| >> 記事トピックス一覧 |
サイコパス:週刊アカシックレコードmail版011115
発行日時: 2001/11/15■田中真紀子のカルテ:週刊アカシックレコードmail版011115■
田中真紀子外相は就任以来トラブルを連発し、政官界での評判は悪化の一途を辿り、多くの識者も更迭を唱えている。が、依然として国民の人気は根強く、約50%もの支持がある。この人物への極端に異なる評価の原因はなんであろうか。人によって見方や好みが違うということだろうか。
筆者はまったく別の問題があると思う。
【裏口入学と成績改竄】
1980年、早稲田大学商学部の不正入試事件が発覚し「永年にわたり」同学部職員が資産家から裏金を取ってその子女を裏口入学させていたことが判明。
同大学(政経学部)卒の、朝日新聞の筑紫哲也記者(当時)は呆れて「無理して入学しても、そのあとうまく行く保証はないのに…」。
が、翌年には入学後の「アフターケア」も露見。裏口入学者が「勉強しなくても」卒業できるように、定期試験の成績を職員が改竄していたとか。
田中外相はこの商学部の出身。80年以前に入学し卒業し、彼女の父親は当時大資産家の田中角栄元首相ですが……たぶん関係ないでしょう。
■田中真紀子のカルテ■
●殺人者なのに熱血先生?●
1995年7月、福岡県飯塚市の近畿大学付属女子高校2年生に、当時同校教諭だった男が体罰を加え死なせる、という傷害致死事件が起きた。
当然、凶悪事件として立件され、福岡地裁の一審判決は「実刑」。被告側は控訴したが、二審の福岡高裁も「教育の名に値しない私憤に由来する暴行」と認定。被告側ももう抗弁できず、実刑が確定した(朝日新聞1996年6月25日付西部夕刊)。
ところが、この凶悪犯を「熱心な先生だった」と慕うかつての教え子が次々に現れ、減刑運動や弁護活動を展開したという。さて、この相反する人物像はなんなんだろう?
●「見方」ではなく「見破り方」の差●
このニュースを聞いたとき、筆者はべつに驚かなかった。むしろ「熱心な先生」を慕う人々に対して「いずれ正体を知って傷付くだろうに」と同情の念を禁じえなかった。
95年7月、被害者の生徒は、自分が受験しなくてもいい科目の試験が始まろうとする教室から「退出せよ」と元教諭に言われたが退出しなかったので、元教諭は生徒の背中を押して廊下に出し、そこで口答えされたのに腹を立て、頭と肩を殴り、生徒はコンクリート柱に頭を打ち付けて急性脳腫脹(しゅちょう)で死亡した(朝日新聞1995年10月2日付西部夕刊)。
どうして、この「熱心な先生」はその生徒を熱心に指導せず、すぐに殴ったのだろう。そもそもこの元教諭は試験監督の務めがあったのに、それをほうり出して生徒を殴ることにのみ熱心になったのは、なぜだろう。
理由は簡単だ。本人が検察官の前で言っている、
「口で言って分からない者には、体罰はある程度やってもよいと思っていた」。
つまり、自分に服従する者には熱心な保護(優越感に浸るための「子分作り」)をするが、そうでない者はすべて敵であり、殴ろうが蹴ろうがかまわないのだ。運よく、この元教諭と好みや意見が一致した者はちやほやしてもらえたから「熱心な先生」に思えただろう。
が、大部分の人にそう見えても、感受性の強い者はその偽善性や利己心を普通の人より先に見破る。見破ってしまえば服従しないのは当然で、たとえ被害者の生徒に問題があったにせよ、諸悪の根源はやはり「子分にならないことを逆恨みした」元教諭ということになる。
●大悪党の善人ヅラ●
不況になると、懐が寂しくなって思わず強盗に走る者が増える……もちろん強盗はよくないが、このような「小悪党」を更正させるのはさして難しくない。裏表がなく「明らかに悪いこと」を単純にやるか、やらないかのどちらかなので、裁判官や保護観察官にとって難しい点はあまりない。
が、困ったことに、真の悪人はまず周囲の人々に「善行」をする。しかも人をだますことに命をかけているので、その偽善性を見破るのは容易ではない。
筆者は、数年前某社の某部署でZという男性上司に仕えた。当時彼の下には筆者のほかに30代、40代、50代の男性正社員が各1名仕えていた。この3人はZの「熱心さ」や人柄を慕ってZと一緒に入社してきた元同僚で、Zの部下のなかでは筆者だけが唯一、求人に応募して入社した純粋な「他人」だった。
Zは以下のような特徴を持つ、かなり強烈なキャラクターだった。
#01 初対面の人に馴れ馴れしく、豪快に笑う。
#02 落ち着いて話すことが少なく、会話全体に占めるの「ウケねらい」の笑い話や、居丈高な非難、憎悪に満ちた怒声の比率が高い(これは「自分は本来醜いので、普通に話していたのでは他人に好かれない」という強迫観念によると思われる)。
#03 封建的(体育会系的?)上下関係(親分子分関係)を好む。
#04 他人のプライバシーに干渉したがる(独占欲、支配欲の表われか)。
#05 他人を傷付ける言動が多い。
#06 他人のカネで贅沢をしたり、華やかな社交・広報・宣伝の場に出たりするのを好み、陰で地味な努力をするのを拒否する。
#07 (他人が作った組織内での)地位や名誉や給与、賞与、退職金、交際費、出張費に執着する。
#08 自腹を切って他人を助けない(但し他人の就職の世話に「口をきいてやる」のはタダで恩に着せられるので大好き)。
#09 自分の私費や責任で公式の組織(会社、政党、政策集団)を立ち上げるような気概はない(常に最終的な責任を取らなくて済む、失敗を「誰かのせいにできる」立場に身を置く)。
#10 外部の人、組織との交渉で「駆け引き」をする能力がない(一方的に譲歩して、自分の会社の利益を損なう形で交渉して「うまくまとめた」などと自慢する、一種の「背任罪」を平気で犯す)
#11 キャッチコピーや短い手紙、企画書を書くのはうまいが、論理的な長文の読み書きはできない(ために、大学在学中の成績が極端に悪く、卒業できなかった)。
#12 表情や言葉で他人をひきつけるのがうまい。
#13 地道な努力で培ったキャリアはない(学問的知識や専門的な職業実務経験は皆無で、うわべの知識しかないが「てめえがそういうことをいうのは10年早い」などの決まり文句を弄して、自身の貧しいキャリアを他人に誇大に見せるのがうまい)。
#14 音楽、数学、法律への素養や関心は絶望的なほど乏しいが、カラオケ、領収書、自己弁護には妙に強い。
#15 容姿や学歴、知性、品性、家系等についての劣等感が強い(ために、階級コンプレックスを抱える「庶民」の共感はえやすい)。
#16 ごく短期間で、所属する職場やチームをころころ替わる(周囲のにんげんに自分の正体を見破られた頃に「周囲を悪者にして」被害者ヅラして「渡り鳥」になる)。
#17 ささいなところで、だらしない(禁煙ルール無視、セクハラ的言動、寸借詐欺、遅刻、失言、私用を部下に押し付ける等)。
#18 しかし、ぜったいに謝罪しない。
#19 それでいて、他人に反省や謝罪を迫る(某外相も、日本の過去の戦争について日本政府を反省させるのは好き)。
#20 他人の功績を自分のものとして自慢し、自分の失敗は他人のせいにする(そのために、すぐバレるウソを平気でつく)。
#21 突然感情的になっておおやけの席で非常識な言動に出る(が、周囲に必ず子分がいて、とりなしてしまうので、なかなか決定的には社会的地位を失わない)。
以前は、Zの人物像を人に説明するには、上記のように長々と話す必要があった。が、最近はとても簡単になった。「田中真紀子みたいな人」と言えば、すぐにわかってもらえるからだ。
Zは、当初はその社交性を発揮し、2〜3の派手な企画をぶちあげて周囲を感心させた(田中外相も就任直後は面白おかしい言動や、外務官僚のスキャンダル暴露で支持を集めた)。が、やがて、予算枠や採算性を無視している、読めると言っていた英語の資料や契約書を読めなかった、はては飲み屋に莫大なツケがありそれが原因で前の会社をクビになった、といったことまで判明した。
「子分」にとりなしてもらったり、ウソをウソでごまかしたりして、結局Zは離職するまで3年間持ちこたえた。その後数年のうちに、Zの部下だった男性正社員4人のうち3人が40代前半〜50代半ばの若さで相次いで亡くなり、現在生き残っているのは筆者だけだ(Zはまだ健在で、新たな子分作りに励んでいるという)。筆者はこの頃『ブレードランナー』のように「自分はあと何年生きることになっているのか」と考えるようになった(田中邸のお手伝いさんや田中外相の秘書官が次々に辞めていくという逸話も他人事ではない)。
●MD反対派に救われた「強運」●
田中外相は就任直後、西側先進諸国の外相たちとの懇談の席で、米国が国策として推進するMD(ミサイル防衛)構想に否定的な見解を繰り返し述べた(ことが外務官僚のリークによって産経新聞などで報道され、非難された)。
小泉首相は「内閣としてMDに理解を示し、研究する(反対はしない)」と表明していたので、これは明らかな閣内不一致であり、官僚の懸念や産経の非難は当然だった。
仮に「MDは平和を乱す邪悪な企みだ」と仮定しよう。邪悪なものに反対する田中の態度は正しいか………とんでもない。ものごとには手順がある。田中は外相として首相に仕える立場なのだから、MDに反対ならまず首相に「邪悪なものはやめるべき」と進言しなければならない。首相より先に外国の外相に言うのは外交のルール……どころか社会人の常識に反する。田中はまず首相を説得して諌め、だめなら辞表をたたき付けて出て行く……それが政治家の信念というものだ。
が、困ったことに、たまたまこの問題で意見の一致した左翼勢力や朝日新聞や評論家の田原聡一朗が、田中をほめてしまった。「外相の非公式発言を勝手にリークした(高学歴の)外務官僚はけしからん」などと(学歴コンプレックス丸出しで)非難するコメンテーターまで現われたため、田中は広範な国民各層から「熱心な外相」と誤解された。閣内不一致を糾した、官僚の愛国心と産経の正論は、上記の「田中応援団」から右翼タカ派、軍拡論者、女性差別主義者のたわごとと退けられた。
2001年8月に首相の靖国神社参拝問題をめぐって日中間で摩擦が起きたときも、田中は、参拝を公約した首相に公然と反対し、閣内不一致を演出した。彼女の反対を無視して首相が参拝したとき、首相周辺、とくに福田官房長官は「きっと辞表をたたきつけて辞めるだろう」と期待した……が、辞めなかった。
この時点で、朝日新聞も田原も気付くべきだった。が、彼ら「田中応援団」は、田中がまさに「応援団」をだますためだけにMDや靖国参拝に反対してみせていることを見破れなかった。
9月に米中枢同時テロが発生したとき、田中は、危機管理上公表すべきでない、米国務省職員の避難先を記者団の前でしゃべった。マスコミはこれを機密の暴露と非難し、これでようやく田中の正体(実は無能)を疑う声が一般庶民にも増えはじめた。
ところが、朝日新聞の田岡俊次記者は、テレビ朝日の番組で「事前に米側が『これは機密だ』と断らずに日本の外務省に言ったんだから、かまわない」と田中をかばった。
この時点で田岡は「田中はまだ決定的な失態はしていない」と言いたかったのだろう………いい加減にしろ!と筆者は思った。あなたがた「鈍感」な人々にご納得頂くにはいったい何年待てばいいのか? 何人部下が死ねばわかるのか? 3人か5人か、必要なら人数を言ってみろ!!
どれほど重大な失態をするまで、どれほど国益が損なわれるまで待てばいいのか? アフガン和平会議の妨害か、イスラム教徒への差別発言か(田中はパキスタンにあるアフガン難民キャンプのことを「きたない」から視察に行きたくないと漏らしたことがある)。田中が重大な失態をしでかすのは「時間の問題」であって「資質の問題」ではない。そんなことは見る者が見ればすぐにわかることだ。鈍感な連中は黙っていてもらいたい。
案の定、数週間後に田岡の属する朝日新聞もついに田中の正体に気付く。田中はMD反対派でも平和主義者でもなく、単なる「外相ポスト執着派」「社交主義者」にすぎないことをようやく悟った(2001年11月2日付朝刊「社説」で田中更迭論を展開)。瑣末な知識を使った田岡の「かばいだて」は有害無益だった、と朝日新聞社が認めたのだ。
産経と朝日は田中について「見方が違った」のではない。産経が先に見破り、朝日は6か月遅れたという単なる「時間差」の問題にすぎない。この6か月は純然たる時間の無駄だった。
オウム真理教の教祖は若い頃「薬剤詐欺」で投獄されたが、さして重い刑を受けずに出獄したため、以後世の中を「なめる」ようになった。おそらく田中も若い頃に、なんの努力もせずに不当に甘い評価や不相応な資格を得たことがあるのではないか。そうでなければ、ここまで非常識な言動が「政治家として人気を得る手段」として使える、などとは思うまい。まともなにんげんなら、上司(首相)に処分されることを恐れて、少なくとも部下(閣僚)である間は上司の方針には公然とは反対しないはずだ。
●毛沢東、ポル・ポト、ウサマ・ビンラーディン●
が、こういう「正論」を知性と教養のある識者が言えば言うほど、一部の庶民の「田中支持」はかえって強まっていく。彼らは田中と、岩盤のように固い「劣等感共同体」を形成しているので、その支持は半永久的に変わらない。「識者」がどんなに努力しても、田中の支持率は30%を大きく割ることはあるまい。
庶民の少し上に出て、自身は優越感を感じながら庶民を率いて、自分より知的で、高貴で、豊かなものへの劣等感を煽り、それらをいけにえにすることでヒーローになる………これは毛沢東が「文化大革命」で、ポル・ポトが「大虐殺」で、ウサマ・ビンラーディンが反米テロで用いたのとまったく同じ手法だ。
この問題の解決はアフガン問題よりも難しい。実は筆者は、いまだに田中応援団をやっている「鈍感な人々」を怒る気持ちはあまりない。話しても無駄なのはわかっているからだ。ただ、これだけは言える、
「田中が生きている限り、日本は首相公選制を導入すべきでない」。(敬称略)
【この記事へのご意見は
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/psycho.html#goiken
まで。】
◆参考文献◆
『診断名サイコパス〜身近にひそむ異常人格者たち』ロバート・D・ヘア著 ハヤカワ文庫NF
[シリアルキラー(連続殺人鬼)は、殺害の直前まで被害者にとって魅力的な人間として被害者の近くにいる……米国の犯罪心理学者は、この種の殺人者に共通する傾向に着目し、サイコパスと名付けた。極端に自己中心的で情緒不安定だが、正体を隠して他人を魅了することのみに優れたこの種の者は、実は殺人者でなくともいくらでもいる……結婚詐欺常習犯、見栄っ張りのくせに場当たり的に寸借詐欺を繰り返す「口先女」、発作的に妻を殺しておいて法廷では人種差別の被害者を装って無罪を勝ち取ったO・J・シンプソンなどの「平気でウソをつく人々」も同類だろう]
追伸1:
本誌へのご意見、投書は、投稿者氏名等の個人情報を伏せたうえで、本誌上で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承下さいませ。
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第24号です。
ご登録手続きやバックナンバー、内容紹介は、こちら↓をご利用ください。
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/
追伸2:
本メールマガジンの送信を停止するには、お手数ですが、このメールの最後にあるmelma.comのアドレスをクリックし、そこから「退会」フォームでお手続き下さい。
melma.comのシステム上、誠に申し訳ございませんが、本メールに返信されても「退会」手続きは成立しません。
また、本メールにご意見等を投書されたい方のうち、筆者の個人アドレスをご存じの方はそちらにお送り下さい。
ご存知でない方は本メールに返信する形で投書を下されば、スタッフ(編集部)によるセキュリティ等のチェックを経て、数日後に筆者に転送されます。
Copyright (C) 2001 by Satoshi Sasaki
All rights reserved. 不許複製、禁無断転載
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
- 日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
- JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル
- 政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
- 頂門の一針
- 急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
- 甦れ美しい日本
- 日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/melma_logo.gif)







