宮崎正弘の国際ニュース・早読み |
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年) 1月5日(月曜日)
通巻第2442号
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ハマスの武器=カチューシャ・ロケットはやはり中国製だった
地上戦に突入したイスラエルの強気と国内事情
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オルメルト(イスラエル首相)率いる与党「カディマ」政権は死に体だった。
パレスチナ自治政府のアッバス「政権」は、イランが胴元といわれる「ハマス」に屋台骨を乗っ取られ、アラブ世界で、あたかも王兆銘政権の末期のごとしだった。
「ハマス」をブッシュ政権はいまもテロリスト集団と規定している。
イスラエルは二月の総選挙をひかえ野党リクードの圧勝ムードだった。
与党連立「カディマ」は前首相のシャロンがリクードを割り、野党「労働党」の一部を吸収して政権を維持するために便宜的に発足させた与党である。
リブニ外相が次期首相として内定し、秋に連立工作を進めたが失敗、二月十日、総選挙と決まった。パレスチナに強硬姿勢のリクードは、前首相ベンジャミン・ネタニヤフが人気投票で、リブニを上回っていた。
労働党率いるバラク(首相経験あり)がカディマ連立政権で国防相となり、タカ派軍事路線に傾斜したため、ここで労働党の人気も回復、リクード、労働党の復権で「カディマ」は解体の危機が囁かれた。
米国はバラク・フセイン・オバマ次期大統領が中東問題に対してほぼ白紙、外交をヒラリー・ローダム・クリントンに丸投げしようとしていた。
オバマは父親がイスラム教徒、インドネシアではイスラム教の学校に通っていた。その過去を消すために、オバマはミドルネームの「フセイン」を敢えて省略して選挙戦に臨んできた。
次期国務長官が予定されるヒラリーに新しいスキャンダルが浮上した。
夫君ウィリアム・ジェファーソン・クリントン(ビル・クリントンの本名)が世界中、とくに産油国と中国から怪しげなカネをあつめる「クリントン・イニシアティヴェ」の活動停止を条件に、ヒラリー国務長官が指名されたのだった。
ヒラリーはNY州選出の上院議員でベテランだったモイニハンの後釜、地盤を継承した。その選挙区のシュラキーズにあるデベロッパーと組んで開発工事発注に便宜をはかった疑惑が浮上したのだ(ヘラルド・トリビューン、1月5日付け)。
▲死の商人=中国製武器が中東で“活躍”
さて、こうしたタイミングを狙ってハマスはイスラエルにロケット砲撃を開始した。ロケットはエジプトとガザの「国境」に何本かの密輸トンネルを通じて大量に運ばれ、「モスク」や「大学」などに隠匿されてきた。殆どのカチューシャ・ロケットは、今回の攻撃で、中国製と認定された。
中国の「死の商人」ぶりが、またもや露呈された。
さてさて、問題はイスラエルがガザ空爆のあと、地上戦に突入し、事態の長期化泥沼化を躊躇していないのは国内の選挙事情がおおきく絡む。
げんに空爆以降、世論調査をみれば、圧倒ムードだったリクードと、カディマ率いるリブニ外相との人気が伯仲し、バラク国防相率いる「労働党」の議席も伸びそうな情勢となる。
選挙日の二月十日をひかえ、ここでフランス仲介の停戦にイスラエルが応じることはないだろう。
また地上戦のイスラエルの戦車にはPLAアッバス派が協力しており、要するにアッパス政権がガザにおいてハマスからの主導権回復を便乗して狙っていることも明らかになった。
イスラエルも、パレスチナ各派も、それぞれの秘めた思惑のもと、乾坤一擲の賭にでたのだ。
平和ぼけ日本から見れば、この中東の現実、権謀術数は理解しがたい世界だろう。
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(読者の声1)西尾幹二著『GHQ焚書図書開封2』(徳間書店)をNY紀伊国屋に注文します。
小生も日本の近代史は「ペリーの黒船来航」から始まったと思います。それ以前からポルトガル人も、ダッチも宣教で日本の土を踏んでいるが、ペリーの砲艦外交ほどのショックはなかった。
ヒラリーが国務長官ならば同じ態度でやって来る。カネの要求ならば今度こそ「ノー」と断りましょう。「不平等条約はもう結構です」とね。
本年も、ご活躍を祈って折る次第。
(隼機関、在アメリカ)
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(読者の声2)西尾幹二先生の『GHQ焚書開封』は読みたいと思いながら、まだ読んでいませんでしたので早速、読みます。
以前、どこかで「アメリカがペリ−の黒船来航以来日本に持っていた野望を、あの戦争で完結した。」と書いた文章があり、読んでいて、ああ・・そうだったのか!と納得した記憶があります。
(YK子)
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(読者の声3)日本中が、世界中が、今年は大変な年だと騒いでいます。
アメリカの時代が終わって中国の時代が来る、ドルの終焉、多国通貨時代へ移行等々喧しい限りですが、ほんとうはもっと大きな文明の変化が始まっているように感じます。
モノ、カネ、ベンリ、コウリツの時代からアセ、ロウドウ、シュウカク、ココロ、ヤスラギの時代へ。
いわゆる生活レベルは落ちるかもしれないが、人が和む、信じる、楽しむことの幸せを実感する生活が、半数の人々の願いになっていくように思います。
そんなふうに考えると、日本が持っている文化のたしなみ、技術の伝統があんがい世界の精神的リーダー、心のよすがになっていくのかもしれません。
(HS生、豊橋)
(宮崎正弘のコメント)経済方面だけの日本未来論が横溢していますが、ご指摘の生活のゆとり、文明的な余裕という意味で、われわれはもっと日本的豊饒を味わう世界を再建したいものです。
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(読者の声4)『月刊日本』1月号の貴論“やっぱりヒラリーのアメリカ”に「オバマ次期大統領をもっとも不安視しているのはイスラエルである」とあります。
イスラエルは二月に選挙を控えていて、オバマ当選でイスラエル外相のリビニが率いる与党カディマが有利となり、国防相バラクが党首をつとめる野党労働党が不利な情勢です。
そこで乾坤一擲、バラクはハマスから仕掛けてきたミサイル攻撃を口実に、ガザ地区へ一挙に大空襲をかけ、まもなく地上軍まで送り込む態勢です。
ここまでの展開になるとは誰も予測していませんでしたが、オバマ当選がイスラエルに与えたインパクトの大きさを、宮崎さんは的確に指摘されています。
恐るべき千里眼に敬服します
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント)イスラエル、ついにガザへ地上軍を投入、泥沼の長期化。突如、リクードの敗色が視野に。
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(読者の声5)以前、貴誌で紹介のあった、川口マーン恵美著『証言・フルトヴェングラーかカラヤンか』(新潮選書)の書評に触発され、同書とマーンさんの小説二冊に目通ししました。
『証言・・』はドイツ(に限りませんが)音楽界の陰湿な内幕をさらっと抉っていてマーンさんらしい明快なタッチが生きています。両指揮者の薫陶を受けたベルリンフィルの楽団員たちの家庭をマーンさんが訪れたインタビュー風景がルポ風に綴られていて楽しめます。
著者自ら撮ったスナップ写真の腕もなかなかです。カラヤン生誕百年に上梓され、今年は没後二十年。
タイムリーな作品です。
マーンさんの小説『不倫!』、『禁断』はそれぞれ1998年、2001年に上梓されています。出版社がなくなってしまったので手に入りづらい作品です。
いささか濃厚なタイトルは予断を生みます。手に取れば至ってドイツ的な理知的でストイックな恋愛小説です。
両作品の主人公はベルリン、ミュンヘンのドイツ在住の日本女性です。『不倫!』は女性から男性への切々とした91通の手紙形式になっています。『禁断』は能「求塚」(もとめつか)を通奏低音にして兎名日処女(うないおとめ)が主人公に擬せられています。
それぞれ凝った結構です。日本女性の渦巻く情念とドイツの風土が不思議に溶け合っています。両作品とも読み了えるとピュアなさらさらした粉雪のような余韻が残ります。日本男子たるもの、気軽に女性に懸想すべからず、恋愛は命懸けよ、との作者のメッセージを感じました。
(西法太郎)
(宮崎正弘のコメント)前項の『証言 フルトヴェングラーか、カラヤンか』は、静かに、しかし古典派音楽ファンに深く浸透しつつあると新潮社の担当編集者から聞いております。
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中山太郎『未来の日本を創るのは君だ!』(PHP)
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本書はヤング向けに、とくに十五歳前後の新世代を対象に、憲法をやさしく説かれ、なぜ改正が必要なのかを多くの図解、グラフを用いて解説、しかも平明な説得調に特色がある。
著者の中山氏といえば、参議院議員を二期つとめられたあと、衆議院議員7回。元外務大臣。しかも永田町では憲法改正一筋に政治生命を賭けてたたかってきたサムライ。
本当は医学博士。
『ミスター改憲』として世界的にも知られる人だが、学者的すぎて、大衆レベルでは知られていない政治家である。
いまのテレビ選挙のもとでは、なんたって選挙での当選だけが目当て、ガラにもなく「生活第一」とかアホなことを言って大衆受けを狙うポピュリズム政治家にとっては票に結びつかない改憲なんぞ口にするのもあほらしい、ということになるのだろう。
小沢某なる「永田町の不動産屋」が心底から信用できないのは、そういう理由である。
中山氏は言う。
「憲法とは国のかたち、国のこころを書き上げるもの」
にも関わらず、現行憲法はアメリカに押しつけられた、中味も日本の伝統にそぐわない、付け焼き刃の基本法でしかない歴史的事実が、まず簡単に説明される。
日本人が半世紀以上も、この役立たずの憲法を墨守している馬鹿さ加減をそれとなく諭す筆法だ。
憲法前文なるキレイゴトを羅列した「建前」、その美辞麗句は朝鮮戦争ですぐに矛盾が露呈し、朝鮮戦争で原爆使用を建言したマッカーサー元帥はトルーマン大統領によって、いきなり解任された。
美辞麗句が蜃気楼のように架空の概念であると多くの日本人は悟った。
憲法一条は天皇に関してだが、左翼はこの箇所をとばして前文と九条だけを議論し、守ろう守ろうと獅子吼する。その左翼が天皇制反対をいうのは、憲法違反ではないか。天皇伝統を改悪しようというのは、明らかに憲法の精神に反しているからだ。
本書は、女帝問題にも光を当て、さらには裁判制度、その給与と憲法との矛盾などを連続的に指摘されながら、安部政権かでようやく日の目を見た『国民投票法』を懇切丁寧に解説される。
また十八歳という国政参加の年齢規定は国際的常識であり、二十歳で初めての投票権は、日本が『遅れている』証拠と指摘される(この点を評者は首肯しがたい。日本のヤングの幼さをみても、20歳でさえ投票権を持つのは衆愚政治の危機を象徴しており、それをさらに18歳にさげるというのは、教育がしっかりしない限り時期尚早ではないか)。
さて本書を通読し、ヤングを説得する改憲の道しるべとしては最適のテキストの一つであると思った。
しかし、であるとすれば次にどういう憲法にするのか、いかなる皇室のあり方にするのか、という「国体の本義」に関してヴィジョンの提示がなく、天皇制が重要というわずか数行の示唆しかないのはまことに残念である。
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『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
定価980円<税込み>。
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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