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2008年パリ代替五輪:週刊アカシックレコードmail版020228

発行日時: 2002/2/28

■検証・五輪審判不正事件(2)〜週刊アカシックレコードmail版020228■
2002年ソルトレーク五輪のフィギュアスケート・ペアの判定をめぐる混乱は、米保守本流(共和党政権、NBC放送)が、台湾独立と2008年北京五輪(と2012年のパリ五輪?)の成否をにらんで仕組んだ可能性がある。彼らは「旧東側諸国とパイプを持つ仏スポーツ界幹部」の代表として、フィギュアスケート関係者を「いけにえ」にし、一罰百戒(仏スポーツ界全体も仏政界も、米国無視の「東側びいき」をするとためにならない、という警告)をねらったのではあるまいか。

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■検証・五輪審判不正事件(2)〜台湾独立の鍵を握る「2008年パリ代替五輪」■
【前回(2月25日配信)の記事「ねらわれたフランス人審判」から続く。】

●台湾独立 vs.北京五輪●
台湾の民意からいっても、また中国のアジア侵略政策を抑制したい米国の世界戦略からいっても、さらに中華人民共和国が一度も台湾を支配したことがなく台湾の民主主義をまるで理解しないという現実からいっても、「民主化した台湾」が2008年の北京五輪までの「黄金の7年」のどこかの時点で独立宣言をし、中国との無意味な「腐れ縁」を断ち切ろうとするのは当然である。

自民党の加藤紘一元幹事長や橋本派は、中国が「独立台湾」に武力を行使するのを懸念すると称して、台湾に独立宣言は(今後7年間においても)「慎重にせよ」と言う。が、こんなバカげた言いぐさはない。この7年に独立しなかったら、いったいいつすればいいのだ? 北京五輪を人質にとって中国からの完全独立を勝ち取れるこの千載一遇の好機をわざわざ逃せというのは「独立反対」にほかなるまい。「性急な台湾独立論は無責任」などと言う者こそ無責任であり、ハト派、平和主義者の振りをしながら、台湾の民主主義を侮辱し、中国の軍国主義を助けているのである。

米国などのボイコットで台無しになったモスクワ五輪の先例があるので、中国政府は、北京五輪が成功するかしないかは、西側有力国が参加するかどうかにかかっていると知っている。
となると、台湾の民主化と独立を支持する米国(共和党政権)は無条件で北京五輪に参加することはあるまい。とくに(クリントン前米民主党政権の妨害による開発実験の遅延にもかかわらず)2005年までには、中国の核兵器を一部無力化することのできるMD(ミサイル防衛)システムを実戦配備するとブッシュ現政権は公言しているので、台湾政府はそのMDの配備を待って2005〜2008年のどこかの時点で独立宣言をするはずである。

当然(民主主義を理解できない)中国政府は、それに反対し、かねてから公言してきたとおり「武力を使ってでも台湾の独立は阻止する」と表明するだろうし、場合によっては台湾周辺で大規模な上陸演習、海上封鎖演習、ミサイル試射などを行って威嚇するかもしれない。

そのとき、米国をはじめ良識ある西側諸国は、中国に対して「武力を使うなら北京五輪をボイコットするぞ」と脅すことができる。

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●フランスの尻馬に乗るエセ平和主義を「予防」する必要●
この「五輪台無し」戦術が有効なら、日米が軍事力を使わずに(外交的心理的圧力だけで)北京政府を牽制し台湾独立を促すことは比較的容易であろう。が、日米が「ボイコットも辞さず」と言っている横から、フランスが妙に「独自性」を発揮して「スポーツの場に政治を持ち込む米国のやり方は間違っている」「フランスは独自の判断で北京五輪に参加する」などと言ったら、どうなるか?

米国議会の「(民主化した)台湾」への支持は伝統的に強力なので米国政府は動揺しないだろう。
が、日本の場合は、国内の左翼連中(中国の手先?)が日本政府に「米国の言いなりになるな」「フランスを見習え」「戦争ハンタイ」(本音では中国軍の台湾侵攻容認)などと(わけのわからないことを)言い出すのは間違いない。このような「世論」に、まかり間違ってテレビ朝日の『ニュースステーション』や朝日新聞が同調してしまったら、日本は「ボイコット戦線」から離脱する恐れがある。そうなれば、西側諸国の足並みは乱れ、米国などボイコット国は国際社会において必ずしも「良識ある国」とはみなされなくなり、台湾の「五輪人質」戦略は危機に瀕するだろう。これは、台湾の民主主義にとってはゆゆしき事態である。

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●米共和党の至上命題「仏・中の闇取引を阻止せよ」●
米国(共和党、親台湾派)にとって頭が痛いのは、2012年五輪の開催都市にパリが(2008年に続いて)立候補すると見られることである。2012年五輪の開催地は2005年に開催されるIOC総会で決まるが、いまのところ立候補が確実な有力候補都市は、パリのほか、パリと2008年を争ったカナダのトロント、それに「テロからの復興」を看板にしたニューヨークである(『ニューズウィーク日本版』2002年2月27日号、p.51)。他方、あたりまえだが、2008年開催国である中国からはいかなる都市も立候補しないから、中国とフランスの国益は対立しない。したがって、中国スポーツ関係者(といっても共産党独裁の国なので、全員政府機関員)は、フランスに対して「世界中の華僑を『パリ五輪賛成』に誘導するから、台湾問題では米国に同調しないでほしい」「米国が『北京五輪ボイコット』を呼びかけても、貴国は反対してほしい」と取り引きを持ちかけることができる。

上記のごとく、フランスはスポーツ界に限らず官民挙げて中露などの旧東側諸国と談合するクセのある国なので、この中仏の闇取引は成立する恐れがあり、もし成立すれば、台湾独立への外交上の障害になりかねない。

●2008年に「パリ代替五輪」●
逆に、仏スポーツ界が東側と離れ、米国など西側との談合に乗り換えるならば、台湾独立はぐっと容易になる。たとえば、2005年のIOC総会でパリが、トロント、ニューヨークを破って2012年五輪の開催地に決まったと仮定して考えてみよう。

(トロントは2008年五輪の招致合戦では「米国と時差がなく地元のゴールデンアワーに各種目の決勝をやれば、そのまま米国で高視聴率が見込めるので、テレビ放映権収入が大きい」というメリットをPRしていた。が、2001年9月の米中枢同時テロのあとニューヨークが立候補に動き出したことで、そのメリットは消滅した。筆者は、ニューヨークの立候補は前回の2008年五輪招致合戦でパリ以上の得票を得たトロントをつぶしてパリを勝たせるための米国の深謀遠慮ではないかと疑っている。この四半世紀に米国では4度も五輪が開催されており、常識的に見て米国は五輪に立候補すべきタイミングではないのだから、ニューヨークは「次」つまり2012年ではなく、「次の次」の2016年をねらっていると見るべきだろう)

前回の招致合戦のときすでに明らかになったとおり、パリの最大の強みは土木工事がほとんど要らないことである。常にあらゆる競技の世界選手権やW杯を開催しているパリは、五輪開催が決まっても新たな競技場を建設する必要がほとんどない(ごく一部の足りない施設はプレハブで造り、五輪後は解体して途上国に移設し寄贈するという)ので、極端な話「来年開催する」となっても困らない。

さて、上記の仮定を検証しよう。
#1 2005年、IOC総会で2012年五輪の開催地がパリに決まる。
#2 米国はMDを実戦配備する。
#3 それを背景に台湾が独立宣言をする。
#4 中国は非難し「武力行使も辞さず」と脅す。
#5 それに対抗して米国は、北京五輪をボイコットする……
……のではなくて、米国はIOCに、北京五輪を引き上げて、代わりの五輪をパリで開催すべきだ(パリなら工事が要らないから2008年でもできるだろ)と言うのではないか。五輪の財政は世界第1位の経済大国米国(と第2位の日本)のテレビ局が支払う多額の放映権料を最大の財源にしているので、フランスと日本が賛同すれば、五輪の開催地の変更など簡単にできるはずだ。現に88年のカルガリ五輪、ソウル五輪では米国のテレビ局は「いちばんたくさんカネを払ってるから」と強引に競技日程を(米国内で視聴率が取りやすいように)変えさせた「実績」がある。

もし開催地変更となったら、世界史上の一大事だ。一部の「反中国的な国」がスポーツの国際大会を勝手にボイコットする……のではない。国際大会(国際社会)のほうが中国をボイコットするというのだ。中国は全世界から三流国の烙印を押されるに等しい。

実際にこんな国際社会による「五輪取り上げ」をやられたら、中国共産党・政府の権威は失墜し、政権は崩壊するだろう。これは、それぐらい凄まじい「外交制裁」なのだ。

(最終的には北京で開催するにしても)この「パリ代替開催」という脅しを使うことで、北京は1発の銃撃も(なんの軍事的示威行動も)できないまま、台湾独立を容認せざるをえなくなり、独立宣言から北京五輪開催までの2〜3年間、中国が台湾独立を容認したという既成事実が残ることにより、「台湾共和国」への支持は世界各国に広がるだろう。

筆者は、米国政府が望む台湾問題解決のもっとも望ましいシナリオはこれだろうと思っている。2002年春発売予定の筆者の小説『龍の仮面(ペルソナ)』のテーマの1つはこれである。

この予言(でなくて科学的予測)が正しいかどうかは、2005年秋以降でないとわからないが、読者の皆様にはぜひそのときまで覚えておいて頂きたい。

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              実は、主人公は女性です……
     http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/cntnt.html
     「龍の仮面(ペルソナ)」、 徳間書店より 2002年春 発売予定
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●米仏闇取引の始まり?●
英語に対抗してフランス語を広め、米国文化を排除して愛国心教育を徹底しているフランスは、国威発揚の場である五輪を(カンヌ映画祭と同様に)国策として重視している。その晴れ舞台で、仏人審判が「談合した」と断罪されたことは、仏国民の愛国心教育において最悪の事態だ。

フランスが対米独自路線を維持できるのは、マスコミが国家国民の美点を正しく(欠点は控えめに)報道してきた結果国民が自分の国に自信を持っているからで、それは、マスコミや日教組が四六時中「どうせ日本は(侵略の過去を持つ)ダメな国」と言っている日本がまったく現実的な独自路線をとりえないことと比較すれば一目瞭然だ(いわゆる、憲法9条絶対擁護の「非武装中立論」は独自路線ではなく「非現実路線」であり「バカ路線」である)。

となると、フランスは、国家の威信のためにも、愛国心のためにも、一刻も早くこの不祥事にフタをしたいはずである。

「それには、われわれ(米国)と組んでスポーツのビッグビジネスで儲けましょうよ。中・露・東欧の仲間ではなく、われわれの仲間ということになれば、CIAの力でこんなスキャンダルぐらい、すぐにもみ消してあげますし、パリ五輪も実現してあげますよ」

こうささやかれれば、仏スポーツ界幹部の心はぐらっと揺れるはずだ。じっさい、2005年のIOC総会で有力な国のスター選手が何人か「ソルトレークで審判が不正をやった国フランスで開催して大丈夫か」と口走るだけで、パリ五輪の実現は難しくなるはずだ。いまこの状況で米国から「悪魔のささやき」をされれば、フランスの(政界はともかく)少なくともスポーツ界は、その誘惑からは逃れられまい。

したがって筆者は、2002年冬季五輪のフィギュアスケート・ペアの判定をめぐる混乱は、米保守本流(共和党政権と共和党系のTV局NBC)が、台湾独立と2008年北京五輪の成否をにらんで仕組んだものと疑わせて頂く。彼らは「旧東側諸国とパイプを持つ仏スポーツ界幹部」の代表として、フィギュアスケート関係者を「いけにえ」にして一罰百戒、つまり「仏スポーツ界全体も仏政界も、米国無視の旧東側びいきをすると身のためにならないぞ」と脅すことをねらったのだろう。
(敬称略)

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  • 小説家。00年『ゲノムの方舟』(徳間書店)でデビューし朝日新聞など17紙誌が絶賛。ほかに産経抄が紹介した『龍の仮面』、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で笑賛された『中途採用捜査官@ネット上の密室』など。

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