汚い爆弾:週刊アカシックレコード020829
発行日時: 2002/8/29■きたない爆弾〜週刊アカシックレコード020829■
新しい「手軽な」核兵器の出現は、戦争における道義のあり方まで変えつつある。
【総選挙の事前運動】
2002年9月1日が投票日の長野県知事選挙に立候補した、永田町事情に詳しい産経新聞政治部の花岡信勝記者(のちに辞退)と経営コンサルタント(石原慎太郎・都知事の政策ブレーン)の市川周(辞退はしないが落選確実)は、2002年6月28日のテレビ朝日『朝まで生テレビ』に出演して「石原総理待望論」を展開。
おそらく2人ともまったく知事になる気はなく、来るべき衆議院の解散・総選挙の際、長野県の選挙区で立候補して「石原与党」の議席を確保すべく、名前を売るための「事前運動」として立った……ということは「総選挙は近い」と永田町や都知事周辺が予測している、ということになります。
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■きたない爆弾〜特集「米イラク攻撃と日本」(3)■
【前々回の「OPEC in 大阪」 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/iraq.html#02 > から続く。】
2001年9月11日の米中枢同時テロのあと、米国は、
#1 テロリストが(飛行機をハイジャックしてビルに突っ込ませるのに続き)弾道ミサイル、核などの大量破壊兵器を使う可能性
#2 アルカイダなどのテロリストが、イラクなどのテロ国家(無法国家)と結び付く可能性
#3 イラクなどの無法国家が米国やその同盟国に大量破壊兵器を使う可能性
を痛感し、情報収集活動とミサイル防衛(MD)の開発を強化した。
軍事的教養に乏しい、平和ボケした「(自称)平和主義者」からは「ハイジャック機がビルに突っ込む場合はMDは意味がない」だの「イラクが大量破壊兵器を使うという説は、イラク攻撃で儲けたい米軍需産業の陰謀」といった米国批判が発せられた。
が、2002年8月7〜9日、京都で開かれた国連軍縮会議は、そうした「平和主義的な」見方を、現実とかけ離れた無意味なものとして一蹴した。緒方貞子・前国連難民高等弁務官の基調講演で始まったこの会議のテーマは「国際安全保障と軍縮に対するテロリズムの挑戦 − 世界及び地域への影響」で、世界12か国から政府関係者や研究者約40人が出席。開会式では、主催者を代表して、国連のエフジェニー・ゴルコフスキー軍縮局次長が「大量破壊兵器(WMD)へのテロリストのアクセス(保有の可能性)が現実のものとなりつつある」と強く警告した(NHK総合テレビ『明日を読む〜テロと大量破壊兵器』2002年8月9日(10日未明)放送、 < http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2002aug/07/W20020807MWA1K100000061.html > )。
2001年9月のテロでアルカイダが飛行機をミサイル代わりに使ったのは「あの時点ではまだ弾道ミサイルや核などのWMDを保有していなかったから」その代替手段としてにすぎない(だから犠牲者は数千人に留まった)。もし、あの時点でWMDを保有していれば使ったに決まっている(どうも世界には、まったく頭を使わず「なんでも軍需産業が悪い」と言えば「正義の味方」になれると思い込んでいる人が多すぎるようだ)。
また、イラクが大量破壊兵器を保有していない、と主張する「サダム・フセインの弁護人」のような意見も、日本のマスコミ(ジャーナリスト田中宇の「米イラク攻撃の表裏」 < http://www.tanakanews.com/c0716iraq.htm > )や
西側諸国の政府高官(カナダ国防相の見解 < http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020821-00000019-reu-int > )のなかに多々見受けられる。
●大量破壊兵器とは何か●
大量破壊兵器(WMD)とは、核、バイオ(生物学)、化学の技術を用いて一度の攻撃で多数を殺傷し、攻撃対象に社会不安や国力の停滞を招くことのできる弾頭兵器(核兵器、生物兵器=細菌・ウイルス兵器、化学兵器=毒ガス)と、その運搬手段となる(弾道)ミサイルの総称である。
従来の常識では「イラクが大量破壊兵器を持っている」と言えば、それは上記の弾頭兵器や運搬手段とその開発・製造施設(原子炉や工場など、比較的大規模で発見しやすいもの)を持っていること意味した。ところが、2002年のいまは違う。核、生物、化学兵器に次ぐ第4の弾頭兵器、あるいはもう1つの核兵器とも言うべき「きたない爆弾」があるからだ。
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演題:有事法制と今後の政局
講師:田村重信(自民党政調会専門調査員、慶応大学大学院講師)
日時:9月13日(金曜日)19:00〜21:00 費用:資料代2000円
場所:きゅりあん(JR大井町駅徒歩1分)6階大会議室
連絡:グローバル・イッシューズ総合研究所 < http://www.g-i-i.net >
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●きたない爆弾●
核兵器と聞くと、ほとんどの人は、原子炉などの大型設備を利用して、ウラン、プルトニウムなどの軍事用核物質で造られ、大陸間弾道弾(ICBM)などに弾頭として搭載される「りっぱなもの」を思い浮かべるだろう。
が、これは米国やソ連のような「国家が国家を攻撃する」伝統的な戦争観に基づく発想だ。テロ集団や、それを利用するテロ国家は、殺戮(即死)よりも「傷付ける」ことを重視する。それは、オウム真理教(と某国)が起こした「地下鉄サリン事件」の死者数が負傷者数よりはるかに少ないことを見ても明らかだろう。彼らの目的は攻撃対象に社会不安を起こすことなので、彼らがWMDとして核を利用する場合、核爆発時に出る熱や放射能による即死よりも、長く大勢の人々を苦しめる「放射能汚染」を重視する、という発想があってもおかしくない。
かくして、汚染を目的としたまったく新しいタイプの核兵器「きたない爆弾」(dirty bomb、スーツケースで運べる手軽な核爆弾という意味で「スーツケース爆弾」)の登場が必然とみなされるようになった。
困ったことに、これは汚染を目的とした爆弾なので、その製造にはウランのような「ごりっぱな」軍事用核物質は要らない。軍事用核物質はどこの国でも軍や政府によって厳重に管理されているから、それを奪って核兵器を造るのは容易ではないが、「きたない爆弾」を造るには放射性廃棄物、たとえば医療用核物質として広く利用されているセシウムやコバルトを含む「ごみ」があれば十分だ。そして、このような「民間用核物質」の管理はどこの国でも軍事用核物質ほどは厳しくなく、とくに旧ソ連ではその管理が杜撰で、どの病院にどれぐらいの核物質があるかを示す基本的なリストも台帳もないほどだ。
したがって、今後「テロリストやテロ国家(イラク)が核兵器を保有する可能性がある」という場合、ウランなどを使った「りっぱなもの」のみならず、民間施設に「落ちていた」核のごみをダイナマイトなどの爆薬に混ぜて時限爆弾などの形にした、この手軽な核兵器をも思い浮かべなければならない。ブッシュ現米大統領の最高顧問、カール・ローブもイラクが「スーツケース爆弾」を使う可能性を指摘している(テレビ東京『日高義樹のワシントンリポート〜アメリカはいつサダム・フセインを攻撃するのか』2002年7月21日放送)
この爆弾を造るには、「ダイナマイトと乾電池で時限爆弾を造る」のに必要なスペース、つまり「自宅のガレージ」があれば十分なので、国連査察団が何度査察しても「まだ、どこかにみつかっていない大量破壊兵器があるはずだ」と米国政府が、言い続けることは(「言いがかり」どころか)常に正しいのだ。
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●ゴールドフィンガー●
「きたない爆弾」を都心で爆発させても、その瞬間に即死する人の数は(普通の核爆弾に比べればかなり)少ない。が、爆風のおよぶ範囲はすべて核物質で汚染されるので、その瞬間その場にいた人はもちろん、その後そこに足を踏み入れた人でも、白血病など被爆者特有の病気の発病率がかなり高まる。したがって、ひとたびこれが炸裂すれば爆心地周辺の土地やインフラはすべて使用不能となり、長期にわたって経済的ダメージや社会不安を与えることができる。その「効果」は「即死型」の核爆弾にはおよばずとも、毒ガスなどよりは大きいので、れっきとした「大量破壊兵器」と言える。
とくに、イラクとの関連で注目されるのは、この種の爆弾が、人の殺傷のため、というより「世界の石油市場の価格操作のため」に使われる可能性だ。
なぜなら、この兵器は特定の地域に「人が寄り付かなくなる」ようにするのに有効だからだ。
映画『007ゴールドフィンガー』は、大量の金(きん)を買い占めた大富豪ゴールドフィンガーが、世界最大の金保有国、米国の連邦準備銀行FRBの金保管倉庫で核爆発を起こして、そこに保管されている金塊を放射能で汚染して使用不能にし、世界の金相場をつり上げて大儲けをたくらむ、という筋だ。
この映画が創られたのは1964年だったから、制作者は放射能汚染を起こす手段としては、即死型の「りっぱな」核兵器しか想定できず、映画にもそれが登場した。
が、2002年のいまは違う。
「きたない爆弾」の登場で、テロ集団やテロ国家がWMDを、国連などの査察の目を逃れて保有することはきわめて容易になったし、実は米国の諜報機関CIAなどがテロ国家にWMDを「保有させる」ことも容易になった(だから、テロ集団やそれを操るイラク……やイラクを操る某国?……は、たとえばサウジの油田地帯を放射能汚染して世界の石油相場を吊り上げることも容易だ。そうなれば「結果的に」従来開発コストが高すぎて採算が取れなかった旧ソ連や南米の一部地域の油田も開発できるようになる)。
●もはや議論自体が無意味●
米国政府が「WMDを保有する」イラクに対して「専制攻撃も辞さず」と繰り返し表明しているため「イラクがWMDを持っていることの証拠があるのか」「先制攻撃はいかん」といった「反戦世論」が世界各国に広く見られる。
しかし、きたない爆弾という新しいWMDの登場により、この種の正論は時代遅れになった。
証拠が必要なら、米諜報部員がイラクに潜入して「手軽な」WMDを置いてくればいい。先制攻撃がダメなら、米諜報部員にイラク国境の内側からきたない爆弾を積んだミサイルを撃たせ、たとえばサウジの油田地帯を放射能汚染すればよい。もちろん国境の内側には諜報工作の証拠が残ることもあろうが、そんなものは米国の対イラク攻撃(正当防衛?)開始後に、空爆で吹き飛ばせばいい。
もはや、平和主義的な「正論」に基づいて反戦運動を展開しても、戦争を防ぐうえではなんの役にも立たず「CIAの手間を1つ増やすだけで、あとは同じ」という時代になったのだ。
●敗者に世論の支持はない●
もちろん、厳密には「やらせ」とほんとうの戦争は違うはずだ。が、人類史上いまだかつて、世の中の多数派によて、敗者のために厳密な史実の検証が行われたことなどない。
豊臣秀吉に敗れた明智光秀、赤穂浪士に討たれた吉良上野介、白人移民に駆逐された北米先住民(インディアン)、阿片戦争で英国に敗れた清朝……どの敗者にも有力な「弁護人」は存在しない。
太古の昔から、あらゆる政争、戦争の勝者は勝って得た権力をフルに使って歴史の証拠を隠滅し、史料を改竄し、史実を歪曲し、勝者に都合のいい「歴史」だけを残してきた。こうして勝者によっていったん「確定」された史実に、敗者が異議を唱えると、たいてい「世論」の反発か却下を食らうことになる。
まさに戦後の日本がそうだった。
日本は第二次大戦の敗戦国となり、米国を中心とするUnited Nations(連合国。国連の英語表記と同じ)に占領され、戦争責任を問われて「東京裁判」で「有罪」とされた。
この裁判は、日本の戦時中の戦闘行為の多くが「人道に反する大虐殺」と断罪されたのに、戦勝国・米国の広島への原爆投下は免責されるなど、不公正なものだった。が、戦後の世界はもちろん日本国内でも、この種のことを言えば、たちまち「右翼軍国主義者」のレッテルが張られて社会的に制裁されるので「敗者の弁護」は事実上タブーになっていた。
また「敗者の罪」は後世突然「発見」され、罪状が急に重くなることもある。91年になって突如惹起された(それ以前は問題視されていなかった)「従軍慰安婦」問題( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/jgi-a.html > )がその典型で、日本はこの件では「アジア近隣諸国などに配慮」して「謝罪と反省」を表明することで「道義的に」問題を解決しなければならなかった。
もしも日本が対イラク攻撃に参加したことでイラク国民から「道義性」を問われることが心配なら、日本は戦後のイラク占領政策に参加し、イラクの民主化、とくに「教育の民主化」に関与してイラク国民に「イラクは本質的に邪悪な国で、世界の脅威だったので、攻撃されて当然」と教え込み、彼らが外国(米国や日本)に対して条件反射的に「謝罪と反省」を表明するように教育してやればいい。
この種の占領教育政策は、第二次大戦後の日本で米国によって行われ、みごとに「成功」した。その成功の結果として戦後の日本には「平和憲法絶対擁護」や「侵略戦争についての謝罪と反省」を一途に愛する平和主義者が大勢育った。
【戦後、米国は、日本国内に「武装中立論」に基づく反米主義が蔓延することを恐れ、その種の主張をする者には左翼を使って非難を浴びせ「右翼軍国主義者」のレッテルを貼ってきた。が、「非武装中立論」に基づく日米安保反対論は、まったく実現の可能性がない……現に50年間実現していない……ので、反米世論を弱体化する目的で、むしろ奨励した。本誌Web版記事「たすきがけ買収」< http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/tasuki.html > を参照。】
そういう平和主義的な連中をイラクでも育ててやれば、日本国民はまったくイラクに謝罪する必要がない(こちらがしようと思っても先手を打って向こうが謝罪してくれる)。それで、道義的な問題はすべて「解決」する。
●既成事実の重み●
それでもなお「CIAの陰謀かもしれない」などと真実を追い求めるジャーナリストは世界のどこかにいるだろう。が、仮にそういう説が正しいと証明され、世論の多数派になるにしても、それには一定の時間(年数)がかかるから、その頃には「国際世論の支持のもと」対イラク攻撃は完了し、フセイン政権は消滅し、場合によってはイラクという国家自体も解体されているかもしれない。
2001年になって「日本の真珠湾攻撃は奇襲ではなく、米国側のやらせ(自作自演)ではないか」と説くノンフィクション、ロバート・スティネットの『真珠湾の真実』が米国でベストセラーになった。もちろん、それが事実として米国世論の多数派に受け入れられることはなかったが、たとえ受け入れられたとしも、いまさらなんの意味があるのだ?
大日本帝国は解体され、米国占領軍が「違法に」制定した日本国憲法(占領下の改憲は国際法違反)は50年以上も機能し続けたから、自衛隊も非武装中立を説く言論も、自民党も共産党もすべて、この憲法制定という「既成事実」の上で(憲法の許す範囲内で)動いてきた。憲法を作り直す場合だって、結局この憲法の改正条項(96条)に依存しないわけにはいかない。
だから、いまさら「あの戦争での米国の参戦は不正工作でした」と言われても、もう取り返しはつかない。日本国憲法が「なかったこと」になるわけではない。
だから(「きたない爆弾」の時代には、とくに)厳密な証明で米国の「きたない陰謀」を暴くことには意味がない。米国が「ある」と言ったところには必ずWMDはあるのだ。
東京裁判に基づく、第二次大戦中の日本の罪が消えないのと同様に、「米国ににらまれた」イラクの罪も半永久的に消えない。
だから、米国のイラク攻撃で問題にすべきは(その道義性などといった空理空論ではなく)戦略性、つまり戦禍がどこまで拡大するか、といった実利的なものでなければなるまい(99年の旧ユーゴ空爆の際には、米国もNATOも、事前には「ユーゴが残酷な民族浄化を行っている証拠」を示す記者会見を一度も開かず、空爆開始後に突然「証拠」を出して大義名分をでっち上げたが、欧州諸国はまったく(その道義性を)問題にせず、むしろ「共犯」として空爆に参加したではないか。 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/ecldt.html > )
【人類史上「すべての人の幸福」を公約(安請け合い)した思想や体制は多々あれど、社会主義を含めてすべて失敗。保守政治とは、この現実を踏まえて自分の国や仲間が「ババ抜きのババ」を引かないようにすること(できもしない理想論で一時的に人を酔わせる「一服の清涼剤」が革新政治)。
イラクや中国にババを引かせないなら、代わりに日本が引くでしょう。生き残るには、たとえ不道徳な国(米国)と同盟してでも勝ち馬に乗るべきで、正義を唱えて「負け馬」に乗るのは背任罪……さて、米国が勝ち馬かどうかは本誌ではまだ検討しておりませんが(イラク攻撃やそれに先立つ「事前テロ」については開戦前に検討しておきたいので)この件の「立証」は、遺憾ながら9月半ば以降に先送りします。】
(敬称略)
追伸1:
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