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ぞうさん通信 2007.10.23

発行日: 2007/10/23

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ぞうさん通信 2007.10.23
はしもと小児科ホームページ http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/


<流行している病気>
1.マイコプラズマ感染症が流行しています.咳が続きます.肺炎を起こし,気管支喘息の
発作を誘発することがあります.★★,→
2.百日咳が長岡市,見附市で発生しました.頑固な咳が続きます.★,↑
3.急性鼻炎が流行しています.鼻汁が主症状です.★★★,→
4.急性咽頭炎が流行しています.1-2日の高熱が主症状です.★,→
5.急性胃腸炎が流行しています.嘔吐,下痢が主症状です.★★,↑
6.ヘルパンギナが流行しています.1-2日の高熱,咽頭粘膜疹が主症状です.★,→
7.気管支喘息のお子さんの調子が悪いようです.★★★★,→

★ 患者数が少し,★★やや多い,★★★多い,★★★★かなり多い,★★★★★爆発的に多い
↓先週より減少,→同程度,↑増加


<子宮頸癌予防ワクチン>
日本は先進国ですが,残念なことにワクチン接種については遅れています.「ワクチン
貧国」「ワクチン小国」と言っても,決して言い過ぎではありません.多くの先進国お
よび一部の中進国で当然のように接種が行われている水痘(みずぼうそう)ワクチンや
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ワクチンは,日本では標準的な接種プログラムには組み
込まれておらず任意接種の扱いのままです.諸外国では不活化ポリオワクチンが導入さ
れていますが,日本では経口生ワクチンを使用しているなど,問題点が山積していま
す.日本で導入が遅れているワクチンはいくつかありますが,そのひとつが「子宮頸癌
予防ワクチン」です.

1980年代に,子宮頸癌の組織から,ヒトパピローマウイルス (HPV:human papilloma
virus) が検出されました.それ以後研究が進み,子宮頸癌発生の初期段階にHPVが関与
していることが明らかになりました.HPVのほとんどは性交渉で感染します.HPV感染者
の全員が子宮頸癌になるわけではなく,90%の女性は感染しても発病しません.HPVに
は100以上のタイプがありますが,16型と18型が子宮頸癌の60-70%に関与しています.

日本では,年間7000人の子宮頸癌患者が発症し,2400人が死亡しています.性交渉の低年
齢化により,10-20歳代のHPV感染者が増加しています.HPV感染から子宮頸癌発症までは
約10年かかるため,30歳代の子宮頸癌患者が増加しています.検診の普及や細胞診によ
る早期発見などにより子宮頸癌の死亡率は下がって来ましたが,ここ数年は横ばいのた
め,さらなる死亡率の低下には子宮頸癌予防ワクチンの普及が必要と考えられていま
す.

子宮頸癌予防ワクチンの開発では,米メルク社と英グラクソ・スミスクライン社の欧
米2社が先行しています.

メルク社の「ガーダシル」は,HPV6型,11型,16型,18型に対する4価ワクチンです.16型
と18型は子宮頸癌と外陰部や膣の前癌症状を,6型と11型は尖圭コンジローマ(=性器の
イボ)を引き起こします.接種方法は0カ月,2カ月目,6カ月目の3回接種です.アメリカ合
衆国食品医薬品局(FDA)が審査した臨床試験のデータでは,HPV16型,18型に未感染でワ
クチン接種を受けた女性(16-26歳)では子宮頸部,膣,外陰部の前癌症状を100%予防
し,HPV6型,11型,16型,18型に未感染で接種を受けた女性では子宮頸部病変を95.2%,尖
圭コンジローマを99.1%予防しました.アメリカ合衆国におけるガーダシルの接種対象
は9-26歳の女性です.オーストラリアでは男性(9-15歳)も接種を受けられます.男性が
接種を受けた場合には,HPV6型,11型感染による尖圭コンジローマの発症を予防する効
果があります.男性は接種を受けても子宮頸癌の発症予防効果は当然ゼロです
が,HPV16型、18型の感染予防により性交渉による女性への感染を防ぐことができるた
め,理論的には女性の子宮頸癌の発症リスク低減に間接的に寄与します.

グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」は,HPV16型,18型に対する2価ワク
チンです.サーバリックスは,免疫反応を増強するためにアジュバントとしてアルミニ
ウム塩が添加されています.このため,HPV16型,18型に対する抗体価を長くかつ高く維
持します.HPV16型,18型による感染が原因の前癌病変に対し,4年以上,100%の予防効果
が認められています.

日本における子宮頸癌予防ワクチンの実用化は,まだ数年先のようです.アメリカ合衆
国におけるガーダシルの接種対象が9-26歳の女性であるように,性交渉年齢に達する前
に接種を行うべきです.将来,日本で実用化された場合には,小児期に接種を行うことも
十分に考慮されるべきでしょう.
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橋本尚士(はしもとなおし)
*はしもと小児科
〒954-0112 新潟県見附市上新田町449-7 
TEL0258-61-2400 予約専用61-2401 FAX61-2402 E-mail naoshi@po.next.ne.jp 
URL http://www.mynet.ne.jp/hasimoto/ 
メールマガジン「ぞうさん通信」発刊 
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*新潟大学医学博士,日本小児科学会認定小児科専門医,日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
(2007年4月より,日本アレルギー学会認定アレルギー専門医の屋外広告が解禁されました.) 
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