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ふしぎ通信みちまな!
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∴∵∴みちまな、原稿用紙を考えるの巻 (第64号)∴∵∴
どもども、みちまなです。
昨日、中島敦を偲ぶ会の参加者で、集合写真を撮りました。
いつぶりだろう。楽しかったです。
写真がきたら、名前表、作らなきゃ。これって、お約束だよね。
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119)原稿用紙の升目とは何なのか。
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横浜の神奈川県立近代文学館(港の見える丘公園にある)の
吉野秀雄の生誕100年記念展と、中島敦文庫のコレクション展を
見てきた。常設展もそうなんだけど、自筆の原稿や書簡がぼんぼん、
展示してあるのだ、ここは。
「あの作家はこんな字を書いたのか〜」「達筆すぎてよめな〜い」
こちらの能力不足なのだが、なかなか考えさせられるのであった。
鉛筆で書く小学生の作文の清書と違って、ペン書きの作家の原稿は
赤鉛筆で訂正が入ってたり、途中の行がぐじゃっと線引きされていたり、
欄外に続きが書いてあったり、上から貼付けてあったり、という
荒っぽい状態のものが多い。
今のこどもに何も説明しないで見せたら「なんで清書しないの?」
「お金がなかったの?」と言いかねない。
特に不思議がるだろうな、というのが、原稿用紙の升目を無視した文字の
大きさと字数である。
「これでいいんだったら、感想文の宿題、楽だよなあ」
東京の神楽坂の紙問屋、相馬屋源四郎商店(現在も営業中)が明治の頃
売り出したのが洋紙の原稿用紙の始まりだそうだ。案外、新しい。
近代文学の作家が現役の頃は、原稿用紙が普及してそんなに経ってないから、
共通の約束ごともなくて、使い方がそれぞれだったんだろう。
筆で原稿を書いた人なら升目は使いにくいだろうし。
筆文字は大小をコントロールして全体の美しさを生みながら書くのが
本来のあり方だから、一定の大きさの升目はじゃまといっていい。
ペンでも、やはりこの流儀で書いてしまったんだろうか。
ずっとそれでやってきていたから。
原稿用紙の升目は、文字数を正確に把握するためにある。
印刷、それも文字を同じ大きさで印刷するための過程で便利だから。
原稿用紙の枚数が指定されていて書いたのではなくて、書いたあとで
あらためて数えたら、その枚数になったという時代だったのかな、とも思う。
升目の有効利用のための「原稿用紙の使い方」があり、それによって
生まれる文章作法もある。
今は、自筆なら原稿用紙を使うだろうし、テキストのソフトなら
1行の文字の大きさや数を指定(自動的な場合もある)する。
見えない升目に書いているようなものだ。
メールを書く時も「40文字以内で改行する」というルールがあるから、
1行40字の升目に書いていると言える。
升目の影響力は大きいのだ。
ただ、ここにきて、少し変わりつつあるんじゃないだろうか。
横書きのメールの普及で、1行の右側が開いてしまうのを気に
しなくなってはいないだろうか。
実際、このメルマガも「左端揃え」「段落の1文字下げはやらない」
「段落は1行開きで示す」という、縦書き原稿用紙の作法から外れたことを
やっている。(縦書きなら、上揃えをしていることになる)
もし、モニタ上に升目が見えていたら、同じ書き方ができるかどうか
疑問なのだ。つい、1文字下げ、やってしまいそうで。
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120)50年後に作品の研究はどうやってやるのか。
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標準的な研究方法として、自筆の原稿を丹念に調べて、完成までの過程を
明らかにする、それによって、作家の意図を知る、というものがある。
このためには、過程がわかる資料、つまり原稿が必要だ。
さて、今や作家が原稿をワープロソフトで書く時代。
データファイルで入稿なんてちゃちゃちゃのちゃ、なのだ。
ということは、今までの方法をそのままやろうと思ったら、
そのデータファイルを見ることになる。
しかし、もちろん、そこには完成した清書状態の原稿しか存在しない。
習作段階のデータファイルが別に保存してあれば、まだいい。
もし、その作家が「上書き保存をする」習慣の人だったら、途中の
原稿、習作段階の原稿のファイルは存在しないのだ。
また、「完成したから、それまでの段階のものは破棄する」のも、
紙だとかさばって大変だが、データファイルならあっという間に終わる。
運よく、作家の作品に関するデータファイルを全部、収集できたとしよう。
今はいい。そのデータファイル、50年後にも開けられるんだろうか。
ワープロで以前、作った文書を今、見られるかというと、そのハードが
なければ無理なのだ。それで泣いた経験のある人は多い。
OSのバージョンが上がったのに、ソフトが対応しなくなって、結局
開かなくなって、宝の持ち腐れもよくある話だ。
つまり、これからの作家研究のためには、データファイルだけでなく、
ハードも保管すること、常にデータファイルが閲覧可能かどうか確認し、
場合によっては新しいハードやOSに合わせた形の保存方法に変えて
変換すること、など、今までになかった対応が必要だということだ。
なんだか大袈裟なことになってしまうが、それでも完全ではない。
完成原稿だけが頼りになるのかな。
もしかして、近代文学の作家、昭和40年代くらいまでの作家は、
原稿の研究による作家研究を詳しくしてもらえる、希有な存在なのかも
しれない。
本人が望んでいたかどうかは別として。
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小学生の頃の原稿用紙はB4サイズ。
初めてB5サイズの400字詰め原稿用紙を見た時、
「これの方が書く時のプレッシャーが少なくて、いいよ!」って
思ったのは私だけ?
それでは!
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メールマガジン「ふしぎ通信みちまな!」第64号 2002年10月16日
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