公明党vs亀井静香:週刊アカシックレコード030911
発行日時: 2003/9/11■公明党vs.亀井静香〜週刊アカシックレコード030911■
03年9月20日に投開票される自民党総裁選は、自民党と連立政権を組む公明党にとっては「国会議員数の増減のかかった選挙」だ。
【「野中広務の日」より『ラスコーリニコフの日』(佐々木敏著)】
表紙は → < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/raskol/cntnt.html >
特集頁は → < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/raskol/n.html#04 >
■公明党vs.亀井静香〜自民党総裁選を外から見ると■
【大好評のシリーズ「SARSの方舟?・だれがSARSを作ったか」(前回は「炭疽菌ビジネス」 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/sars_r.html#06 > )は新しい情報がはいり次第、再開します。】
03年9月8日に告示された自民党総裁選(投開票は20日)では、元々いまの自民党にはろくな人材がいないため、現職の小泉純一郎総裁(首相)の再選が有力視されていた。
が、総裁選のルールが、01年4月に小泉が初当選したときとは異なっているため、「小泉落選」の可能性があることが、7〜8月から週刊誌等で指摘されてきた。01年のときは、地方の自民党員の一般投票は、各(都道府)県連ごとに開票されて、県内の最多得票候補が、その県連の持ち票3票すべてを獲得する「勝者総取り」方式だった。地方票(県連の持ち票)は全部で(3×47都道府県=)141票あり、01年の総裁選では、小泉は(当時の党員等約240万の)58%の得票で地方票の87%(123票)を取るという「地すべり的大勝」を収めた。
しかも、地方票の開票は国会議員が衆参ともに1人1票で投票する選挙の前に行われたたため、本来なら地方(県連)票(141票)より多数の票を持つ国会議員たち(当時合計346票)が地方の動向など無視できるはずなのにそれに屈し、永田町の「数の論理」では絶対に当選しないはずの小泉が総裁に当選し首相になった、と当時のマスコミは分析した。
【が、「永田町の論理」では、小泉の前任者、森喜朗が首相を辞任することもないはずだった。それが「大衆に人気がない」ことを理由に辞任に追い込まれ、代わって「大衆に人気のある」小泉が浮上してきたのは、直前(01年1月)に発足したブッシュ米共和党政権が、CIAなどの対日工作部隊を日本のマスコミなどに対してフル稼働させたため、と筆者は読み、03年3月17日、小誌Web版で、小泉が自民党総裁選に立候補を表明する「前」に「1年以内の小泉内閣誕生」を、世界で唯一予言(予測)した( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/usout.html#koizumi > この予言は約1か月後に的中し、小誌の読者数は急増した)。
小泉政権以前、小渕、森、両政権が橋本派(野中広務元幹事長)の支持を得て「ムダな公共事業」を繰り返して日本の財政を悪化させたのは、日本の国力を衰退させて中国に媚びたいクリントン米民主党政権の不当な「外圧」(内需拡大要求)によるものであり、「米国で政権が替われば、日本も替わる」というのが筆者のヨミだった。じじつ、発足直後からブッシュ政権は日本に「内需拡大」よりも「不良債権処理」による国力の回復(中国の脅威に対抗できる大同盟国の復活)を求める「ありがたい外圧」をかけている。】
01年の敗戦に懲りた橋本派(野中)はその後、同じような、「大衆的な人気」で国会議員票の「数の論理」が否定される事態を防ぐため、総裁選のルール改正を主導し実現させた。まず、地方(県連)の持ち票合計を141から300に増やし(県連ごとの党員数に応じて比例配分)しかも、県内でも「勝者総取り」方式から「比例配分」方式に変えた。
これで(CIAの工作で?)大衆的人気を得た候補が地すべり的大勝をするのは不可能となった。01年の総裁選の結果を03年のルールで見直すと、小泉は300の地方票のうち6割しか取れない計算になる。
もちろん6割取れば「大衆(03年の全国一般党員約140万)レベルで6割もの支持」になるのだから、たかだか357人(03年)しかいない自民党国会議員はそれに従うべきだ。が、もう1つのルール改正により、地方票の開票と国会議員票の開票は03年からは同時に行うことになったので「大衆の人気」に国会議員が影響される機会はなくなった。
これで、橋本派の野中らは、派閥単位で国会議員を集めて「数合わせ」をすれば「小泉おろし」も可能な状態になった。
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●だれが株価を上げたのか●
ところが、7月になると、日本の株価が上がり出す。日経平均株価は8月は1万円の大台を維持し、9月になってもそれが続いている。
それまで「小泉内閣になってから株価は下がりっぱなしで日本経済は最悪」なのを大義名分に「小泉おろし」を画策していた野中らの反小泉勢力は、にわかに結束しにくくなり、他方、株価の上昇を受けて(あるいはCIAの工作を受けて?)小泉内閣の支持率は急上昇し、9月にはいると6割前後に達した。
政治をする者にとって、いちばんイヤなのは「不確実性」だ。ブッシュ米共和党政権から見ると、日本は同盟国で大国で、しかも小泉とブッシュの信頼関係が強いことから、北朝鮮政策でもイラク復興支援でも、小泉が再選されたほうがいい。
その小泉が、総裁選のルール改正のため、140万の自民党一般党員が握る300の地方票の「蓋を開けてみないとわからない状況」に怯えている、という事態は、小泉本人以上にブッシュが困る。そこで、ブッシュを支える米政財界の保守本流グループに依頼して投機筋を動かし、一時的に東証株価を上げた、という推理はいちおう成り立つ。
じじつ、マスコミでも7〜9月の日本の株価について「日本企業の業績回復による本格回復」という説と「外国の投機筋による一時的なもの」という説が交錯している。
2つの説のうちどちらが正しいかは、総裁選後に次のようなことが起きた場合には、わかる。
すなわち、再選された小泉首相が、再選で支持してくれた青木幹雄・参院自民党幹事長らに遠慮して構造改革(不良債権処理)路線を後退させ(1)、また、イラクの治安の悪化を理由に自衛隊の派遣をしぶり(2)、他方、10月に自由党を吸収して発足する新しい民主党が「国連決議があればイラク復興支援の多国籍軍に自衛隊も参加する」と宣言し(3)、小泉首相が衆議院を解散して総選挙に打って出た場合(4)だ。
この(1)〜(4)がすべて起きたときに日本の株価が急落すれば、それは米保守本流が、小泉政権より、菅直人(新民主党)政権のほうがいい、と判断して投機筋に日本株の「売り浴びせ」を指示した結果、と解釈できる。
米保守本流は、大統領がブッシュであろうがなかろうが、イラクの復興には(ドイツなどと違ってイラクに欧州統一通過ユーロを持ち込む恐れのない)大国日本の参加が不可欠と思っている。そのためなら、自国の大統領でも日本の首相でも、平気ですげ替えるはずだ。
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●ホンネの分析●
9月9日の大手新聞各紙は一斉に、総裁選では4候補(小泉首相、藤井孝男元運輸相、亀井静香元政調会長、高村正彦元外相)が経済政策を争っているなどと分析してみせた。が、「小泉支持派」国会議員のなかには青木に限らず、小泉の「郵政・道路公団民営化」路線に反対の者が少なくないので「経済政策」はただのタテマエにすぎない。小誌は無視する。
代わりに、自民党の外の勢力が(タテマエでなく)ホンネで今回の総裁選をどう見ているか、を取り上げたい。すでに小誌は前回のトップ下のコラム( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2003/ldp.html#02 > )で北朝鮮の小泉再選支持を、また今回はブッシュの小泉再選支持を、いずれも「政治家は不確実性を嫌うから」という理由で予測した。
同じ理由で、小泉再選を強く支持する勢力がもう1つある。
●公明党の解散願望●
それは公明党だ。
いま世界中でいちばん強く小泉再選を願っているのは、公明党だ。理由は、同党は「衆参同日選挙」がいやだからだ。
参議院選挙は来年04年夏に行われることが法律上決まっているが、衆議院の総選挙は首相の解散権の行使により、いつでも可能だ。
もし、今年03年に衆議院の解散がないと、衆議院議員の任期(4年)が来年04年の秋に迫っていることから、「有権者の負担軽減」などの理由で、04年に衆参同日選挙で行われる可能性が高い。
同日選挙になると、当然各党の衆参の立候補者は共同で選挙運動を展開するので、選挙への関心は「単独選挙」の場合より高まり、ふだん投票に行かない人の浮動票まで掘り起こされて、投票率が上がる。公明党はこれがイヤなのだ。
公明党は創価学会を唯一の支持母体とする組織政党だ。このため公明党の公認や推薦を受けた候補者は「雨が降ろうが槍が降ろうが」創価学会会員の票が確実に得られる反面、浮動票はまったく得られない。
これは日本共産党も同様だが、強固な組織政党は投票率が低く総投票数が少ないほど、総投票数に占める組織票(創価学会票)の比率が上がるので有利になる。
公明党公認候補の場合、投票率の低い単独選挙のほうが当選しやすいから、当然議席も増やしやすい。また、公明党が公認候補を立てていない選挙区では、創価学会会員は連立与党の自民党の候補を応援するが、その場合、投票率が低ければ自民党候補の得票に占める創価学会票の比率は高くなり「ありがたみ」が増して、選挙後の公明党(創価学会の池田大作名誉会長)の政局への発言力は、当然増大する。反面、同日選挙になって総投票数が増えれば、自民党の候補者にとっては学会票のありがたみは薄れる。
もし(ブッシュ米政権の「対日マスコミ工作」のお陰で?)大衆的人気の高い小泉が首相なら、自民党は年内(03年中)に衆議院の解散・総選挙(単独選挙)に打って出てもある程度勝てる(少なくとも大敗はしない)と予測できるから、公明党は「03年中に衆議院で議席増、04年には参議院で議席増」とムシのいい計算ができる。
が、反小泉勢力(藤井、亀井、高村)が総裁選の決選投票(地方票300+国会議員票357=657票の1回目の投票で、単独過半数をとる候補がいなかったときに、国会議員のみで行う2回目の投票)で逆転勝ちすると、「大衆的人気」のない候補が当選し首相になるので、衆議院の解散など自殺行為であり、年内の総選挙は不可能。結局、「小泉以外の総裁(首相)なら、04年の衆参同日選挙で公明党は議席減」となる。
じじつ、9月8日の告示直後の、自民党本部での記者会見で藤井、亀井、高村の各候補はみな、年内解散に否定的な見解を述べている。だから、公明党としては「小泉支持」しかないのだ。
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第2のSARSが牙をむく
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【桶狭間】 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/okehaz.html >
●公明党 vs. 亀井静香●
が、それでも、政治家は不確実性を嫌う。
公明党が小泉を支持し、かつて「自民党と公明党のパイプ役」であった野中広務、古賀誠、両元幹事長の「はしごをはずして」権力を弱め、国会議員の数合わせでの「小泉不利」を防ぐことはできても、140万一般党員の投票による300の地方票の行方がまったく読めないことから、公明党には一抹の不安がつきまとう。
そこで浮上してきたのが「小泉首相は、総裁選でも負けたら直後に(首相としての最後の権限を行使して)衆議院を解散する」というウルトラCだ。これについて、亀井は「自分の党から不信任された者が解散権を行使するのは民主主義(政党政治)の否定」「ヒトラーでもやらなかった暴挙」と猛反発しているが、首相の側近で、公明党と強いパイプがあるとされる山崎拓・自民党幹事長が「やるぞ」と漏らして、反小泉勢力を牽制している。
03年9月11日現在、憲法上の首相は小泉純一郎であり、20日の自民党総裁選の投開票で負けても、その時点では単に自民党総裁でなくなるだけで、憲法上は依然として首相だ。だから、負けた直後に衆議院を解散することも憲法上可能だ。
ただ、いくら「合憲」でも「負けて悔しいから解散」というのは、いかにもみっともない。解散すれば、衆議院選挙では自民党は、小泉陣営と反小泉陣営に別れて戦う「分裂選挙」になるが、対する野党では、民主党が自由党と合併して「統一選挙」をやるので、これは民主党に有利だ。
自由党は議席数こそ(衆議院で22名と)少ないが、前回(00年)の衆議院総選挙の比例区の得票を合計すると660万票もある(産経新聞03年1月4日付朝刊4面。公明党は780万票)。このような「強大な」応援票を得た新民主党と、分裂した自民党が戦えば、自民党の惨敗は確実で、おそらくそのまま自民党の解体、消滅につながるだろう。
だから「『負けたら解散』などありえない」……とはだれも思っていない。亀井や高村が繰り返しそれをするな、と言うのは、ありうると思っているからだ。
理由はけっして、01年総裁選で小泉が「自民党をぶっ壊す」と言ったからではない。公明党がそれを望んでいるからだ。
小泉以外の者が総裁になる、といういことは反小泉陣営の候補が「2、3、4位連合」を組んで1人の候補を推すということだが、その「1人」はだれか?……藤井は自派閥、橋本派でも結束した支持は得られず、派の有力幹部である青木が小泉支持を表明したことで明らかなように「足元が弱い」。また、高村も小派閥(所属国会議員が16人)の長にすぎないため、立候補に必要な推薦人(20名)がなかなか集まらず、立候補表明が遅れた。したがってこの2人は「反小泉」の統一候補としては問題外だ。
他方、亀井はもっとも早くから「反小泉」のノロシを上げて頻繁にマスコミで首相批判を唱え、自派閥(江藤・亀井派)の支持もほぼ固めた。となると、反小泉統一候補、つまり「ポスト小泉」の首相(首班指名候補)は亀井になる公算が大だ。
これは公明党には受け入れ難い。なぜなら、亀井にはかつて池田大作を批判した「前科」があるからだ。
94年5月24日の衆議院予算委員会で、当時野党だった自民党の亀井は、羽田孜連立政権に公明党から多数入閣したことを池田大作が創価学会の会合での「デエジン(大臣)は創価学会幹部の部下」と述べた「傲慢発言」を問題視し、その録音テープを国会に持ち込み、TVカメラの前で再生し「池田を国会で証人喚問せよ」とまで訴えた。
さすがに公明党関係者が抗議し、予算委員長がそれに応じて速記者を止めたのでテープの内容は議事録には残らなかったが、TVでは何度も流れた。また、このとき「テープを止めろ」という公明党関係者の抗議に、亀井は「止め方がわかんないよー」としらばくれ、それもTVで流れた。
(^_^;)
これでは(たとえ池田が亀井を許すと言っても)公明党員(全員、創価学会員)たる者、「亀井首相」を支持することは不可能で、亀井が総裁になり小泉が「負けたら解散」というのは、現実にありうる(創価学会にとっては「負けたら解散」より「亀井首相」のほうがはるかに非現実的だ)。
「負けたら解散」で自民党が分裂選挙に突入した場合、公明党は当然、分裂した自民党との選挙協力は不可能となり、選挙は「単独で」戦って、新民主党の菅代表、自民党の小泉陣営、反小泉陣営の3者と選挙中は「等距離外交」を展開する。そうなると、投票率が低くても公明党は議席を減らす恐れがあるが、心配ない。
選挙が終われば、公明党は菅、小泉、反小泉の3者のうち、好きな相手を選んで連立政権樹立を申し入れることができるからだ。その場合、公明党の発言力はいまよりはるかに大きくなる。
●ブッシュの選択●
その際、すでに連立与党の一員としてテロ特措法にもイラク復興支援法にも賛成している公明党は、だれと連立する場合でも「(国連決議なしでも)イラクへの自衛隊派遣」を政策合意として求めることになる。
菅は「(たとえ国連決議があっても)自衛隊のイラク派遣には慎重」だが、同党に(660万票を率いて)合流する「旧自由党」の小沢一郎(前)党首は「国連決議があれば賛成」だ。「自民党政治の終焉」という大義名分に公明党が賛同してくれる場合、菅がそれを拒否することは不可能なので、新民主党は公明党と連立し、その連立政権の対イラク政策は当然、菅と公明党の中間、つまり小沢の「国連決議があれば自衛隊派遣」に落ち着くはずだ。
これでブッシュも安心だ。ブッシュ政権が最近「イラク復興に国連の協力(新たな国連決議)を求める」姿勢を鮮明にしたことで、小沢も新民主党も、政権がとりやすくなった。
【03年7月27日放送のテレビ朝日『サンデープロジェクト』に生出演した野党党首のうち、社民党の土井たか子は「イラク復興支援法」は廃止すべきと明言した。が、菅は「民主党が政権をとれば(国連決議のない現状では)自衛隊は出さない」とは言ったものの、「廃止となるとそのための法案を出す必要もあるので、すぐにはできない」とごまかした。
筆者は、菅は最終的にはイラクに自衛隊を出す、と予測する。おそらく米共和党や保守本流の「意中の人」は小泉ではなく「菅+小沢」だ。但し「小泉(第二志望?)でもいい」のも確かだが。】
だから「負けたら解散」という暴挙の、真の発案者は意外に、公明党でも山崎拓でもなく、米共和党(保守本流)ではあるまいか。
【菅と小沢は、米保守本流から「いずれ米国はイラクの戦後復興に関して、米軍中心の『単独占領』から、国連の協力(決議)を取り付ける『国連多国籍軍占領』に舵を切る」ことをあらかじめ知っていて、当面の選挙で左翼的な浮動票を得るために「(国連決議なき)自衛隊派遣は反対」と言っていたのかもしれない。ちなみに小沢の著書『日本改造計画』の英語版の序文は、米保守本流の中核J・D・ロックフェラー4世上院議員が書いており、また、国連本部の土地はロックフェラー家の寄贈したものだ。つまり彼らは国連の「大家さん」であり、元々「国連重視」のはずなのだ。】
(敬称略)
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