「エンロン疑惑」への疑惑:週刊アカシックレコードmail版020318
発行日時: 2002/3/18■さらば中東(3)〜週刊アカシックレコードmail版020318■
「エンロン疑惑」があるからブッシュ米共和党政権の新エネルギー政策は見直せ、という米民主党らの主張には、米国の中東原油離れを遅らせ、「中東油田地帯の用心棒」としてイスラエルを存続させよう魂胆が見え隠れする。
【河野、加藤、鈴木 → 野中 → 外務省改革の「ゴール」】
米保守本流(共和党)が、日米同盟を強化して中国の台湾侵略を防ぐためのMD(ミサイル防衛)配備するにために一掃したい「親中国派」の大物標的第1号は、河野洋平元外相(松尾室長問題で「撃沈」済み)。
第2号は、自民党の加藤紘一元幹事長。彼は「小泉構造改革」には賛成なので、小泉首相(親中国派でなく、米国・台湾寄り)と外交でも歩調を揃えるか……との周囲の期待も空しく反省しなかったため、2002年秘書の脱税(逮捕)という(別件逮捕ならぬ)「別件スキャンダル」を仕掛けられて、こちらも撃沈。
そして残る最後の「親中国派」の大物は、かの鈴木宗男議員……ではなくて彼を通じて外務省を牛耳ってきた、自民党橋本派の野中広務元幹事長。
彼が力を失い、日本が中国への(沈没した不審船の引き上げすら中国に遠慮してためらうような)「土下座外交」をやめ、日米が協力してMDが台湾に配備されて初めて「外務省改革」は終わるのです。
■さらば中東(3)〜アメリカがイスラエルを見捨てる日■
【前回(2002年3月14日配信)の記事 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/saraba.html#02 > から続く。】
2002年3月13日、国連安全保障理事会で、米国(ブッシュ共和党政権)の提案と賛成によりパレスチナを(イスラエル国内の自治政府ではなく、イスラエルと対等な)主権国家として認める趣旨の決議案が可決された。これは、クリントン民主党政権下では世界の世論がいくら要求しても一度も実現しなかったことだ。これにより、見せかけの和平仲介ポーズ(後出)をとっていたクリントンではなく、ブッシュこそが真の平和主義者であることがはっきりした。ブッシュは、シャロンの対アラブ強硬路線が治安維持ではなく報復テロしかもたらさないことに、イスラエル世論がうんざりしはじめたタイミングを見はからって、和平プロセスをアラブ寄りの立場で再開する用意があると示したのだ。
●「エンロン疑惑」への疑惑●
これと、米国の中東原油への依存度が下がりつつあり、中東から米国は手を引くべきという、米国防総省の内部報告書『アジア2025』の分析とをあわせて考えると、2002年の米国の議会とマスコミの焦点である「エンロン疑惑」の深層がなんとなく見えてくる。
『アジア2025』がまとめられたのは1999年だが、これは数年にわたる研究成果の結実なので、その方向性は90年代前半(遅くとも、共和党員のコーエンが国防長官になる1997年)には決まっていた可能性が高い。イスラエル(の情報機関)は早ければその頃『アジア2025』の内容を知って「25年以内に米国(共和党)がイスラエルを見捨てる」と予測できたはずだ。「イスラエル切り捨て」の線に沿ってエネルギー政策の変更が行われる、つまり「費用対効果」を考えて安全保障コストの高い中東への(減りつつある)依存度をさらに早く減らして、米国内はじめ中東以外の油田や原発への依存に切り替えようとするだろう、という程度の予測も、経済学の学位やMBAを持っている者ならだれでもできる。
ならば、共和党政権が新しいエネルギー政策を策定するにあたり、ひそかにイスラエル系機関が米エネルギー産業界のだれか(エンロン)を説得して、新政策が発表されたあとに、政権中枢(ブッシュ父子)の周辺で非常にけがらわしいこと(不正経理により2001年12月、経営破綻)が起こるように細工しておけば、「脱中東」路線へのエネルギー政策の転換を遅らせる効果は十分期待できる。
もちろん、この仮説には確証はない。しかし、エンロンがいかにも、すぐバレそうな、絵に描いたような不正経理をやって、共和党の新エネルギー政策を「汚した」ことは事実であり、これで得をする(可能性がある)のは世界広しと言えども、占領地に居座り続けたいイスラエル国内の強硬派ぐらいしかいない(米国内の「原子力派」は、原発容認の新エネルギー政策が実行されたほうがトクで、それが汚されることを望むはずがない)。
加えて、エンロンが(1985年の創業だが)普通株と引き換えに受け取った取引相手発行の手形を株主資本に入れるなど不正経理を「本格化」させたのは2000年にはいってからで、その不正が暴露されたのは2000年12月、つまり「フロリダの大接戦」を制してようやく(民主党のゴアでなく)共和党のブッシュが大統領に当選するとほぼ決まった頃である(東京新聞2001年12月6日付「急成長の米エンロン破たん」
http://www6.plala.or.jp/X-MATRIX/data/toukyou1206k.html
を参照)。
たとえば、エンロンは社員に給与の一部として、現金に代えてストックオプション(自社株購入権)を払う方法で赤字を圧縮していたが、この方法は実は「社員のやる気を引き出す最先端経営」として、かつては最優良企業と言われたシスコシステムズをはじめITベンチャー企業で幅広く行われていたことだ。つまり、エンロンは創業以来経理のごまかしをしていたのは事実だが、それは当初は取り立てて邪悪というほどのものではなく「みんながやっていること」をやっていたにすぎなかった。本格的に「邪悪」になったのは、ブッシュ(湾岸戦争でイスラエルを切り捨てようとした大統領)の息子が共和党の大統領候補の本命になった2000年にはいってからで、その邪悪さが暴露されたのはブッシュの当選決定の頃である。
これらの事実は何を示唆するか(エンロンは、共和党だけでなく民主党にも幅広く献金していたから、だれが政権を取ってもアラブびいきの中東和平や米国の中東撤退の動きが出たらすぐにスキャンダルを仕掛けて足を引っ張れるように、イスラエル系機関が「保険」をかけさせていた可能性もある。たとえば、民主党のゴアが大統領になっても、原子力派の圧力でエネルギー政策を変え中東原油離れを進めるなら、イスラエル系機関は「不正経理のエンロンから献金を受けたのか」「エンロンのための政策転換だったのか」「原発は危険だ」などとマスコミに言わせることで結果的に「イスラエルに中東を守ってもらって中東原油を使いましょう」「そのためにイスラエルを援助しましょう」と訴えるのと同じ効果をあげることができる)。
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『ブリジット・ジョーンズの日記』は女の本音ではない。タテマエである。
本音はこっちでしょ?
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http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/cntnt.html
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●米民主党議員の言いがかり●
エンロン関係者が助言(?)してチェイニー副大統領が中心になってとりまとめたエネルギー政策に対して、米民主党のワックスマン下院議員は「『インドでの石油や天然ガスの生産拡大を支援する』という項目が盛り込まれたのは、インドの発電事業に深くかかわっていたエンロンの働きかけがあったためではないか」と書簡で質問した(NHKニュース2001年1月27日)。
が、チェイニーは(新政策遂行の妨げになるので)証言を拒否している。
当然だ。エンロンがかかわろうがかかわるまいが、中東諸国のほうが次第に欧米よりアジアを向く情勢になりつつあるのだから、米国内やインドのようなイスラエル問題のしがらみのない「安全な地域」にエネルギーの依存先(輸入先)を変えたいというのは自然の流れだ。それを、変な奴(エンロン)が勝手にからんできたからといって「ダメな政策だ」と因縁をつけるのは、まるで「つつもたせ」のような罠ではないか。こういう質問をする議員にはぜひ「あなたがそういう質問をするのは、イスラエル占領地に固執する『和平抵抗勢力』の働きかけがあったためではないか」と言ってやりたい。
しかも、このようないやらしい質問(罠)に簡単に屈すると、二の矢、三の矢として、リベラル派お得意の「環境保護運動」の力で米国内、とくにアラスカの油田開発もつぶされる恐れがある。そうなると、米国の中東原油への依存度はなかなか下がらず、その中東を守るのに(実際には有害無益だが)イスラエルの軍事力が必要という口実で、イスラエルはアラブ諸国と敵対したまま(占領地をアラブ側に返還せずに)存続できる可能性が出てくる(と占領地に住む「和平抵抗勢力」は思っている)。
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●だれが無用な流血の原因を作ったのか●
こんなことで、もしチェイニーがエンロンとの接触を証言したら、彼の新エネルギー政策は練り直しを強いられ、米国の中東撤退は遅れ、米国の威を借るイスラエルの、占領地返還拒否などの横暴はひどくなり、まだまだ無意味な血が流れることになるだろう。
「いま(2002年3月現在)、アラブ側の自爆テロとイスラエル側の報復攻撃で流血が続いているのに(クリントン前政権と違って)仲介に乗り出さないブッシュ現政権はけしからん」という非難はあたらない。
すべての責任はシャロンを首相に選んだイスラエルの有権者にある。中途半端な仲介でお茶を濁そうとしても、中東和平プロセスの進展で入植地での生活を失うことを恐れる「抵抗勢力」の入植地住民(と、彼らにそそのかされて、やはりイスラエル本土防衛には戦略上の要衝である占領地を確保しておいたほうがいい、と思っている一部の本土住民)が諦めない限り、仲介など成功しない。だから、クリントンは失敗したのだ。
彼らに入植地での生活を諦めさせ、パレスチナ国家樹立を容認させるには、もはや「だだっ子の頭を撫でる」ような和平仲介は無意味であることははっきりしている。ならば、だだっ子に好きなだけ「だだ」をこねさせ、和平プロセスを停滞させ、それがなんの利益ももたらさず、国際的孤立しか招かないことをイスラエルの全国民に実感させる以外に方法がないと悟ったから、ブッシュ共和党政権は確信犯で仲介を避けたのだ、と筆者は考える。
たしかに、この「ほったらかし」政策の間に多数の死傷者が出ている。が、クリントン式の「甘やかし」仲介でいつまでも中途半端な状態が続いた場合も結局、戦争かテロで多数の死者は出るではないか。
1人の死者も出さない……のは理想ではあるが、それを実現する方法は実際にはない。ならば、長い目で見て根本的解決につながりやすいほうを選んだほうがよくはないか?
ラビンの和平合意を米民主党(クリントン)が支持して成功するなら、共和党もアラブ諸国も文句はない。が、この和平合意は(クリントンは深く考えずに推し進めたが)東エルサレムの帰属や、パレスチナの最終的地位(主権国家か自治政府か)、占領地内のユダヤ人入植地の扱いといった根源的な問題を棚上げにしたうえでの、砂上の楼閣のような「合意」であり、もともと2001〜02年にシャロン政権下で起きた流血のような事態を経ずして達成できるような合意ではなかったのだ。
筆者には、クリントンのやったことは、ユダヤ団体の票ほしさに、彼らにいい顔をするために、できもしない「仲介」を、さも「できそう」な顔をしてやってみせた、という単なるポーズのように思えてならない。
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●ブッシュの脱中東発言とサウジ皇太子の新提案●
パレスチナで流血の惨事が続く中、2002年2月17日、サウジのアブドラ皇太子の新しい中東和平提案の内容が、リベラル系のメディア、米ニューヨークタイムズ紙に載った。内容は「イスラエルがヨルダン川西岸、ガザ地区やゴラン高原などの全占領地から撤退すれば、アラブ諸国がイスラエルを承認する」というもの。
2月25日、ブッシュ大統領はCNNなどのテレビカメラの前で「われわれのことをあまり好きでない国にエネルギーを依存すべきでない(から、省エネカーに乗りましょう)」と訴えた。
これは「アラブ諸国が反米、反イスラエルでうるさいので、米国は中東(油田地帯)から撤退します」という宣言にほかなるまい。これは、イスラエルだけでなく、イスラム原理主義過激派やイラクの脅威に怯え米軍に守ってほしい立場のサウジなどペルシャ湾岸産油国にも相当なプレッシャーになったはずだ。26日、パウエル米国務長官がアブドラ皇太子の新提案を評価すると発言し、イスラエル政府も同調。皇太子も26日にブッシュと電話会談し、翌27日にはEU(欧州連合)のソラナ共通外交・安全保障上級代表と面会して自身の提案の妥当性を訴えたというから、なんとなく中東諸国が焦っている様子が伺える。
古代、中世、近代には、パレスチナ(イスラエル)間違いなく地政学上の要衝だった。
が、ハイテク戦闘機や巡航ミサイルが活躍する21世紀には、地上戦のみの時代の軍事的要衝にすぎない地域など、まして石油もウランも金も出ない不毛の地など、大して価値はない。
もう、だれにも「流れ」は止められまい。占領地の「抵抗勢力」はもう観念すべきだ。さもないと、占領地どころかイスラエル本土まで失うかもしれないのだから(故ラビン首相が「領土[占領地]と平和の交換」で中東和平合意に乗り出した理由も、まさにここにある)。
【もっとも、あのしたたかな共和党のことだ。(^^;)中東から撤退すると見せてイスラエルを「オフサイド・トラップ」にかけて封じ込めたあと、また別の形で戻ってくることもあるかもしれないが。】
(敬称略)
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