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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日: 2007/11/19
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 11月19日(月曜日)
通巻第2005号
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党大会の人事からみれば、あれは「胡錦濤の大敗」
利権収奪、富の強奪の権化が「目明かし」と「裁き」のボスも兼ねた
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▼第十七回中国共産党大会を人事の視点から総括してみると、胡錦濤の「大敗」。旧上海派、江沢民残党の勝利である。
中国共産党第17期中央委員会第1回総会は党大会終了直後に開かれ、中央委員204人、同候補166人が出席した。
総会は中央政治局委員、中央政治局常務委員会委員などを次のように選出した。
中央政治局常務委員会委員=胡錦涛、呉邦国、温家宝、賈慶林、李長春、習近平、李克強、賀国強、周永康(序列順)。
中央政治局委員=王剛、王楽泉、王兆国、王岐山、回良玉(回族)、劉淇、劉雲山、劉延東(女性)、李源潮、汪洋、張高麗、張徳江、兪正声、徐才厚、郭伯雄、薄熙来。
中央書記処書記=習近平、劉雲山、李源潮、何勇、令計画、王滬寧。
中央軍事委員会主席=胡錦涛。副主席=郭伯雄、徐才厚。委員=梁光烈、陳炳徳、李継耐、廖錫竜、常万全、靖志遠、呉勝利、許其亮。
中央規律検査委員会書記=賀国強。
これで次期総書記の最有力は「太子党」の習近平となり、「団派」こと、共青団期待の李克強は、次期首相候補の最前列にいることが分かった。
ついで中国共産党は政治局常務委員に昇格した習近平の後任の上海市党委書記に、兪正声・湖北省党委書記を充てた。
兪正声も典型的な「太子党」の一員で、父親は初代天津市長を務めた兪啓威。かれは紹興産まれで、この点では周恩来、魯迅とおなじ紹興酒人脈。愈は02年から政治局員。第十七回党大会直前まで常務委員への昇格が高い可能性で噂されていた。
愈正声はハルビン軍事工程学院卒業後、電子工業省や山東省の工場勤務の経験があり、煙台市、および青島市党委書記、中央政府の建設相を勤め上げ、2001年から湖北省党委書記に昇格していた。
湖北省といえば、省都は武漢。北は河南省、東は安徽省、南東部と南部は江西省と湖南省、西に重慶市、北西部は陝西省と隣接しており、加えて長江、漢江の二大水系にまたがり、水利にはめぐまれ、経済発展が著しい。
重慶の王洋は広東省書記に栄転し、空席を商務大臣の薄き来が埋めることも決まった。各省人事の玉突きは、派閥均衡のもとに進んでいるが、巨大行政区、経済特区をかかえて予算が潤沢なところに実力者が配置される傾向になる。
▼ この執行部では改革どころが、ヤクザの取締も難しいだろう
ともかく中国共産党新執行部の公安、規律、法務を「太子党」と「上海派」が掌握した。
「団派」(共青団)の、もうひとりの出世頭で、李克強のライバルは李源潮(江蘇省書記)だが、予測通りに政治局員に滑り込んだ。
その李源潮が、「中央組織部長」に就任した。これは胡錦濤の権力地盤強化、共青団の躍進などと分析するメディアが多いが、その見方は甘く、一種の危険がともなう。
李源潮はたしかに李克強と並んで「明日の指導者」と待望された時期があり、胡の子飼いのライバル二人、次期総書記レースの主人公に擬せられた。
李源潮は共青団のエリートだが、これまた「太子党」なのだ。上海復旦大学数学科卒業、父親は李干成。文革前の上海副市長である。だから李源潮は共産党幹部高層に青年時代から顔を売ってきた。
李源潮が江蘇省書記時代、太湖の青藻汚染が世界に喧伝された。美しい湖、観光資源がすっかり汚染され、異臭を放ち、誰も寄りつかなくなった。しかし李源潮はこの責任をまったく追及されず、安穏に出世をはかれたのも党高官に知り合いが多く、お互いにかばい合う「太子党」という側面が強いからではないのか。
他方、たしかに共青団人脈が強く、とくに李源潮は胡耀邦、胡馨立らの考え方(改革派)に近い。したがって「組織部長」就任は、上海派からも太子党からも反発はなく、いわば共青団人事というより、三派連立(団派、上海派、太子党)のための妥協の産物ともいえる。
共産党の支配構造のなかでの組織部長とは部長、省長、副部長、副省長の任命権限がなく、これらは政治局常務委員会の専管事項である。
公安をおさえてきたボス=周永康の常務委員入りを機に各ポストの玉突きが起きた。
新公安部長に江沢民派・黄菊系の孟建柱(現江西省党委員会書記)が就任した。
孟建柱は江蘇省出身で60歳。91年に上海に赴任、93年副市長を経て、2001年から江西省書記についた。上海時代に薫陶をうけたのが江沢民の子分だった黄菊(上海市長から政治局常務委員。ことし六月に死去)だった。
犯罪、とくに汚職、腐敗取締の元締めが周永康から、この孟建柱になる。
トなると、上海派の汚職摘発は一体、なんだったのか。
かくして中国共産党新執行部が出そろったが、公安、規律、法務を「上海派」が掌握し、換言すれば、税金泥棒、腐敗の権化どもが、「裁判官」と「目明かし」も兼ねるという、この不条理。まさに歴代王朝の腐敗に酷似してきた。
もし日本のメディアが胡錦濤を「改革派」とか「中国のゴルバチョフ」を期待しているとすれば的はずれであり、旧上海派(江沢民残党)と太子党に挟まれて、党大会は、胡錦濤にとっては人事戦争における「大敗」だったと言えるのである。
○◎み◎や◎ざ◎き◎○ま◎さ○ひ◎ろ○◎
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(読者の声1)『ボイス』12月号の巻頭グラビアの一枚目を、キャプションを読まず、まず写真に眺め入ったので、未公開の三島写真かと思い違いしてしまいました。(あはは)
『月刊現代』12月号の巻頭グラビアは上田別所線の電車です。
私が小学生にあがる前までは、強盗ケイタが上田に東急グループの電車を四通八達させ、故郷に錦を飾っておりました。しかし彼の実際の故郷は、江戸時代百姓一揆発生数全国一と言われた上田から松本へ抜ける辺鄙な山間の青木村。バス便とモータリゼーションの発達で昭和四十年代にどんどん廃止され、今残るは上田と別所温泉を繋ぐ三セクの別所線だけとなりました。
上田には新幹線も停まりますから採算があっているのでしょう。上田には奈良時代に建てられた国分寺跡があり、「別所」の地名は鎌倉時代に政争に破れた公達が配流されたことに由来しますから古くからひらかれた地域です。田舎の父から信州は今錦秋との知らせがきています。
(NS生、横浜)
(宮崎正弘のコメント) いまから二十年ほど前になるのか。上田から真田村へ。近くの砥石城へ登りました。すごい急傾斜、てっぺんの石垣を絶壁をのぼるように這いあがると猫の額ほどの広場で弁当をたべているハイカーが三人。驚きましたね。
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(読者の声2) 貴誌2003号の現代中国の解明はその通りでしょう。
問題は、こうした現実を自らバイアスをかけて見るから実際が見えなくなる中国研究者。それを不思議としないボケ。
投書の(MC生、目黒)の見方に小生も賛成です。
あれは国ではなく、「一つの宇宙の生命体」。かねて、小生は世界と考えていましたが、MC生の方の見方の方が深いと脱帽しました。SFにある宇宙からの別の生命体による地球への攻撃が、実際に展開されていると考えればいいわけで、より鮮明に現在がわかります。
李登輝についての貴台のコメント「日本の保守陣営における李登輝崇拝現象は、小生からみると『疑似英雄待望』の心理的文脈から理解できます。この時代に高き理想と道徳を堂々とかたり、正義と国家百年の大計を獅子吼する政治家が戦後の日本に不在ですから。」
この見方も賛成。対象へのこの距離感覚、実にいい。益々冴えており感嘆することしきりです。
(SJ生)
(宮崎正弘のコメント) 冴えているのか、冷淡なのか。よく分かりませんが。。。
李登輝閣下は先週お目にかかったときは、たいへんに意気軒昂とされてました。
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(読者の声3)『「百人斬り訴訟」裁判記録集』刊行報告ならびに「中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会」激励の集い、が開催されます。
記
☆とき/ところ
11月28日(水) 午後2時〜昇殿参拝(靖国神社)15分前までに参集殿にお集まりください 午後3時〜報告集会(靖国会館)
☆玉串料
1000円
☆問い合わせ先
「百人斬り訴訟を支援する会(会長・阿羅健一)」高池法律事務所気付)
TEL.03-3263-6041
(KA生)
(宮崎正弘のコメント)正論別冊(『正論別冊』8号)に百人切り訴訟主任弁護士だった稲田朋美衆議院議員と平沼赳夫氏との対談があり、読み応えがありました。
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この記事へのコメント
全2件表示平成19年(2007年) 11月19日
通巻第2005号
党大会の人事からみれば、あれは「胡錦濤の大敗」>について
大連の友人に聞きました。
「独裁国家であるからトップが全権を持っている。少なくとも政治局委員の半数を押さえている。あとは相手の面子を立てて員数合わせをしているだけ。外国は江沢民を買いかぶりすぎ、現在は彼にそれほど力はない」と言っていました。
とと生 練馬
日時:2007年11月20日
日中共同の「敵」江沢民が未だ権力を維持していると言う事でしょうか?
日本の国内も滅茶苦茶な状況にある様な気がしています。安倍政権の反動でしょうか?左の危機感でしょうか?良く判りません。日時:2007年11月19日
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