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ぞうさん通信 2003.9.30
はしもと小児科ホームページ http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/
<流行している病気>
1.急性胃腸炎が流行しています.嘔吐,吐き気,頭痛が主症状です.★★,↑
2.急性咽頭炎が流行しています.発熱,咽頭痛が主症状です,★★,→
3.急性扁桃炎が流行しています.高熱を生じます,★★,→
4.マイコプラズマ感染症が流行しています.発熱,頑固な咳が主症状です.肺炎を起
こし,気管支喘息の発作を誘発します.★★,→
5.溶連菌感染症が流行しています.発熱,咽頭痛が主症状です.★,↑
6.気管支喘息のお子さんの調子が悪いようです.★★★★,↑
7.アレルギー性鼻炎・結膜炎のお子さんの調子が悪いようです.イネ科の雑草などが
原因と思われます.★,→
★ わずかに流行,★★少し流行,★★★流行,★★★★かなり流行,★★★★★爆
発的流行,↓先週より減少,→先週と同程度,↑先週より増加
<インフルエンザワクチンと脳症>
インフルエンザは肺炎,中耳炎,関節炎,筋炎などの合併症を引き起こしますが,小
児にとって最も恐ろしいのは「インフルエンザ脳症」です.昨日まで元気だったお子
さんが突然高熱を出したかと思うと, 24時間以内に痙攣や意識障害を起こし,死に
至ることがあります.命が助かっても,多くの場合神経学的後遺症が残ります.日本
では毎冬100-200人,新潟県内では数人から10数人の小児が亡くなっています.
インフルエンザ脳症の発症には,免疫系の過剰反応による細胞障害,インフルエンザ
ウイルスの直接浸潤,人種・環境差,潜伏している他のウイルスの再活性化,アスピ
リンなどの薬物の影響などが関与していると言われていますが,未だ十分に解明され
ていません.
インフルエンザワクチンが脳症に対して予防効果があるというデータは現在まであり
ません.これはインフルエンザワクチンが脳症に無効ということではなく,理論的に
は有効であるが疫学的に証明できないと解するべきです.インフルエンザ流行期に高
熱を生じても,それが全てインフルエンザというわけではありません.他のウイルス
感染が同時に流行することはよく経験することです.数年前よりインフルエンザ迅速
診断キットが一般臨床の現場で使用されていますが,病初期にはウイルス量が少ない
ために真のインフルエンザであっても陰性を示すこともあれば,インフルエンザでな
いのにもかかわらず陽性を示すこともあります.これを生物学的偽陰性,偽陽性と呼
び,どんな検査でも生じ得ることです.インフルエンザの確実な診断は難しく,イン
フルエンザの真の患者数を把握することはできません.一方,インフルエンザ脳症の
頻度はそれほど高くありません.さらに,インフルエンザワクチンを接種しても感染
防御に有効なための抗体を獲得できるとは限りません.このような背景があるため,
インフルエンザワクチンが脳症に対して予防効果があるか否かの結論を出すことは事
実上不可能です.
一般にインフルエンザワクチンの効果は60-70%程度と言われています.これは「ワ
クチンを100人接種すれば60-70人はインフルエンザに罹患しない.」という意味では
なく,「インフルエンザに罹患した100人のうち60-70人はワクチンを接種しておけば
インフルエンザにかからずに済んだ」あるいは「ワクチンを接種しておけばインフル
エンザの患者が30-40%減る」という意味です.当然のことですが,インフルエンザ
に罹患しなければインフルエンザ脳症になることはありません.したがって,インフ
ルエンザワクチンを接種しておけば,インフルエンザ脳症になる確率も減ずることが
できると考えるべきです.
今年もまたインフルエンザの季節がやって来ます.毎年12月には流行が始まります.
インフルエンザワクチンの接種は10-11月に済ませておきましょう.
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橋本尚士(はしもとなおし)
はしもと小児科
〒954-0112 新潟県見附市上新田町449-7
TEL0258-61-2400 予約専用61-2401 FAX61-2402
E-mail naoshi@po.next.ne.jp
URL http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/
メールマガジン「ぞうさん通信」発刊
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