首相秘書官の逮捕?:週刊アカシックレコード031024
発行日時: 2003/10/24■首相秘書官の逮捕?〜週刊アカシックレコード031024■
もし03年11月の衆議院総選挙前に、小泉首相の秘書官が、道路公団の不正にからんだ疑いで逮捕されれば、公明党は連立与党を離脱し、自民党は選挙で大敗し、民主党政権ができる。そして、その可能性はある。
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■首相秘書官の逮捕?〜「小泉内閣vs.藤井道路公団総裁」の泥沼(2)■
【前回「小泉と青木と暴力団」 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2003/jh.html > から続く。】
「03年12月の時点で日本の首相は菅直人・民主党代表」と予言してあてるのは簡単だ。あてずっぽうで言っても(小泉現首相か菅のどちらかなので)確率50%であたるのだから、そんなものは予言(予測)する価値もない。
が、「菅首相」が誕生する場合、どういう経緯でそうなるのか、を予測することには意味がある。なぜなら、それは菅内閣に参加する「連立与党」の顔ぶれを予測することにつながり、新内閣の政策も読めるようになるからだ。
●民主党、197±25議席●
政治広報センターの宮川隆義社長は、全国300小選挙区と比例11ブロックの情勢を分析した結果、衆議院全480議席は以下のようになるという(『週刊文春』03年10月30日号p.139、10月20日時点の立候補予定者のデータによる):
自 民 党 215
公 明 党 031
保守 新党 003
与党系 ※ 004
(連立与党全体 253)
民 主 党 197
社 民 党 013
共 産 党 012
野党系 ※ 005
【※ -- 選挙後に与党入りしそうな諸派・無所属の候補は与党系、そうでない者は野党系。】
以下、この宮川の予測が正しいと仮定してシミュレーションしてみる。
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宮川によると、自民党と民主党が互角に戦っている小選挙区が50あり、上記の数字は、そのうち両党が各々25ずつとるという計算に基づいている。
ということは、民主党の議席は最大増えても222にしかならず、単独過半数の241には届かないということだ。
民主党には、300の小選挙区のうち公認候補も推薦候補も立てない「不戦敗の空白区」がかなりあるので、今後、自民党政治家のスキャンダル発覚など、どんなに有利な追い風が吹いても、これ以上は増えない。
民主党はいくつかの選挙区で社民党と選挙協力をしているので、その議席を足すと235にはなるが、これでもまだ過半数にならない。
となると、総選挙後に民主党は、10月22日に自民党に離党届を出した田中真紀子元外相を含む野党系無所属議員をなるべく多く自陣営に引き入れようとするだろうが、全員獲得しても240だから、まだ足りない。
共産党が閣外協力してくれると民主党にとってはありがたいが、共産党は、民主党とは安保、外交、消費税などの重要政策で一致しないので、共産党の12議員が首班指名投票で「菅直人」と書いてくれる保証はない。
ただ、まさか共産党が自民党を支持することはありえないので、どちらにもくみしない「局外中立」を貫く可能性が高い。そうなると、共産党12議席を除く議席総数の過半数は235なので(憲法の規定により参議院の結果にかかわらず)民主党、社民党、田中真紀子らの支持が235票集まれば「菅首相」は実現する計算になる。
が、上記のように、共産党は、民主党が年金財源として消費税(増税)を挙げていることなどを批判しているので、「菅内閣」は政権は取っても、国会に提出する予算案や法案はことごとく自民党や共産党の反対で否決され、何もできない「死に体内閣」になってしまう。
となると、菅内閣がまともに機能するためには、自民党陣営(連立与党)から何名か裏切り者が出て、民主党陣営に鞍替えする必要がある。
逆に、「鞍替え」の動きが選挙前に表面化すれば、それによって与党自民党の敗北が決定的になるので政権交代が確実になる、とも言える。
●日米政財界の「工作」●
03年8月の株高は自民党総裁選で小泉の再選に有利に作用したが、その後の円高と、それによる株価の伸び悩みは小泉の衆議院総選挙には不利に作用する可能性がある。一部で噂されていた、選挙前の「拉致家族の帰国」という、自民党圧勝の追い風になる大事件はなく、逆に、道路公団(JH)の藤井治芳総裁解任問題の泥沼化、という自民党に逆風になりそうな事件が惹起された。
これらの動きを見て、米共和党政権(保守本流グループ、国際石油資本、ロックフェラー)と、米投機筋、日本の財界などが「第一志望=菅首相、第二志望=小泉首相、第三志望=なし(小泉以外の自民党首相は許さない)」という方向で、日本の政局を転換するために大規模な工作を行っているのではないか、と筆者は小誌で繰り返し述べてきた。
90年代、クリントン米民主党政権は、日本を弱体化させ中国を持ち上げるという対アジア外交方針を持ち、それに基づいて日本に「日米貿易不均衡是正のための内需拡大」を求める外圧をかけ、それを口実に自民党橋本派(野中広務元幹事長)などの族議員が「無駄な公共事業」をやって日本の経済・財政を悪化させ、故意に国力を落とした。
01年に米国にブッシュ共和党政権が誕生すると、同政権がアジア外交でまずやったことは「日米同盟の再構築」であり「内需拡大の外圧の停止」であり「日本が不良債権処理を進めて経済、国力を再建しないと(中国の軍拡に対抗する)日米(軍事)同盟にも悪影響がおよぶ」という、パウエル米国務長官の発言だった。米共和党は、米民主党とはまったく異なる対日観、対中観を持っているからだ。
このため、米共和党政権は日本国内でなんらかの工作を行って、橋本派の影響の薄い政権を作ろうとするだろう、と筆者は感じたので、01年3月17日、小泉純一郎(現首相)が自民党総裁選に立候補を表明する「前」に「いまから1年以内に(橋本派の支持を受けない)小泉の内閣ができる」と予言(でなく科学的予測)をし、それは5週間後に的中した( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/usout.html#koizumi > )。
筆者が小泉内閣の誕生を予言(予測)した時点で、大手マスコミではだれもそんなことは言っていなかったから、米国政府などの「工作」をもとに日本政局を読む、という筆者の見方は(たとえ常識に反しようと)相当な実績と権威があるのだ。
そして、この見方が正しいなら、米共和党政権や日本の財界は、自分たちの「第一志望」を実現するために、03年11月9日の衆議院総選挙までに何か新たな「工作」をするはずだ。そうでないと、小泉が首班指名されずに菅内閣も死に体になる、という、だれから見ても好ましくない、にっちもさっちも行かない事態になる恐れがあるからだ。
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●「第二次小泉内閣」は不安定●
いちおう米共和党らの「第二志望」も検討しておこう。
自民党の衆議院の現有議席は246だが、これが減る(つまり、負ける)ことは確実だ。
世論調査での小泉内閣の支持率や、安倍晋三・自民党新幹事長の人気は関係ない。
実は、自民党は相当数の選挙区で候補者調整に失敗しているので、支持率や人気に関係なく負けるのだ。
たとえば自民党内では、各地で大物議員が自分の身内を後継候補に立てる「世襲」が横行しており、これに反発する若手新人候補が党の公認を求め、それが得られないと無所属で立候補し「保守分裂選挙」になってしまう、というケースがかなりある。「分裂」に至らずとも、後援会の組織票しかとれない世襲候補に、民主党が若手エリート官僚からの転身組をぶつけて有利な戦いを展開している選挙区も多い。このため、小選挙区だけで17人もいる自民党の世襲新人候補(親や祖父が現職でなく元職の場合も含む)は、大半が落選しそうな情勢だ。
これでは、自民党はたとえ連立与党3党で過半数を維持し政権を守れたとしても、議席がかなり減り、党執行部(安倍幹事長や党総裁の小泉首相)の責任問題になる可能性が高い。
伯仲している50小選挙区のうち25しかとれないと、自民党の議席数は31も減って215になるが、これは、総裁選で小泉を「04年参院選に勝てる選挙の顔」として支持した青木幹雄・参院自民党幹事長にとっては深刻だ。
小泉は(少なくとも表面上は)道路族議員の利権を潰すためのJH改革(民営化)を掲げている。青木は「とにかく選挙に勝てないと話にならない」という論理で、ホンネではJH改革に反対している道路族議員や参院橋本派を説き伏せ、小泉を支持させた経緯がある。だから、もし「小泉を『顔』にして戦ったら30議席減った」となると、道路族や04年に改選を迎える参議院議員は猛反発し、青木は立場がなくなり、小泉内閣の支持基盤が揺らぐことになる。
もちろん、小泉の「敗戦責任」を問う声も族議員などから上がるから、第二次小泉内閣は、発足できたとしてもかなり不安定になる。
つまり、このままでは小泉内閣、菅内閣のどちらができても不安定になり、構造改革による日本経済の再建も、日米同盟の強化(イラク復興支援のための自衛隊派遣)も、何もできない、という米共和党にも日本財界にも最悪の事態になりかねない。
●裏切り者、大募集●
これを防ぐには、自民党陣営(連立与党)か民主党陣営(社民党を含む野党)から大量の、少なくとも数十人の「裏切り者」を出して、相手陣営に鞍替えさせるほかない。
もちろん共産党が自民党と連立することはあるまい。
(^_^;)
社民党も、最近ずっと自民党批判ばかりしているので、無理だ。
民主党を抜け出して自民党陣営に鞍替えする者もまずいないだろう。すでに失敗例があるからだ。
02年末、民主党の熊谷弘は数人の同志とともに脱党して保守党に合流し、保守新党を結成し、熊谷は保守新党代表になったが、03年総選挙では、彼の選挙区(静岡7区)では自民党県連が独自候補を立てたため「保守分裂選挙」になり、自身の当選が危ない。そのうえ、保守新党全体でも現有9議席から3議席に激減しそうで「絶滅寸前」だ。
熊谷の二の舞になりたいと願う民主党員など、いないだろう。
となると、米共和党や日本財界は、自民党陣営内に数十人の裏切り者を作って「ひきはがす」しかない。
彼らにとっては幸いなことに、自民党陣営には公明党という議席数30前後の(自民党内の派閥ではなく)独立した政党がいる。これをまるごと民主党陣営に寝返らせれば、万事うまく行く。
公明党が民主党側に参加すると、議席数は250〜260以上だから、過半数241をはるかに超える安定政権になる。
しかも日米同盟にとってプラスだ。
公明党は連立与党の一員として03年7月に国会でイラク復興支援法案に賛成しているので、彼らが参加した政権では、自衛隊は米軍のイラク戦後の占領統治に協力する、ということになろう。03年3月のイラク戦争開戦前に、菅は開戦に反対していたので、彼が首相になると日米関係が停滞する、という懸念が日米の保守政財界には根強くあるが、そのマイナス面は公明党の政権参加ですべて相殺される。
また、公明党が参加するなら、菅は、現実的な政権運営の障害になりかねない、日米同盟に否定的な、社民党の「非現実主義者」を入閣させず、閣外協力に留めおくことも可能になる。
米共和党から見て、公明党の鞍替えぐらい都合のいい手はないのだ。では、どうすれば実現するのか?
●公明党離脱の条件●
03年7月18日、秘書給与詐欺で、社民党の辻元清美・元衆議院議員や、土井たか子社民党党首の元政策秘書の五島昌子らが逮捕、起訴された。
翌19日、土井は記者会見し、自分の元秘書が逮捕されたにもかかわらず「党の信頼回復に力を尽くす」と語り、党首を辞任しないと述べた。
これに対して翌20日、公明党の冬柴鉄三幹事長は
「自分の政策秘書がつかまったんだから、少なくとも党首をやり抜くというのはない。(中略)国民からみれば(党首辞任が)『常識』ではないか」
と、土井党首の引責辞任を要求した。公明党の神崎武法代表も同日「党首の監督責任を含め、責任を国民に明確にすべきだ」と語ったから(朝日新聞Web版03年7月20日 < http://www.asahi.com/special/tsujimoto/TKY200307200154.html > )公明党では「党首は自分の秘書が逮捕されたら辞任」が「常識」らしい。
03年10月現在、公明党の代表、幹事長は依然として神埼、冬柴だ。
もし小泉首相(自民党の党首)の秘書官が逮捕されたら、彼らは自動的に小泉に党首を辞めること、つまり首相の退陣を要求せざるをえない。これはまさにペルソナ(この言葉については拙著『龍の仮面(ペルソナ)』を参照)の問題だ。
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●飯島と青木と道路公団●
米共和党などにとっては好都合なことに、小泉の側近、飯島勲秘書官には、青木と結託してJH総裁人事に干渉した、という疑惑がある。技官出身の建設事務次官だった藤井現JH総裁は、文官出身の建設事務次官だった小野邦久・不動産適正取引推進機構理事長と対立関係にあり、小野は青木と親しく、青木は飯島と親しかったので、この3人が組んで藤井を小野と交代させようとしている、というのだ(前掲『週刊文春』p.29)。
【小泉内閣(石原伸晃国交相)が藤井を更迭しようとしているのは、青木と飯島が小泉に要求したからだが、青木は道路族であり、青木と飯島が藤井を更迭したい理由は(JHを健全に民営化して構造改革をしたいからではなく)民営化を骨抜きにして民営化後のJHを道路族の金城湯池にしたいからにすぎない。これでは、道路族議員と建設業界の癒着による税金の無駄遣いは止まらず、結局小泉はなんの改革もできない。】
米共和党などにとっては、さらに好都合なことに、JHの料金別納制度にからむ不正を、東京地検特捜部が内偵捜査中だという(前掲『週刊文春』p.30)。
それなら「首相秘書の逮捕」で政権を交代させる工作は、さほど難しくはあるまい。少なくとも米共和党にとっては「やらなきゃ損」だ。
●「別納」の闇●
高速道路通交料金「別納」制度とは、基本的には大口利用者に最高30%の高速料金を割り引く制度だ。
たとえば、東京から名古屋までの正規の料金は約2万円だが、この制度に加入していると料金は後払いで、しかも30%(6000円)割り引かれる。
が、割引料金は月に700万円以上利用しないと適用されない。そこで、中小運送業者は多数集まって「異業種組合」を作り、組合としてこの制度に加入し「別納カード」を持ち、組合加盟業者はそれぞれ高速を使うたびに同じ口座(番号)のカードを料金所で提示し、それがJHの料金精算コンピュータに記録される。が、JHは、後払いによる取りっぱぐれを防ぐため、別納カードを使う組合には多額の引当金を積むことをことを義務付けている。
このため、組合加盟業者はまず正規料金を組合に支払い、組合はそれを引当金として積み立て、月末に別納カードで精算し、700万円を超えているとわかった時点で割引料金でJHに支払い、加盟業者にはそれぞれの正規料金の30%を還流する、という形になる……はずだ。
ところが、実際には15%ぐらいしか還流していない。割引料金は年間2200億円もあるので、その半分の1100億円がどこかに消えていることになる(『週刊ポスト』03年8月8日号 < http://www.weeklypost.com/jp/030808jp/news/news_2.html > )。
その1100億円は、政治家と暴力団に流れている、と言われている。中小運送業者には伝統的に暴力団が関与していたため、それらを束ねて組合を作るには、暴力団が根回しをし、政治家が組合の理事・役員に名を連ねないとまとまらないのだ。たとえば、東京にある「平成高速協同組合」の理事には岸田文雄・元文部科学副大臣(衆院広島2区)が就任している。岸田は建設政務次官を務めた典型的な自民党道路族で、組合からは年に360万円の給与を受け取っている。給与でなく、政治献金として組合から金銭をもらっている自民党の政治家としては亀井静香・元政調会長、中川秀直・国対委員長らの名前も、政治資金収支報告書で明らかだ。
もちろん、同報告書に記載された献金は政治資金規正法に違反せず、合法だ。が、組合加盟企業の同意なく組合幹部が勝手に献金すれば横領や背任になりうるし、献金捻出のために節税すれば脱税に問われうる。まして、暴力団に上納すれば完全に違法だ。だから、別納がらみの脱税(朝日新聞03年8月7日付朝刊27面)や架空の組合加盟業者名で割引料金の適用を受ける不正(朝日新聞Web版03年10月3日)があとを絶たない。ひとたび検察が「別納」を追求し始めれば、青木らの道路族議員や小野、飯島にまで捜査の手がおよぶ確率は高いのだ。
●「高速道路無料化」の強み●
東京地検特捜部は政治家などの巨悪と戦うことを使命としているが、選挙前に与党の大物を逮捕することは、選挙に露骨に影響し、事実上、検察の手で次期首相を決めてしまう「検察ファッショ」になりかねない。本来なら、そういう捜査は控えるはずだ。
が、もし選挙後に「別納」不正事件で自民党の大物を逮捕したら、どうなるか?
こんどの選挙では道路問題が争点だ。民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げる高速道路料金の無料化を、自民党は「実現不可能で無責任」と批判しているが、それを信じて自民党に投票した有権者の多くが、選挙後に自民党道路族の不正を知ったら「自民党にだまされた」「小泉にはJH改革はできない」「こんなことなら民主党に入れたのに」と怒るだろう。そして、地検は(かつて、故・金丸信元副総理の政治資金規正法違反を略式起訴でごまかそうとしたときと同様に)世論の集中砲火を浴びるだろう。
だから、地検は現在内偵捜査中なら、たとえ証拠不十分でも、選挙前に大物政治家の摘発に踏み切らざるをえないはずだ。
そして摘発が始まれば、選挙は民主党の圧勝だ。
「別納」などの不正は、高速道路が有料だから起きるのであって、民主党が政権を取って無料化を実現すれば、自動的に不正はなくなる。「無責任」なのは自民党のほうだったということになり、民主党のマニフェストは圧倒的な説得力を持つことになる。
また、摘発開始とともに公明党も「連立離脱」を表明するので、都会の小選挙区で自民党候補者は公明党支持者の票を失って苦戦する。結局、自民党は50議席以上減らす歴史的大敗を喫して野党に転落し、数年間は与党に戻れない。
さすれば各種業界団体の献金や陳情は行き場を失い、族議員政治は自動的に終わる。
これがほんとの構造改革だ。
(敬称略)
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