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ボクの女に手を出すな:週刊アカシックレコード mail 版 011129

発行日時: 2001/11/29

■中国がMD(ミサイル防衛)に賛成する日〜週刊アカシックレコードmail版011129■
中華人民共和国政府および人民解放軍は、建国建軍以来半世紀、一度も台湾を支配したことがないのに「台湾は中国の一部だ」と国際社会に言い、「台湾問題は中国の内政問題だから他国は干渉するな」と言い張る。これは、男が自分と結婚も同棲も「援交」もしたことのない女性を指して、他人の前で

「ボクの女に手を出すな!」

と言うに等しいことで、まるで「ストーカー」の言いぐさだ。他人(国際社会)にはこのようなことに付き合う義務はない。台湾が独立「宣言」しても(元々自分のものではないのだから)中国が失うものは何もないではないか。
台湾政界のうち、本省人独立派(民進党など)には基本的に落ち度はない。むしろ、外省人大陸派(国民党など)が昔、大陸で落ちぶれて台湾島しか支配できなくなってもなお「中華民国」を名乗り「モテない男(中華人民共和国)をその気にさせた」ことだけが問題なのだ。

【ラマダン日記】
私のラマダン(日の出後、日没までの飲食禁止)体験も2週間になりました。元来サラリーマンに向かない私は、平日の昼間は常にストレス過剰で虚弱体質で、風邪のウイルスに冒されておりますので、ラマダンで昼間水が飲めないと薬ものめないので、困るはずです。イスラム教は寛大な宗教で、病人はラマダンをしなくてよいことになっております……が、それに甘えると、全世界の13億人とともにラマダンを体験する機会を逸するので、強行突破することにしました。不思議なもので、ウイルスは引っ込みました。これもアラーの御加護でしょうか。アッラーフ・アクバル!(神は偉大なり)

■中国がMDに賛成する日〜シリーズ「米中枢同時テロで『損』をしたのは誰だ」(4)・MD編■

この記事は、「続・禁じられた『超限戦』」 
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/super.html#03
の続きです。

●「敵を知らず己を知らない」共産党の兵法●
1985年5月19日、北京の工人スタジアムで開かれたW杯サッカーアジア地区予選「中国×香港」の試合は、「2-1」で香港が勝った。

85年当時は(2001年現在もかなりの程度そうだが)中国は香港よりはるかに貧しいから、香港のようにサッカーの本場の欧州から(中国の基準では)高給取りのコーチを招くこともできないし、何より「スポーツを楽しむ」ほど生活にゆとりのある人はほとんどいない貧しい国なので、国家が「五輪でメダルが取れそうだから」と認めて英才教育で選手を育てる種目(女子バレー、跳び板飛び込みなど)以外のスポーツは、客観的に見れば弱くて当たり前である。

が、この試合の終了直後、数万人の観客のうち1万人以上が暴れ出す大暴動が起き、スタジアム周辺では、通りがかった外国人の車を次々に止めて、ツバをかけ罵声を浴びせ窓ガラスを割るなど「外国コンプレックス」丸出しの蛮行が繰り広げられた。しかし、あまりの規模の大きさに警察は結局127人しか逮捕できない、という情けない事態に終わった(朝日新聞1985年5月20日付夕刊)。

中国には中国を客観的に見られる人はあまりいないようだ。
中国共産党の機関紙「人民日報」英語版のホームページには、英語や世界地理を学ぶ中国人学生のためなのか、外国についての記事では、記事中の国名、たとえばJapan、USAなどをクリックするとその国の基礎データを掲載したページにジャンプし、面積、人口、首都の名前などを見ることができるようになっている。
http://english.peopledaily.com.cn/data/japan.html
http://english.peopledaily.com.cn/data/usa.html
http://english.peopledaily.com.cn/china/home.html

が、数字はすべて「中国が大半の国よりまさっている項目」に限られる。中国は人口が世界最大の13億、面積も世界第4位の960万平方キロメートル、であるから、日本の基礎データのページを見ても、中国の学生たちは「日本の人口は中国の1/10、面積は1/25しかない」と優越感に浸ることができる。

他方、中国が日本のような先進国はもちろん、中進国に対しても劣っている項目、経済力を示すもっとも基礎的な指標である「国内総生産(GDP)」や「国民1人あたりのGDP」など、中国が世界でも下から数えたほうが早いほどの貧しい国であることを示す項目は掲載されていない。

なら、同じ人民日報の中国語版のサイトはどうかというと、こちらにはそうした統計コーナーはない。サイト全体は「毎度お馴染み」の中国と共産党の偉大さを示す記事や、日本軍国主義復活を警戒する記事、米帝国主義や祖国分裂(台湾独立)の動きを罵倒する記事で埋め尽くされている。

中国では、すべてのマスコミは、党と国家の指導のもとにあるので、程度の差こそあれすべてのメディアが人民日報のような「主観的な中国像」を流していると考えてよい。

となると、「中国のような大国が(香港のような)小さなものに負けるはずがない」という、勝手な思い込みによる優越感と、それがウソだと知ったときの破滅的な劣等感が生ずるのは避け難い。

もちろん、どこの国でも一定の愛国心教育は必要だし、祖国には誇りを持つ必要がある。親や教師が自分の国の欠点について子供たちの前で過剰に並べ立てることは(中国を分裂、崩壊させたい外国のスパイの役には立っても)子供たちのためにも中国の国益にもなるまい。

が、中国が「人口が多すぎるのにGDPが少ない」とういのは、欠点ではなく客観的事実である。大昔の戦争で自国の兵士がやった残虐行為(欠点)を細かく知らなくても国の行く末を考えることはできるが、自国の1人あたりGDPが先進国より「はるかに」少ないことを教えないのは、自国の国際社会での位置付けを見誤ることにつながり、具体的な支障が出るはずだ。

かつて、太平洋戦争直前の日本がまさにそうで、日本がこれから「鬼畜米英」と呼んで戦おうとしている敵がいかに自分たちより豊かであるかを正確に知っていた国民はほとんどいなかった。だから、日本国民は開戦当初はもちろん、戦争末期になっても自国が負けることを予測できなかった。

もちろん、言論統制によりいわゆる「大本営発表」つまり「ウソの戦果」が連日報道されていたことも一因である。が、この種の言論統制は、当然いまの中国にもあるから、中国は戦前の日本と同様「自国の弱さを客観視できず、無謀な戦争に突っ込む恐れのある国」と言って差し支えないないであろう。

この「中国の好戦性」の指摘については、当然反論があろう。戦前の日本は曲がりなりにも議会制民主主義国家であり、国民世論が一定の意味を持ったが、現在の中国は世論など無関係の共産党独裁国家なのだから、一般の国民が中国の国力を過信して好戦的な考えを持っても、べつに中国政府がその「民意」に沿って「民主的に」戦争を始めるわけではあるまい……そうだろうか?

中国では、軍の機関紙「解放軍報」も、上記の党の機関紙「人民日報」と同様の論調であるから、一般国民のみならず、党員も軍人も、ごく少数の高級幹部以外は、自国や外国の客観的なデータを持っていないと見るべきである。

たとえば、85年の北京の工人スタジアムでサッカーファンが「大中国がちっぽけな香港に負けるわけがない」と思っていたのと同様に、21世紀の人民解放軍兵士も「大中国がちっぽけな台湾に負けるわけがない」と思っている。そう思わせなければ、軍首脳部が繰り返し兵士に台湾上陸作戦の演習を命ずることなど不可能だからだ。

85年にサッカーで香港に負けてから、この15年間に、改革開放政策により、少なくとも中国の都市部、沿海部の経済水準は向上したし、中国は台湾にはない核兵器を保有している。また、台湾海峡沿岸の福建省には大量の弾道ミサイルも配備した。徹底した「愛国心教育」を受け、各国のGDPすらろくに知らない国民たちの「大きな中国が、ちっぽけな○○に負けるわけがない」という思い込みは、この15年間でむしろ強まったのではあるまいか。


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●メンツ「だけ」を重んじる国●
ところが、本誌mail版の2001年11月1日配信記事「中国がいやがる『台湾上陸作戦』」
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/super.html#02
で見たとおり、事実上、いまの中国には依然として台湾を武力侵攻する能力はない。

そのうえ、さらに困ったことに、中国には独特の「虚構を楽しむ価値観」、それに基づく「独特の国境線の概念」というのがあり、これがますます中台問題の理解を難しくしている。中国人には「できもしないことを、真顔で『できる』と公言する」性癖があるのだ。

かつて1949年、大陸で国共内戦に破れた「中国人」の組織「中国国民党」が台湾に逃げ延びて政権(台湾の中華民国)を樹立したとき、その「虚構を楽しむ」性癖の異常さは頂点に達した。

曰く、「国民党の中華民国政府は、台湾と中国大陸から成る中国全土の正統な支配者であるが、一時的に(といっても50年以上)敵(中国共産党、中共)に国土の一部(といっても99.6%)が占領されているため、首都機能は臨時に台北に置くが、本来の首都は『いまでも』大陸の南京にある」。

台湾の小中高生の地理の教科書には戦後40年以上ずっと「首都は南京」と書いてあったそうだ。
こういうばかばかばかしい「虚構趣味」は、日本統治の影響を強く受けている台湾の本省人(台湾島系)にはない。90年代、「22歳まで日本人だった」と公言する李登輝・台湾総統(当時)は教育等におけるこうした虚構を糾し、現実に即したものに変えようとした。

国民党と同じような虚構趣味は共産党(中華人民共和国)の側にもあり、その典型が、歴史上一度も支配したこともないくせに、また支配する実力も意志もないくせに、形式上「中国の一部だと言え」と台湾に求める姿勢に現れている。

さらに、中国の国境線概念は独特で、自らを世界の中心に位置する唯一の文明国「華」と位置付け、その外側の、自らの文明の同化のおよぶ範囲は勢力圏、さらに外側は「東夷西戎南蛮北狄」つまり野蛮圏(?)とみなすという、自己中心的な価値観がある。これに基づけば、

「台湾は中国の実効支配はおよんでいないが、中国文明の影響は受けているから、中国の勢力圏」

という奇妙な、虚構の論理が出てくるのも、うなずけるところである。

●唯我独尊は通用しない●
私の友人の中国哲学者(けっして北京系の「御用学者」ではない)は「中国を西洋流の政治学や国家観で理解することはできず、彼らの『虚構を楽しむ』感覚などを知っておく必要がある」という。

ただ、筆者の考えを申し上げれば、「中国はどんな虚構趣味や国境概念を(国内で)持とうと勝手だが、国際社会の側にはそれを理解する義務はない」ということだ。それらは世界中で中国だけが持ち、他のいかなる国も持たない非常識な概念である。また(中国が非武装の国でない以上)他国に「脅し」と受け取られかねない概念である。

たとえば、中国の政治指導者がロシアの国境警備隊員の前で「中国には独特の国境概念があり…同化のおよぶ範囲はすべて…」と演説したら、隊員たちはなんと思うだろうか?

「中国のやつら、シベリアをぜんぶ分捕る気だ」

と思うに決まっている。現に、中国人不法滞在者は、シベリアの中露国境沿いのロシア側に大勢潜り込んで「占領」を既成事実化しつつある。

ソ連崩壊以来、中露国境地帯などシベリア地域の人口減少(国民がソ連時代にはなかった「居住・移転の自由」を得たことによる)と軍の士気低下に悩むロシアには、この「侵略」を追い返す実力はなく、中国は「実効支配しつつあるのに、その事実を認めていない」。これは、中国政府が、国際社会の常識をある程度理解したうえで、国際社会に対する一種の遠慮をしている、と取れないだろうか(もちろん、領有を宣言できるほどの強固な既成事実ができあがるのを待っている、とも受け取れるが)。

他方、台湾に対しては、中国は「実効支配していないのに、支配していないという事実を認めていない」。こちらは、反対に国際社会に対して、あまりにも無遠慮である。どうして台湾問題では、中国は遠慮しないのだろう。

●メンツが立てば、台湾独立容認?●
結論を言えば、初めに戻ってしまうが、「大中国がちっぽけな台湾を支配できない」という事実を認めると、メンツが立たないから、ということに尽きる。

残る問題は、こうした中国の屈辱的な「弱さ」を、中国の(一般国民はさておき)軍人、共産党員が理解し受け入れることができるか、ということでしかない。

もしも「メンツ」を失わずに台湾独立を容認できるような環境が整うなら、中国は(表面上賛成はせずとも)それを受け入れることはできるのではないか。【この項続く】
(敬称略)

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