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夜羽細胞壁。

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夜羽細胞壁。号外その12

発行日: 2008/6/30


──────────

暗い部屋に刺す光が、
一すじありました。
カーテンも硝子も突き抜けて、
夢の中にいた彼を起こしました。
その光はしばらくの間、
力を弱めることなく、
刺し続けました。
結果、
彼の頭には大きな傷が残り、
生涯消えることはありませんでした。

──────────

みんなどこかへ行ってしまって
かなしくてかなしくて
泣いてばかりいた

みんなどこかへ行ってしまって
かなしくてかなしくて
うつむいてばかりいた

やさしい声がきこえて
すこしだけかなしいのが消えたけれど
やっぱりみんなどこかへ行ってしまった
そのことだけが心にのこった

みんなどこかへ行ってしまって
かなしくてかなしくて
泣いてばかりいた

泣いてばかりいたんだ

──────────

呼びかけても返事はない
当り前か部屋には僕独り

つまらないから名前を呼んで
返事を待つけれど返ってこない

手のひらにあるのは
鳴らない電話だけだから

僕の名を呼ぶ人は
ひとりもいないから

呼びかけても返事はない
当り前か部屋には僕独り

──────────

そのまま僕は闇の中

目を開けても

瞑っていても

真っ暗で何も見えない

そのまま僕は闇の中

──────────

春の日が
やがて夏になる
秋になって
そしてまた冬が来る

時計の音だけがやけにうるさく
コチコチ、チクタク、鳴り続ける

流れていく静かな時間は
とめどなくあふれて
積もることなく
留まらない

春の日が
やがて夏になる
秋になって
そしてまた冬が来る

冬が来たら
閉ざしたドアを開ける人がいなくて
春になるまで
そのまま凍えて待つだけ

その間も
時計の音は止むことなく
コチコチ、チクタク鳴り続ける

あふれてしまった時間は
何処へも行けずに
過去になって終わる

──────────

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