外務省改革って何?:週刊アカシックレコードmail版020314
発行日時: 2002/3/14■さらば中東(2)〜週刊アカシックレコードmail版020314■
米国の中東原油への依存度は低下しつつあり、まもなく中東産油国の最大の「お得意先」はアジア諸国に変わり、米国の納税者には、もはや中東やイスラエル守る予算を負担する理由はなくなる。イスラエルのタカ派は悪あがきして、中東和平合意の実現(による米国の中東撤退)を遅らせようとしているが、無駄な抵抗であろう。
【外務省改革って何?】
左右与野党・ネコ・シャクシ・真紀子を問わず「外務省改革」をすべきことでは日本中意見が一致しているようですが、では「改革」が成功すると外務省はどんな役所になるのでしょう? 役人が税金の無駄遣いをしない役所になり、鈴木宗男代議士の影響力が外務省からなくなれば、それでいい……のでしょうか?
この外務省スキャンダルは、実は米保守本流(共和党)が、日米同盟を強化して中国の台湾侵略を防ぐためのMD(ミサイル防衛)を配備するにあたって、それを邪魔しようという「親中国派」を一掃する口実として引き起こしたものなんです。中国海軍の日本近海での違法調査活動を黙認しながら中国に円借款を与えるのに熱心だった河野洋平元外相は、松尾元室長スキャンダルの監督責任を理由に2001年の自民党総裁選の候補からはずされ、第1ラウンドは成功。
次なる親中国派の大物ターゲットは……?
【答えは、次回配信号で。】
■さらば中東(2)〜アメリカがイスラエルを見捨てる日■
【前回(2002年3月07日配信)の記事 < http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/saraba.html#01 > から続く。】
●湾岸戦争という「イスラエルはずし」●
レーガン、ブッシュ(父)両共和党大統領が政権を握り続けた80年代、米国政府(国防総省)は、サウジアラビアにAWACS(空中警戒管制機)を輸出すると同時に「官営ゼネコン」、アメリカ陸軍工兵隊も送り込んで、キングカリドなど数か所の大規模軍事基地を米軍仕様で、米軍人が使いやすいように建設した。
そして、1990年にイラク(サダム・フセイン政権)が突然(?)クウェートに侵攻すると、待ってました、とばかりに父ブッシュは米軍(のべ55万人)をサウジの「あらかじめ用意された」基地に派遣。91年にはそれらの基地を拠点に米軍(を主力とする多国籍軍)がイラク軍と戦うことになる。
この「湾岸戦争」のとき、米軍はこのサウジのほか、トルコの基地も使ってそこから戦闘機等を飛ばしてイラクを空爆したが、他方、まったくイスラエルには頼らず、むしろイスラエルには「おまえらが出てくると事態が複雑になるので黙ってすっこんでろ」と軍事行動を事実上「禁止」して、イスラエル抜きでイラクに勝ってしまった。
ある意味で、湾岸戦争とは、元々(本音では)イスラエル嫌いの共和党が、イスラエルがアメリカにとって同盟国でなく、軍事上無用であることを証明するために起こした戦争だった。
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『ブリジット・ジョーンズの日記』は女の本音ではない。願望である。
本音はこっちでしょ?
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http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/cntnt.html
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●イスラエルご指名、クリントン大統領●
これで、イスラエルの最大の敵はアラブ・イスラム諸国ではなく、共和党であることがはっきりした。
イスラエルの影響下にあるアメリカのユダヤ団体は、とっくにこんなことは認識していて、父ブッシュ(共和党)対デュカキス(民主党)の争いとなった88年の米大統領選挙ではユダヤ人がこぞってデュカキスに投票するようキャンペーンを張った。が、デュカキスは負け、父ブッシュが勝った(このため、父ブッシュは俗に「ユダヤ票を1票も取らなかった大統領」と言われる)。
米国民が湾岸戦争を機に「もはや中東の安全のために、イスラエルを援助する必要はない」と感じ始めたことの意味は重大で、放置すれば、イスラエルの存亡にかかわることは明白だった。
しかも、湾岸戦争は米軍兵士や民間人の犠牲の少ない「きれいな戦争」だった(と報道された)ため、父ブッシュの支持率は90%に達した。彼が92年の大統領選で再選されるのは確実で、再選されれば米国からイスラエルへの軍事経済援助の大幅削減など、イスラエル国家の命運にかかわる危険な政策がとられる恐れがあった。
イスラエル側は、まさに国家の存亡をかけて反撃に出た。
湾岸戦争後、イラクの脅威から「中東の安全を守るため」米軍どころか英軍までもが、サウジ、クウェートなどアラブ諸国に常駐するようになった以上、もはやイスラエルは、米軍筋(米保守本流)はもちろん、英国も頼れない。
イスラエルは、在米ユダヤ団体とリベラルなマスメディアを動員した史上空前の大キャンペーンを張り、楽勝のはずだった父ブッシュは落選し、無能で品性下劣な民主党のクリントンが当選してしまった(どれぐらい下劣だったかは大統領就任後に研修生のモニカ・ルインスキーと起こしたセックス・スキャンダルで判明した……のではなくて、選挙運動中から指摘されていたが、マスメディアの偏向報道によりごまかされていた。まったく、リベラルだのハト派だのと装うマスコミが力を持つと、どこの国でもロクなことにならん(>_<;))。
こうして「イスラエルの手先」クリントンが大統領になった。が、彼とて、もはやイスラエルが中東の安全保障で「役立たず」になってしまった、という軍事情勢の変化は覆せない。そこで、彼が考えたのは、なんとかイスラエルを周辺アラブ諸国の承認のもとに存続させようということだった。1993年、クリントン米民主党政権の熱心な仲介により、イスラエルが占領地(本来アラブ側領土の、パレスチナ域内のヨルダン川西岸とガザ、域外のシリア領のゴラン高原など)から撤退して、パレスチナの半分にアラブ人の国家(パレスチナ自治政府)の成立を認める代わりに、周囲のアラブ諸国がイスラエルの生存権を認める「中東和平合意」が(細部のツメは甘かったが、とにかく)実現した。
実現に導いた交渉当事者は、パレスチナの「元テロ組織」PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長(のちのパレスチナ自治政府議長)と、イスラエルのラビン首相だった。労働党党首のラビンはイスラエル本土(占領地でない、1947年の国連決議が認めるイスラエル領)に住む、比較的裕福な、主として欧米系ユダヤ人(アシュケナージュ)の支持を得て、「領土(占領地)と平和の交換」を推進した。そして、この「交換で得る和平」は自分たちの「心の故郷」の存続を保障するものとして、欧米在住のユダヤ人たちからも、米民主党、米共和党、ロスチャイルド、ロックフェラー、欧州諸国からも支持された。
ところが、対アラブ戦争の盾として占領地(映画『ブレードランナー』の中の表現では"Off-World")に入植させられ、そこで生活を築いてきた中東系ユダヤ人(スファラッド)は激怒した。「領土」をアラブ側に返せば、彼らの財産と生活基盤が奪われるからだ。
元々、アシュケナージュに比べて貧しい境遇に置かれていた彼らは「自分たちの存在を否定する」人種差別を感じ取って反発し、1995年にはついにユダヤ極右青年の凶弾により、ラビンは暗殺される。
ラビンの死後、ラビン政権の外相だったペレスが労働党政権を引き継ぐが、その後1996年の首相選挙で、占領地のスファラッドと右翼の支持を得た右翼政党リクードのネタニヤフが政権を握り、アラブ側からの相次ぐテロを(誘発したうえで?)武力で厳しく取り締まったため、「和平」の行方は怪しくなった。
が、それを心配する左翼とアシュケナージュの支持で労働党のバラクが1999年の選挙で政権を奪還し、再び和平交渉を進めようとした。
すると、リクードの党首シャロンは右翼勢力に推されて、2000年9月にエルサレム旧市街のイスラム教徒地区のイスラム聖地「神殿の丘」に、武装した護衛を大勢引き連れて訪問してアラブ側の反感を故意に引き出し、ユダヤ・アラブ間の対立と衝突を演出した。これ以後暴力の応酬が激化し、中東和平プロセスが頓挫する中で、2001年2月にイスラエル首相選挙が行われ、バラクが負け、シャロンが勝った。かくしてラビン以来の中東和平合意は、風前のともし火となった。
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●父の失敗に学んだ息子●
こうしたイスラエル国内の右翼が優勢な状況は、2000年の米大統領選挙にも影響した。民主党候補のゴア副大統領は、イスラエルの生存権の保障(のための和平プロセス再開?)を訴え、米国内のユダヤ団体の支持を得ようとしたのは当然だった。が、本来「イスラエル無用論者」であるはずの共和党のブッシュ候補(現大統領)も、選挙期間中はイスラエルの生存権については似たようなことを言ってごまかした。
これは、父ブッシュがあまりに露骨なイスラエル切り捨て策を進めて、リベラルな(ユダヤ系の)メディアの猛反発を買って92年の大統領選に落選したので、同じ轍は踏むまいと反省したからに相違ない。
●実態は、単なる「ほったらかし」●
ブッシュ現大統領は就任以来、対アラブ強硬路線で武力を「使いまくる」シャロン政権を制止せず、クリントン前大統領のように和平プロセスの仲介にも動かない。これを「イスラエルびいき」と解釈するジャーナリストが世界的に少なくないようだ。
が、よーく見てみると、これは形を変えたイスラエル切り捨て政策ではないのか。
ブッシュは大統領選挙に勝ちたいために、占領地に居座りたいユダヤ右翼、スファラッドの入植者、リクードらに表面上同調してみせることで、イスラエルの右傾化した世論に影響された米国内のユダヤ団体による、リベラルなマスコミの反共和党キャンペーンを回避して当選した。
が、そのブッシュが大統領当選後、中東和平の仲介に動かず「ほったらかし」にしたため、シャロンは暴れ放題暴れ、世界中がイスラエルの国家としての「野蛮さ」を感じるようになってしまった。これはイスラエルの存続には明らかにマイナスで、ブッシュは占領地に居座る中東和平の「抵抗勢力」をおだてることで、かえってイスラエルという国家の寿命を縮めたのではないか。
●中東原油はもう要らない●
ブッシュがなぜ仲介に動かないのか……その理由を強く示唆する動きが2002年になって顕在化してきた。それはアメリカの中東離れ、より正確には中東原油離れで、その伏線は1999年の米国防総省の内部報告書『アジア2025』に始まる。
この報告書は、今後四半世紀のアジア(ユーラシア大陸から欧州と中東と旧ソ連を除いた地域)の情勢を、軍事情勢に限らず経済、人口などとともに多面的に分析したものである。
その重要な結論の1つに「中東はアジアを向く」がある。理由は、アジア(中台韓印)が経済成長によって中東原油の依存度を高めて、いずれ「最大の得意先」になる一方、今後経済成長が見込めないからエネルギー消費も伸びない欧州と、経済成長は見込めるものの石油は中南米・西アフリカから輸入する米国の、中東依存度が下がり、中東諸国(サウジやクウェート)はいずれ、自らの安全保障を欧米でなくアジア(中国かインドか日本?)に頼るだろうという予測である。
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エネルギー(石油)輸入先(1995年実績)
全世界計 中東湾岸諸国
北米 8 2
西欧 12 3
アジア 10 9
エネルギー(石油)輸入先(2020年予測)
全世界計 中東湾岸諸国
北米 13 3
西欧 12 4
アジア 27 24
(単位:百万バレル/日)
(資料:米国防総省『アジア2025』p.p 42-43)
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その予測では、たとえば、2020年にはアジアは毎日2700万バレルの石油を世界から輸入し、そのうち9割以上の2400万バレルを中東に依存するが、米国は2割強、欧州は3割強しか中東に頼らない。
つまり、25年以内に、欧米の納税者には、中東(原油)の安定のために中東駐留軍の経費やイスラエルへの援助を負担する理由がなくなるのだ。
そのうえ、欧米と違ってアジア諸国には世論を動かすような大きなユダヤ人社会はなく、欧米キリスト教徒と違ってアジア人には「かつてユダヤ人を差別した」という負い目もないから、中東の安全保障がアジアにゆだねられるようになれば、アジア各国がユダヤ人の(心の)祖国であるイスラエルなど一顧だにせず、豊かな油田を持つアラブ・イスラム世界と(だけ)友好関係を築こうとするだろうことは想像に難くない。つまり、「中東がアジアを向く」と、イスラエルは「だれにもかまってもらえず」中東和平の交渉当事者になれるかどうかもわからないのだ。
この『アジア2025』が採択されたとき、ホワイトハウスの主は民主党のクリントン大統領だったが、国防長官は共和党員のコーエンだった。2001年、共和党が大統領選挙に勝ってブッシュ政権が発足すると、チェイニー副大統領が中心になってまとめた新エネルギー政策が発表された。その内容は、環境問題などを理由に凍結していた原発建設の再開、アラスカなど米国内油田の開発、インドなど中東以外の外国での石油・天然ガス開発といったものだ。
「原発建設」が含まれていたために、筆者は読者の方から「共和党は石油派ではないのではないか」と指摘するメールを頂いた。
が、上記の新エネルギー政策を実施すると、米国のエネルギー消費全体に占める中東原油の比重低下のトレンドは『アジア2025』の予測よりさらに加速されることになる。そのうえ、伝統的に民主党(リベラル派、イギリス・ユダヤ系)を支持してきた原子力産業界を(一時的に?)共和党側に引き込んでイスラエルと絶縁させることも可能で、まさにイスラエルにとっては踏んだり蹴ったりの内容だ。
共和党は一貫している。父ブッシュの共和党政権のとき、1991年の湾岸戦争では、中東原油(サウジ、クウェート)に依存し、それを守る米軍を中東(サウジなど)に置いたままイスラエルを切り捨てようとして失敗した。そこで、息子の共和党政権は中東そのものからの米国の撤退を打ち出したのだ。これなら、いくら米国メディア界でユダヤ団体が頑張っても、イスラエルの、米国にとっての存在価値はもはやない。
おまけに、欧米のユダヤ人は、占領地のことなどなんの関心もないので、(テロリストを除く)アラブ人の相当数が中東和平合意に基づいて、イスラエルの生存権を認めると言っているのだから「さっさとそうしろ」と思っている。もちろん占領地でなくイスラエル本土に住んでいるイスラエル国民の相当数も、条件次第では占領地をアラブ側に返してもいいと思っている。世界中のユダヤ人は住んでいる地域(イスラエル国内か国外か、本土か占領地か)によって分断されており、すくなくとも米国のユダヤ社会には(ラビンの和平路線を尊敬する人はいても)シャロン現政権を尊敬する者など皆無だ。
(敬称略)
【この項続く。】
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