチポンプなんだからさ。脱税よりなにより、まずK-1の競技性
を曖昧にしちゃった事が俺には腹立たしい。きっちり体重制を引いて、見せ
物本位じゃなくて、スポーツとしての確立を先にすべきだよ、スターなんか
ほっといても、その中からでてくるんだからさ。最初の8年K-1はそれででか
くなってきたんじゃないのかよ。だから、サップはスーパーヘビー枠で闘う
べし」
井田「他に選手いないじゃん(笑)」
矢作「バンナとシュルト、トム・エリクソンで四人トーナメント。おまけで
ノルキヤ(笑)」
井田「そんな怪物ばっかりでリングが持たへんでしょうが(笑)」
矢作「そしたらチタニウム特製リングかなんかをNASAに特注してだね、それ
を経費に認めてもらうんだよ(笑)。それなら国税局も文句なかろうと(
笑)」
井田「じゃ、勝者予想は、アビディとベルナルドね?」
矢作「ノー」
井田「え? なんで?」
矢作「二人とも勝たないと危ないよと言ってるだけで、勝利予想は別(笑)」


●若手日本人選手・滑川と中邑は苦戦。今年の安田は?

井田「あざといなあ(笑)ま、いいや。じゃ次、滑川とイズマイウが決まり
ましたが、これどうでしょう?」
矢作「これを滑川の大抜擢と見るか、イズマイウを光らせるための噛ませ犬
と見るかで、微妙にマッチメイクが期待するところが違ってくるんだけど、
これねえ俺、もしかして山本憲尚がPRIDE.24で言ってたカードじゃないかと
思ったんだよね」
井田「ああ、31日の猪木祭りでやりたい相手がいるみたいな話ね」
矢作「そそ。で、アレクとの試合があんなだったのもあるし、実際福岡から
日が経ってないんで、滑川になったんじゃないかと」
井田「しかし、滑川も今月の7日にDEEP2001で石川雄規と試合やってるんで、
実質連戦なんだよねえ」
矢作「まあ、そんな殴り合ってないし、ダメージはほとんどなかったとはお
もうんだけどね。ただ、彼自体、殴り合いを好むタイプなんで、ヴァリッジ
的には思う壷なんだよね。既に8月のUFO LEGENDでの村上和成戦でも、カメ
になった所から頭に膝ぶちこんで血を吐かせたりしてるわけで。滑川が勝つ
としたら、パンチ勝負で早い決着。長引くとグラウンドではやっぱりヴァリッ
ジだろうなあ」
井田「どっちですか?」
矢作「うーん、ヴァリッジだねえ」
井田「次、メンズ・グレイシーと中邑はどうです?(笑)」
矢作「んー、中邑? 新日本プロレスの選手? 僕はしらないんだけど、ま
あ普通総合の適応力を考えればホドリゴに付けるわねえ」
井田「まあ対日本人という物差しで言えばPRIDE.21でもノアの杉浦貴にも判
定で勝ってますし」
矢作「中邑の格闘ベースがレスリングか。青学で副将も努めて、全日本四位
ということなんで、まったく総合への指向性がないということはないだろう
けど、逆にレスラーの場合、ホドリゴを脅かす打撃を身に付けていないかぎ
りきついんじゃないかなあ」
井田「逆に総合デビュー戦なんで、活きの良さをみせられれば正解と」
矢作「そゆこと」
井田「で、第一試合が去年メインを張った安田なんですが。相手ノルキヤっ
てのはどーすか?」
矢作「可もなく不可もなくってとこですな。バンナはドーム終わったら、
シュートボクセのコーチを呼んで安田にリベンジだと意気込んでたらしいけ
ど、腕壊しちゃってリタイアでしょ。その意味では安田が損したよね。勝っ
ても負けても注目のカードの一つにはなっただろうから」
井田「つうことは注目してない?」
矢作「相手ノルキヤだぜ(笑)まあ、二人にやる気があって派手な試合にな
ればいいけど、なんかどんよりしそうだな(笑)安田勝ちでいいかなとは思
いますが」


●サップ戦を受けた高山のプロレス心

井田「なるほど。残るはメインですが、これは話題性たっぷりですよね」
矢作「よくも悪くも猪木祭りですな(笑)」
井田「というと?」
矢作「要するに競技としての着地点を求めてるわけじゃないし。PRIDE以上
にお祭り指向じゃないですか。PRIDEだとやっぱり試合内容を求めるんだけ
ど、猪木祭りは顔触れとか組み合わせでもう半分以上ごちそうさまなところ
がある」
井田「言い換えると、中身より見栄えと」
矢作「っていうか、この二人にドキドキするような技術の攻防は求めないだ
ろ(笑)。客層はPRIDEよりさらに1.5倍ぐらいプロレスファン濃度が高いん
だろうしね。むしろ、今年話題の2人が一つリングにあがるって事の事件性
にこそ意味があると。」
井田「リアルプロレス大賞争奪戦ですな(笑)」
矢作「うまいね(笑)。元々病み上がりで、この後1月4日に新日本プロレス
のドームも控えてる高山は、最初猪木祭りに出るのを渋ってたじゃない? 
正直なトコここで怪我もしたくないし、せっかく上がった株を下げたくもな
いはずなんだ。ただ、こういうお祭りのメインに、って名前が挙がってる所
へあまり保身的なことを言っちゃうと、去年の小川直也みたいにバッシング
の対象にされたりするじゃない?」
井田「アーツ戦をぶち上げてたのに、オファーされたらギャラで揉めて、結
局出なかったんだもんね」
矢作「高山というのはクレバーだし下積みも経験してきた苦労人でもあるか
ら、自分の行動でファンがどう反応するか凄く敏感だからね。ドン・フライ
戦で男気を見せて人気が出たという自分の立場を踏まえて、下手にグズらな
かったんだよ。だから、フライ戦同じく勝つ必要はない。むしろ散り際を見
せて光ればいいと思ったんじゃない?」
井田「えらくプロレスチックな読みですな(笑)」
矢作「いやあ、人間心理は万事共有ですよ(笑)。じゃ、角度シフトして格
闘技心理学をやってみせてもいいよ。たとえば今回の場合、初物対決の時は
相手をリスぺクトしたら負けなんだよね。」
井田「ほう、そのココロは?」


●試合に勝っても、紅白に負ける? 高山の悩みどころ

矢作「相手の選手の名声を築いてる要素、例えば経歴とか技術とかを計算に
入れちゃう選手は、どうしてもそれに対して身構えてしまう。逆にサップは
それがない。当然自分が圧倒的なパワーを持ってるからというのもあるんだ
けど、基本的に彼は格闘技ファンでもなんでもなくて、運動能力と風貌を買
われて格闘技に潜り込んじゃった人だから、天下のスリータイムスチャンピ
オン様のホーストが相手でも“何それ、おいしいの?”状態で平常心なんで
すよ。何が出てきたって、皿の上に乗ってるものはナイフとフォーク動かせ
ばなんとかなるんだろぐらいのモンで。相手に全然敬意がない。研究もロク
にしないだろ? だから怖くないんだよ」
井田「だから、プライドの高いホーストなんかはカチンとくるわけだ」
矢作「逆に高山は相手をきっちり研究しちゃうだろうから、頭には中迫や田
村が吹き飛ばされた絵とか頭に焼き付いちゃうだろうし、ノゲイラがボコボ
コにされた相手に俺が三角絞めでもないだろうよ、みたいな流れになっちゃっ
て、無手勝流でぶつかっていくことはないとおもうんだよね」
井田「自分のイマジネーションの中で試合をしてしまっていると」
矢作「多分ね。だから、高山的には出来上がった試合をしちゃうんじゃない
かと。自分の見せ場を考えて無理に殴り合いにいって玉砕という絵が見えま
す(笑)」
井田「ああー、そういうことか。逆にサップをタックルで倒しにいったらお
もしろいのにね。体格的には唯一それができる素材なんやし」
矢作「そうなんだよね。あのサップ相手に、勝ちにこだわってただひたすら
押さえ込みに徹して、判定勝ちしようなんて考える奴はいないんだよね。プ
ロ意識としてそれは許さないだろうし。でも、やったらおもしろいよね(
笑)。まあ押さえ込んでも吹き飛ばされるだろうけど」
井田「高山当人は『スタンドの首相撲で膝だ』とか言ってるようですが」
矢作「そこなんだよ。ビジュアル的にはそれで沸くはずだけど、あれだけ首
の強いサップが頭に膝もらうほどコントロールされるとも思えない。高山も
あの腹だと、高い膝は上がらないだろうしさ。ジャンピングニーでもやる気
かね(笑)。確かに高山のファイターキャリアの上ではそこで見せ場をつく
ればおいしいはずなんだけど、逆に膝蹴りへ意識がいってる現状をみると、
『ああ勝てると思っちゃいないだろうな』と思う他ないね。仮に体力的にイー
ブンであったとしても、高山のそのクレバーさが結局墓穴を掘る気がするよ」
井田「まあ、逆に高山がそこでベッタリ押さえ込みに行ったら、試合には勝っ
ても、紅白には負けるからね(笑)。」
矢作「そうなんだよ。紅白歌合戦と対抗するシチュエーションは、どう考え
ても高山に有利とは思えない。サップはいつも通りのサップでいれば数字が
出るけど、高山は余計なこと考えなきゃいけない分、不利なんだよね」
井田「サップ、無垢の強さですな(笑)」


矢作「まあ、こんなあたりで勘弁してよ」
井田「じゃ、次は新日本の東京ドーム予測で(笑)」
矢作「今やってやろうか?(笑)。ジョシュ・バーネットは一年参戦契約ら
しいから、多分IWGPのベルト貰うよ。ワンマッチなら“噛ませ犬”で終わり
かなと思ったんだけど、身内に取り込むなら、逆にジョシュにも箔を付けな
きゃ駄目だろうし。当分ビッグマッチ要員でいって、リベンジストーリーで
春ぐらいまで永田とか中西の絡みで引っ張れるはずだとか思ってるんじゃな
いかなあ?」
井田「いつの間にかプロレスの読みも出来るようになっていたとは恐ろしい
お方(笑)」
矢作「格闘評論界のボブ・サップと呼んでくれ(笑)。…ってかもうこれで
いいだろ、とっと帰ってテープ起こせっちゅーの(笑)」◆◆◆


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  • 創刊日 : 2001-10-15
  • 最新号 : 2005-02-13
  • 発行周期 : 週刊&随時
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