トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析




宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日: 2006/12/10


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成18年(2006年) 12月10日(日曜日) 
通巻第1643号    
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△ 

 台湾二大市長選挙、高雄は本省人が最後の底力を示し、競り勝った
  窮地の民進党、当面の責任問題を回避。
****************************************

 台北市長は予想通り、国民党が勝利。大物の宋楚輸は惨敗した。
 民進党は、前回より得票をのばした。本省人の底力が土壇場で出た。謝長挺は落選とはいえども、得票をのばした功績があり、つぎの総統候補有力者として政治的に生き残れる。

 さて、高雄市長選挙。
民進党の牙城と言われた選挙区だけに、ここで国民党が奪回となれば民進党執行部総辞職になる、と言われた。
 実際に遊主席も、蘇首相も「もし高雄で負けたら辞任する」と会見し、文字通りの背水の陣で臨んだ。

 高雄の民進党候補者は陳菊(元労働大臣)。“肝っ玉かあさん”のイメージで庶民的。
 陳水扁総統は終盤に二回現地入りしたばかりか、前市長で、こんど台北市長候補にまわった謝長挺(前首相)も、自分の選挙を放りだして、高雄入りした。

 それでも終盤(12月5日)の世論調査は、0・27ポイントで国民党がリードしていた(『自由時報』、12月6日付け)。
 実際に9日の投票結果は0・14ポイント。歴史上まれな競りがちだった。

 当面、陳水扁政権は安定を得た。
     ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    
<< 今週の書棚 >>

   ♪
渋澤龍彦、龍子・共著『渋澤龍彦の古寺巡礼』(平凡社コロナ・ブックス)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 渋澤龍彦が憑かれたように古寺巡礼の旅に出かけ始めたのは三島由紀夫の死後だ。
それも夫人の回想に依れば、晩年は突如物の怪に憑かれたように古寺巡礼を続け、一つ仕事が終わると自分への褒美のように、旅立ちを楽しみにしていたと言う。若狭、湖北、奈良、熊野。そして山口に雪舟の庭を見に行く。
 となれば「古寺巡礼」ではなく「三島由紀夫巡礼」。
 うーん。
 渋澤が尋ねたのは、三島ゆかりの京都ばかりか、『金閣寺』にでてくる舞鶴の郊外にある金剛院、『三熊野詣』では那智の滝。もちろん『天人五衰』の月修寺のモデルとなった円照寺にも。
江戸中期の画家、伊東若沖の絵に親しんだ渋澤は、その因縁深い伏見の石峰寺をなんども訪ねている。
この寺は偶然みつけたそうだが、五百羅漢の石像は「風雨にさらされて丸みをおび、苔むした、ユーモラスな羅漢たちの石の群像だ。ひっそりした寺の裏山で、暫く彼を眺めてから、私はぶらぶらとお稲荷さんの近くを散歩するのである。そのあたりはにぎやかで、焼鳥屋がたくさん並んでいて、東京育ちの私には物珍しい」(「記憶の遠近法」)。

ヴィーナスに惹かれ続けた渋澤龍彦は、日本の観音に深い共通性を見いだし、室生寺にも通う。
また『太平記』の無常観をテーマに、天竜寺、吉野山、蓮華寺、観心寺。。。
一方で渋澤は意外にも、織田信長、佐々木道誉、高師直など婆娑羅大名をこのみ、道誉ゆかりの徳源院を伊吹山南麓に訪ねた。甲良の勝楽寺にも。この二つだけは小生も行ったことがない。
三島との共通性は、花山天皇を題材に取った「花山院」(三島)という短編。渋澤も「三つの髑髏」を書いた。
三島の死後、十二年が経って渋澤は初めて『春の雪』の舞台、円照寺を訪ねている。
「散歩がてら、せめて山門までの道を歩いてみようと」した。
作品の印象は急坂で汗をかくと思われていたのに、実際に渋澤は、
「鼻歌まじりで坂道をのぼった。拍子抜けがするほど」楽な登攀で、作品のイメージと違うことに驚いている(『三島由紀夫覚え書き』)。
『高丘親王航海記』は、渋澤が晩年に心血をそそいだ貴種伝説の小説。高倉親王は空海の弟子、ゆかりの寺は舞鶴の金剛院で、山北に親王の墓がある。これは三島の『豊饒の海』に近似する力作だ。
しかも金剛院を、『金閣寺』で三島は殺人と殺人犯の自殺の場所に選んだ。
読み終えて、この本はじつに手間暇のかかった書である(というより写真集が主体だが)。
軽装な装丁でありながら、中味は重厚、この本を片手に巡礼の旅にでたくなる読者も多いだろうと思われたのだった。
 

  ♪
近藤大介『日本よ、中国と同盟せよ』(光文社ペーパーバックス)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 反語か、それとも幻像をもとめての錯覚か。
 この本の題名を聴いただけで次のような反応が小生の周辺からあがった。
 「強盗と手を組もうってのかね」
 「ヤクザと清廉日本が一緒にやれるわけがないだろ」
 「嘘つきと善人が一緒にやったら、かならず善人がだまされる」。
 いやはや。題名の与える第一印象は誤解を生みやすい。

 しかし本書を通読して、むしろ小生にはそういう親米的な懸念からくる思いや反発が不思議に湧いてこなかった。
本書に流れる基調はややもすれば情緒的であり、論理的と言うより浪漫主義的であり、小生が読みながら次々に思い浮かべたのは、なぜか宮崎滔天、頭山満、内田良平、そして石原完爾といった戦前の右翼人のことなのである。
かれらの主張が本書のテーマと二重写しになるのだ。
 そうだ。日中同盟してアメリカを撃て、と言っていたのはこれら日本の右翼人脈ではなかったのか。

 さて本書での近藤さんの主張は(1)「対等な立場」で日本と中国が同盟するべきであり、(2)中国は静かに民主化に向かっている。だから中国を「親日」にかえる努力が先である、と説く。
突破口となるのは(1)環境ビジネスと(2)北朝鮮問題への共同対応だとしている。
 「ややもすれば情緒的」とさっき指摘したのは、こうしたリアリティに即さない考え方である。
いったい日本と中国が「対等な立場」になりうるか? 
北朝鮮が六ケ国協議再開に際して、「日本には参加資格はない」と断言した理由を想いだしてみよう。
「日本は核兵器を持っていない」
「日本のような米国追随国家は主権国家ではない」。
だから日本とは話し合わないし、日本は会議への資格さえないといみじくも主張しているように、中国とのヘゲモニー争いで、「対等」な立場とは日本の核武装が前提にならなければ、この議論は成立しないのではないか。
 第二は軍が強大な権力をまもる暴力装置であり、軍をぬきに中国を語るのはイルージョンでしかない。
かくして後者の北朝鮮アプローチによる日中同盟は、幻想でしかないだろう。
 地政学的にみても朝鮮半島の帰属は、中国の意識では属国。北朝鮮問題で、武力もない日本など中国ははじめから相手にしていない。
 前者の環境装置,公害防止システムなどをめぐるビジネスは、日本企業千社がはやくも目の色をかえて「協議会」を結成するなどして算盤をはじくことだけは熱心だ。
だがドイツ、フランスなどが「対中武器輸出再開」を餌に北京に猛烈に食い込んでおり、日本が真面目に出ていっても天秤にかけられて、中国に巧妙に手玉に取られるだけであろう。
哀しいかな、貧弱な政治を展開する日本の実力、いやそれが現実であり、日中が同盟を組むときは、その前提となるには、日本の自衛力の普遍的な国防軍レベルの充実のあとの話である。


 ♪
福田博幸『中国滞日工作の実態』(日新報道)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 嘗てゾルゲは、日本の中枢に入りこんだスパイ尾崎某(当時朝日新聞記者)を操って、とうとう最後には日本の国策を変えてしまった。南進策である。
尾崎某は共産主義の信念をもって、最後に国を売った。
世紀の謀略となって、スターリンはあまりの成功にこころから日本を嗤ったのである。
 いま中国は日本の政治官界財界中枢に入りこみ、洗脳、脅迫などの工作を展開し、またまた日本の基本方針をマインド・コントロールしている。その秘密工作は半ば成功しつつある。
 ハニー・トラップも日本人のような恐妻家社会では有効だ。アラブ諸国の政治家には、このトラップは利かない(なんたって四人も奥さんをもてるブンカがあるから)。
 橋本元首相が女性スパイの介在により北京に籠絡されてことは、いまや周知の事実だが、おなじ手口でターゲットにされている対象はどこか、公安情報につよい筆者のデータは、各方面に及んでいる。
   ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌昨日付けの「読者の声」にある、「ST氏」のアイデアは秀逸です。
セブ島でのアセアン会議やらが延びたのはタイフーンやテロのせいではありませんね。フィリピン政府が会場の設営や宣言文の根回し・作成を間に合わせられなかった結果でしょう。
利権満載のオリンピックなんぞフィリピンでは千年先でも無理でしょう。東京での2016年オリンピック開催の可能性ですが、いったい誰が望んでいるのでしょう。石原一家の繁栄のための、日本国民の血税と都下法人税の據出による、運動バカの空騒ぎ。
IOCという胴元に時候のあいさつ、付け届けは当たり前。
北京オリンピックは中共政権が歯を喰いしばり人民を餓死させても呑み水がなくても灯りがない暗闇でもやらなくてはいけません。
中共ができない尻を日本に押しつけてきても鞠蹴り騒ぎの時に半島人が仕掛けた二国共催にして名分を保ち結局日本人の汗と金が流されるだけです。
大陸と安易に交わらないことこそ大和民族が子子孫孫、肝に銘じて語り伝える国訓ですから。 
       (HN生、神奈川)


   ♪
(読者の声2)このたび、日本保守主義研究会では日本文化チャンネル桜のキャスターとして御馴染みの桜林美佐先生をお招きして講演会を行います。
桜林先生はさきごろ、「奇跡の船『宗谷』」(並木書房)を上梓されました。
今回は、御著書「奇跡の船『宗谷』」についての講演をしていただきます。
なお参加者のみなさまには当日、「奇跡の船『宗谷』」(1680円)をもれなくプレゼントいたします。
席数に限りがございますのでお早めに参加の申込をお願いします。インターネットより参加申込を受け付けております。
 参加される方はhttps://secure.mynetworks.co.jp/formmail/00061299/
をクリックしてください。

演題 「奇跡の船『宗谷』」
講師 桜林美佐先生(ジャーナリスト)
日時 12月17日(日)午後2時〜4時(1時半開場) 
会場 九段上区民集会室1F(靖国神社のすぐ側です)千代田区九段南2-9-6 
定員 60名(要予約、先着順) 
会費 一般3000円、学生2000円(書籍代込みです) 
主催 日本保守主義研究会 

参加申込先は
https://secure.mynetworks.co.jp/formmail/00061299/

    ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(休刊のお知らせ)小誌は12月20日から25日を休刊します。海外取材。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>
 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、発売中)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店、発売中)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、品薄)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、同上)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、旧題『金正日の核弾頭』を改題、文庫化。品薄)。

(宮崎正弘の三島由紀夫関連三部作)
 『三島由紀夫の現場』(並木書房。最新刊発売中!)
 『三島由紀夫“以後”』(並木書房、注文すれば入手可能)
 『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』(清流出版、絶版)
    ▼
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所2001−2006 ◎転送自由。転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
頂門の一針
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
甦れ美しい日本
日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
花岡信昭メールマガジン
政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

■三菱東京UFJ銀行系 モビット■
【1】ネットで自動審査・来店不要!
【2】限度額300万円
【3】年利9.8%-18.0%(実質年率)

急な出費にモビット!

発行者プロフィール

ペンネーム : 宮崎正弘

  • 文豪三島由紀夫は「死後も成長する作家」といわれ、今日も文学、芸術、思想のあらゆる分野に亘っての研究成果が紹介される

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


注目情報


新着記事トピックス