評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日: 2006/12/18
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年) 12月18日(月曜日)
通巻第1651号
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中国に原子炉高度技術を供与するのは米国なのか、日本なのか
WH社は東芝が買収したメーカーであり、対中国輸出に問題があるのでは?
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中国が原発増設プロジェクトでウエスチングハウス(以下「WH」と省略)から技術導入を決めた。
これは中国国家発展改革委員会が北京訪問中の米国政府使節団との間でWH製原力発電所「AP―1000」四基の建設を発表したもので、極めて大きなニュース
発展改革委の馬凱主任がボドマン・米エネルギー長官と北京で調印した。
日本のメディアの大半は「米WH、中国進出」というニュアンスで伝えた。
どっこい、WHの親会社は東芝である。
今年九月、米連邦取引委員会(FTC)は東芝のWH買収を承認している。国家安全保障上、問題はない、というお墨付きをえたのだ。
かつて東芝は1980年代の日米貿易摩擦のおりに攻撃のターゲットとされた企業で、議会人がテレビカメラをあつめて、東芝のラジカセをハンマーで壊したいわくがある。
東芝は米国で外国企業として安全保障上問題があるか、どうかの審査を堂々とパスし、また対米外国投資委員会(CFIUS)が承認、独占禁止法上の審査も完了している。
中国の電力不足は深刻で、いまも発電の70%が石炭、2015年までに原発をあちこちに導入しても全発電の4%に達するか、どうか。
西側の原発メーカーは今後の中国経済の発展性に目を向けて、従来のロシア、フランスを越えて大型商談を進めてきた。
東芝は2015年を目処にWHを含める原発事業を二倍近い規模に引き上げる計画という。
とくに東芝はWHの「加圧水型軽水炉(PWR)の新型(出力百万キロワット級)を世界的に拡販する計画をもち、総額一千億円の社債を発行し、WH買収資金(五千億円)のための借入金を借り換える。
▼やっぱり米国の論調は技術の漏洩を懸念している
さて米国の論調を見よう。
「東芝の米国関連企業が中国の原子炉ビジネスに勝利」というのが見出しだ(ヘラルドトリビューン、12月18日付け一面)。
「東芝」はあるが、WHの名前が見出しにはないのである。
記事を読むと「純粋に米国製GEを中国は巧妙に排除した」とし、しかしそれでも「この契約が成立すれば、契約総額80億ドルの半分は米国のデザイン、エンジニア、製造過程の仕事になる」と半ば前向きではある。
一方で、資源および安全保障ナショナリズムが強い連邦議会には、「87年に東芝はココムに違反してソビエトに禁止技術(宮崎注 潜水艦のスクリュウ消音技術)を売り渡した前科がある」と批判の声があり、中国に対しての技術供与の詳細が透明ではないとして非難が高まっている事実も伝えている。
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<< 今週の書棚 >>
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樋泉克夫『華僑烈々 大中華圏を動かす覇者たち』(新潮社)
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華僑研究の第一人者は樋泉克夫教授、久々の華僑の活躍する第一線の現場からの報告である。
前作は十三年前にでた『華僑コネクション』(新潮選書)だが、「それ以来のアジア経済の躍進ぶりに」、筆者自身が驚きと簡単の声を挙げる。
むろん香港財閥トップの李嘉誠から台湾の辜振甫、かつて東洋の海運王といわれた包玉剛ら、無数の魅力的な人々が登場している。
教授は香港留学後、タイにもつとめ、海外生活が長い。現地の華僑の活動をつぶさに見てきた。
また中国、台湾、香港、マカオ、シンガポールのみかわ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、日本、アフリカ、オランダ、タイで活躍する華僑らの全貌を細かく追跡した労作中の労作である。
たとえばタイ。前首相のタクシンは明らかに華僑で客家人の末裔だが、父親は元下院議員、夫人も客家系である。
フィリピンのコハンコ財閥は漢字名が「許」。福建省アモイから海を渡った。
コラソン・アキノ未亡人も華僑の末裔である。
さらに巻末に人名索引が丁寧に賦されており、これは華僑人名事典でもある。
労作の完成に乾杯!
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井上隆史『三島由紀夫 虚無の光と闇』(試論社)
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三島研究第一人者のひとり、井上教授の近作。三島論を集大成し、「もっとも新しい三島由紀夫を問う」とする問題作。
井上教授は山中湖の三島文学館の研究員も兼ね、佐藤秀明教授らとともに幾多の新発見を世に送った。この論評はいずれくわしく。
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濤川栄太『日本の決意』(ヒューマン・アソシエイツ)
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熱血の教育者として知られる濤川栄太「新松下村塾」塾長が、教育に深いメスを入れた新刊を出された。
第一章にある「美しい国をつくる美しい日本人」のなかに「切れ者・聖徳太子」「日露戦争に見る美しい軍人」「真の外交官・昭和天皇」などの項目が並ぶ。
第三章は「真の国家戦略を問う」と題されているが、「日本の外交の未来はインド」や「核論議を興すだけでも抑止力になる」などユニークな見解のなかに「ダライ・ラマに学ぶ防衛論」という項目がある。
注目したのはダライ・ラマ法王が「日本が核を保有することは必然のことであり、保有国だけが核兵器を持つが、ほかには許さないというのは不公平、不合理」と論破。また「グローバリズムは歴史の必然であり、しかしEUが統合しても、ヨーロッパ各国にはそれぞれのアイデンティティを喪わないように、グローバリズムとナショナリズムは矛盾しない」と指摘されている箇所だった。
ほかにも熱血がほとばしる文章が並んでいる。
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(ツンドク状況を避けるため上記三冊を簡潔に紹介しましたが、いずれ日を改めて書評の予定です)。
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<<今月の拙論>>
(1)「台湾の親日派vs反日派」(『サピオ』、12月27日号)
(2)座談会「中国といかにつきあうのか」(西部遭、林健良、前田雅之氏らと。司会富岡幸一郎氏)(『表現者』、07年月1月号)
(3)「陳水扁総統へのネット会議インタビュー」(『自由』正月号)
(4)「暴発する北朝鮮」(『アクタス』12月号、北国新聞社から発売中!)
(5)「大揺れの台湾政治状況」(『正論』2月号、12月25日発売)
(6)「こういうシナ通がいた(3)」(『月刊日本』、1月号、12月22日発売)
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(休刊のお知らせ)海外取材のため12月20日から25日を休刊します。
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下記の著作は下のアマゾンのサイトからもご注文できます。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_b/250-2781541-1256240?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%8B%7B%8D%E8%90%B3%8DO&Go.x=9&Go.y=12
<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、発売中)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店、発売中)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書、品薄)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、同上)
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
『拉致』(徳間文庫、旧題『金正日の核弾頭』を改題、文庫化。品薄)。
(宮崎正弘の三島由紀夫関連三部作)
『三島由紀夫の現場』(並木書房。最新刊発売中!)
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、注文すれば入手可能)
『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』(清流出版、絶版)
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