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ぞうさん通信 2003.7.29
はしもと小児科ホームページ http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/
<流行している病気>
1.急性胃腸炎が流行しています.発熱,嘔吐,頭痛が主症状です.嘔吐が激しい場合
には点滴が必要です.無菌性髄膜炎を起こすことがあります.★★★,→
2.急性咽頭炎が流行しています.1-2日間の高熱が主症状です.★★,→
3.溶連菌感染症が流行しています.発熱,咽頭痛,発疹が主症状です.★★,↑
4.手足口病が流行しています.手,足,口,おしり,膝などに発疹が出現します.口
内炎がひどく飲食ができない場合には,点滴が必要になることがあります.★★★★,
→
5.マイコプラズマ感染症が流行しています.発熱,頑固な咳が主症状です.肺炎を起
こし,気管支喘息の発作を誘発します.★★★,↑
6.流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)が流行しています.★,↑
7.気管支喘息のお子さんの調子が悪いようです.★★,→
★ わずかに流行,★★少し流行,★★★流行,★★★★かなり流行,★★★★★爆
発的流行,↓先週より減少,→先週と同程度,↑先週より増加
<アレルギー検査の功罪>
気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎・結膜炎,蕁麻疹などのアレルギー
疾患の原因検索のために,アレルギー検査をすることがあります.アレルギー検査と
一口に言っても様々な検査方法があるのですが,現在最も普及しているのは血液中
のIgEを測定するものです.
血中IgEの検査にはIgE(RIST)とIgE(RAST)があります.IgE(RIST)は血液中のIgE総量
を測定するものです.IgE(RAST)はどのような物質にアレルギー反応があるのかを調
べるもので,特異的IgEとも呼ばれます.
血中IgEの検査をすれば全てが明らかになると考えがちですが,そうではありません.
例えば,気管支喘息のお子さんの約10%は非アトピー型と呼ばれるタイプで,血
中IgEは陽性を示しません.乳児では免疫反応が未熟なため,アトピー性皮膚炎であっ
ても血中IgEが陽性を示さないことがあります.気管支喘息やアトピー性皮膚炎の診
断は,慢性に咳や喘鳴があるか否か,慢性に皮膚炎があるか否かで判断されるべきも
ので,血中IgEは補助的な意味しかありません.血中IgEが陽性だから気管支喘息だ,
陰性だからアトピー性皮膚炎でないというのは誤りです.
特異的IgEには,検査で陽性を示しやすいものと示しにくいものがあります.前者の
代表が卵白ですが,卵白IgEが陽性だから卵を食べてはいけないわけでありません.
卵を食べるたびに蕁麻疹が出現する,口のまわりが赤くなる,アトピー性皮膚炎が悪
化する場合には,卵の摂取を制限する必要がありますが,そうでない場合にはたとえ
卵白IgEが陽性でも食べてかまいません.
アレルギー疾患の治療には抗アレルギー剤が使用されます.からだの中で起こるアレ
ルギー反応を抑える働きがあります.抗アレルギー剤の多くは直接皮膚のかゆみや鼻
汁を止める働きがあります.抗アレルギー剤は,アトピー性皮膚炎でかゆい,アレル
ギー性鼻炎で鼻汁が止まらない,蕁麻疹が出てかゆいなどの症状がある場合に有効で
す.しかし,これらの症状がないにもかかわらず,検査でIgEが陽性だからといって
服用する必要はありません.
「検査でIgEが陽性なので体質改善のために抗アレルギー剤を服用した方がよい.」
と聞くとなんとなく納得してしまいそうですが,医学的には正しくありません.国語
辞典には「体質=その人が生まれつきもっているからだの性質」と記載されています.
抗アレルギー剤は服用中アレルギー反応を抑える働きがありますが,体質を変える作
用などありません.もし服用により体質が変わるのであれば服用中止後も効果がある
はずですが,抗アレルギー剤の服用をやめた途端にアトピー性皮膚炎ではかゆみが出
現し,アレルギー性鼻炎ではくしゃみが始まってしまいます.気管支喘息は成長とと
もに70-80%は治癒します.治療に抗アレルギー剤を用いていた場合,服用により体
質が変わって治癒に至ったわけではなく,成長に伴い免疫系のバランスが正常に保て
るようになったために治癒したと解するべきです.
「検査で卵白アレルギーが出ているので,将来アトピー性皮膚炎になると悪いので抗
アレルギー剤を服用した方がよい.」という説明も,医学的論拠を欠きます.アトピー
性皮膚炎は乾燥肌が基礎にあり,これにアレルギー反応が契機となって皮膚炎が起こ
ります.卵白アレルギーだけが原因ではありません.前述した通り卵白IgEは陽性を
示しやすいので説明に用いがちですが,皮膚症状がないかあるいは軽微であるにもか
かわらず,予防のための抗アレルギー剤を服用しても意味はありません.
IgEの検査は血液さえ採取すればよいので極めて簡便ですが,必ずしも正しく解釈さ
れていないようです.最も大切なのはお子さんの症状です.適切な治療を受けましょ
う.
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橋本尚士(はしもとなおし)
はしもと小児科
〒954-0112 新潟県見附市上新田町449-7
TEL0258-61-2400 予約専用61-2401 FAX61-2402
E-mail naoshi@po.next.ne.jp
URL http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/
メールマガジン「ぞうさん通信」発刊
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