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染織工房studio-taoが発行する、アジアの布と工芸の紹介マガジン。マニアックな情報からファッションまで、幅広い話題をお送りします。




「アジア布通信 第52号」 2005/12/16

発行日: 2005/12/16

2005/12/16*
   ☆・゜・。・゜★☆・゜・。・゜★☆・゜・。・゜★
          
         アジア布通信 第52号
               「墨染」
               
           ◆studio-tao.com◆
                 http://www.studio-tao.com/

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    みなさんこんにちは、studio-taoのあずさです。
   今年も残りあとわずか、いつもながらあっという間の一年でした;;

   個人的には、今年は1995年以来の思いっきり密度の濃い年だったような...
   皆さんにとっては、どんな1年でしたか?

   △△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

    さて、年末年始のこの時期、年賀状や書初めなど、
   普段はあまり使わないかたも”墨”にふれる機会が多くなりますね。
   
   ◆ 水墨画の世界では、古くから「墨の五彩あり」といわれ、
    墨の色を「清」、「淡」、「重」、「濃」、「焦」の5段階に分けます。

    同様に、日本の伝統色である「墨色」も薄い灰色から漆黒まで、
    幅広い色相を表します。
   
   ◇ 小倉百人一首の中に、
    「おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に 墨染の袖」
    という歌があります。
    作者は前大僧正慈円という比叡山のお坊さん。
    浮世の民衆を仏法の力で救おうという決意を詠んだ歌だそうです。

    ここで言う「墨染」は「墨色」の中でも、
    特に墨汁の色に近い濃い黒だったと考えられています。
    この色は、もっぱら僧衣や凶事の服装に使われました。

    源氏物語の中でも、濃い鼠色を表す「鈍色 にびいろ」とともに、
    「墨染」についての記述が多く見られることから、
    平安時代には、一般的に使われていた色だと思われます。

   ◆ 日本における墨の歴史は古く、
    邪馬台国の時代(紀元3世紀ごろ)の土器からも、
    墨で模様を描いたと見られる痕跡が見つかっています。
    この頃の墨は、植物を燃やした後の炭から取ったものです。

    正倉院の頃には、中国、朝鮮から今の墨に近い墨が伝わり、
    奈良時代には、仏教の広がりとともに需要が増え、
    我が国でも生産されるようになりました。

   ◇ 墨は基本的には、煤と膠を混ぜて作られますが、
    松材を燃やして取った煤を使う「松煙墨」と、
    菜種や胡麻などの油を燃やして取った煤を使う「油煙墨」に大別されます。
   
    しかし、どちらも染料というよりは顔料で、
    そのままでは、なかなか布に染まりつきません。

    そのため、古来の「墨染」の色も、
    椎や榛の木、樫などの鼠色を染める雑木の鉄媒染で
    染め重ねられていたと考えられています。

   ◆ 墨を使って染める場合は、
    接着剤代わりに、豆汁や糊などを加えて、
    墨を布に定着させます。
  
    お隣の韓国でも、僧侶の服は墨染の木綿を使います。。
    染液は、普通の植物炭を細かく挽いて布袋に入れて水を加え、もみだしたものを使います。
    その中に布を入れて、よくもみこみ、最後に糊で止めます。
   
    このやりかただと、どうしても、色は落ちますし、
    ムラになりやすいのですが、
    かえってそれを楽しむ位でいいのかもしれません。

   ◇ 面白いところでは「イカ墨染め」というのもあります。
    イカ墨は、ヨーロッパでは古くから顔料として使われ、
    「セピアカラー」の「セピア」は”コウイカ”を表す言葉です。
    インクの原料としてギリシャ、ローマ時代から愛用されました。

    成分としては、髪の毛などと同じメラニン系の色素で、
    他の顔料に比べて染まりつきも悪くありません。
    しかし、そのままでは当然のことながら、臭いがすごいので、
    顔料として使う場合は、イカ墨を乾燥させて、
    粉状にしたものを溶いて使うほうがいいらしいです。

    わたしが住んでいる富山でも、
    塩辛にイカ墨を混ぜた「イカの黒作り」という
    ものすごい色の食物がありますが、
    イカ墨染めは、実はまだ挑戦したことがないのです。
    今度、勇気を出してやってみようかなと思っています(^^)

                       2005/12/16(c)Azusa Fukushima

    △△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△


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