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SARSの方舟:週刊アカシックレコード030527

発行日時: 2003/5/27

■SARSの方舟〜週刊アカシックレコード030527■
新型肺炎SARSに対して、中国人は次々に感染し重症化し死亡するのに、日本人はだれも感染せず死亡しない。これは単なる偶然ではない。

【愛と信頼】
巨額の資金源を持つ、カルト的な謎の白装束集団「パナウェーブ(PW)研究所」の千乃裕子代表は、産経新聞を含むフジサンケイグループに「愛と信頼を寄せている」と朝日新聞が報じたことに、産経新聞のコラム「産経抄」(03年5月22日付朝刊)は苦笑。
でも、笑ってる場合じゃありません。千乃代表が独占会見に応じたTV局はNTVとフジ。また、千乃代表に敵視され「消滅宣告」された女優・高木美保さんがコメンテーターとして出演するTV局もNTVとフジ。そして、日本でいちばん某国(テロ国家)に厳しい報道をするのも、NTV・読売新聞グループとフジサンケイグループ。
もし某国がPWを操っていた場合、ある日突然、独占会見ビデオのTVでの流し方や高木さんの言動が気に入らないことを口実にどちらかのTV局を攻撃し、攻撃直後に某国に近い筋の政治家(郵政族議員)がTV局幹部の耳元で何か囁くと……両TV局の報道陣は脅迫されたことになります。これは、れっきとした言論統制ですが、非難は(某国でなく)PWがすべてかぶる、というパターン(オウム真理教方式)。
「消滅宣告」とは、PWによると「死後の魂の消滅」であって殺すことではないそうですが、そんな屁理屈はどうでもいいです。オウムだって「魂を高みに導く」という意味の「ポア」という言葉にいつのまにか「殺す」という意味を持たせたのですから。だいたい高木さんが『月刊正論』(00年9月号)に書いた自然保護に関するコラムが気に入らないから「消滅させろ」というのは、どう見てもただの「こじつけ」でしょう( < http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_05/1t2003050801.html > )

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■ウイルスと生物兵器の新しい常識〜シリーズ「SARSの方舟」■
【今回は拙著『ゲノムの方舟』 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/cntnt.html > の関連記事です。】

SARS(重症急性呼吸器症候群、新型肺炎、サーズ)が、02年秋から中国を中心に世界各地に蔓延し、数千名の患者と数百名の死者を出しているが、03年5月26日現在、日本人の患者、死者はゼロである。

この、日本の「幸運」の原因については解明されていない。
シンガポール政府は「日本人は(中国人と違って)きれい好きでよく手を洗うからだ」(産経新聞Web版03年4月25日 < http://www.sankei.co.jp/news/030425/0425kok163.htm > )と言うが、それならあまり手を洗わない米国人にもほとんど患者がいないのはなぜか、が説明できない。

03年4月には「ほんとうは日本人患者もいるのに、日本政府がパニックを恐れて隠蔽している」という説が一部マスコミに流れた(『週刊現代』03年4月27日号)。が、5月18日になって、日本から台湾に帰国したあとSARSと判定された台湾人医師の、滞日中の日程を厚生労働省が詳細に公表し(産経新聞03年5月19日付1面)感染の恐れのある人に保健所に名乗り出て検査を受けるように促したことにより、日本政府が情報隠しをしていないことがほぼ確実になった。やはり、理由はともかく03年5月現在、日本人の患者、死者はともにゼロで、日本人と日本社会がこの病気に対してかなり強いことは間違いなさそうだ。

他方、これだけ短期間に急速に広がっていることと、患者第1号の発生が02年秋(夏)であるのに中国政府が当初何か月もこれを隠蔽したことから「SARS生物兵器説」もある。

これに対して田口文章・微生物管理機構代表は反論する。
「もしテロ目的で人工的に作られたウイルス(生物兵器)であれば、もっと強力なものを作るはずだし、アジアだけでなくもっと広範囲に広まるよう工作するはずだ」(『週刊現代』03年5月3日号p.43)

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ちょっと待て。なぜ「もっと強力」「もっと広範囲」である必要があるのか。
たしかに生物兵器(B)は、核兵器(N)や化学兵器(C)と並ぶ大量破壊兵器(WMD)とされ、BはNやCと同様に無差別多量殺戮のために開発されてきた(と言われてきた)。

しかし、無差別大量殺戮ならNでもできるし、それをより低コストで手軽に実現するならCでもいい。もちろんBでもできるが、敢えて、Cより扱いの難しいBを使う必要があるだろうか。

実は筆者は十数年前、一般教養程度のウイルスについての知識を頭の中で組み合わせて考えているうちに、ふと、BにはNやCとはまったく違う「利用価値」があるのではないか、と気付いた。

1999年4月、筆者は、大手出版社にスカウトされ「国際石油資本などをテーマにスパイ小説を」と言われたとき即座に、この「生物兵器の第2の利用法」を予言する小説を書きたい、と逆提案して了承された。これが、デビュー作『ゲノムの方舟』で、執筆は99年8月〜00年3月(微調整は6月まで)、単行本初版刊行は00年10月だった。

それから3年経ち、どうやら予言(でなくて科学的予測)は当たったらしい。
1914年にH.G.ウェルズがSF『解放された世界』で核兵器の出現を予言してから、1945年にそれが実際に広島で使用されるまで41年かかったが、『ゲノムの方舟』の場合は「予言」が顕在化するまでたった3年とは、早すぎる。

が、400年後の歴史家は、現在を振り返って、言うだろう、
「生物兵器の歴史500年のうち、最初の100年は無差別大量殺戮などという低次元な利用法しか議論されなかったが、2003年のSARS流行を契機に(SARSが生物兵器か否かにかかわらず)『ゲノムの方舟』が予言した『方舟型』の利用法が主流になった」と。

【中国軍事問題の研究機関「漢和情報センター」によると、SARSを契機に中国軍は(たとえその死亡率が低く、大量殺戮より景気後退をもたらすものであっても)生物兵器の(第2の?)利用価値を再認識し、新兵器開発に取り組む可能性があるという( < http://www.sankei.co.jp/news/030507/morning/07int003.htm > )。】

筆者は「第2の利用法」を世界で初めて具体的なストーリーに描いたことにより、村上和雄・筑波大学名誉教授(応用生物化学)から「専門家をも思わずはっとさせる」という推薦のお言葉を賜った。専門家(科学者)でないウェルズが核兵器問題に発言権を持ったのと同様に、筆者も生物兵器に関して発言(予言)する資格はありそうだ。

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●『復活の日』はありえない●
64年に書かれた小松左京の『復活の日』は、80年に映画化もされたので、近未来の生物兵器の恐怖を描いたSFとして有名だ。冷戦時代の東ドイツ軍の基地から盗まれたウイルスが漏洩し、空気感染で全世界に蔓延し全人類が死に絶えるというストーリーだ。

が、こんなことは絶対にありえない。
小松がこれを書いたとき、遺伝学はこんにちほど発達していなかたったし、また冷戦時代で米ソ両国が人類を何度も皆殺しにできるほど大量の核兵器を持って対峙していたから、小松に限らず当時の人々は「人類全滅」の固定観念から抜けきれず、小説も映画も、このような「全滅型」の筋になったのだろう。

人類は個人個人みな(一卵性双生児でない限り)遺伝的に違うから、病原体と戦う機能(免疫など)にも個人によって遺伝的バリエーション(多様性)があり、特定の病原体に対してある人は強く、ある人は弱い。したがってただ1つの病原体で、人類が全滅することなどありえない。

そうならないために、われわれは、異なる個体間で交配(^^;)を繰り返して遺伝的多様性を維持し「みんな同じ」にならないようにしているのだ(生物種としての生存を考えると、遺伝的に同じ個体を複製する「クローン人間」は好ましくない)。

また、環境的なバリエーションもある。同じような、ある病原体に弱い遺伝子を持って生まれた双子でも、片方が医療設備や上下水道の整った日本の大都市の中産階級の家庭で育ち、もう片方が食糧も電気も乏しい北朝鮮の農村の、下層階級の家庭で育つなら、当然同じ病原体に出会っても、肉体がそれと戦う「抵抗力」の強さが違うから、前者は感染も発病もせず、後者は即感染して重症化し、高い確率で死ぬ、ということになろう。

遺伝子が同じでも育った環境(を決定する社会階層)や、ほかに持病があるか否か、飲酒、喫煙、偏食、重労働、失業、失恋、不倫、家庭の不和など病気への抵抗力を弱める要素があるか否かによっても、特定の同じ病原体に対する感染率、死亡率は変わる。

だいたい、1945年の広島で(胎内)被爆したって(人数は多くないが)某元プロ野球選手のように、一生なんの健康上の問題もなく、それどころか人並み以上の肉体的能力を発揮して(彼の場合は、日本プロ野球史に残る大記録を打ち立てて)何十年も生き続ける人もいる( < http://ww3.enjoy.ne.jp/~simoiti1329/peaspark/19kankokujin.htm > )。科学を駆使してどんなに有害なものを創ったところで、そう簡単には人類を皆殺しにはできないのだ。

まして生物兵器を論じる場合、人類全滅の可能性を懸念する必要などあろうはずがない。

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●待望!人類共通の敵●
それに、たとえ人類全滅につながる生物兵器ができたとしても、悩むことはない。
まず、それは(それを使ったテロリストや独裁者まで殺す恐れがあるので)使えない。
たとえ使っても、ほんとうに強力な死亡率100%の病原体なら、どうせみんな死ぬので、それ以降は悩みたくても悩みようがない。
(^^;)
もし、そういう「全滅兵器」がテロ国家の独裁者によって使われそうだとわかったら、全人類は団結してジョージ・ブッシュかドナルド・ラムズフェルドか、はたまたジェームズ・ボンドのような「正義の味方」にお願いして(フランス政府は国連安保理で拒否権を行使しないで「正義の武力行使」に賛成し、日本政府は後方支援か資金援助で協力して)みんなで応援して悪者をやっつければよい。
03年の対イラク武力行使をめぐる、国連を舞台にした米仏の国益や国家エゴ剥き出しの対立のような事態も起きず、おそらく、すべての国連加盟国は団結して「共通の敵」と戦うことに感激し、至福のときを味わうだろう。世界平和のためには、かえって、そういう「人類共通の敵」が出現してくれたほうが都合がいいくらいだ。

しかし、現実はそんなに「甘く」ない。
自然界に突然変異で出現した天然の病原体であろうと、兵器として人工的に造られたものであろうと、細菌やウイルスが全世界の各国、各地域、各社会階層、各年齢層の個々人を平等な確率で殺してくれることはないので、ある種の病原体に対しては、人類は団結せず、むしろその流行を契機に、社会を構成する集団間の利害対立が顕在化し、政治的な問題を惹起することすら考えられる。

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●ゲノムの方舟●
拙著『ゲノムの方舟』が描くのはけっして、かつてのイラク、現在の北朝鮮などの無法国家や、アルカイダ、オウム真理教などのテロ組織が使うのではないかと懸念された炭疽菌、ボツリヌス菌、天然痘ウイルスなどの、兵器として名高い病原体ではない。そのような病原体は、核兵器を造る設備を持てない、財力の乏しい国や組織にとっては、核兵器の代用品「貧者の核兵器」として期待されている。しかし、そういう「核兵器代替型」兵器は、使えばすぐにわかるから、使う側は国際的非難を覚悟しないと使えない。

そのうえ、敵だけでなく、味方をも感染させ、殺す恐れがあるから、こっそり使うのはほぼ不可能だ。
たしかに、あらかじめその生物兵器の発症を予防できるワクチンを開発しておいて自国軍の兵士に接種したうえで、敵軍の兵士をねらって生物兵器を散布すれば、純軍事的には勝てる。
しかし、戦線が自国や自国に影響のある第三国にまで拡大した場合には、あるいは戦場でその生物兵器に感染した敵軍兵士が帰国し、祖国で第三国人と接触した場合には、敵国や第三国の民間人、さらには、めぐりめぐって結局自国にまで感染が広がるかもしれない。

たとえば、中国が台湾を上記のような無差別大量殺戮型の生物兵器で攻撃した場合、その感染は経済大国・日本など近隣諸国の民間人に「無差別に」広がる。すると、それら被害国と貿易や観光でつながりのある、中国を含む世界各国の民間人にも感染が広がり、結局全世界の経済にダメージを与え、世界同時不況の要因になってしまう。これは中国経済の発展にとってもマイナスだ。

これを防ぐには、自国とその主要な貿易相手国の経済に重要な役割をはたしている数百万(数千万?)の民間人にも事前にワクチンを接種しておく(あるいは感染拡大後ただちに接種できるように量産して用意しておく)必要がある。が、そんな大掛かりな作業を事前にすれば、「中国は生物兵器戦争の準備をしている」とすぐにばれてしまうので、結局使えない。

もっとも政治的効果の高い生物兵器とは、いつだれが使用したのか、兵器なのかどうかさえわからず、しかもけっして人類を全滅させることのない、あまり威力の強くない病原体だ。

威力が弱いために、感染の影響(感染率、死亡率)は、感染する対象(ヒト)の住む環境によって、一律ではなく「まだら」に出る。この「まだら模様」を予測し制御できれば、「敵」だけに感染の恐怖と被害を与えることも可能だ(効果が限定的なので「方舟型」と呼ぶにふさわしい)。

しかも、その対策をとる際に、人類は「全人類のために」団結することはない。それどころか、被害者の集団と、「どうせ自分は関係ないから」と高みの見物を決め込む集団とに分かれて反目し対立し、一致した行動をとれないと危惧される。

この「社会対立型」生物兵器こそまさに使用可能な「最終兵器」であり、従来の「核兵器代替型」とは使用方法も、使用目的もまったく異なるものだ。

【具体的な「社会対立」の形は、このシリーズでいずれ取り上げる予定。】

●遺伝子は黙秘する●
けっして「恐ろしいウイルスが人工的に創られてばらまかれたら、調べれば『だれかが創った』とわかるに決まってる」などと短絡的に思わないように。

たしかに天然アユと養殖アユは味が違うし、天然美人と整形美人は、鼻をさわったり耳の後ろの手術跡を見たりして「加工」を施した痕跡を確認することで、区別できる。

が、病原体、たとえばウイルスの場合は、遺伝子の塩基配列が違うだけなので「見た目」では、天然物か人工物か区別できない。

したがって、ある日突然、人類に襲い掛かってくるエイズウイルスなどの新種の病原体が、たとえ人工的に造られた兵器であっても、それを確認する方法はない。たいていは「たぶん自然界の遺伝子の突然変異でできた新種(天然物)だろう」と結論付けられてしまう。

社会対立型は、核兵器代替型と違って、イラクのスカッドミサイルの弾頭に詰め込まれてどこかに撃ち込まれるなどといった、明白に軍事的な形で使われるとは限らない。敵国、敵陣営の内部の社会集団間に対立を起こすのが目的だから、各集団に「スカッドを撃ちこんでくるやつはわれわれ共通の敵だ」と団結されては困るので、「いつ攻撃されたかわからない」ような方法で、「いつのまにか流行する」ように持って行くものなのだ……今回のSARSのように。

【某大手紙の北京特派員からの私信によると、SARSについて、北京では「台湾が撒いた生物兵器」という噂が、台北では「中国が撒いた…」という逆の噂が広がっており、両者が「団結」しそうな気配はまったくない、という。】

SARSの主たる流行地域(環境)や感染の広がり方は、筆者が小説『ゲノムの方舟』で取り上げた某ウイルスのそれと酷似している。
小説を読まれた方には、SARSは「最終兵器」としての条件を十分に満たしているように見えるのではないか。

【次回は「なぜ日本人はSARSに感染しないのか」を探るため、一転して「SARSは天然物」という仮説を立てて検証してみたい。】
(敬称略)

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