合法侵入Part 2:週刊アカシックレコード020801
発行日時: 2002/8/1■整形美人型サギ〜週刊アカシックレコード020801■
住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)はインターネットとはつながらない、閉じた(クローズド)ネットワーク(専用線)なので、技術上、制度上はインターネットよりはるかに安全だ。
が、住基ネットそのものに手を着けなくても、インターネット側で不正を働くことで事実上、住基ネットを混乱させ、その危険性を印象付ける方法がある。
【世襲権力の維持には実力が要る?】
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)が父親の跡を継いで国家最高指導者になったことを、北朝鮮では「建国の父・金日成の息子だからではなく、正日自身が偉大な指導者だからだ」といいますが、意外にこれはほんとうなのでは? なぜなら、中国など他の社会主義国では建国の父(毛沢東)が、その息子(隠し子と言われた華国鋒)に権力を譲ろうとした形跡はあるものの、世襲が成功した例は一例もないからです。
「実の息子だから」ということは権力を獲得する口実の1つにはなるものの、それを維持するには絶えざる闘争が必要なのです。
ぜんぜんジャンルは違いますが、狂言師の和泉元彌だって
(^^;)
先代の実子であることを拠り所に宗家を継いだ(と宣言した)ものの、能楽協会や和泉流職分会に認めてもらえずに苦労している( < http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020729-00000011-ykf-ent > < http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/motoya_izumi/ > )ので「世襲権力は世襲だけでは維持できない」と言えそうです。
ま、両者とも、わけのわからんトラブル(武力衝突やWブッキング)が多いところは似ていますが、いまのところ金正日のほうがうまくやっているように見えますな。
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■整形美人型サギ〜住基ネットの破り方(2)■
【典型的な「合法侵入」の手口については、前回の記事 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/juki.html > を参照。
住基ネット反対派の「正体」については < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/isihar.html#01 > を参照。】
前回は、本来インターネットとは異なり、インターネットにつながってもいない閉じた(クローズドな)系である住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)上の個人情報を、インターネット経由で「合法的に」読み出す「手軽な」手口について説明した。
おそらく「住基ネット反対派」の急先鋒であるジャーナリストの櫻井よしこが、前回の記事を読めば「私が言っていた住基ネットの危険性とはまさにこのこと」と言うだろう。
が、櫻井が2002年7月21日のテレビ朝日『サンデープロジェクト』で行っていた「住基ネットの線(ケーブル)をたどっていくと結局ほかのネット(インターネットや庁内のイントラネットのことらしい)につながってしまう」という説明は、技術的には完全なデタラメで、まさに素人の言いぐさだ。同番組の司会者、田原総一朗はその櫻井に「わかりやすく」説明してくれと頼んでいたのだから、もっと素人だ。
こんなド素人たちが「賛同者一覧」( < http://kamakuranet.ne.jp/~seki/kb/list.html > )に名を連ねた「住基ネット反対運動」( < http://kokuminbango.hantai.jp/ > )とはなんなのか? 小泉内閣を倒して政局を転換するきっかけに利用したいという「確信犯」なら、その気持ちは理解できるが、いささか手法が粗雑にすぎないか)。
●侵入せずに侵入する方法●
実は、住基ネット上の個人情報をインターネット側に流出させ、多数の国民のプライバシーを侵害する方法はほかにもある。
以下に述べる「詐欺」の手口は、住基ネットには侵入しないので、その限りにおいては合法だが、各自治体のインターネットサーバーに対しては不法侵入を行う、というものである。
2002年7月10日、総務省が前日9日にナゾの人物から届いた全国千数百の市町村(自治体)のサーバーの弱点情報を列挙した怪メールの「指示」に従って、その「弱点一覧」を全国にメールで配布するという、信じ難い愚行( < http://www.asahi.com/tech/asahinews/K2002071900089.html > )を犯したため、いまや世界中の犯罪的ハッカー(クラッカー)が「8月5日以降攻撃するなら、セキュリティ要員の手薄な日本の田舎の自治体サーバー」がいちばん面白いと知っている。もしも、彼らが自治体のインターネットサーバーへの不法侵入に成功し、住基ネット上を流れる個人情報を奪うことに成功したら、住基ネットとその稼働を推進した総務省、小泉内閣の威信はおおいに失墜し、政変( <http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/isihar.html#02 > )にもつながりかねない。
が、総務省は反論する、住基ネットはインターネットとつながっていないから、住基ネットにインターネットから侵入することはできず、従って住基ネット上の個人情報がインターネット上でクラッカーに読まれることはない、と。
そのとおりだ。インターネットのようなオープンでない、クローズドな(閉じた)系である住基ネットには、容易には侵入できない。
が、個人情報を奪うには、必ずしも侵入する必要はないのだ。
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●整形美人型●
全国の千数百の自治体がインターネットにつながるサーバーに、セキュリティの弱い、古いバージョンのOS(基本ソフト)を使っていることが7月10日「弱点一覧」の配布で確認されており、かつ予算、人員、危機意識の面から見て、その千数百自治体が1つ残らずバージョンアップなど必要な対策を即座にすべて完璧に実行するとは考えられないので、8月5日以降も、いくつかの自治体は「侵入されやすい」弱点を抱えたまま、サーバーを全世界のインターネットユーザーの前にさらし続けることになる。
そこで、クラッカーたちは、まずこのようなサーバーに侵入し、自治体のホームページ(Web)の内容を書き替えることができる。これはもちろん違法だが、侵入経路がわかりにくいように複数の外国のサーバーを経由して「標的」にアクセスすれば、まず発信源を探知されることはない(2000年に日本の複数の中央官庁のWebサーバーに侵入してホームページの内容を書き替えたクラッカーたちは、中国などを経由して侵入しており、いまだに逮捕されていない)。
内容の書き替えに際して、もっともありそうなのは、たとえば以下のようなものだ:
「平成14年8月5日から住基ネットが稼働しました。これにより、当自治体(○○村)に転入される予定の皆様には、当村役場へおいで頂かなくても住民登録の変更ができるようになりました。
お申し込み手続きは住基ネットの端末のある村役場または出張所、図書館、公民館、村立小学校などの当自治体の公共施設においで頂いて、そこで端末を利用して頂くか、または、『このホームページから、必要な情報を入力して頂く』か、いずれかの方法でできます」
このような記述とともに「入力コーナー」を用意し、そこに住所、氏名、生年月日、性別の「基本4情報」を入力すれば「インターネット経由で行政サービスが受けられる」と思わせるようにしておく。この「入力コーナー」のページは自治体のWebのトップページからリンクを張って、クラッカーの直接管理できるところに置いておく。
こうすれば、住基ネットとインターネットの区別の付かない、多数の(IT音痴の)国民は、このにせもののホームページに自身の個人情報を入力し、それがそっくりクラッカーの手に渡ることになる。
これは、インターネット上でよくある「なりすまし」( < http://www.hitachi.co.jp/recruit/solution/pick5.html > )と言われるタイプの詐欺で、インターネットの危険性を表す手法ではあるが、べつに住基ネット自体の危険性を表すものではない。
が、政局に関して世論をリードする立場にある、大手新聞の政治部長や(上記の櫻井、田原のような)「文科系」の論客の大半は、まさにインターネットと住基ネットの区別も付かない、IT技術のド素人である。
ド素人のくせに、世論への影響力は絶大で、彼らが新聞やテレビでひとこと、上記の「整形美人型詐欺」について「それ見ろ、住基ネットを稼働したら、個人情報が盗まれたではないか!」と言えば、国民世論(とくに民放TV各局のワイドショー)は住基ネットを危険なものと判断し、かつ、そういう危険なものの稼働を強行した小泉内閣や総務省を批判するようになる。
クラッカーの目的が、あるいは7月9日に「弱点一覧」を総務省に送信したナゾの人物の目的が、「小泉内閣に打撃を与えること」なら、これで十分に目的を達したことになる。
したがって、住基ネットそのものに侵入せずとも事実上侵入したのと同じ(危険な)効果を持つ「手口」は、前回紹介した「TBC型」( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/juki.html > )とあわせて2通りあるのだ。
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●ウイルスによる「二次災害」も●
このほかにも、上記の7月10日の総務省による「弱点一覧」配布があるので、それに触発された世界中のクラッカーが、日本の自治体のサーバーをねらって既存の、あるいは新種のコンピュータウイルスを送り込んで来ることが考えられる。
どの自治体でも住基ネットとインターネットは別物だが、両者のセキュリティ担当者は同じ部署や同じ個人が兼ねていることが多い(人口が少なく、それに比例して役所の職員の数が少ない過疎地の自治体ほどその傾向が強い)。
自治体のインターネットサーバーがウイルスに冒されれば、その自治体のITセキュリティ担当者の注意力とエネルギーはインターネットのほうで浪費されるので、それだけ住基ネットのほうはおろそかにになる。とすると、当然「うっかりミス」によるTBC型の「合法侵入」事件( < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2002/juki.html > )は起きやすくなる。
【念のために申し上げるが、筆者は今回、2002年8月5日、住基ネットの稼働初日にただちに大混乱が起きる、とは予言(予測)していない。基本的には、8月5日以降ならいつでもあり、と思っている。
理由は、混乱が起きた場合の政治的「効果」がいちばん大きいのは(つまり、クラッカーが攻撃していちばん面白いのは)2002年8月5日ではなく、臨時国会召集(2002年10月頃)直前だからである。
もちろん「政局」について理解の乏しいクラッカーたちは、10月まで待ち切れなくて8月5日にただちに攻撃を開始すると思われるが、その場合でも、混乱が露見して報じられるまでには何日かかかる。いささかタイプは違うが、総務省が「弱点一覧」を全国の千数百自治体に配布するという失態を演じたのは2002年7月10日で、それをマスコミ(朝日新聞)が報じたのは7月19日だから、この混乱(の「もと」)は9日間も露見しなかったことになる。
だから、筆者は8月5日を指折り数えて待っているわけではない。】
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●心理的な人災●
かくのごとく、住基ネットの抱える弱点は、住基ネットそのものが持つ制度上、技術上の危険ではなく、住基ネットの周辺にある「心理的な人災」とでも呼ぶべきものばかりで、このネットは本質的には安全とみなしていいのではないだろうか。
が、それを無理矢理「危険だ」ということにして「中止」や「凍結」を求める「言いがかり」型の手法は「原発反対運動」(という名の石油火力発電のための利権追求運動)などではおなじみのことだ。
いささかずるい手段とは思うが、これで政局が動き、不良債権処理など日本が抱える重要課題を処理できる、強力な政権が生まれる可能性があるのなら、それなりに意味はあるだろう。
【次回は、今年2002年中にも予想される米国のイラク攻撃に日本が参戦することの(道義的賛否ではなく)技術的可否を検討する、事前予測「対イラク参戦マジック」(仮)の予定です。(元)左翼・平和主義者の方、日米同盟の強化に反対の方、必見です。】
(敬称略)
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