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ぞうさん通信 2003.4.15

発行日: 2003/4/15

ぞうさん通信 2003.4.15
はしもと小児科ホームページ http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/ 


<流行している病気>
1.急性下痢症が流行しています.ロタウイルスが原因です.水様便,白色便が7-10日
続きます.嘔吐,下痢が激しい場合には点滴または入院が必要です.★,↓
2.急性胃腸炎が流行しています.激しい嘔吐,下痢,腹痛が主症状です.★,→
3.水痘が流行しています.★,↓
4.流行性角結膜炎が流行しています.結膜充血,目脂,咽頭痛が主症状です.★,↓
5.溶連菌感染症が流行しています.★,→
6.マイコプラズマ感染症が流行しています.頑固な咳が続きます.肺炎,気管支炎を
起こし,気管支喘息の発作を誘発します.★★,→
7.伝染性紅斑が流行しています.★,↑
8.急性咽頭炎が流行しています.1-2日間の高熱を生じます.★,↑

★ わずかに流行,★★少し流行,★★★流行,★★★★かなり流行,★★★★★爆
発的流行,↓先週より減少,→先週と同程度,↑先週より増加


<麻疹予防接種の見直し!?>
麻疹は昔から「命定め」と呼ばれ,死亡率の高い疾患の1つです.医学医療が発達し
た現在でも有効な治療法はありません.日本では年間50-100人が麻疹で命を落として
います.唯一,麻疹ワクチンだけが麻疹死から免れる方法です.

日本における麻疹ワクチンの対象年齢は生後12-90カ月ですが,標準的な接種年齢は
生後12-24カ月で,できるだけ早期に実施するように定められています.

大変残念なことに,日本は先進国のなかではめずらしい「麻疹流行国」の1つです.
欧米諸国からは日本は「麻疹輸出国」というレッテルを貼られています.麻疹ワクチ
ンの接種率が100%に達していないこと,実際の接種年齢が遅いこと,公費負担では1
回しかワクチンを接種しないことなどが,麻疹の流行を抑えることができない理由と
考えられています.

2003年3月,厚生科学審議会感染症分科会感染症部会「ポリオ及び麻しんの予防接種
に関する検討小委員会」は,麻疹(はしか)の予防接種の見直しに関して,1歳児を
中心とした低年齢層での麻疹の流行を減らすため,「定期接種1回法」の徹底を求め,
とくに1歳児の接種率の向上を重要施策に盛り込みました.具体的には,(1)接種期間
を生後12-15カ月とし,保護者,関係者に広く周知させる,(2)幼児定期健診で「接種
もれ者」をチェックする,(3)入園・就学時健診を利用して「接種もれ」のチェック
を行う,(4)接種しやすい環境づくりに努力する,ことなどを要請しました.

麻疹対策はこれで十分なのでしょうか?私は不十分と思います.

麻疹ワクチンの接種回数は1回でなく2回に増やすべきです.アメリカ合衆国では2回
接種を行っています.麻疹ワクチンの抗体獲得率は95-99%程度と言われていますが,
裏を返せば1-5%は抗体を獲得できません.これでは麻疹感受性者(=麻疹に抗体を持
たない,つまり罹患する可能性のある者)が蓄積されてしまいます.また,日本のよ
うに大きな流行が抑制されている状況では,一旦麻疹ワクチンで抗体を獲得しても自
然麻疹に遭遇する機会がないためにブースター(=ある程度の麻疹抗体を持っている
状態で麻疹ウイルスに暴露され抗体がさらに上昇すること)がかからず,やがては麻
疹抗体が消失し麻疹感受性者になってしまうことが十分に考えられ,さらに麻疹感受
性者が蓄積されてしまいます.これでは結局は麻疹の流行を完全に抑制することはで
きません.

なぜ,日本の政府は麻疹ワクチンの接種回数をアメリカ合衆国のように2回にせず1回
にこだわるのでしょうか?それは,2回接種は1回接種に比べ2倍の予算が必要だから
です.1回接種を続ける限りは,多少接種年齢を早めても,完全に麻疹の流行を抑制
することは不可能です.どうも日本の政府には「麻疹の流行を完全に抑制する.」と
いう政策的意志が感じられません.

それでは個人としてはどうすればいいでしょうか?国が十分な施策を取らないのであ
れば自衛するしかありません.具体的には以下の2つの方法のいずれかをお勧めしま
す.(1)乳児期から保育所などに通う場合には,生後9カ月になったら1回目の麻疹ワ
クチンを自費で接種してください.2回目の麻疹ワクチンは1歳6カ月時に公費負担で
接種を受けてください.(2)集団生活に入るのが幼児期以後の場合には,1歳になった
ら直ちに1回目の麻疹ワクチンを公費負担で接種を受けてください.2回目の麻疹ワク
チンは6歳になったら自費で接種を受けてください(麻疹の流行が抑制されているア
メリカ合衆国ではこのように接種をしています).

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橋本尚士(はしもとなおし)
はしもと小児科
〒954-0112 新潟県見附市上新田町449-7
TEL 0258-61-2400, FAX 0258-61-2402
naoshi@po.next.ne.jp
http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/
メールマガジン「ぞうさん通信」発刊
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