共和党とハリウッド:週刊アカシックレコードmail版020222
発行日時: 2002/2/22■検証・日の丸飛行隊失速(2)外圧より構造の問題〜週刊アカシックレコードmail版020222■
長野五輪後のルール改正で、スキーのジャンプ競技に使える板の長さが(白人より小柄な)日本人に不利になったために、日本勢はソルトレーク五輪では、惨敗に終わったた、と信じる日本人は少なくない。
が、真の敗因は、まったく別のところにあり、その解決には日本におけるジャンプ競技の「プロ化」が必要だ。
【共和党のオリンピック(2)】
ソルトレークシティのあるユタ州にはモルモン教徒が多く、そのなかにはFBIやCIAの職員が(突出して)多いため、この州は保守本流(米共和党)の「牙城」である。また、ソルトレーク五輪のTV放送は米国内ではNBC(保守系)が独占し、開会式も仕切った。
開会式では(ロス五輪、アトランタ五輪と違って)イスラエル賛美もアラブ支持もうかがえなかったが、五輪旗を持って入場する「栄誉ある8人」の人選に、現ブッシュ共和党政権が「これから仲良くしたい相手」が反映されていた。
日本(船木和喜選手)、ポーランド(ワレサ元大統領)、豪州(キャシー・フリーマン選手)は重要な軍事同盟国(米共和党政権が推進するミサイル防衛(MD)の配備予定国)。
南アフリカ(ツツ司教)は、何かと欧米に盾突く他のアフリカ諸国(とくに国連安保理常任理事国になりたがっているナイジェリア)の抑え役。
そして、伝統的に米民主党の牙城であったハリウッドからも、なんと(民主党系のTV局ABCの親会社ディズニーと犬猿の仲にある)スティーブン・スピルバーグ監督が、この「共和党のオリンピック」に招待されていた。彼は民主党のクリントン前大統領の大口献金者であったが、これ以後は共和党に接近する可能性がある。このことは、今後のハリウッド映画における善玉悪玉の設定に影響しないはずがないし、ひいては米国言論界や世論において(伝統的に劣勢であった)保守本流(共和党)が、巨大な影響力を行使する前触れではないか……以下の記事「ユタ州・国防省人脈」も御覧下さい。
↓
< http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/utah.html >
■検証・日の丸飛行隊失速(2)外圧より構造の問題〜週刊アカシックレコードmail版020222■
【昨日2月21日(木)の記事から続く。】
●スキー板の長さ●
1998年の長野五輪では、日本ジャンプ陣「日の丸飛行隊」は、個人ラージヒル、団体で2個の金メダルを獲得し、世界の頂点に立った。
これに歯が立たないと見た欧州諸国は国益の追求のため、スキー板の長さのルール改正を国際スキー連盟に提案し、実現させた。
いままでは、板の長さは「身長+80センチ以内」だったが、長野五輪後「身長の146%以内」になった。これにより、174センチ以上の選手はいままでより長い板が使えるので、空気抵抗が大きくなって飛距離が出やすくなる。他方、173センチ以下の選手は逆に不利になるから、小柄な選手の多い日本に不利だと報道された。じじつ、ソルトレーク五輪前のスキーワールドカップ(W杯)での日本ジャンプ陣の成績は長野五輪前とは打って変わって、不振にあえいでいたから、筆者もルール改正のせいだと思い込んでいた。
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●172センチの2冠王●
ところが、ソルトレーク五輪本番になると、身長172センチのスイス人、アマンが個人ノーマルヒル(NH)、ラージヒル(LH)ともに金メダルを獲得した。調べてみると、五輪前のスキーW杯で大活躍していたポーランドのマリシュ(2002年五輪のNHで銅メダル)も169センチしかない。日本の船木は175、原田は173センチなので、どうやら日本の不振の原因はスキー板に関するルール改正ではないことがわかる。
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●科学的トレーニングに走った欧州勢●
欧州諸国が、長野五輪前後の強すぎる日本を押さえるために、スキー板についての国際ルール変更を主導したのは間違いない。
が、新ルール施行直後の、99年のラムソー(オーストリア)での世界選手権のNHで、日本勢(船木、宮平秀治、原田)は表彰台を独占した。この段階で、板の長さはジャンプの飛距離とはあまり関係ないことが判明したのだ。
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●「外圧」に幻惑され「構造改革」を怠る●
日本選手は自信を持った。卑怯な(?)ルール改正の陰謀にも負けなかった自分たちに誇りを持ち、それはやがて過信になった。
他方、有利なはずのルール改正をしてもなんの効果も出なかったことで、欧州各国のノルディックスポーツ団体の幹部たちのメンツは丸つぶれになった。
彼らは自らの権威を保つため、(ルール再改正以外の形で)なんとしても自国の選手に「勝てる方法」を授けなければならなくなった。
そこで、彼らが頼ったのは科学だった。風とスキー板、選手の飛行中の姿勢、体重、筋力などの相関関係を詳しく調べて、その日の試合会場の天候等に合わせてきめこまかいアドバイスができれば、「風まかせ」でない「勝利の方程式」ができるのではないか……そう信じた欧州各国の役員は、コーチを科学者に会わせて徹底的に研究させた。
かくして、マリシュやアマンのごとき、新しい英雄が欧州に誕生した。
他方、その間日本のコーチ陣は「永年の経験と勘」のみに頼る指導しかできなかった。ソルトレーク五輪日本チームのトレーニングドクターの北星学園女子短大教授、佐々木敏(なぜか筆者と同姓同名)は、2001年のスーツに関するルールの細かい改正(大柄の選手がだぶだぶの服を着て風をためて飛ぶのを禁止する、など)によって、大柄・小柄の有利・不利はなくなり、問題はコーチ陣の科学知識になった、と言う。
全日本スキー連盟の小野学・統括コーチは、コーチのライセンス制、有給制が必要と主張する(産経新聞2002年2月12日付朝刊p.17)。
実はジャンプに限らず、用具についてのルール改正は、頻繁になされている(日本の護憲派にとっての「日本国憲法」と違って、ルールというものは世界のどこでも変えるのが当たり前なのだ)。
スピードスケートの世界では、長野五輪直前に(オランダなどの)選手と用具メーカーが長身選手に有利(で小柄な日本人に不利)な「スラップスケート」とその使用方法を開発し、その使用を国際スケート連盟に認めさせる、という(まるで、アジア通貨危機のときの、米国の投機筋と格付け会社のような)みごとな連携プレーで「アジアたたき?」に打って出た事例がある。
この種の「陰謀」に対抗して日本の国益を追求するには、日本側も、選手、コーチ、用具メーカー、研究機関等の一体化した態勢が必要である。
他方、従来日本のスキー競技(に限らずアマチュアスポーツ界)を支えてきた日本企業は不況に直面して「本業」の構造改革を強いられ、必ずしも余裕を持ってスポーツに取り込める状況ではない。雪印乳業が不祥事を起こして大幅減益に陥った際、同社の正社員であった原田雅彦が海外遠征や国内大会出場を「自粛」させられたこと(毎日新聞2000年7月14日付朝刊か
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/article/yukijirushi/200007/14-1.html
を参照)はまだ記憶に新しい。このような企業には「一体化戦略」を期待するのは無理であり、もはや選手もコーチもこんな会社の「社員」として、会社の(本業の)動向に一喜一憂している場合ではない、外国のライバルたちはみな「国益」のために組織化されているのだから。
●「(株)日の丸飛行隊」を創ろう●
いままで「手弁当」でやっていたコーチ陣を「有給制」にするのは当然だが、もっとはっきり選手もコーチもプロ化してしまったらどうだろう? たとえば、原田のようなスター選手なら、CMにも出演してがっぽり稼ぎ、そのギャラでスポーツ科学の専門家をアドバイザーに雇い、もはや雪印ごとき倒産しようがどうしようが関係ない、といった態勢が取れるはずだ。
あるいは、原田や船木のような「スター」の活動をマネージメントする芸能プロダクションのような会社を設立するのもよい(もし、こういう会社の株を雪印が持ちたいというのなら持たせてやってもいいが、あくまで「出資」にとどめて、「所有」はさせず、子会社化は認めるべきでない)。
日本はサッカーでは世界のトップを争える「サッカー大国」にはまだなっていない。が、ジャンプでは間違いなくすでに「ジャンプ大国」で、日本国民は相当に強い思い入れをこの競技に対して持っている。
プロ化すれば、選手たちのメディアへの露出度(知名度)も上がり、サッカー同様、オリンピックイヤー以外の世界大会(W杯)への国民の関心も高まり、それは競技人口の底辺を広げることにもつながろう。
「道路公団」や「整備新幹線」と違って「株式会社 日の丸飛行隊」はきわめて採算性が高く、「国益」に沿うビジネスである、と申し上げたい。
(敬称略)
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