評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日: 2008/7/16
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)7月16日(水曜日)弐
通巻第2260号
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チベット民衆への血の弾圧が北京五輪を暗くした
どの国でも五輪開催前は、株が上がった、と中国の投資家は不満爆発
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年初来45%の下落、昨秋のピーク時から55%の暴落。
これが上海株価インデックスの動きである。庶民が首を傾げるのも当然だろう。
「一般的に五輪開催国なら、どの国でも開会まで株価はあがる筈だし、実際に過去の開催国はどの株式も上昇した」。
ましてや外貨準備高が未曽有の1兆8000億ドルを突破、過剰流動性によりカネが市場に群がる。それなのに中国では株も不動産も頓挫をはじめた。
ならば、あの天文学的投機資金はどこへ蒸発したのか?
おそらく最後の博打の対象は人民元で、大幅な切り上げがあれば、そこで解約して数千億ドルのカネは中国の鉄火場から海外へ逃げるだろう。
チベット騒ぎは巧妙な情報操作と本質の隠蔽工作と弾圧で本質をはぐらかした。
あれほど開会式ボイコットを叫んでいたサルコジ仏大統領は、日本で洞爺湖サミットにでて胡錦濤と会見後、態度をがらりと変えて出席を言い出す。
都知事の鵺的行動だけを批判できないだろう。
ラサの観光は再開された。
外国人記者団が招かれラサの平穏をレポートしてきた。月並みな報告しかないのも、監視されて取材が制限されているからだ。
それはそうだろう。僧侶の大半を拘束しているのだから。
英誌『エコノミスト』(7月12−19日号)はラサよりも、青海省のチベット族自治区を取材し、驚くべき状況を伝えっている。
ロンウ村(音訳不明)はひっそりと静かで、チベット仏教寺院には人が寄りつかないほど。村を『鎖国』して、軍が統治している。大半の僧侶が拘束されている可能性を伝えている。
さて現在のチベットの支配者は誰か?
張慶黎という人物がチベット自治区党書記である。山東省兎城の人、共青団、つまり胡錦濤直系の「団派」出身である。
いまや「治蔵大臣」とも「鎮暴大臣」とも呼ばれる。
▼弾圧と開発を共存させるのが共産主義青年団のノウハウか
履歴を調べると、この張慶黎は独特のキャラを保持しているようで、団派に所属して以来、山東省を飛び出して青海省副省長、省長代理を務めるあたりから、所謂「西部」専門家と見なされ、05年には中央政府、国務院の少数民族問題担当を兼ねた。
この人物の力量がでたのは98年蘭州書記を経て、99年に新彊ウィグル自治区へ「建設兵団司令員」として赴き、辣腕を発揮したあたりからである。
新彊建設兵団とは、独自の入植で兵隊の自治区をあちこちに作って自作自衛、全十四個師団、174連隊。30万とも50万とも言われている。
これは一般の軍事力ではない。
張慶黎は04年に新彊ウィグル自治区副書記に出世した。
05年に先輩胡錦濤が嘗て支配したチベット自治区へ入り、党書記代理、06年から正式に書記となり、政治局の中央委員入りした。
チベット開発の予算が少ないと言って張慶黎は5万6000戸分の建設予算30億元を手に、29万人の住民に住居を提供した。
民政の安定のため?
これは漢族支配と自ら妥協し、目先の住居を供与されれば、それでも構わないとするチベット族(かれらを中国共産党は民族分割・分離統治の先端で駆使する。イギリスがグルカを米国がモン族を分離工作したように。一般のチベット人が直接恨むのは、この漢族と妥協したチベット族である)や、入植してきた漢族、さらには民族隔離政策のため夥しくチベットへ移住してきた回教徒らに配分された。
チベット族に恩恵を与えなくとも地域の発展と安定には寄与した。だから張慶黎は「治蔵大臣」と呼ばれるわけである。
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<< 宮崎正弘の講演会 >>
「北京五輪直前、最新中国情勢」
と き 7月17日(木曜日) 午後六時半(八時半終了予定)
ところ 大手町「産経プラザ」三階大会議室
http://www.s-plaza.com/map/index.html
(地下鉄大手町、JR東京駅)
費用 お一人 1500円(学生1000円)
主催 「正論を聞く会」(代表 三輪和雄)
どなたでも予約なく参加できます。
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(当日、会場で新刊『北京五輪後、中国はどうなる』の販売があります)
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(読者の声)昨晩の新喜楽、芥川・直木賞の選考委員会は、事前の予測通りに在日中国人女性の楊逸さんを芥川賞と決めました。
宮崎正弘さんが四年前に書かれた『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)のなかの「46」番目の予測で、「在日中国人が芥川賞を取るだろう」と明確に予見されたことが実現したわけで、その先見性はさすがですが、ご感想をお聞かせください。
(II生、奈良)
(宮崎正弘のコメント)前回、楊さんは受賞を逸しましたが、小生がその時もコメントしたように、これは時間の問題で、いってみれば「亡命文学」でしょ?
魯迅も賞とは無縁だったが、日本留学で小説の近代化を学んだ。中国人作家で初めてのノーベル文学賞を取った高行健はパリ在住、もっとも世界的に注目される鄭儀は、在米、といった風に、亡命文学の宿命です。
ただし日本の特殊性を言えば、楊逸女史は日本語で書いた、というところに特徴があります。日本語で書くと言うことは日本的思惟、日本的論理、日本的情感が理解できないと表現できる限界がありますから。
衝撃を云々する向きもあるようですが、すでに日本文学は李舜臣、丘永漢、李恢生らを産んでおり、とくにどうこうするほどの事態ではありません。
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<< 今月の拙論 >>
(1)「外国企業排斥に爆発する中華ナショナリズム」(『サピオ』、7月23日号、発売中)
(2)「自滅するか、中国」(『ボイス』、8月号、7月10日発売)
(3)「いま注目のロシアでは」(『自由』8月号、10日発売)
(4)「秒読みにはいった中国バブル崩壊」(撃論ムック223『中国が崩壊する日』所載)
(5)「四川省大地震。中国経済の落日」(『WILL』8月号、発売中)
(6)「中国の情報操作の手口全貌」(『宝島ムック』、発売中)
(7)「洞爺湖サミットで福田首相はこう言え」(『諸君!』、8月号、発売中)
(8)「愛国無罪と愛国有理」(『月刊日本』8月号、22日発売)
(9)「中国経済の腰折れ懸念」(『情報交差点』、下旬発行)
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宮崎正弘の新刊
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
http://www.ch-sakura.jp/publications/book.html?id=910
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宮崎正弘・黄文雄共著
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『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
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『出身地でわかる中国人』増刷!(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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この記事へのコメント
全2件表示日本語の奥深さと良さを確認いたしました、古いでしょうが文武の国日本、「武」をおろそかにする、「勇」を褒めない日本、普通の感覚の国に成ってほしいものです、さすれば相手も良く理解できる能力は日本人には有ると思うのですが・・・日時:2008年7月16日
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