宮崎正弘の国際ニュース・早読み |
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)6月11日(水曜日)
通巻第2215号
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綿陽市が水没の危機、いまだ去らず
次は青蔵鉄道のチベット永久凍土での沈下
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怖い話がロンドン『エコノミスト』(6月7日ー13日号)に紹介されている。
特集のタイトルは『融解するアジア』。
主眼は地球温暖化によりヒマラヤの雪が溶け始めると下流域のインド、バングラデシュ、ミャンマー、ラオス、カンボジアなどが大変の事態となるだろうという警告だが、問題は中国の項目だ。
「青蔵鉄道は青海省のゴルムトからチベットのラサへと至るが、平行して高速道路が50年代に造成され、夥しいトラックが通過した。排ガス(温暖化)によって既に永久凍土が溶け出しており、随所に道路が陥没している。また全体の道が沈んでいる」。
地球温暖化予防が洞爺湖サミットのテーマだが、
「青蔵鉄道も永久凍土の上を走っており、沈下は不可避的である」。
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(読者の声1)貴誌2214号(6月6日付け)にある貴見、「1982年に或る日米シンポジウムで、小生がこのポイント(日本の特許公開制度に機密保持条項がない)を突くと米国人学者らが一様に驚き、また通産省関係者が、そうですよねぇ、と嘆いた。爾来、四半世紀の歳月が流れ、ようやく経済産業省が動き出して、防衛特許の機密条項の検討に入った。といっても国会の論議にまでは至っていない」(以上貴論引用終わり)。
この現実をいかんとす。
財務省など役人への缶ビールとおつまみを用いたタクシー運転手接待を摘発するのも野党議員の仕事でしょうが。物事の軽重は何処。
(SJ生)
(宮崎正弘のコメント)立場の弱い個人タクシーに、たかり初めたのは財務相の役人のほうからでしょう。役人は下の者に威張ることにかけては天才的なんです。
反対に、かれらより知的レベルでは劣ると推測される政治家にぺこぺこしています。
その政治家どもが大手マスコミのちんぴら記者にぺこぺこしています。
その大手マスコミはぺこぺこしているのは誰? 北京中南海にいる異星人?
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(読者の声2)昭和元禄の御世には、三島由紀夫、そして福田恆存がおりました。正論7月号の遠藤浩一氏の連載『福田恆存と三島由紀夫の「戦後」』は恆存の『私の国語教室』を取り上げています。
『私の国語教室』の主旨は歴史的かな遣い擁護論です。
単にかな遣いを論じているものでない恆存の洞察と思索の深さには感動します。
言葉に宿る「狂気」、これを操ろうとする安直なかな遣いの改変は狂信である、と鋭く説くのです。鬼気迫る迫力があります。
恆存の説く「翻訳」の営為の本質と孤独も感動的です。
「翻訳は常に自国語によつて他国語の領土を掠め取り、さうすることによつて、自国語の語義や語法を拡張しようとする文化的・平和的掠奪行為である」と「翻訳」の本質を突くのです。
翻訳者は母国語・他国語を裏切り、その両者から裏切られる。その孤独に堪えることが自国語とその精神世界を拡げることに通じると看ているのです。
孤独に堪えて他国の文化的領土を掠奪してやるという覚悟と気概なしに、「翻訳」という行為は成り立ち得ないのです。感動します。
しかし恆存は、そして三島はそれぞれ、昭和元禄の御世を眺めて遣る瀬ない想いを抱き漠々とした心境を抱いて静かに、賑やかに逝きました。
国際社会でかつての勢いを失った日本、その平成不況の御世では、精神的な荒みが更に深く進行しています。荒みと感じないアパシーが拡がっています。
宮崎さんの仰言る通り、「白石も宣長」も居ない空っぽな空洞のような平成の御世です
(HN生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)福田全集も配本五冊目に入ります。三島全集(新しい方ですが)は、ついに置く場所がなく、友人の植田剛彦が替わりに全部購入し、事務所に飾っておりますが。。。
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(読者の声3)貴誌「(読者の声4)、しなの六文銭」様の投書についての意見です。
1.佐藤優氏の評価:しなの様は高く評価していますが、私は彼が日本の核自衛に反対しているところにロシア側の立場を見て根本的な不信感を持っています。
2.なお>或る人が「マルクスは神に直結している。彼の思想は、云わばキリスト教の土壌に咲いた徒花。神がいなければマルクスの思想そのものも生まれなかった」と述べています。鋭い省察です」とありますが、まず神はゴッドとかエホバとすべきでしょう。日本語の神概念ではないからです。
たしかにマルクスの唯物史観は、ユダヤ、キリスト教の歴史観(千年王国論)に酷似しています。
マルクスは19世紀のユダヤ人でありユダヤ、キリスト教文化の枠から出ることが出来なかったと思います。
(MARU)
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(読者の声4) ネオコンの論客ロバート・ケーガンが新作を出したようです。
その題名も『歴史の復活』。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080608/amr0806081007002-n1.htm
上サイトに在米の高浜賛氏が紹介しています。
で、6日(金曜日)のミッキー安川の番組に出演された宮崎さんが、この新刊を誰よりも早くに話題にされて解説されていました。
早耳ですが、どういうニュース・ソウスでしたか?
(GY生、水戸)
(宮崎正弘のコメント)わが“順風耳”に寄らず、じつは『タイム』(6月9日号)に出ておりました。
見所はフランシス・フクヤマの怪しげな『歴史の終わり』を皮肉って、十八年ぶりにクレムリンで軍事パレードがあり、ロシア軍国主義が復活し、中国が軍拡路線まっしぐら、まさに歴史は繰り返す、の日々という現実の認識です。
ケーガンは慧眼にも政治のリアリズムを知っているようです。
ところでこの新作、世界で翻訳がでますが(前の作品も世界24ヶ国語に翻訳されました)、我が国では、どの出版社が版権を抑えたのか、まだ小生の“順風耳”は掌握しておりません。
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(読者の声5)我が国の「H28年度食料自給率45%」との計画、何を考えているのですかね。
「農業版・「産業再生機構」の設立を望むものです。
「会社更生法」の名を変えた「産業再生機構」は、株式会社産業再生機構法に基づき、2003年3月に誕生し、2007年3月に解散しました。
もともと、産業と金融を再生させる使命を担った組織で5年間の時限組織だったのですが、約4年間の活動期間中に41件(カネボウ、ダイエーなど)の企業の事業再生を進め、約1年前倒しでの解散となりました。
その成果は、資本金500億円でスタートし、清算終了時には残余財産額940億円、
国庫納付金432億円の大幅黒字を計上しています。
再生目的とした「産業再生機構」は農業分野にも活用できれば、日本の農業はキット甦るのではないかと思います。
また夕張市の財政破綻、大阪府の財政再建問題など、このアイデアは各分野に活用できるのではないかと思っております。
農林水産省が計画中の「21世紀新農政2008」(H20年5月発行)は、民間の経営感覚をどれだけ取り入れられるかがポイントではないかと思いますがどうなるかが気になります。
上記の「21世紀新農政2008」では、H28年度食糧自給率45%
欧米では、フランス(130%)、アメリカ(119%)、ドイツ(91%)、イギリス(74%)というように、食料は安全保障なのです。
現実には、世界的な人口増、資源(含む食料)争奪戦争による諸物価の高騰を考えれば、国力が衰退していく日本では「食は最重要な安全保障」との認識が当然と思うのですが、食の輸出国のことを思いやる官僚では、こういう発想は出来ないのですね。
(愛知TK生)以上
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((((( 資料 )))))
クラスター爆弾禁止条約
平成20年 6月 2日
衆議院議員 西村 眞悟
クラスター爆弾を全面的に禁止する条約が採決された。
5月31日の報道によると、我が国は当初難色を示していたが、福田首相の政治判断で条約案への同意を決めたという。
その数日前に、東京の中野サンプラザで開かれた講演会で、クラスター爆弾の廃止についてどう思うかとの質問を受けた。私は、明確に全面禁止条約に署名すべきではないと答えた。 とは言え、首相の「政治判断」で署名されたので、報道機関の解説とは別に、以下私の観点からコメントしておきたい。
第一に思い至ったのは、クラスター爆弾禁止条約推進の国際的動きと、国内の署名に至るプロセスとも、九年前の対人地雷禁止条約締結の時とよく似ているということである。
まず国際的な動きの共通点は第一に、両条約共に子供などの非戦闘員の被害を防ごうとする人道的観点から有志国と国際的NGOにより推進されていることである。
国際的な第二の共通点は、我が国周辺諸国、つまり、アメリカ、中国、ロシア等は共に両条約に参加していないことである。
また国内的な共通点は、首相の「政治判断」によって署名されたという点である。しかもその判断をした首相であるが、共に百歩譲って奇妙な発言(譲らなければアホな発言)をしている。アホとは言い過ぎであれば、唖然とするほど国防を牧歌的に考えすぎている、といえる。
まず対人地雷禁止条約に関する故橋本総理と記者との会話。地雷を海岸線に敷設しなければ敵が簡単に上陸してくるのではないかと記者から尋ねられて、橋本総理は次のように答える。
「君、日本の海岸には海水浴客がいるんだよ、地雷など敷設できなじゃないか」。
(たぶん、敵の全面に水着を着た女性がいっぱい遊んでいる湘南海岸が頭をよぎったのであろう。今は亡き愛すべき橋本さんの顔が目に浮かぶ)
次に、クラスター爆弾に関する福田総理の発言であるが、子爆弾を見せられて、「これが、ひらひら空から落ちてくるの?」。
(この発言についてはあんぐり口を開けるだけでコメント不能。これが最高指揮官の発言なのであるから、自衛隊の士気を維持できるのであろうかと心配である)
これら総理の発言から伺えるのは、二人とも、我が国「国防」の基本的戦略戦術の観点から、対人地雷保有の意義、クラスター爆弾保有の意義を得心した上で、敢えて廃棄の「政治判断」をしたのではないであろうということである。
言うまでもなく、総理大臣は国防の最高責任者であるのだが。
次に国際社会の中で「人道」を掲げてイニシアティブをとる動きについて、対人地雷禁止条約(オタワ・プロセス)の際の背景を次の通り指摘しておきたい。
似たり寄ったりだから、クラスター爆弾廃止条約(オスロ・プロセス)の背景分析の参考になると思う。
旧ユーゴスラビアに展開したカナダのPKO部隊が現地の女性に対して集団暴行を加えるという不祥事を起こす。カナダ政府は直ちに部隊を本国に召還して解散する。その後、此の不祥事によって失墜した国際的評価を挽回するためにカナダ政府はカンボジアなどで子供の被害が続いている対人地雷の全面禁止条約の旗を掲げる。
これが「人道的な」オタワ・プロセスの始まりである。
此の時、カンボジアなどに埋設された地雷による子供たちの被害が世界中の同情を集め、英国皇太子妃のダイアナさんなども盛んに地雷除去に取り組んでいることが報道されていた。(もっとも、地雷よりも交通事故によって死傷する子供の数の方が圧倒的に多いのであるが自動車廃止条約の動きはなかった)
ところで、此の対人地雷禁止条約では、地雷の除去義務は地雷を敷設した国にではなく、地雷が敷設されている国にある。
そこで現在もっとも多くの地雷が敷設されている地域は何処かと探すと、それはエジプトの西方エルアラメイン地域で、敷設した国はイギリスであった。
ここは、第二次世界大戦におけるドイツ軍とイギリス軍の激戦地であり、ここにイギリスは数千万発の地雷を敷設したまま現在に至るも放置しているのである。
これはカンボジアとは文字通り桁違いの多くの地雷である。ここで地雷の事故が起こらないのは危険すぎて人が住めないからである。この意味で人が住めるから時々事故が起こるカンボジアの方が牧歌的といえる。
イギリスはこの条約に署名することによって、敷設した膨大な地雷除去の義務から解放されたのである。
確かに戦闘が終わり平和が訪れてから埋設された地雷(主にカンボジア)やクラスター爆弾(主に旧ユーゴ)によって、子供や民間人が死傷することを防がねばならない。
これを防ぐために一番手っ取り早い方法は、その兵器を無くすことである。交通事故を無くすには、世界中で自動車を全面廃棄すればよいのと同じである。
しかしながらこの人道主義の理想に従うだけでは国防は成り立たない。国防不能となれば、そもそも人道主義が成り立たない。
「国防は最大の福祉である」からだ。
クラスター爆弾が無くなっても当面、国防上の脅威を感じない北欧やイギリス、フランスそしてイタリアなどの諸国とは我が国の位置が違う。
既に述べたように、我が国の周辺国はすべてクラスター爆弾も対人地雷も保有し続けているのである。ついでに言うなら生物化学兵器も造り続けている。
従って現在の時点において、我が国だけが地雷に続いてクラスター爆弾も放棄して、どうして国防が成り立つのであろうか。
我が国国防の柱は、日米同盟による日米両軍の共同対処であるが、果たして対人地雷もクラスター爆弾も無い日本軍(自衛隊)との共同戦闘行動をアメリカ軍が行うであろうか。
地雷やクラスターがあれば出なくてもよい死傷者がアメリカ軍兵士にでれば、その時点で日米共同対処の体勢は崩壊するであろう。
つまり日米同盟解消である。
何故なら亡くなったアメリカ軍兵士の母親や家族を擁するアメリカの世論が、日本のために自分たちの子供が戦うことを拒否するからである。
さて九年前に発効した対人地雷禁止条約の国会における承認に関しては、衆議院では西村眞悟、参議院では故田村秀昭議員の合計二名が反対した。
あとは、全会一致の承認であった。
この度のクラスター爆弾禁止条約の国会承認に関する私の態度は決まっているが、自民・民主という各党はどうするのであろうか。
国防という問題で、内部の議論を押さえ込んで今回も地雷の時のように「全会一致」の賛成なら、この思考停止の政治体制自体が既に我が国の危機であり、我が国危うしである。
国家再興の為に、政界再編が不可欠である。
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(三島研究会、国防研究会合同「公開講座」のご案内)
6月17日、高山正之氏の公開講座は下記。
『サダムは偉大だったが、スーチーは悪女だ』
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