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ぞうさん通信 2008.2.19

発行日: 2008/2/19

<流行している病気>
1.長岡市,見附市,三条市でA型インフルエンザが流行しています.★★★,→
2.ノロウイルスによる急性胃腸炎が流行しています.激しい嘔吐が半日から1日続きま
す.容易に脱水に陥り,外来点滴が必要になる場合があります.★,→
3.ロタウイルスによる急性胃腸炎が流行しています.発熱,嘔吐,頻回の下痢,白色便が
主症状です.★,→
4.アデノウイルスによる急性胃腸炎が流行しています.頻回の下痢,白色便が主症状で
す.★,↑
5.溶連菌感染症が流行しています.発熱,咽頭痛,発疹が主症状です.★★★,↑
6.水痘(みずぼうそう)が流行しています.全身皮膚に水疱が生じます.★,→
7.伝染性紅斑(りんご病)が流行しています.頬,腕,脚に紅斑が生じます.★,→
8.マイコプラズマ感染症が流行しています.肺炎を起こし,気管支喘息の発作を誘発し
ます.★★,↑

★ 患者数が少し,★★やや多い,★★★多い,★★★★かなり多い,★★★★★爆発的に多い
↓先週より減少,→同程度,↑増加


<溶連菌感染症流行中>
2008年2月,当院周辺では「溶連菌感染症」が流行しています. 溶連菌感染症とは,溶連
菌という細菌が感染して,のどの痛み,発熱,体や手足の発疹,嘔吐などの症状がでる病
気です.舌はイチゴのようになります.ただし,すべての症状が揃うわけではありませ
ん.また,溶連菌は伝染性膿痂疹(とびひ)の原因にもなります.学校,保育所,家庭内など
で,比較的よく2次感染が起こります.

溶連菌は何種類もあるので,何度でもかかります.ウイルス感染症と違い,終生免疫では
ありません.溶連菌がのどの粘膜に付着しやすい体質のお子さんは,繰り返しかかるよ
うです.

溶連菌感染症のあとにリウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことがあるので,きちんと
した診断と治療が不可欠です.

のどの迅速検査で溶連菌がいることがはっきりしたら,抗生物質を服用します.1日か2
日で熱が下がり,のどの痛みも消えます.途中でくすりをやめてしまうと再発します.く
すりをきちんと服用しないとリウマチ熱や急性糸球体腎炎が起こることがあるので,指
示通りに最後まで服用することが大切です.

溶連菌感染症に対して,当院では,原則としてセフェム系抗生物質の10日間投与を行っ
ています.小児呼吸器感染症ガンドラインではペニシリン系抗生物質を第1選択薬とし
て推奨しています.しかし,ペニシリン系抗生物質は苦いために服薬しづらいこと,服薬
がおろそかになると除菌率が悪くなること,服用開始7日目くらいに薬疹が出現するこ
とがあることなどから,採用していません.2007年秋の日本小児感染症学会で北海道に
おける大規模スタディの結果が発表されましたが,ペニシリン系よりもセフェム系抗生
物質の除菌率が優れていると報告されていました.最近,セフェム系抗生物質5日間投与
で十分という説がありますが,同スタディでは5日間投与では不十分,10日間投与が必要
という結果でした.

溶連菌感染症は,経験的に同胞間で感染しやすいことが知られています.以前は溶連菌
に罹患した本人の兄弟姉妹に一律に抗生物質の予防投与が行われていましたが,現在は
原則として不要と考えられています.前述した北海道における大規模スタディでは,兄
弟姉妹全員に抗生物質を投与しても投与しなかった場合に比べ溶連菌感染を僅か2%し
か減らすことができず,兄弟姉妹への投与は不要と結論しています.当院では,兄弟姉妹
には受診していただき,近日中の発熱や咽頭痛などの症状の有無を確認し,咽頭所見を
観察し,必要に応じて検査や投薬を行っています.兄弟姉妹に対する一律の抗生物質投
与は不要と考え,行っていません.

溶連菌感染症は昔からある病気です.抗生物質が十分になかった数十年前には,満足に
治療を行うことができませんでした.成人の「心臓弁膜症」や小児の「腎臓病」の多く
は,溶連菌感染症後のリウマチ熱の後遺症や急性糸球体腎炎だったのです.現在は迅速
診断キットや抗生物質があるので,適確な診断および治療を行うことが可能です.どん
なに優れた迅速診断キットや抗生物質があっても,最も大切なのは「医師の目」です.

お子さんが発熱,発疹,のどの痛みなどの症状を訴えたら,必ず小児科医を受診してくだ
さい.なお,小児科標榜=小児科医ではありません.十分ご注意ください.こどもが病気に
なった場合には,きちんとトレーニングを受けた「日本小児科学会認定小児科専門医」
を受診しましょう.
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